JP-2026076476-A - D相中油型乳化物およびその製造方法
Abstract
【課題】 たん白素材を用いた水中油型乳化物を調製するに際して、弱いせん断力下で油脂を水に分散させる方法を提供する。 【解決手段】 下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材が、水分50質量%以下のポリオールに溶解したD相組成物に、油脂が分散したD相中油型(O/D型)乳化物を調製する。D相中油型乳化物を更に水に分散させることで、水中油型乳化物を得ることができる。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。 【選択図】なし
Inventors
- 狩野 弘志
Assignees
- 不二製油株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (11)
- 下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材が、水分50質量%以下のポリオールに溶解したD相組成物に、油脂が分散した、D相中油型乳化物。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
- ポリオールがグリセリンまたは還元水あめである、請求項1に記載の、D相中油型乳化物。
- たん白素材1質量部に対する、水分50質量%以下のポリオールが15質量部以下である、請求項1または請求項2に記載の、D相中油型乳化物。
- 以下の[1]および[2]の工程を含む、D相中油型乳化物の製造方法。 [1]下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材を、水分50質量%以下のポリオールに溶解して、D相組成物を得る工程。 [2]D相組成物に油脂を分散させて、D相中油型乳化物を調製する工程。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
- ポリオールがグリセリンまたは還元水あめである、請求項4に記載の、D相中油型乳化物の製造方法。
- 請求項4または請求項5に記載のD相中油型乳化物を、水に分散する、水中油型乳化物の製造方法。
- 以下の[1]~[3]の全ての工程を含む、油脂を水に分散させる方法。 [1]下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材を、水分50質量%以下のポリオールに溶解して、D相組成物を得る工程。 [2]D相組成物に油脂を分散させて、D相中油型乳化物を調製する工程。 [3]D相中油型乳化物を、水に分散する工程。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
- ポリオールがグリセリンまたは還元水あめである、請求項7に記載の、油脂を水に分散させる方法。
- 下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材が、水分50質量%以下のポリオールに溶解したD相組成物に、油脂が分散した、D相中油型乳化物またはこの水希釈物である、化粧品。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
- 化粧品がクレンジング剤である、請求項9に記載の化粧品。
- 下記(A)および(B)の性質を有するたん白素材が、水分50質量%以下のポリオールに溶解したD相組成物に、油脂が分散した、D相中油型乳化物である、食品。 (A)粗蛋白質量20質量%の水溶液を80℃,30分加熱後、25℃で測定時の粘度が10,000mPa・s以下。 (B)0.22MのTCA可溶化率が30%~95%。
Description
本発明は、D相中油型乳化物およびその製造方法に関する。 分離大豆たん白や乳たん白など、元々乳化力の高いたん白素材や、これらを用いて水中油型乳化物を調製することは、広く知られている。また、特殊な調製方法でこれらの乳化力を高めた、高乳化型のたん白素材も開発されている。特許文献1は、高乳化大豆たん白素材を用いた水中油型乳化物による乳化香料を、特許文献2は、高乳化大豆たん白素材を用いた水中油型乳化物を、更に乾燥した食品を、それぞれ開示している。何れの水中油型乳化物も、強いせん断力を用いて調製したものである。 D相中油型乳化物とは、乳化剤(D相)に油脂が分散したO/D型乳化物である。弱いせん断力で分散が可能であり、乳化剤として低分子の乳化剤が多用される。特許文献3は酸性領域で安定な乳化物を調製するために、ポリグリセリン脂肪酸エステルのO/D型乳化物を用いた例である。特許文献4は、比較的加工度の低い乳化剤である、リゾレシチンのO/D型乳化物を用いた例である。 特開2024-003289号公報国際公開第2024/038767号特開2004-290104号公報特開2000-083624号公報 各種のたん白素材をグリセリンに分散させ、遠心分離を行った状態の、図面代用写真である。 ■ポリオール ポリオールとは、複数の水酸基を有した多価アルコールである。