Search

JP-2025527196-A5 -

JP2025527196A5JP 2025527196 A5JP2025527196 A5JP 2025527196A5JP-2025527196-A5

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20230802

Description

本発明は、銅-亜鉛合金からなる鋳物材料、鋳造生成物を製造するための方法、及び鋳造部品に関する。 CuZn39Pb1Al-B(CB757S)など、約1重量%の鉛を含むα相及びβ相からなる銅-亜鉛鋳造材料(「鋳造合金」とも呼ばれる)は、優れた鋳造性、非常に良好な機械加工性、さらには良好な研磨性を有する。鉛を含有する銅-亜鉛鋳造合金は、衛生分野において多くの用途で使用され、特に飲料水の分野では蛇口や管工機材に使用される。 銅-亜鉛合金中の鉛のポジティブな作用は、鉛が元素状態で構造内に粒子として存在し、これらの粒子がチップブレーカとして作用することに基づいている。切削時、鉛は、部材の強い局所変形と、それに伴う局所の温度上昇とにより、流相として存在する。液体状の鉛は応力を吸収できないので、これは、荷重を支える脆弱したマトリックスに応力が集中することになり、それによってチップブレーキングが起こりやすくなる。これに加え、切削時に、鉛は材料と工具との間のトライポロジー層の中に取り込まれ、それが効果的な潤滑につながり、ひいては摩擦及び摩耗が低減することになる。さらに、銅-亜鉛合金中での鉛は、明らかな結晶粒微細化を生じさせることも知られている。このことは、特に鋳造素材では、研磨性に関して好適である。さらに、鉛は低価格でもある。 しかしながら、鉛は環境にとって有害である。鉛は微量でも摂取すると人間の体内に蓄積され、健康被害を引き起こすおそれがある。そのため、EU、米国、中国、その他の国々では、銅合金内の規制値が常に引き下げられ、鉛を含有する真鍮の代わりに、鉛を削減した又は鉛フリーの切削可能な銅合金を使用する労力がなされている。規制値は、例えばRoHS(指令2011/65/EU)などのEU指令において、1000ppm(0.1%)Pbが上限として定められている。そのような低い鉛含有量でも、材料の良好な機械加工性を確保するために、さまざまな合金元素が鉛の代替として提案される。 多数の文献から、鉛の代替としてビスマス(Bi)を使用して、機械加工性を向上させることが周知である。粒界に沿ったBiの膜形成と、それに伴う応力亀裂及び熱間亀裂の脆弱性を緩和するため、さらなる元素の添加が提案される。これについては、特に、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5が参照される。しかしながら、Biは、一方で入手困難な稀少金属であり、他方では銅素材の資材サイクル内で高温脆性を引き起こすことから、望ましくない。 さらに、特許文献6から、0.1~1.5重量%のSi、0.03~0.4重量%のAl、0.01~0.36重量%のP、0.05~0.5重量%のSn、0.001~0.05重量%の希土類を含む銅-亜鉛合金が周知である。この合金は、α組織、β組織、場合によりγ組織を形成することにより、機械加工性が良好である。Alを含有することにより、望ましくないAlリン化物が生じる。γ相とAlリン化物はチップ形成を改善するが、工具の寿命を悪化させる。さらに、希土類を含むことにより、組織の脆化につながると考えられる。これらの合金は、鋳造部品及び熱間プレス部品に使用される。 合金内で脆弱なリン化物を形成するリンを鉛の代わりに使用することは、さらに、58.5~65.0重量%のCu、0.40~1.40重量%のSi、0.003~0.19重量%のP、0.002~0.25重量%のPb、残部亜鉛、ならびにその他の任意元素を含む鋳造合金についての特許文献7において説明される。ここで、0.003~0.19重量%のPを添加してリン化物を生成し、0.4~1.4重量%のSiを添加してα相とβ相を強化することは、この場合、機械加工性が良好な鋳造材料をもたらす。 