JP-2026076586-A - 生分解性樹脂被覆粒状肥料
Abstract
【課題】粒状肥料の機械散布における肥料の固結及び粉化による散布性の低下の問題を解決し、かつ被覆殻による環境負荷を与えない生分解性樹脂被覆肥料を提供する。 【解決手段】粒状肥料の表面にポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂による被膜を形成した被覆粒状肥料であり、前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体であり、他のヒドロキシアルカノエート単位の共重合比率が1mol%以上、6mol%以下である被覆粒状肥料であり、30℃水中、24時間後における水溶性肥料成分の溶出率が50%以上である被覆粒状肥料。 【選択図】なし
Inventors
- 鴈本 拓也
- 田中 大地
- 相内 淳
- 橋口 朋晃
Assignees
- エムシー・ファーティコム株式会社
- 株式会社カネカ
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (8)
- 粒状肥料の表面にポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂による被膜を形成した被覆粒状肥料であり、前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂が3-ヒドロキシブチレート単位と他のヒドロキシアルカノエート単位との共重合体であり、他のヒドロキシアルカノエート単位の共重合比率が1mol%以上、6mol%以下である被覆粒状肥料であり、30℃水中、24時間後における水溶性肥料成分の溶出率が50%以上である被覆粒状肥料。
- 前記共重合比率が1mol%~3mol%である請求項1に記載の被覆粒状肥料。
- 前記被覆粒状肥料の被膜の重量が粒状肥料の重量に対して0.4重量%~5重量%である請求項1または請求項2に記載の被覆粒状肥料。
- 前記被覆粒状肥料の被膜の重量が粒状肥料の重量に対して0.8重量%~1.5重量%である請求項1または請求項2に記載の被覆粒状肥料。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位が3-ヒドロキシヘキサノエート単位である請求項1に記載の被覆粒状肥料。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位が3-ヒドロキシヘキサノエート単位である請求項2に記載の被覆粒状肥料。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位が3-ヒドロキシヘキサノエート単位である請求項3に記載の被覆粒状肥料。
- 前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂における他のヒドロキシアルカノエート単位が3-ヒドロキシヘキサノエート単位である請求項4に記載の被覆粒状肥料。
Description
本発明は粒状肥料の機械散布における肥料の固結及び粉化による散布性の低下の課題を解決し、かつ被覆殻による環境負荷を与えない生分解性樹脂被覆粒状肥料に関する。 近年、農業就労者の高年齢化に伴う省力化のニーズから肥料の機械散布が進んでおり、一部ではドローンを利用した肥料の散布が実用化されている。しかしながら、特に水田における散布においては高温多湿な環境下での作業となることが多いため、しばしば肥料粒が吸湿することで肥料粒同士が付着し、塊を形成する固結が生じたり、肥料の形状が崩れて粉化したりすることで散布機が詰まる等の問題が発生する。 従来より肥料の吸湿による問題を回避するために、粒状肥料表面に固結防止材として、珪藻土、タルク、珪石微粉末、シリカヒューム、珪酸石灰、ゼオライト、パーライト、シリカ粉、クレー、シリカゲル、ベントナイトといった無機粉体を粉衣することが一般的に行われているが、無機粉体を肥料表面に粉衣するだけでは容易に剥離し、固結防止効果が低減することから、固結防止効果を更に高めるために、特許文献1~3に示すように鉱物粉末と液体の固結防止材を組み合わせることで剥離性を下げる検討がなされている。 また、特許文献4に示すように固結防止材のみで固結防止効果を高める検討もなされており、粒度10μm以下、純度90%以上のタルクを粒状肥料表面に粉衣することで固結防止効果が高まるとされている。しかしながら、これらの検討はいずれもプラスチックフィルムで包装された肥料を保管する際の固結を防ぐことを目的としており、極端な高温多湿の施肥現場で開封された肥料に発生する固結を防ぐために満足なものではなかった。 高温多湿環境を想定した吸湿対策として特許文献5ではワックス及び鉱油とそれらと混和性のある樹脂で被覆された粒状肥料が提唱されている。しかしながら、これらは非生分解性の樹脂を使用しており、施肥した肥料が溶出した後、プラスチックの残渣が長期間にわたり環境中に残存することにより環境負荷を高めるという問題があった。高温多湿環境における吸湿固結の問題を防ぎ、なおかつ環境負荷を与えない肥料はこれまで発明されていなかった。 