本発明で使用するポリオールは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1, 2-ペンタンジオール、ソルビトール、還元麦芽糖、還元水あめ、等々の無水物もしくは水分50質量%以下の含水物であって、常温で液体のものである。 好ましくは、グリセリンまたは還元水あめであり、最も好ましくはグリセリンである。 ■油脂 本発明に用いる油脂とは、水に不溶性または難溶性でかつ中性脂質に溶解しやすい物質を指す。すなわち、ダイズ油、ナタネ油、トウモロコシ油、サフラワー油、コメ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、落花生油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、豚脂、牛脂、魚油、中鎖脂肪酸トリグリセリドといったトリグリセリド類およびこれらをエステル交換や水素添加処理等で改質したもの、並びにこれらを分解した脂肪酸類が挙げられる。トリグリセリド類を構成する脂肪酸には多価不飽和脂肪酸(例えば、エイコサペンタエン酸/EPA、ドコサヘキサエン酸/DHA、アラキドン酸ならびにγ-リノレン酸および/またはエチルエステル)等も含まれる。また、ホホバ油等の高級アルコールの脂肪酸エステル類も使用することができる。 ■たん白素材 本発明に用いるたん白素材は、加熱後の粘度が低いものが必要である。すなわち、たん白素材の粘度は、たん白素材を粗蛋白質量が20質量%となる水溶液を調製し、80℃,30分の加熱の後、25℃にて粘度測定する事により測定できる。加熱後粘度は10,000mPa・s以下であり、好ましくは5,000mPa・s以下、1,000mPa・s以下、500mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下、100 mPa・s以下である。 また、本たん白素材は一定サイズの分子量が必要となる。分子量は、TCA可溶化率で定義される。本発明においてTCA可溶化率は、総粗蛋白質量に対する0.22M TCA中で溶解する粗蛋白質量の比率で定義される。TCA可溶化率は30~95%であり、好ましくは35~90%、更に好ましくは40~85%、50~80%である。TCA可溶化率がこの範囲内にある場合、D相中油型乳化物を形成するための高い乳化性を得ることがでる。 本たん白素材は、タンパク質の溶解性の指標として用いられているNSI(Nitrogen Solubility Index:窒素溶解指数)が80以上のものであることが好ましい。より好ましくはNSIが85以上、90以上、95以上、又は97以上のものを用いることができる。タンパク素材のNSIが高いことは、水への分散性が高いことを示し、本発明である風味劣化の抑制効果に寄与し得る。NSIが低すぎると沈殿が生じやすくなる。また、たん白素材中の粗蛋白質含量についても、30質量%以上が好ましく、40質量%以上、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上、70質量%以上が最も好ましい。粗蛋白質含量が多いたん白素材の方が、より少量で機能を出すことが可能となる。 このようなたん白素材は、後述する変性および分子量調整処理等により得ることができる。市販例としては、不二製油製「MIRA-MAP2.0」が例示される。また、市販の大豆たん白素材、例えば「フジプロR」、「フジプロ748」、「フジプロCL」、「ハイニュートDC6」(以上、不二製油社)等は、本要件に該当しない。 上記の調製を行う対象のたん白素材の由来は特に限定されないが、植物性、動物性または微生物由来の蛋白質が使用できる。植物性蛋白質としては、大豆、エンドウ、緑豆、ルピン豆、ヒヨコ豆、インゲン豆、ヒラ豆、ササゲ等の豆類、ゴマ、キャノーラ種子、ココナッツ種子、アーモンド種子等の種子類、とうもろこし、そば、麦、米などの穀物類、野菜類、果物類、藻類、微細藻類などに由来する蛋白質が挙げられる。一例として大豆由来のたん白素材の場合、脱脂大豆や丸大豆等の大豆原料からさらに蛋白質を濃縮加工して調製されるものであり、一般には分離大豆たん白質、濃縮大豆たん白質や粉末豆乳、あるいはそれらを種々加工したものなどが概念的に包含される。 また、動物性の蛋白質としては、卵白アルブミンを含む卵蛋白質、カゼイン、乳清、ラクトアルブミン、ラクトアルブミンなどの乳蛋白質、血漿、血清アルブミン、脱色ヘモグロビンなどの血液に由来する蛋白質、畜肉に由来する蛋白質、魚介類に由来する蛋白質等が挙げられる。更に、酵母、カビ、細菌類等の微生物由来の蛋白質が利用できる。水への溶解性に劣る蛋白質であっても、後述する処理により、本発明に使用できるたん白素材を調製することができる。 たん白素材は植物に由来するものが好ましく、豆類に由来するものがより好ましい。中でも、大豆およびエンドウに由来するたん白素材が最も好ましい。 ■変性および分子量調整処理 本発明に用いられるたん白素材は、蛋白質を分解及び/又は変性させる「分解/変性処理」と、蛋白質の分子量分布の調整する「分子量分布調整処理」を組み合わせて適用することにより得られる。上記「分解/変性処理」の例として、酵素処理、pH調整処理(例えば、酸処理、アルカリ処理)、変性剤処理、加熱処理、冷却処理、高圧処理、有機溶媒処理、ミネラル添加処理、超臨界処理、超音波処理、電気分解処理及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。