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JP-2026076489-A - 創傷治癒促進組成物

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Abstract

【課題】創傷治癒を促進する治療薬を提供することを課題とする。 【解決手段】Dectin-1遺伝子欠損マウスの解析から、Dectin-1を阻害することによって、熱傷による創傷治癒が促進されることを明らかにした。Dectin-1アンタゴニストであるラミナリンやオオムギβ-グルカン30spを創部に投与したところ、顕著な創傷治癒促進効果が認められた。Dectin-1アンタゴニストである低分子β-グルカンには、創傷治癒を促進する効果があることから、これを有効成分とする創傷治癒促進剤を提供することができる。 【選択図】図7C

Inventors

  • 菅野 恵美
  • 佐藤 佑樹
  • 丹野 寛大

Assignees

  • 国立大学法人東北大学

Dates

Publication Date
20260512
Application Date
20241024

Claims (6)

  1. 低分子β-グルカンであるDectin-1アンタゴニストを有効成分とする皮膚創傷治癒促進剤。
  2. 前記低分子β-グルカンが、 ラミナリン、又はオオムギβ-グルカン30spである請求項1記載の皮膚創傷治癒促進剤。
  3. 前記創傷が皮下組織まで達した創傷である請求項1、又は2記載の皮膚創傷治癒促進剤。
  4. 前記創傷が創部、又は血液中の炎症性サイトカイン、ケモカインによって、Dectin-1アンタゴニストによる治療が有効であると認められる創傷である請求項1、又は2に記載の皮膚創傷治癒促進剤。
  5. 前記創傷が熱傷である請求項3記載の皮膚創傷治癒促進剤。
  6. 皮膚移植と併用されることを特徴とする請求項5記載の皮膚創傷治癒促進剤。

