JP-2026076543-A - 木造住宅の耐震補強工法
Abstract
【課題】高強度かつ低施工コストで設置できる木造住宅の耐震補強工法を提供する。 【解決手段】本工法は、既存の木造住宅の耐震補強工法であって、解体範囲決定工程と、施工工程とを有する。解体範囲決定工程では、木造住宅の壁内の埋設物の位置を調査し、耐力壁を設置する範囲の壁102およびその壁際から所定幅L(Lは例えば300mm程度)の天井103を解体範囲Kとして決定する。施工工程では、解体範囲決定工程で決定された解体範囲Kに基づいて壁102および天井103を解体し、床101を解体せずに、上下に分割された構造用合板21を胴つなぎ20を介して真壁で貼る。 【選択図】図4
Inventors
- 川向 俊二
- 足立 亮二
Assignees
- 株式会社穂高住販
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (5)
- 既存の木造住宅の耐震補強工法であって、 前記木造住宅の壁内の埋設物の位置を調査し、耐力壁を設置する範囲の壁およびその壁際から所定幅の天井を解体範囲として決定する解体範囲決定工程と、 前記解体範囲決定工程で決定された解体範囲に基づいて前記壁および前記天井を解体し、床を解体せずに、上下に分割された構造用合板を胴つなぎを介して真壁で貼る施工工程と を有することを特徴とする木造住宅の耐震補強工法。
- 前記施工工程では、事前に構造用合板に受材が釘止めされた床下設置部材を解体箇所から床下に挿し込んで、その床下の下部横架材に前記床下設置部材の受材の部分を上から釘止めする請求項1に記載の木造住宅の耐震補強工法。
- 前記床下設置部材を前記床下に設置したとき、前記床下設置部材の上端部の高さ位置は床よりも高い請求項2に記載の木造住宅の耐震補強工法。
- 前記施工工程では、事前にフレーム化された受材を前記天井の解体箇所から挿し込んで、その受材を上部横架材に設置し、その受材に構造用合板を釘止めする請求項1に記載の木造住宅の耐震補強工法。
- 前記解体範囲決定工程では、電磁波を使った探知機、または赤外線を使ったサーモカメラを用いて前記埋設物の位置を調査し、筋かいを含む範囲を前記解体範囲として決定する請求項1に記載の木造住宅の耐震補強工法。
Description
本発明は、木造住宅の耐震補強工法に関し、特に、既存の木造住宅における現況調査と壁補強構造に関する。 従来、木造住宅の耐震補強が社会的な問題となっている。1978年に発生した宮城県沖地震において多くの建築物が被害を受けた。これを受けて建築基準法が1981年(昭和56年)大きく改定されて、建物に要求される耐震性能が増強された。このことから建築基準法が改定された1981年以前の耐震性能を旧耐震、1981年以降を新耐震と呼ぶようになった。1995年に発生した阪神大震災では多くの旧耐震の木造住宅が倒壊し、住まわれていた方々に多くの死傷者が出てしまった。2016年に発生した熊本では旧耐震に限らず築年が古い新耐震の木造住宅でも倒壊した事例もあった。このことを受けて、政府は阪神大震災以降、耐震改修促進法を制定し、旧耐震の木造住宅の耐震補強を促進するに至っている。 特開2007-303070号公報特開2013-185380号公報 本工法で用いる調査機器の説明図である。本工法で用いる別の調査機器の説明図である。受材真壁仕様の説明図である。本工法における一箇所あたりの解体範囲を示す模式図である。本工法で用いる床下設置部材の構成図である。本工法で用いる別の床下設置部材の構成図である。本工法における第1の施工工程を示す模式図である。本工法における第2の施工工程を示す模式図である。本工法における第3の施工工程を示す模式図である。本工法における第4の施工工程を示す模式図である。本工法における第5の施工工程を示す模式図である。本工法における第6の施工工程を示す模式図である。本工法における第7の施工工程を示す模式図である。本工法において事前に工場で製作しておく部材の説明図である。本工法において新築用として工場製作する部材の説明図である。図15の部材を用いて新築を施工する手順を示す説明図である。本工法において古民家耐震補強用として工場製作する部材の説明図である。図17の部材を用いて古民家を施工する手順を示す説明図である。 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の厚みや寸法などは現実のものと異なる場合がある。