JP-2026076486-A - アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法
Abstract
【課題】 バテライト状炭酸カルシウムから、アラゴナイト状炭酸カルシウムの種結晶を必要とせず、アラゴナイト状炭酸カルシウムを簡便な方法で効率よく製造することができる、新規なアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法は、カルシウムイオン含有水溶液と炭酸イオン含有水溶液とを、pHを7~9.7で反応させて調製したバテライト状炭酸カルシウムを、65~95℃の水中に浸漬させることにより、バテライト状炭酸カルシウムからアラゴナイト状炭酸カルシウムを調製することで、アラゴナイト状炭酸カルシウムを製造する。 【選択図】図4
Inventors
- 菊池 定人
- 三橋 佑基
- 小嶋 芳行
Assignees
- 住友大阪セメント株式会社
- 学校法人日本大学
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (4)
- カルシウムイオン含有水溶液と炭酸イオン含有水溶液とを、pHを7以上9.7以下で反応させて調製したバテライト状炭酸カルシウムを、65~95℃の水中に浸漬させることにより、バテライト状炭酸カルシウムからアラゴナイト状炭酸カルシウムを調製することを特徴とする、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法。
- 請求項1記載のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法において、上記バテライト状炭酸カルシウムは、濃度が1.5~3.5質量%となるように、65~95℃の水中に浸漬させることを特徴とする、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法。
- 請求項2記載のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法において、上記バテライト状炭酸カルシウムを温度65~95℃の水中に浸漬するにあたり、該温度が高くなるにつれて得られるアゴラナイト状炭酸カルシウムのアスペクト比が小さくなることを特徴とする、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法。
- 請求項1又は2記載のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法において、上記カルシウム水溶液は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム及び水酸化カルシウムからなる群より選ばれる無機化合物が溶解した溶液であり、炭酸イオン含有水溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸アンモニウムから成る群より選ばれる無機化合物が溶解した溶液であることを特徴とする、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法。
Description
特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:令和5年11月9日,刊行物名:第147回無機マテリアル学会学術講演会 講演要旨集,第44~45頁,無機マテリアル学会 開催日:令和5年11月9日,集会名、開催場所:無機マテリアル学会 第147回学術講演会、国立大学法人東北大学片平さくらホール(宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1) 本発明は、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法に関し、特に球状のバテライト状炭酸カルシウムから、針状のアラゴナイト状炭酸カルシウムを簡便に製造することができる、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法に関する。 炭酸カルシウムは、セメント、医薬品、プラスチック、樹脂、ゴム、紙、塗料、化粧品原料等の充填材として、幅広い産業分野で使用され、各種物性値の改善に利用されている。また、農業や食品分野においても利用されている。 炭酸カルシウムには、結晶形態が異なる、カルサイト、アラゴナイト、バテライトの3種類の結晶体が存在しており、カルサイト及びアルゴナイトは天然に存在し、室温の水中においてカルサイトは安定相、アラゴナイトは準安定相、バテライトは非常に不安定という特性を有する。また、バテライト状の炭酸カルシウムの形状は、通常、球状体であり、アラゴナイト状の炭酸カルシウムの形状は、針状体を有している。 炭酸カルシウムを建材等に利用する場合には、カルサイトやバテライトのアスペクト比が小さい結晶形の炭酸カルシウムよりも、針状のアラゴナイト状炭酸カルシウムのようなアスペクト比が大きいもののほうが、粒子同士がからみあって強度の増加が期待できる。 バテライト状炭酸カルシウムは、天然には産出されず、その結晶構造が、アラゴナイト、カルサイト結晶構造よりも不安定であるため、水の存在下で結晶転移して、カルサイト形状に転移する。 