特公平5-4954号公報特公平8-009515号公報特開2006-265061号公報特許第6429825号公報特表2018-502033号公報 図1は被覆粒状肥料の水中溶出特性を示すグラフである。 本発明における被覆粒状肥料は粒状肥料の表面に特定の性質を持つポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂を含む組成物を公知の方法により被覆することによって製造される。 <粒状肥料> 粒状肥料としては、尿素、硫安、硝酸ソーダ、オキサミド、アセトアルデヒド縮合尿素、ホルムアルデヒド縮合尿素、そしてイソブチルアルデヒド縮合尿素などの窒素肥料の粒状物、熔成りん肥、焼成りん肥、加工リン酸肥料、混合リン酸肥料、そして腐食酸リン肥料などのリン肥料の粒状物、硫酸カリ、塩化カリ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリ、そしてケイ酸カリ肥料などのカリ肥料の粒状物、リン酸カリ肥料や硝酸カリ肥料などの化成肥料の粒状物、粒状有機質肥料、硝酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどのマグネシウム塩、ならびにこれらの混合物を、それ自体公知の方法によって造粒した粒状肥料などが利用される。その中でも本発明の被覆粒状肥料で用いる粒状肥料として特に好ましいのは、窒素成分当たりの単価が安く経済的に有利であるが、吸湿性が問題になりやすい粒状尿素である。 粒状肥料の粒径、粒度分布及び形状については、製造時の噴霧工程や施肥作業に不具合が生じない限りにおいて、特に制限はないが、粒径は0.5mm以上で、10mm以下、特に2mm以上で、4mm以下であることが好ましい。粒径が0.5mmより小さいと粒状肥料単位重量当たりの被覆表面積が大きくなり、固結防止効果を発揮できる被膜厚で噴霧を施すと肥料の有効成分量を確保するのが難しくなりやすい。粒径が10mmより大きいと、施肥作業が難しくなる。 <ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂> ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂は3-ヒドロキシブチレートのみを繰り返し単位とするポリ(3-ヒドロキシブチレート)であってもよいし、3-ヒドロキシブチレートと他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体であってもよい。 発明の一実施形態において、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂は、単独重合体と1種または2種以上の共重合体との混合物であってもよいし、2種以上の共重合体の混合物であってもよい。共重合の形式は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等であり得る。 本発明の一実施形態において、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート)(P3HB3HV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)(P3HB3HO)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタデカノエート)(P3HB3HOD)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)(P3HB3HD)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバリレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HV3HH)等が挙げられる。中でも、工業的に生産が容易であることから、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB4HBが好ましい。 また、繰り返し単位の組成比を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、結果として、ヤング率、耐熱性等の物性を変化させることができ、かつ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間の物性を付与することが可能であること、および上記したように工業的に生産が容易であり、物性的に有用な樹脂であるという観点から、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸の共重合体であるP3HB3HHがより好ましい。 本発明の一実施形態において、繰り返し単位の共重合比率は柔軟性および強度のバランスの観点から、他のヒドロキシアルカノエート単位の共重合比率が1mol%以上、6mol%以下(3-ヒドロキシブチレート単位の比率が94mol%以上、99mol%以下)、好ましくは1mol%以上、3mol%以下(3-ヒドロキシブチレート単位の比率が97mol%以上、99mol%以下)である。