具体的な厚みや寸法などは、以下の説明を参酌して判断すべきであるが、以下の説明中の厚みや寸法などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。 [概要] 通常、既存の木造住宅において筋かいや構造用合板で壁を補強するとき、床・壁・天井の解体が必要である。本発明の実施の形態における木造住宅の耐震補強工法(以下、本工法)によれば、壁下地石膏ボードと天井壁際で作業者の顔と手が入る範囲、例えば300mm程度の天井下地石膏ボードのみを撤去し、床を解体せずに、筋かいシングル壁倍率2.0より高強度の耐力壁を低施工コストで設置できる。 [木造住宅の耐震補強工法] 本工法では、リフォームの依頼者が図面を持っている場合、図面と現場施工に齟齬がないかを最新の調査確認と劣化度調査を行い、その結果から耐震診断を行い、評点が所定値未満であれば補強計画の提案を行う。一方、リフォームの依頼者が図面を持っていない場合、最新の調査機器により筋かい位置、基礎の鉄筋の有無、基礎のコンクリート強度の測定を行うなどして耐震診断を行い、評点が所定値未満であれば補強計画の提案を行う。 図1は、本工法で用いる調査機器201の説明図である。例えば、図1(A)に示すように、電磁波を使った探知機201で壁表面を走査してもよい。この種の探知機201は、一般にコンクリート探知機と呼ばれる。すなわち、アンテナからコンクリート表面に電磁波を放射し、その電磁波が鉄筋や空洞などの電気的性質の異なる物質で反射されて戻ってくるまでの時間を測定することで対象物の位置や深さを特定する。これにより、図1(B)に示すように、壁内に柱や筋かいなどの埋設物Mがある場合は、その埋設物Mを探知機201の画面202に表示することができる。 図2は、本工法で用いる別の調査機器203の説明図である。例えば、図2(A)に示すように、赤外線を使ったサーモカメラ203を用いてもよい。サーモカメラ203は、物質が放つ赤外線をセンサーで感知して温度を測定する。これにより、図2(B)に示すように、壁内に柱204aや筋かい204bなどの埋設物Mがある場合は、その温度を可視化してサーモカメラ203の画面204に表示することができる。 これら調査機器201,203で得られた情報に基づいて工事費見積段階で建物の一部も解体せずに柱や筋かいなどの埋設物Mの位置を把握して、現状の建物の耐震性能を評価し、耐力壁増設の必要性と、どこに耐力壁を設置するか検討を行う。その検討の結果、耐力壁の増設を行うとき、解体範囲を必要最小限とする施工方法を発明した。以下、必要最小限の解体範囲を決定する工程を「解体範囲決定工程」と呼び、その解体範囲を施工する工程を「施工工程」と呼ぶ。また、施工工程において増設する耐力壁は、強度が低い筋かいではなく、平成30年国土交通省告示第490号で新たに規定された、もしくは今後規定される高強度の構造用合板とする。この構造用合板は、「受材真壁仕様」と呼ばれるタイプであり、その強度は、筋かい45×90シングルの1.65倍の壁倍率3.3倍で、壁の両面に貼ると6.6倍となり、先に述べた一つの壁の最大壁倍率7.0に近い数値となる。施工する耐力壁の強度が高いと補強箇所が減り、施工コスト減を実現することができる。 図3は、受材真壁仕様の説明図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は模式的な正面図である。説明の都合上、図3(A)では構造用合板21の一部を切り欠いた状態を示し、図3(B)では構造用合板21が無い状態を示している。また、以下の説明では、構造用合板21を単に「合板」という場合がある。図3に示すように、受材真壁仕様の構造用合板21の貼り方は、両側柱8aと、上下横架材9,13の内側に構造用合板21を止付ける受材14を釘止めにて設置して、構造用合板21を真壁(柱面と合板表面が同一になる)で貼る仕様となり、従来の貼り方では床・壁・天井の解体が必要であった。構造用合板21は、上下横架材9,13間の全面に1枚ものを貼る必要はなく、胴つなぎ20という受材14と同サイズの部材を介して、上下分割して貼ることも許容されている。 図4は、本工法における一箇所あたりの解体範囲Kを示す模式図であり、既存の木造住宅内の壁102を正面から見た様子を示している。図4の既存管柱8aと既存入隅管柱8aは図3の両側柱8aに相当し、図4の既存間柱8bは図3の間柱8bに相当するため、これらと同じ符号を用いて説明する。 図4に示すように、調査機器201,203を用いて調査した結果、既存管柱8aと既存入隅管柱8aとの間に筋かい(図示せず)が設置されていることが分かり、この筋かいを含む範囲を解体範囲Kとして決定したと仮定する。