韓国特許第10-0555854号公報韓国公開特許第10-2006-096877号公報特開2005-290475号公報特開2014-122427号公報特開2006-083443号公報欧州特許第2194150号明細書欧州特許出願公開第3992321号明細書 本発明は、銅-亜鉛合金からなる鋳造材料であって、重量%において以下の組成、すなわち、Cu:58.0~66.0%、Si:0.15~1.2%、P:0.20~0.38%、Sn:任意で最大0.5%、Al:任意で最大0.05%、Fe:任意で最大0.3%、Ni:任意で最大0.3%、Pb:任意で最大0.25%、好ましくは最大0.10%Bi:任意で最大0.1%、Te、Se、In:任意でそれぞれ最大0.1%、B:任意で最大0.01%、残部Zn及び不可避不純物を含み、不可避不純物の割合は0.2重量%よりも少ない、鋳造材料に関する。この合金は、α相、β相、及びリン化物粒子を含む組織を有している。リン化物粒子は、好ましくは銅及び/又は亜鉛含有のリン化物を含むか、銅及び/又は亜鉛含有のリン化物である。α相とβ相の合計に対するβ相の割合は、少なくとも20体積%、好ましくは少なくとも40体積%であり、多くとも70体積%、好ましくは多くとも60体積%である。ケイ素は、α相にもβ相にも存在している。21000μm2の面積には、0.5~1μmの相当直径を持つリン化物粒子が20~300個、1~2μmの相当直径を持つリン化物粒子が30~120個、及び2~5μmの相当直径を持つリン化物粒子が20~100個存在している。β相の体積割合ならびにSi及びPの割合は、合金が以下の条件、すなわち、92.7249-0.473254・[Beta]-80.6378・[Si]-142.65・[P]+279.309・[Si]・[P]<40を満たすように選択されている。ここで、[Beta]はβ相の割合を体積%で示し、[Si]は、ケイ素の割合を重量%で示し、[P]は、リンの割合を重量%で示している。 このとき、本発明は、材料の機械加工性を損なうことなく、銅-亜鉛合金中のPbの割合をできるだけ低減するという考え方に基づいている。この目的のために、合金にはSiとPが適切に添加され、また一方で好適な切削特性が得られ、他方ではβ相からなる元の基本マトリックスの鋳造組織が微細化されるように、β相の体積割合が調整される。さらに、所望の特性が得られるように、鋳造時のプロセス制御が選択される。 小さいβ粒径は、良好な研磨性のために有利である。従って、β相は、鋳造状態で微粒化している必要がある。驚くべきことに、P含有量が多くなるに伴い、β相からなる元の基本マトリックスの鋳造組織の明らかな結晶粒部載荷が生じることが示された。鋳造組織の十分な結晶粒微細化を達成するには、少なくとも0.20重量%のPを添加することが必要である。このことは、α-β真鍮の結晶粒微細化に対する1~3重量%のPbの効果と同様である。β晶の一次結晶の際、残留溶融物にPが蓄積され、それによって細分化、従ってβ相の結晶粒微細化を引き起こす。凝固中には、リン化物とβ相からなる共晶が生じる。β相からなる基本マトリックスの結晶粒微細化に加え、α晶の結晶粒微細化も観察される。 Pの割合が少なくとも0.20重量%の場合、鋳造材料中でα相にもβ相にもリン化物粒子が存在する。好ましくは、この合金は、少なくとも0.22重量%のPを含んでいる0.38重量%を上回るP含有量では、個々のリン化物が凝固して長い網状の形状を形成することによって、鋳造状態で粗大なリン化物が生じる。これらの粗大なリン化物は粒界を湿らせ、延性を低下させる。機械的な構成要素、例えば飲料水バルブ又は接続部として使用する場合、素材は高い硬度に対応して高い強度を必要とする。 しかしながら、例えば固定鋳型(Standkokille)での鋳造などで、合金の鋳造時に冷却速度が低下しすぎると、P含有量が0.38重量%未満でも、粗大な望ましくないリン化物が発生し得る。