共重合比率が高いと被膜の粘着性が上がり、被覆時にブロッキングが生じる他、製品の固結が生じやすくなり、好ましくない。 本発明におけるP3HB3HHの製造方法は、微生物から生産する方法又は化学合成法のいずれの方法でもよく、特に限定されるものではない。中でも、油脂を原料として微生物を培養することでP3HB3HHを得ることができる点、化学合成法に比べてプロセスが簡単でコストも安価であるという点で、微生物から生産する方法が好ましく、したがって微生物から生産されたP3HB3HHが好ましい。 本発明におけるP3HB3HHは市販品を用いることもでき、具体的には株式会社カネカ製のGreen Planet(登録商標)X331Nなどが挙げられる。その他のメーカーの物であっても3-ヒドロキシヘキサノエート比率が1mol%以上、6mol%以下、好ましくは1mol%以上、3mol%以下の物であれば好適に使用することができる。 <被膜> 粒状肥料に対するポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂由来の被膜材料の被覆率(対肥料重量%)は、0.4重量%以上で、5重量%以下であり、0.5重量%以上で、2重量%以下が好ましく、さらに、0.7重量%以上、1.6重量%以下が好ましく、特に0.8重量%以上、1.5重量%以下であることが好ましい。なお、「0.4重量%以上で、5重量%以下」を「0.4重量%~5重量%」と表す。被覆率が0.4重量%を下回ると均一な被膜になりにくく、固結防止効果が不十分になりやすい。被覆率が5重量%を超えると散布後肥効が発揮されるのに時間がかかり、適正なタイミングでの散布を目的とするドローンによる散布の用途にそぐわなくなる上、コストの増大により経済性を損なう。 水田においてドローン散布する際、投下後に水面に浮上し、漂流することを防ぐために適宜界面活性剤を添加してもよい。また、吸湿による固結を防止する効果を高めるために鉱物粉末を肥料粒表面に展着してもよい。この際、鉱物粉末の展着性を高めるためにコーティングオイルを使用してもよい。鉱物粉末としては珪藻土、タルク、珪石微粉末、シリカヒューム、珪酸石灰、ゼオライト、パーライト、シリカ粉、クレー、シリカゲル、ベントナイト等の一般的に用いられる固結防止材、コーティングオイルとしては鉱油やナタネ油等を使用することができる。これらの化合物を添加する場合、これらの化合物は被覆粒状肥料の浮上防止材・固結防止材として作用する。また、吸湿による固結を防止するための化合物を添加することにより、本発明の被覆粒状肥料は吸湿固結を防止する効果を奏する。 上記の被膜は、生分解性樹脂であるため、本発明の被覆粒状肥料散布後の被覆殻は完全に生分解される。 <被覆粒状肥料の製造方法> 本発明の被覆粒状肥料の製造は、粒状肥料を流動させながら被膜材料の有機溶剤溶液を噴霧し粒状肥料を被覆する公知の方法で行なうことができる。粒状肥料を流動させる方法としては回転するパンやドラム上で転動させる方式や、熱風を利用して流動させる方式が知られており、いずれにおいても実施可能であるが、熱風により流動させる方式の方が肥料粒同士のブロッキングが生じにくく適している。有機溶剤の選定には沸点、被膜材料の溶解性等を考慮する必要がある。使用できる有機溶剤の代表例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、そしてクロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等で代表される塩化炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、オルトジクロロベンゼン等で代表される芳香族系溶剤、あるいはそれらを二種以上含んだ混合溶剤が挙げられる。 前記有機溶剤としては、例えばトルエン100%の有機溶剤を好適に用いることができるが、トルエン/メチルエチルケトンの混合溶剤も好適に用いることができる。当該混合溶剤におけるトルエンとメチルエチルケトンの比率は、任意の比率で実施可能であるが、好ましくは5:5~9:1(w/w)である。 噴霧には一流体スプレーノズルもしくは二流体スプレーノズルを用いることができるが、噴霧粒子径が細かく、より均一に成膜できる二流体スプレーノズルの方が好ましい。 被膜材料溶液濃度は1重量%以上で、15重量%以下程度が好ましい。15重量%より高い濃度にすると、溶液粘度が高くなり噴霧粒子径が大きくなることで被膜の均一性が損なわれる他、固形分の析出による配管、ポンプ、ノズルの詰まりが発生しやすくなる。 被覆工程においては、まず被覆装置に尿素粒を適量入れ、装置下部からガスを吹き上げて尿素を流動させる。装置内を所定温度になったところで流動している尿素に装置下部のスプレーノズルで樹脂液を吹き付けてコーティングを行う。装置内は尿素表面に噴霧された樹脂液の乾燥を早めるために40~70℃に加温する。樹脂液は送液ポンプを用いて送液する。送液速度は速すぎると被膜が乾燥する前に樹脂液が送液されるため、尿素粒同士が固着してブロッキングが