上記「分子量分布調整処理」の例として、ろ過、ゲルろ過、クロマトグラフィー、遠心分離、電気泳動、透析及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。「分解/変性処理」と「分子量分布調整処理」の順序及び回数は特に限定されず、「分解/変性処理」を行ってから「分子量分布調整処理」を行ってもよいし、「分子量分布調整処理」を行ってから「分解/変性処理」を行ってもよいし、両処理を同時に行ってもよい。また、例えば2回以上の「分子量分布調整処理」の間に「分解/変性処理」を行う、2回以上の「分解/変性処理」の間に「分子量分布調整処理」を行う、各々複数回の処理を任意の順に行う、等も可能である。なお、「分解/変性処理」によって所望の分子量分布が得られる場合は、「分子量分布調整処理」を行わなくてもよい。これらの処理を組み合わせて、複数回行う際、原料から全ての処理を連続で行ってもよいし、時間をおいてから行ってもよい。例えば、ある処理を経た市販品を原料として他の処理を行ってもよい。なお、上記特性を満たす限り、分子量分布調整処理を経たたん白素材と、分子量分布調整処理を経ていないたん白素材を混合して、特定のたん白素材としてもよい。この場合、両者の比率(処理を経たたん白素材:処理を経ていないたん白素材)は上記特性を満たす範囲で適宜調整可能であるが、質量比で例えば1:99~99:1、例えば50:50~95:5、75:25~90:10等が挙げられる。ある実施形態では、本態様に用いられるたん白素材は、「分解/変性・分子量分布調整処理」を経たたん白素材からなる。 蛋白質を分解又は変性させる処理の条件、例えば酵素、pH、有機溶媒、ミネラル等の種類や濃度、温度、圧力、出力強度、電流、時間等は、当業者が適宜設定できる。酵素の場合、使用される酵素の例として、「金属プロテアーゼ」、「酸性プロテアーゼ」、「チオールプロテアーゼ」、「セリンプロテアーゼ」に分類されるプロテアーゼが挙げられる。反応温度は20~80℃、好ましくは40~60℃で反応を行うことができる。pH調整処理の場合、例えばpH2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12の任意の値を上限、下限とするpH範囲、例えばpH2~12の範囲で処理し得る。酸処理の場合、酸を添加する方法であっても、また、乳酸発酵などの発酵処理を行う方法であってもよい。添加する酸の例として、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。また、レモンなどの果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルト、醸造酢などの酸を含有する飲食品を用いて酸を添加してもよい。アルカリ処理の場合、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加し得る。 変性剤処理の場合、塩酸グアニジン、尿素、アルギニン、PEG等の変性剤を添加し得る。加熱又は冷却処理の場合、加熱温度の例として、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃の任意の温度を上限、下限とする範囲、例えば60℃~150℃が挙げられる。冷却温度の例として、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-65℃、-70℃、-75℃の任意の温度を上限、下限とする範囲、例えば-10℃~-75℃が挙げられる。加熱又は冷却時間の例として、5秒、10秒、30秒、1分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、120分、150分、180分、200分の任意の時間を上限、下限とする範囲、例えば5秒間~200分間が挙げられる。高圧処理の場合、圧力の条件の例として、100MPa、200MPa、300MPa、400MPa、500MPa、600MPa、700MPa、800MPa、900MPa、1,000MPaの任意の圧力を上限、下限とする範囲、例えば100MPa~1,000MPaが挙げられる。 有機溶媒処理の場合、用いられる溶媒の例として、アルコールやケトン、例えばエタノールやアセトンが挙げられる。ミネラル添加処理の場合、用いられるミネラルの例として、カルシウム、マグネシウムなどの2価金属イオンが挙げられる。超臨界処理の場合、例えば、温度約30℃以上で約7MPa以上の超臨界状態の二酸化炭素を使用して処理できる。超音波処理の場合、例えば100KHz~2MHzの周波数で100~1,000Wの出力で照射して処理し得る。電気分解処理の場合、例えば蛋白質水溶液を100mV~1,000mVの電圧を印加することにより処理し得る。具体的な実施形態において、蛋白質を分解及び/又は変性させる処理は、変性剤処理、加熱処理、及びそれらの組み合わせから選択される。 蛋白質の分子量分布を調整する処理の条件、例えばろ材の種類、ゲルろ過の担体、遠心分離回転数、電流、時間等は、当業者が適宜設定できる。ろ材の例として、ろ紙、ろ布、ケイ藻土、セラミック、ガ