必要な高い冷却速度は、例えば鉄鋼鋳型への25×55×160mmの小さなブロックのタンマン鋳造(Tammannguss)で実現される。このようにして、P含有量が0.20~0.38重量%の場合、リン化物粒子はすでに鋳造状態で球状かつ微細な形態となり構造内に分散されて存在することになる。これらは切削時に分離位置として作用し、切屑破砕を促進する。リン化物粒子を適切に調整するために、凝固時の冷却速度は、550℃~350℃の温度範囲において、少なくとも毎分20℃(℃/分)、好ましくは少なくとも毎分30℃、多くとも毎分60℃、好ましくは多くとも毎分50℃でなければならない。従って、リン化物の分布及びβ相の粒径は、合金の化学組成によって決定されるだけでなく、鋳造時の条件によっても決定される。従って、鋳造状態でのリン化物の特徴は、特定のプロセス制御が生成物に残す指紋のようなものである。鋳造状態におけるリン化物の分散は、以下のように特徴付けることができる。21000μm2の面積には、0.5~1μmの相当直径を持つリン化物粒子が20~300個、1~2μmの相当直径を持つリン化物粒子が30~120個、及び2~5μmの相当直径を持つリン化物粒子が20~100個存在している。リン化物粒子の相当直径とは、リン化物粒子と同じ面積の円の直径であると理解される。少なくとも0.5μmの相当直径を持つリン化物粒子の大部分は、多くとも2μmの相当直径を持っている。この合金は、冷却条件に注意を払えば、連続鋳造、及び例えば砂型鋳造やコキール鋳造の形での型鋳造にも適している。 切削時に分離箇所として作用し、それによってチップブレーキングを支援する脆弱な組織成分は、材料の機械加工性にとって有利である。β相は脆弱であり、機械加工性を促進する。β相の割合の増加は、Zn含有量の上昇によって、及び/又はケイ素の添加によって達成することができる。これは、ケイ素がβ相を安定化させるからである。さらに、α相の延性を低下させると、良好な機械加工性にとって有利であることも判明している。このことは、α相へのケイ素の添加及び埋込みによって、ならびにα相に微細分散されたリン化物によって達成される。従って、合金中のSi割合は、少なくとも0.15重量%でなければならない。上述したリン化物粒子は、切削時に分離箇所として作用し、チップブレーキングを促進する粒子である。P割合が少なくとも0.20重量%であると、機械加工性が改善するだけでなく、特に粒子の微細化に資する。さらに、任意のPb割合が低いと、機械加工性に有利に働く。 従って、材料の機械加工性は、β相、Si、及びPのパラメータと、任意で存在する僅かなPb割合とを組み合わせて選択することによって決定される。提案されている銅-亜鉛合金からなる鋳造材料では、α相とβ相の合計に対するβ相の割合が少なくとも20体積%、好ましくは少なくとも35体積%、特に好ましくは少なくとも40体積%である。β相の割合が高いと、延性に悪影響を及ぼす。そのため、β相の割合は、多くとも70体積%、好ましくは多くとも60体積%である。合金のSi含有量は、0.15~1.2重量%、P含有量は0.20~0.38重量%である。さらに、最大0.25重量%のPb、好ましくは最大0.10重量%までのPbを添加することもできる。このとき、β相の割合ならびにSi及びPの割合は、この合金が以下の条件、すなわち、92.7249-0.473254・[Beta]-80.6378・[Si]-142.65・[P]+279.309・[Si]・[P]<40を満たすように選択されている。ここで、[Beta]は、β相の割合を体積%で示し、[Si]は、ケイ素の割合を重量%で示し、[P]は、リンの割合を重量%で示している。この関係は、合金の切削特性に及ぼすβ相、Si、及びPの各パラメータの影響、ならびにこれらのパラメータの相互作用を定量的に表している。従って、例えば、β相の割合が低い割合は、合金の組成仕様においてケイ素及び/又はリンの割合をより高くすることによって補正することができ、その逆もまた同様である。