このような場合、耐力壁設置範囲の壁石膏ボード10を撤去するとともに、その耐力壁設置範囲の壁際から所定幅L(Lは例えば300mm程度)、天井石膏ボード11を撤去し、この壁102に構造用合板21の耐力壁を設置する。天井103の大部分は解体せずに残し、床101は全く解体せずに残す。このように必要最小限の解体範囲Kとしても、本工法によれば、以下に説明するように構造用合板21の耐力壁を設置することができるため、解体手間や解体範囲Kの仕上材までの復旧手間を最小限に抑えることが可能である。 すなわち、本工法では、解体範囲Kの壁102と天井103に対し、事前に工場で加工し、フレーム化した受材14を挿し込んで両側柱8aや上下横架材9,13に釘止めしていく。このとき、床下の下部横架材(土台)13側については、床101を解体しないため、受材14を先に土台13に設置してしまうと構造用合板21を受材14に釘止めできない。そこで、受材14に構造用合板21を釘止めした床下設置部材60を事前に製作しておき、床下設置部材60を床下に挿し込んで、その床下設置部材60の受材14の部分を上から土台13に釘止めする。上部横架材9側については、一部解体した天井103から頭と手を入れられるので、先に受材14を設置しても受材14に構造用合板21を釘止めすることが可能である。 以上のように、本工法は、既存の木造住宅の耐震補強工法であって、解体範囲決定工程と、施工工程とを有する。解体範囲決定工程では、調査機器201,203を用いて筋かい等の位置を調査し、必要最小限の解体範囲Kを決定する。施工工程では、解体範囲決定工程で決定された解体範囲Kに基づいて、壁石膏ボード10と天井壁際300mm程度の天井石膏ボード11のみを撤去し、床101を解体せずに、筋かいシングル壁倍率2.0より高強度の耐力壁を低施工コストで設置する。 [床下設置部材] 図5は、本工法で用いる床下設置部材60の構成図であり、図5(A)は上面図、図5(B)は正面図、図5(C)は側面図である。図5に示すように、床下設置部材60は、土台13上に設置する受材(真壁合板受け材)14に構造用合板21を釘止めした部材である。部材の寸法はあくまで例示であるが、構造用合板21の厚さ(合板厚)は例えば9mmである。図5(B)の正面図で説明すると、受材14の寸法は例えば厚み30mm×奥行90mmであり、構造用合板21の高さは例えば390mm程度である。この構造用合板21の背後には一対の受材14が釘止めされている。この一対の受材14の間には隙間Gが設けられ、床下設置部材60を床下に設置したとき、この隙間Gに既存間柱8bが篏合するようになっている。 図6は、本工法で用いる別の床下設置部材60Tの構成図であり、図6(A)は上面図、図6(B)は正面図、図6(C)は側面図である。この床下設置部材60Tは、既存が根太工法で土台13上に直交根太15がある場合に使用する。図6(B)の正面図で説明すると、床下設置部材60Tの底部には、奥方向に延びる2つの窪み部Hが設けられている。床下設置部材60Tを床下に設置したとき、この窪み部Hに直交根太15が篏合するようになっている。図6(B)の正面から見た場合、窪み部Hの大きさは例えば縦61mm程度、横46mm程度である。その他の点は図5と同様であるため、詳しい説明を省略する。以下、床下設置部材の符号には、「60」と「60T」を特に区別する必要がない場合は一括して「60」を用いる。 [施工工程の詳細] 以下、本工法における施工工程について更に詳しく説明する。図7~図13に示すように、第1~第7の施工工程の順に進む。図7~図13では、解体範囲決定工程で決定された解体範囲Kを含む周辺部を模式的に描いている。解体範囲Kについて施工するため、「解体範囲」という文言は「施工範囲」と言い換えることもできる。 図7は、第1の施工工程を示す模式図である。図7(B)中の矢印D1の方向から見上げたときの見上げ面を図7(A)に示している。図7に示すように、解体範囲決定工程で決定された解体範囲Kに基づいて、天井103から床101までの間のみ壁石膏ボード10を撤去するとともに、壁際から所定幅L(Lは例えば300mm程度)の天井石膏ボード11を撤去する。その際、天井際の野縁のみ撤去する。 図8は、第2の施工工程を示す模式図である。図8(A)中の矢印D2の方向から見下げたときの見下げ面を図8(B)に示している。図8に示すように、合板厚(例えば9mm)分、既存間柱8bの表面12を丸ノコ、マルチカッターでしゃくる。また、床下設置部材60を挿し込んで、その床下設置部材60の受材14の部分を土台13に釘止めする。土台13上に直交根太