また、アルゴナイト状炭酸カルシウムは、例えばサンゴ石灰石等として産出されるが、その産出量は十分ではなく、特にプラスチックフィラー、塗工顔料、コンクリートの添加材として需要が高まっているが、アラゴナイトを人工的に製造しようとすると、カルサイトが多く混在して製造される場合が多いという問題があった。 アラゴナイト状炭酸カルシウムを製造する一般的な方法としては、水酸化カルシウム溶液に直接二酸化炭素ガスを吹き込んで、炭酸カルシウムを製造する不均一沈殿法があるが、反応条件等に制約が多く煩雑であり、効率よくアラゴナイト状炭酸カルシウムを製造するためには、アラゴナイト状炭酸カルシウムの種結晶を予め製造して添加する必要がある。 特開平2-302317号公報(特許文献1)には、バテライト系炭酸カルシウム水懸濁液(バテライト乳液)に2価又は3価の金属塩を添加し40℃以上でこのバテライト乳液を加熱処理し、バテライト系炭酸カルシウムをアラゴナイ系炭酸カルシウムに結晶転移して、アラゴナイト系炭酸カルシウムを製造する方法が記載されている。 また特開2002-293537号公報(特許文献2)には、燃焼炉等の排ガス中の炭酸ガスを気液接触法により、6~12%の苛性ソーダ水溶液で吸収し炭酸ソーダ濃度が8~15%の炭酸ソーダ溶液を生成する炭酸ガス吸収工程と、生石灰を水和し石灰乳を生成する工程と、前記石灰乳と前記炭酸ガス吸収工程で生成した炭酸ソーダ溶液を反応させる炭酸化工程とを含む炭酸カルシウムの製造方法により、紡錘形状や柱形状の炭酸カルシウムが製造されることが記載されている。 更に特許第7382091号公報(特許文献3)には、大気中に排出されることになる排ガス等に含まれている炭酸ガスを効率的に利用しつつ、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムを製造する方法として、水酸化ナトリウム水溶液に炭酸ガスを含むガスを導入して、炭酸ナトリウム水溶液を得る、炭酸ガス吸収工程と、酸化カルシウムと、0~6質量%未満の濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、水酸化カルシウム水分散体を得る、水化工程と、該水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.25モル/分以下となるように、該水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加して炭酸カルシウムを得る、炭酸化工程と、を含む、BET比表面積が2.0~15.0m2/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムの製造方法が開示されている。 しかし、従来のアラゴナイト状の炭酸カルシウムの製造方法は、反応条件が複雑で製造工程が煩雑であり、製造方法が経済的ではなく、得られる炭酸カルシウムとして、カルサイト状炭酸カルシウムが生成しやすいものであるという問題があり、バテライト状炭酸カルシウムからカルサイト状炭酸カルシウムではなく、アラゴナイト状炭酸カルシウムに十分に転移させることができる簡便な方法ではなかった。 そこで、バテライト状炭酸カルシウムから、アラゴナイト状炭酸カルシウムに転移させることができる、簡便な方法が所望されている。 特開平2-302317号公報特開2002-293537号公報特許第7382091号公報 バテライト状炭酸カルシウムを生成する際のpHと得られたバテライト状炭酸カルシウムの生成率との関係を示す図である。バテライト状炭酸カルシウムを生成する際のpHと得られた炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)による他のチャート図である。バテライト状炭酸カルシウムを生成する際のpHと得られた炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。バテライト状炭酸カルシウムを浸漬させる純水の温度と、得られた炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。バテライト状炭酸カルシウムを70℃の純水に浸漬させた場合の浸漬時間と得られる炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。バテライト状炭酸カルシウムを82℃の純水に浸漬させた場合の浸漬時間と得られる炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。バテライト状炭酸カルシウムを90℃の純水に浸漬させた場合の浸漬時間と得られる炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。図5で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真図である。図6で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真図である。図7で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真図である。バテライト状炭酸カルシウムを浸漬する純水の温度と、反応時間と、アスペクト比の関係を示す図である。本発明の範囲外のpH10で調製した炭酸カルシウム(カルサイト状炭酸カルシウムを20質量%でバテライト状炭酸カルシウムを80質量%含む炭酸カルシウム)を82℃の純水に浸漬させた場合の浸漬時間と、得られる炭酸カルシウムの結晶形との関係を示すX線回析法(XRD)によるチャート図である。 