JP-2026076510-A - 新規のセンキュウの抽出方法及びその抽出物を含有する外用剤及び内用剤
Abstract
【課題】安全で安定性に優れ、ヒアルロン酸産生促進作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、細胞増殖促進作用及びメラニン生成抑制作用に優れた素材を提供する。 【解決手段】センキュウを液体の水からなる前処理剤で抽出することによりセンキュウの抽出残渣を得る第1工程と、その抽出残渣に対して更に水、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤を用いて抽出することによりセンキュウの抽出物を得る第2工程とを含有し、第2工程の抽出温度が第1工程の抽出温度よりも20℃以上高い温度で抽出することを特徴とするセンキュウの抽出方法が提供され、さらに前記方法により得られたセンキュウの抽出物を含有するヒアルロン酸産生促進剤、コラーゲン産生促進剤、MMP阻害剤、シワ改善剤、細胞増殖促進剤、メラニン生成抑制剤、美白剤、食品組成物等が提供される。 【選択図】なし
Inventors
- 岡田 大輝
- 山羽 宏行
- 深田 紘介
Assignees
- 日本メナード化粧品株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (10)
- センキュウを液体の水からなる前処理剤で抽出することによりセンキュウの抽出残渣を得る第1工程と、その抽出残渣に対して更に水、低級アルコール及び液状多価アルコールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の抽出剤を用いて抽出することによりセンキュウの抽出物を得る第2工程とを含有し、第2工程の抽出温度が第1工程の抽出温度よりも20℃以上高い温度で抽出することを特徴とするセンキュウの抽出方法。
- 第1工程の抽出温度が0~20℃であり、更に、第2工程の抽出剤が水であり、且つ、第2工程の抽出温度が第1工程の抽出温度よりも70℃以上高いことを特徴とする請求項1に記載のセンキュウの抽出方法。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とするMMP阻害剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とするシワ改善剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とする細胞増殖促進剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とする美白剤。
- 請求項1又は2に記載のセンキュウの抽出方法により得られたセンキュウの抽出物を含有することを特徴とする、皮膚の創傷治癒、ガン疾患、潰瘍形成、動脈硬化、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、歯周炎の予防改善用食品組成物。
Description
本発明は、新規のセンキュウの抽出方法及びその抽出物を含有する外用剤及び内用剤に関する。 線維芽細胞はコラーゲン等のタンパク質及びヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンを産生して真皮結合組織を形成し、皮膚のハリを保っている。この結合組織が収縮力を失い、更に弾性力を失う結果として、皮膚のシワやたるみが発生すると考えられている。 特にヒアルロン酸は結合組織に広く分布する高分子多糖体として知られており、真皮中でゲル状の形態を呈し、肌の弾力を維持している。従って、ヒアルロン酸の変質や減少が皮膚老化において重要であると考えられている。また、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを含有した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこで、これまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進させることができる皮膚外用剤が模索されてきた(特許文献1)。 また、ヒアルロン酸は関節にも存在しており、関節の荷重の衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりする機能を果たしていることが知られている。正常なヒトの関節液中のヒアルロン酸濃度は約2.3mg/mLであるが、慢性関節リウマチの場合、関節液中のヒアルロン酸濃度は約1.2mg/mLと低下し、同時に関節液の粘度も著しく低下する(非特許文献1)。また、化膿性関節炎や痛風性関節炎等でも、慢性関節リウマチの場合と同様、ヒアルロン酸含量の低下が起こることが知られている(非特許文献2)。上記疾患において、潤滑機能の改善、関節軟骨の被覆・保護、疼痛抑制及び病的関節液の改善のために、関節液中のヒアルロン酸量を増加させることが考えられる。例えば、慢性関節リウマチの患者にヒアルロン酸ナトリウムの関節注入法を行うと、上記の症状の改善が認められることが知られている(非特許文献3)。