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年10月26日第53回日本創傷治癒学会 プログラム・抄録集にて公開。また、令和5年11月21日に第53回日本創傷治癒学会にて公開。(証明書▲1▼) 令和6年6月10日に第50回日本熱傷学会総会・学術集会 プログラム ・抄録集(https://www.50jsbi.jp/)にて公開。また、令和6年6月14日に第50回日本熱傷学会総会・学術集会にて公開。(証明書▲2▼) 本発明は、創傷の治癒を促進する組成物に関する。特に、皮膚の深部まで到達するような創傷、例えば、熱傷治療剤に関する。 皮膚は外界から生体を保護する臓器であり、表皮、真皮、及び皮下組織と、毛器管、汗腺、脂腺などからなる皮膚付属器から構成されている。表皮のみが損傷を受けても、一般に損傷の痕跡は残らず治癒する。しかし、皮膚の深部まで創傷が到達した場合には、肥厚性瘢痕、ケロイドといった病的な瘢痕が生じやすい。特に、治癒に時間がかかるほど、病的瘢痕形成が生じやすい。 これまでに種々の皮膚創傷治癒促進組成物が開示されている。例えば、特許文献1には、サブスタンスPを、特許文献2には、肺炎桿菌株から抽出される糖タンパク質複合体を有効成分とする皮膚創傷治癒促進剤が開示されている。本発明者らも、乳酸菌を有効成分とする皮膚創傷治癒促進組成物を開示している(特許文献3)。特許文献1~3に記載の発明は、創傷治癒を促進する成分を見出し、創傷治癒促進組成物を提供している。 さらに、本願発明者らは、真菌感染の防御に関与することが報告されているDectin-1、及びDectin-2を介したシグナルが創傷治癒に影響を及ぼすことを見出し、その作用機序の解析を行った(非特許文献1)。さらに、Dectin-2受容体が創傷治癒を遅延させるという解析結果に基づいてDectin-2阻害剤を有効成分とする皮膚創傷治癒促進組成物を提供している(特許文献4)。しかし、その後、熱傷による治癒に関して解析を行ったところ、皮膚全層をくり抜いた創傷モデルとは、Dectin-1の効果が全く異なることが明らかとなった。 特開2002-226395号公報特開平3-41031号公報特開2020-79236号公報特開2019-172621号公報 Yamaguchi, K. et al.,J. Invest. Dermatol.,2021, Vol.141, pp.164-174Chen L et al. J Invest Dermatol. 2014. PMID: 22951730Breslin JW et al. Shock. 2008. PMID: 17704733Wang Y et al. Am J Pathol. 2022. PMID: 36063901Ipaktchi K et al. Shock. 2006. PMID: 16878030Ito H et al. Exp Dermatol. 2018. PMID: 28887870XiaoMet al. Plast Reconstr Surg. 2016. PMID: 26910701 熱傷作成、壊死組織除去の実験方法を模式的に示す図。野生型(WT)群、Dectin-1ノックアウト(KO)群における創傷形成後、Day1、Day5、Day6における創部の代表的な写真を示す。創閉鎖率の算出方法を示す。肉眼により測定した創閉鎖率の経時的な変化を示す図。Day7におけるWT群、KO群の代表的な創部のマッソントリクローム染色像。WT群、KO群における上皮間隙の経時的な変化を示す図。WT群、KO群における肉芽高の経時的な変化を示す図。WT群、KO群のDay7におけるCD31免疫染色像。Day7、及びDay8におけるCD31陽性血管数(/mm3)。好中球マーカーである抗Ly6G抗体で染色し、WT群、KO群における好中球数の経時的な変化を解析した結果を示す図。αSMA陽性筋線維芽細胞集積部(破線部分)を示す顕微鏡像。WT群、KO群における創傷形成後Day0、及びDay1における壊死範囲を示す。創部の代表的な写真を示す。壊死範囲拡大率の算出方法を示す。肉眼により測定した壊死範囲拡大率を示す図。Dectin-1 KOの増殖因子産生への影響を解析した結果を示す図。Dectin-1 KOの炎症性サイトカイン産生への影響を解析した結果を示す図。熱傷に対するラミナリン投与の効果を解析する実験スケジュールを模式的に示す図。Day0からDay7までのラミナリン投与群、非投与群の創部の代表的な写真を示す。肉眼により測定した創閉鎖率の経時的な変化を示す図。ラミナリン投与群、非投与群におけるDay7の創部の病理所見(HE染色像)を示す。ラミナリン投与群、非投与群における上皮間隙長(左)と肉芽面積(右)の経時的な変化を示す図。Day7におけるラミナリン投与群、非投与群のCD31免疫染色像を示す。単位面積あたりのCD31陽性血管数を示す図。ラミナリン投与による増殖因子産生への影響を示す図。オオムギβ-グルカン30sp、ラミナリンの濃度を変えた検討結果において創部の代表的な写真を示す。各群におけるDay5の創閉鎖率を示す図。 本明細書では、熱傷の例を挙げて説明するが、皮膚創傷の対象はこれに限らず、熱傷と同様の損傷を伴うと考えられる皮膚創傷が含まれる。皮膚創傷とは、例えば、皮膚の深部まで到達した創傷や皮膚潰瘍、例えば、火傷、熱傷、熱傷性潰瘍、凍傷等の温度障害;裂創、擦過創、切創、刺創、挫創、咬創等の外傷;バージャー病、リンパ浮腫、下腿潰瘍等の血管及びリンパ管障害;採皮創、縫合創等の術後創;褥瘡、圧迫性潰瘍、糖尿病性潰瘍・脱疽、帯状疱疹後潰瘍、薬物性潰瘍、ストーマ周囲皮膚炎、放射線障害、化学的障害等をいう。これら皮膚深部に達する創傷のうち、特に、創傷後の増殖因子や炎症性サイトカインの産生が、以下に示すIII度熱傷と同様の挙動を示す創傷においてDectin-1アンタゴニストが有効に作用すると考えられる。具体的には、以下に示すように、IL-17Aが受傷早期に増加する創傷が挙げられる。 