本発明のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法について、以下の好適な実施形態により詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態によって限定されるものではない。 本発明のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法は、カルシウムイオン含有水溶液と炭酸イオン含有水溶液とを、pHを7以上9.7以下で反応させて調製したバテライト状炭酸カルシウムを、65~95℃の水中に浸漬させることにより、バテライト状炭酸カルシウムからアラゴナイト状炭酸カルシウムを調製する、アラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法である。 このように、本発明のアラゴナイト状炭酸カルシウムの製造方法は、例えば塩化カルシウム等を水に溶解させたカルシウムイオンを含有する水溶液と、炭酸ナトリウム等を水に溶解させ炭酸イオンを含有する水溶液とを、上記特定のpH条件下で反応させてバテライト状炭酸カルシウムを生成し、このようにして生成させたバテライト状炭酸カルシウムを、上記特定の温度範囲の水に浸漬させて、バテライト状炭酸カルシウムをアラゴナイト状炭酸カルシウムに転移させ、アラゴナイト状炭酸カルシウムを調製することができる。 本発明に用いるバテライト状炭酸カルシウムを調製するのに用いるカルシウムイオンを含有する水溶液は、カルシウムイオンを含有する水溶液であれば特に限定されず使用することができる。 また、カルシウムイオンを含む水溶液を調製するためのカルシウム材料は、水に溶解してカルシウムイオンを水中に生成できるカルシウムを含む材料であれば特に限定されず、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、水酸化カルシウム等の無機化合物を用いることができる。更に、例えばカルシウム(Ca)含有廃棄物を用いることもでき、一般ごみや産廃ごみなどの焼却灰、火力発電所等から排出されるフライアッシュ、スラグ、廃コンクリート、生コンスラッジ、バイオ灰などを例示することができる。 カルシウム含有廃棄物は、粒度を1000μm以下、より好ましくは500μm以下で、100μm以上の範囲に調整されることが望ましく、これにより、カルシウムを水中に抽出し易くすることが可能となる。 カルシウムイオンを含有する水溶液としては、上記カルシウム材料を水に溶解して得られるカルシウムイオン含有水溶液を、本発明に適用する。 また、カルシウム材料としてカルシウム含有廃棄物を用いて、カルシウムイオンを含む水溶液を得る方法としての具体的な一例としては、例えば、カルシウム含有廃棄物に塩酸水を添加してカルシウムを溶解させ、カルシウムイオンを含む粗水溶液を生成し、当該カルシウムイオンを含有する水溶液の水素イオン濃度指数を調整し、Si、Al、Mg、及び重金属成分等の不純物を該粗カルシウムイオン含有水溶液から分離して、本発明に用いるバテライト状炭酸カルシウムを生成するためのカルシウムイオンを含む水溶液を調製することができる。 カルシウム含有廃棄物に塩酸水を添加してカルシウムを溶解させるには、粒度調整したカルシウム含有廃棄物に塩酸水を添加して、好ましくは、水素イオン濃度指数のpHを2.5未満の範囲になるようにする。この際に、必要に応じて清水等の洗浄水を添加してもよく、当該洗浄は、固液分離の際、固形分に含まれる液体を清水と置換するために実施されるものである。 カルシウムを抽出する際の塩酸を含む水溶液の温度は、常温以上が好ましく、より好ましくは20℃以上70℃以下の範囲である。 カルシウムを溶解させて、残渣とカルシウムイオン含有水溶液に分離し、当該残渣は、例えば、セメント製造設備において、セメント原料として使用することが可能である。 また、当該カルシウムイオン含有水溶液のpHを、例えば、pH5~6に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等を用いて調整することで、カルシウムイオンを含有する水溶液中に含まれるSiやAlイオンを、ゲルとして除去することが可能であり、必要に応じて、清水等の洗浄水を添加して、固形分を洗浄することも可能である。これらのゲルはセメント原料として利用することができる。 次いで、SiやAlイオンを除去した後のCaイオン含有水溶液のpHを、例えばpH7~10に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いて調整することで、カルシウム含有廃棄物由来のPbやCrイオンなどの重金属を分離することができる。また、必要に応じて、清水等の洗浄水を添加することも可能であり、かかる洗浄により、固形分を洗浄する。 なお、上記重金属を除去する前に、必要に応じて、Caイオン含有水溶液に凝集剤を添加することも可能である。凝集剤としては、例えば、高分子凝集剤または無機凝集剤が挙げられる。無機凝集剤としては、ポリ硫酸第二鉄等の鉄塩、または硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミ塩を例示することができ、また高分子凝集剤としては、アニオン、ノニオン、カチオン性のpHおよび粒子性状により適したものを用いればよく、ポリアクリルアミド系、ポリアクリ