JP-2026076539-A - ガラス繊維用サイジング剤、ガラスストランド及びガラス繊維強化樹脂
Abstract
【課題】ガラス繊維の機械的強度を向上させることが可能なガラス繊維用サイジング剤、優れた機械的特性、樹脂との接着性を両立させたガラスストランド及び機械的強度に優れたガラス繊維強化樹脂を提供すること。 【解決手段】2種類以上のシランカップリング剤と、飽和ポリエステル樹脂と、を含むガラス繊維の表面被膜形成用のサイジング剤であって、前記サイジング剤の全固形成分量に対して、前記飽和ポリエステル樹脂を40~80質量%含有することを特徴とするサイジング剤。 【選択図】なし
Inventors
- 保田 皓是
Assignees
- 日本電気硝子株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (8)
- 2種類以上のシランカップリング剤と、飽和ポリエステル樹脂と、を含むガラス繊維の表面被膜形成用のサイジング剤であって、 前記サイジング剤の全固形成分量に対して、前記飽和ポリエステル樹脂を40~80質量%含有することを特徴とするサイジング剤。
- 前記サイジング剤の全固形成分量に対して、メタクリルシランを1~10質量%、エポキシシランを1~10質量%含有する、請求項1に記載のサイジング剤。
- ビスフェノールA(EO)付加物、パラフィンワックス、界面活性剤から選択される少なくとも一種を更に含有する、請求項1又は2に記載のサイジング剤。
- ガラス組成として、質量%でZrO 2 を10%以上含有するガラス繊維の集合体であるガラスストランドであって、 前記ガラス繊維の表面に請求項1又は2に記載のサイジング剤の乾燥被膜を有することを特徴とするガラスストランド。
- 前記ガラス繊維の直径が13μm以上、30μm以下である、請求項4に記載のガラスストランド。
- ストランド番手が300tex以上、4800tex以下である、請求項4に記載のガラスストランド。
- 強熱減量が0.4質量%以上、2.0質量%以下である、請求項4に記載のガラスストランド。
- 請求項4に記載のガラスストランドと、 不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレンブタジエン樹脂から選択される少なくとも一種を含む樹脂と、を含有するガラス繊維強化樹脂。
Description
本発明はガラス繊維用サイジング剤、ガラスストランド及びガラス繊維強化樹脂に関する。 Eガラス製のガラス繊維よりなる合糸ロービングやガラスシングルエンドロービングを用いたロービングクロスは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を繊維により補強した繊維強化複合樹脂(以下、FRPということがある)の製造に使用する補強材料として知られている。このようなガラス製ロービングクロスは、ガラス繊維を偏在させることなくFRPの樹脂中に導き、成形体強度を向上させることが可能となる材料であるため、特に高い強度が必要とされるFRP製品に広く使用されている。 また、耐アルカリガラス繊維よりなるロービングクロスは、セメント系構造材料の補強やクラックの抑制を目的として、セメント系構造部材中に埋設して使用される。このようなロービングクロスを製織する場合、ガラスロービングはテンションを加えられた状態、すなわち引張応力がロービング伸長方向に作用した状態で複数のガイドを通過して織機に供給される。この際、加わるテンションが大きい程、ガラスロービングの糸切れから発生する毛羽の量が多くなり、ロービングクロスの品質低下を招く。さらに、毛羽発生量の多いガラスロービングよりなるロービングクロスは、多くのガラス繊維が切断されているため、引張強度が低下し、このようなロービングクロスを使用したFRP製品やセメント系製品についても、機械的強度が低下してしまう。 このような課題を解決するために、例えば、特許文献1では、ガラス繊維表面に飽和ポリエステル樹脂を含有した樹脂被覆材を有することで、ガラス繊維表面に平滑性を付与させ、各工程で生じる摩擦力を低減させることができる発明が開示されている。 特開2006-335627号公報 本実施形態に係るガラス繊維の表面被膜形成用のサイジング剤は、2種類以上のシランカップリング剤と、飽和ポリエステル樹脂と、を含む。サイジング剤の含有成分を上記のようにした理由を以下に示す。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。 シランカップリング剤は、ガラス繊維の強度や樹脂との接着性を向上させる成分である。シランカップリング剤としては、例えば、メタクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、スチリルシラン、メルカプトシラン、アクリルシラン、イソシアヌレートシラン等が挙げられ、これらを2種類以上組み合わせて使用する。