しかしながら、上記疾患の治療は長期に渡る。従って、日常生活の中で手軽に予防や治療等ができるように、ヒアルロン酸産生促進剤を含有させた皮膚外用剤や食品、医薬品が望まれている。 飛蚊症とは、視界内に糸くずや蚊のように見える薄い影が現れる症状で、目の内部を満たす硝子体内の混濁が網膜上に影を落とすことで発生する。飛蚊症は大きく2種類に分けることができ、加齢や紫外線、活性酸素等の影響で発症する生理的飛蚊症と、網膜剥離、網膜裂孔、硝子体出血、ぶどう膜炎等の疾患の一症状として現れる病的飛蚊症がある。生理的飛蚊症は、硝子体の主要成分であるヒアルロン酸の減少による液状化と、それに伴うコラーゲン線維の分解で硝子体内が混濁することで生じる。治療法として、硝子体切除手術やレーザー治療があるが、これらの施術は安全性の観点から日本ではあまり行われていないという実情があり、海外で治療を行うには多額の費用が必要となる。そのため、生理的飛蚊症を予防・改善するためには日常的に利用可能なヒアルロン酸産生促進剤を含有させた食品や医薬品が望まれている。 真皮には線維芽細胞やコラーゲンが存在し、I型コラーゲンが全体の80%を占める。I型コラーゲンの他には、III、V、XII及びXIV型コラーゲン等の存在が知られている。シワやたるみの原因の一つとして、I型コラーゲンの減少が挙げられる。従って、I型コラーゲンの産生を促進させることがシワ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。また、I型コラーゲンの産生促進は皮膚の創傷治癒の改善にも有効である。 また、皮膚は紫外線の他、乾燥、寒冷、熱、薬物等の様々な物理的及び化学的ストレスに日々曝されている。その結果、皮膚の機能低下が引き起こされ、様々な皮膚の老化現象が顕在化する。皮膚の老化現象の一つにシワがある。シワには、表皮性のシワと、真皮性のシワの二種類が存在することが知られている。表皮性のシワは小ジワと呼ばれ、皮膚の乾燥により、表皮角質中の水分量が低下することによって一時的に生じるシワである。一方、真皮性のシワは、太陽光線に含まれる紫外線や加齢によって形成されるシワである。その形成メカニズムとしては、紫外線や加齢による真皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成能の低下や、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の増加によるコラーゲンの分解促進が挙げられる。 乾燥に起因する表皮性のシワと真皮性のシワでは、組織学的形態、発症メカニズム、治療方法が異なり、紫外線や加齢により生じる真皮性のシワは、保湿効果を有する化粧品の使用によって改善することは困難である。 これまでに、紫外線によって生じる真皮性のシワを改善することを目的として、加水分解アーモンドを有効成分とする皮膚のシワ形成防止・改善剤(特許文献2)、ジョチョウケイ、テンキシ及びキセンソウの抽出物を有効成分とする紫外線照射に起因するシワの改善剤(特許文献3)が報告されている。 MMPはガン細胞の間質内浸潤、血管内への侵入及び血管新生に大きな役割を担っている。間質はI型コラーゲンを主体としており、ガン細胞の移動には間質コラゲナーゼ等による基質の破壊が必要となる。転移完成には血管内皮基底膜を破壊し間質内を移動することが必要で、この段階においてもMMPが関与している(非特許文献4)。従って、MMPに対して阻害活性を有する物質は、ガン組織における血管新生やガンの転移を抑制する効果が期待され、ガン疾患の予防、治療に有用であると考えられる。その他にもMMPの阻害は潰瘍形成、動脈硬化、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、治療及び改善に有用である。 MMPに属するコラゲナーゼ(MMP-1)は、線維芽細胞や軟骨細胞等が産生する酵素であり、コラーゲンの分解促進に大きく関与している。コラーゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、軟骨、骨、腱、歯茎、及び皮膚等の、多くのマトリックス組織の必須な成分である。コラゲナーゼにより一箇所を切断されると、通常の組織内では安定なコラーゲン分子は、変性して一本鎖のゼラチンとなり、他の様々なプロテアーゼにより分解されるようになる。その結果、マトリックス組織の構造の完全性が失われ、シワ、ガン疾患、潰瘍形成、骨粗鬆症、歯周炎等の原因となる。 コラゲナーゼの阻害活性を有する素材として、例えば、カカオ豆皮であるカカオハスク抽出物(特許文献4)、バラ科オニイチゴ抽出物(特許文献5)、ラクトフェリン(特許文献6)等が提案されている。皮膚老化や口腔衛生にますます関心が高まっている状況下で、副作用がなく、安全性が高い、コラゲナーゼ活性阻害作用の優れた素材を見出すことが求められている。 MMPに属するゼラチナーゼ(MMP-2)は、線維芽細胞や内皮細胞、ガン細胞等が産生する酵素であり、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン(動脈、腱、皮膚等の弾性組織の特殊成分をなす構造タンパク質)等の基質を分解する。