また、IL-17Aだけではなく、TNFα、IFN-γ、IL-6、IL-1β等の炎症性サイトカインや、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CXCL1、CXCL2等のケモカインは、熱傷と同様の挙動を示すものと推認される。また、サイトカインやケモカインだけではなく、採血によって確認することができるCRP、白血球数、ヘモグロビン、血小板数、アルブミン等の値や、腎機能、肝機能、血液凝固、プロカルシトニン等も、Dectin-1、Dectin-2、どちらの系が優位に機能しているかを判定する指標となる。 本発明において、「創傷治癒を促進」とは、(1)創傷拡大を遅延させる;(2)創傷の進行、増悪又は悪化を減速又は停止させる;(3)創傷の寛解をもたらす;あるいは(4)創傷を治癒させることを目的とする方法又はプロセスを意味する。 本発明の創傷治癒を促進させるための組成物は医薬組成物を含む。本発明の医薬組成物の剤型は特に限定されないが、例えば、粉末、顆粒、散剤、錠剤、シロップなどの経口剤、注射剤、点滴剤、懸濁剤、又はクリーム剤、ローション剤、軟膏剤などの外用剤などが挙げられる。本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、経口で投与してもよく、また静注、筋注、皮下投与、直腸投与、経皮投与等の非経口で投与してもよいが、外用剤としての投与が好ましい。 外用剤としては、ペースト、スプレー、エアロゾル剤、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に公知である他の形態が挙げられるが、それに限定されない。 医薬組成物には、薬学的に許容される担体を含有させることができる。「薬学的に許容される担体」とは、任意の対象組成物又はその成分を運搬又は輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、又は封入材料などの薬学的に許容される材料を意味する。好適な担体は、薬学分野の当業者に周知であり、所望の組成物が適用される特定の組織に依存する。外用剤の場合、クリーム、ローション、軟膏等を形成するための典型的な担体として、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン1,3ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。また、投与量は、投与する患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度により適宜決定することができる。1日1回又は数回に分けて投与してもよい。 本発明者らは、創傷治癒に関与する経路、特にDectin-1が関与する経路の解析から、Dectin-1アンタゴニスト、特に低分子グルカンが特定の創傷に対し、創傷治癒促進効果があることを見出し、本発明を完成させた。低分子β-グルカンとは、分子量10,000以下の水溶性のグルカンをいう。低分子グルカンのDectin-1アンタゴニストとしては、本明細書でデータを示しているラミナリン、オオムギβ-グルカン30spの他、Saccharomyces cerevisiae由来のwhole glucan particle soluble等がある。 以下にデータを示しながら、詳細に説明する。 [実施例1:Dectin-1遺伝子欠損マウスを用いた解析] Dectin-1遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス、KO)背部に熱傷を作成し、Dectin-1による治療効果の解析を行った。野生型C57BL/6マウス(WT)、及びDectin-1遺伝子欠損マウスにおける熱傷治癒速度を比較した。ブプレノルフィンを腹腔内注射し、イソフルランにより吸入麻酔を行い、全身麻酔下において、熱傷を生成した。熱傷は、小手先5mm径正円のはんだこて(白光株式会社)を90℃に設定し、除毛済みのマウス背部に10秒間接触させ、熱傷を作成した。各マウスにつき4か所ずつ熱傷を作成し、ポリウレタンフィルムで閉鎖環境においた。熱傷作成当日をDay0とし、翌日Day1に壊死組織を外科的に除去し、ポリウレタンフィルムでドレッシングした。その後、経時的な治癒所見を評価した(図1)。 図2Aに経時的な創部の変化の代表的な写真を示す。肉眼的創閉鎖率は、壊死組織除去後のDay1における創部の面積を基準として算出した(図2B)。なお、数値は全て平均値±標準偏差で示す。創閉鎖率をWT群とDectin-1 KO群とで比較すると、熱傷作成後Day5のWT群では35.96±19.52%、KO群では53.51±17.55%、Day6のWT群では29.25±17.55%、KO群では48.01±18.04%であり、Dectin-1 KO群はWT群に対し、有意に高値であった。また、Day10のWT群では67.50±16.33%、KO群では78.122±15.53%と、Dectin-1 KO群における創閉鎖率が高値であった。これらの結果は、Dectin-1遺伝子欠損による熱傷治癒促進効果を示唆している(図2A、2C)。なお、以下の図において、特に断りのない限りは、*:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001であることを示す。検定は特に断りが無い限り、Welch’s testを用いている。 マッソントリクローム染色により、病理組織学的観察を行った。図3AはDay7における各群の代表的な検体をマッソントリクローム染色により染色した顕微鏡像を示す。マッソントリクローム染色は、膠原繊維を染め分けることができる染色方法である。▼は上皮端を、矢印は、肉芽高を示す。上皮化の評価のための上皮間隙長測定、肉芽形成の評価のため肉芽高を測定した。 上皮間隙は各創部の上皮の両端の距離(▼から▼までの距離)を画像解析ソフトImage Jにて解析した。その結果、Day6における上皮間隙長はWT群で4