これらのシランカップリング剤の中でも、樹脂との接着性を向上させるメタクリルシランやガラス繊維の機械的特性を向上させるエポキシシランを含むことが好ましい。 メタクリルシランは、官能基としてメタクリル基を有するシランカップリング剤であり、ガラス繊維と樹脂との接着性を向上させる成分である。メタクリルシランの含有量が少なすぎると、ガラス繊維と樹脂との接着性を向上させる効果が得難くなる。したがって、サイジング剤の全固形成分量に対するメタクリルシランの含有量の下限は、1%以上、2%以上、特に3%以上が好ましい。一方、メタクリルシランの含有量が多すぎると、ガラス繊維の強度が低下する、あるいはメタクリルシランの含有量を多くすることによるガラス繊維強化樹脂の強度上昇が小さく経済的でない。したがって、メタクリルシランの含有量の上限は、10%以下、9%以下、特に8%以下が好ましい。 エポキシシランは、官能基としてエポキシ基を有するシランカップリング剤であり、ガラス繊維の機械的特性を向上させる成分である。エポキシシランの含有量が少なすぎると、ガラス繊維の機械的特性を向上させる効果が得難くなる。したがって、サイジング剤の全固形成分量に対するエポキシシランの含有量の下限は、1%以上、2%以上、特に3%以上が好ましい。一方、エポキシシランの含有量が多すぎると、ガラス繊維強化樹脂の強度が低下する。したがって、メタクリルシランの含有量の上限は、10%以下、9%以下、特に8%以下が好ましい。 飽和ポリエステル樹脂は、ガラス繊維の強度や樹脂との接着性を向上させる成分である。飽和ポリエステル樹脂の含有量が少なすぎると、ガラス繊維の強度や樹脂との接着性を向上させる効果が得難くなる。したがって、サイジング剤の全固形成分量に対する飽和ポリエステル樹脂の含有量の下限は、40%以上、45%以上、特に50%以上が好ましい。一方、飽和ポリエステル樹脂の含有量が多すぎると、被膜強度が高くなり、ガラス繊維間に樹脂がしみこみにくくなって、ガラス繊維強化樹脂の強度が低下する。したがって、飽和ポリエステル樹脂の含有量の上限は、80%以下、78%以下、特に75%以下が好ましい。 本実施形態のサイジング剤は、上記成分に加え、ビスフェノールA(EO)付加物、パラフィンワックス、界面活性剤から選択される少なくとも一種を更に含有させてもよい。 ビスフェノールA(EO)付加物は、被膜を柔らかくする成分である。サイジング剤の全固形成分量に対するビスフェノールA(EO)付加物の含有量の下限は特に限定されないが、上記効果を得る目的で例えば、0.1%以上、1%以上、5%以上、10%以上を含有させてもよい。一方、ビスフェノールA(EO)付加物の含有量が多すぎると、ガラス繊維の強度が低下する。したがって、ビスフェノールA(EO)付加物の含有量の上限は、35%以下、32%以下、特に30%以下が好ましい。なお、ビスフェノールA(EO)付加物とは、ビスフェノールAに、エチレンオキシドを付加することにより得られた化合物である。 パラフィンワックスは、ストランドに滑性を与える成分である。サイジング剤の全固形成分量に対するパラフィンワックスの含有量の下限は特に限定されないが、上記効果を得る目的で例えば、0.1%以上、1%以上、3%以上、5%以上を含有させてもよい。一方、パラフィンワックスの含有量が多すぎると、ガラス繊維強化樹脂の強度が下がる。したがって、パラフィンワックスの含有量の上限は、10%以下、9%以下、特に8%以下が好ましい。 界面活性剤は、ガラス繊維成形時の潤滑成分である。サイジング剤の全固形成分量に対する界面活性剤の含有量の下限は特に限定されないが、上記効果を得る目的で例えば、0.1%以上、0.5%以上、1%以上を含有させてもよい。一方、界面活性剤の含有量が多すぎても、それに応じた効果が得られにくいため、経済的でない。したがって、界面活性剤の含有量の上限は、7%以下、5%以下、特に3%以下が好ましい。 界面活性剤としては特に限定されないが、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いることができ、特に潤滑性能の大きさからカチオン界面活性剤を用いることが好ましい。 カチオン界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、アミン塩型カチオン界面活性剤が挙げられ、アミン塩型カチオン界面活性剤を用いることが好ましい。 本実施形態のサイジング剤は、上記成分以外にも、求められる特性に応じて、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、防腐剤、帯電防止剤、水等を含有してもよい。 