従って、ゼラチナーゼによりエラスチンが分解されると、ガン疾患、動脈硬化、慢性関節リウマチ等の疾患や靭帯断裂等の怪我のリスクが高まる。 一般に、加齢と共に表皮角化細胞の増殖・分裂能は低下し、表皮層自体は薄くなる(非特許文献5)。生体因子であるEpidermal Growth Factor(EGF/上皮細胞成長因子)や女性ホルモン(エストロゲン)は皮膚の表皮角化細胞増殖に働きかけるが、加齢と共にその分泌は低下する。このような加齢による表皮角化細胞代謝機能の低下は皮膚のターンオーバー速度を遅らせ、肌荒れや皮膚の老化の原因となる。また、角層表面から剥がれ落ちる角層細胞が滞留することで、表皮内のメラニンの排泄がスムーズに行われなくなり、色素沈着や肌のくすみの原因となる。更に表皮の創傷治癒が遅くなること等も知られている。これらの現象の進行を防止あるいは改善するために、表皮角化細胞の増殖を促進させる成分の探索や、皮膚外用剤の提案が多くなされてきた。 一般に、シミ、ソバカス、日焼け等に見られる皮膚の色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激により、皮膚内に存在するメラニン色素生成細胞がメラニン色素を過剰に生成し、これが皮膚内に沈着することが原因と考えられている。このような色素沈着を防ぐ方法の一つに、メラニンの過剰な生成を抑制する方法が知られている。従来、色素沈着の治療には、内用や外用において、アスコルビン酸(ビタミンC)等が美白剤として用いられてきた(特許文献7)。 センキュウ( 学名:Cnidium officinale) はセリ科ハマゼリ属に属する多年草であり、生薬の「川きゅう(せんきゅう)」 は、センキュウの根茎を乾燥させたもので、フタリド誘導体を主体とする精油を含み、補血、鎮静、鎮痛作用等を有する漢方薬に用いられている。 特開2007-1924号公報特開2000-119125号公報特開2006-199611号公報特開平3-44331号公報特開2003-137801号公報特開平5-186368号公報特開平5-229931号公報 “Arthritis Rheumatism”, Vol.10,pp 357,1967「結合組成」、金原出版、481頁、1984年「炎症」、日本炎症学会、11巻、16頁、1991年「消化器癌におけるマトリックスメタロプロテアーゼ」、日本消化器病学会、100巻、152頁、2003年Varani J et al., J Invest Dermatol, Vol.3,pp 57-60,1998 本発明に用いるセンキュウ(学名:Cnidium officinale)はセリ科ハマゼリ属に属する中国原産の多年草であり、日本でも栽培が盛んに行われている。また本発明に用いるセンキュウは、その花、果実、種子、葉、茎、根等の植物体の一部又は植物体全体(全草)、あるいはそれらの混合物を用いることができるが、特に根茎が好ましい。また、植物体をそのまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。なお、Cnidium officinaleを基原植物として市販された生薬「川きゅう(せんきゅう)」を用いることもできる。 [第1工程:前処理剤での抽出] 前処理剤としては、液体の水を用いる。また、上記前処理剤に酸やアルカリを添加して、pH調整した前処理剤を使用することもできる。前処理剤の使用量については、特に限定はなく、例えばセンキュウ(乾燥重量)に対し、3~100倍が良く、好ましくは10~50倍が良く、特に好ましくは15~30倍が良い。前処理剤での抽出に用いるセンキュウはそのまま用いても良いが、前処理の効率の面で粉砕、細切等の処理を行うことが好ましい。粉砕や細切を行う場合には、目開き11.2mmのメッシュサイズのふるい(2メッシュ)を通過するものが好ましく、目開き7.47mmのメッシュサイズのふるい(3メッシュ)を通過するものがより好ましく、目開き5.55mmのメッシュサイズのふるい(4メッシュ)を通過するものが最も好ましい。抽出後、ろ紙やメッシュ、ふるいなどを用いて濾過を行うことができる。ここで回収した抽出残渣を、次の第2工程に用いる。 [第2工程:抽出剤での抽出] 抽出剤としては、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)及び液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)からなる群より選ばれる1種又は2種以上を用いる。好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良く、特に好ましくは、水、水-エタノールの混合極性溶媒及び水-1,3-ブチレングリコールの混合極性溶媒が良いが、抽出物の収量や有効性等の目的に応じて選択が可能である。また、上記抽出剤に酸やアルカリを添加して、pH調整した抽出剤を使用することもできる。抽出剤の使用量については、特に限定はなく、例えばセンキュウ(乾燥重量)に対し、5倍以上、好ましくは10倍以上で