また、本実施形態のサイジング剤は、固形成分の濃度が2~50質量%の水溶液又は水分散液として調製され、ガラス繊維に塗布される。固形成分の濃度が上記下限値未満の場合、ガラスストランドの集束性が不十分となる恐れがある。一方、固形成分の濃度が上記上限値を超える場合、サイジング剤の成分がガラス繊維の表面に均一に付着しない恐れがある。 以下、本実施形態のガラスストランド及びガラス繊維強化樹脂について説明する。 本実施形態のガラスストランドは、ガラス組成として、質量%でZrO2を10%以上含有するガラス繊維の集合体であって、上記ガラス繊維の表面に上述したサイジング剤の乾燥被膜を有する。 質量%でZrO2を10%以上含有するガラス繊維としては、例えば、ZrO2 10~30%、SiO2 50~70%、CaO 0~10%、Na2O 10~30%、TiO2 0~10%の組成を有するガラス繊維が挙げられる。 ZrO2は、ガラスの耐アルカリ性、耐酸性及び耐水性を向上させる成分である。ZrO2の含有量が少なすぎると、耐アルカリ性が低下し、ガラスに求められる耐アルカリ性を実現できない。したがって、ZrO2の含有量の下限は、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、特に16%以上が好ましい。一方、ZrO2の含有量が多すぎると、ガラスの液相温度が高くなり、紡糸温度と液相温度との温度差が小さくなるため、生産性が低下する。したがって、ZrO2の含有量の上限は、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、19%以下、18%以下、特に17.9%以下が好ましい。 SiO2は、ガラス骨格を形成する主要成分である。また、ガラスの機械的強度や耐酸性を向上させる成分である。SiO2の含有量が少なすぎると、ガラスの機械的強度が低下し弾性率が低くなり、十分な強度を得難くなる。加えて、ガラスの耐酸性が低下する。したがって、SiO2の含有量の下限は、50%以上、55%以上、56%以上、57%以上、58%以上、59%以上、特に59.5%以上が好ましい。一方、SiO2の含有量が多すぎると、溶融ガラスの粘度が高くなりすぎて均質な溶融状態にし難くなり、その結果、ガラス繊維径の調整が困難になる可能性がある。したがって、SiO2の含有量の上限は、70%以下、65%以下、64%以下、63%以下、特に62.7%以下が好ましい。 CaOは、ガラス繊維成形時の紡糸温度を低下させ、耐アルカリ性を向上させる成分である。CaOの含有量が多すぎると、Caイオンの電場強度が大きいことに起因する、Caを固溶したジルコン(ZrSiO4)が初相として析出し易くなる。その結果、ガラスの液相温度が高くなり、紡糸温度と液相温度との温度差が小さくなることで、生産性が低下する。したがって、CaOの含有量の上限は、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6.5%以下、特に6.5%未満が好ましい。なお、CaOの含有量の下限は特に限定されないが、上記効果を得るため、例えば、0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上であってもよい。 Na2Oは、ガラスの粘度を低下させることによって、ガラスの溶融性や成形性を高める成分である。Na2Oの含有量が少なすぎると、ガラスの粘度が高くなり、ガラスの溶融に必要なエネルギーが増大する。したがって、Na2Oの含有量の下限は、10%以上、11%以上、12%以上、13%以上、特に13.5%以上が好ましい。一方、Na2Oの含有量が多すぎると、ジルコン(ZrSiO4)にCaO、Na2O、K2Oなどが固溶した初相が析出し易くなる。その結果、ガラスの液相温度が高くなり、紡糸温度と液相温度との温度差が小さくなることで、生産性が低下する。したがって、Na2Oの含有量の上限は、30%以下、25%以下、20%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14.5%以下、特に14.2%以下が好ましい。 TiO2は、ガラスの耐水性を向上させると共に、ガラスの溶融温度やガラスの粘性、紡糸温度Txを低くできるため、良好な生産性を維持することができる。一方で、TiO2の含有量が多すぎると、耐アルカリ性が低下する傾向にあり、更に溶融ガラス中にTiO2系の失透結晶が生じ易くなり、ガラス繊維成形時にブッシングのノズル詰まりの原因となる場合がある。したがって、TiO2の含有量の上限は、10%以下、7.5%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、特に1%未満が好ましい。なお、TiO2の含有量の下限は特に限定されないが、上記効果を得るため、例えば、0.001%以上、0.005%以上、0.01%以上であってもよい。 また、