JP-2026076666-A - 孔食電位測定用電極の作製方法、孔食電位測定用電極、及び孔食電位測定方法。
Abstract
【課題】測定部分の面積が均一な孔食電位測定用電極を容易に作製することが可能な孔食電位測定用電極の作製方法、及びその孔食電位測定用電極、並びにこの孔食電位測定用電極を用いた孔食電位測定方法を提供する。 【解決手段】この孔食電位測定用電極80及びその作製方法は、一方に所定の寸法の開口36を形成した2枚の熱ラミネートフィルム34で試験金属板30を挟み、これをパウチして試験金属板30を絶縁性のパウチ被覆34a内に封入する。これにより、所定の面積が測定面31aとして露出し、それ以外の部分はパウチ被覆34aによって絶縁及び防水がされた孔食電位測定用電極80を容易に作製することができる。特に、開口36の形成を打ち抜き型により行うことで、同一面積の測定面31aを備えた孔食電位測定用電極80を極めて簡単かつ短時間で作製することができる。 【選択図】図2
Inventors
- 小森 正人
- 渡邉 智秀
- 窪田 恵一
Assignees
- 株式会社ヤマト
- 国立大学法人群馬大学
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20241024
Claims (6)
- 試験金属板に導線を接続する手順と、 絶縁性の熱ラミネートフィルムの一方に開口を形成する手順と、 前記開口を前記試験金属板の測定面に位置させながら、前記開口が形成された熱ラミネートフィルムと開口の形成されていない熱ラミネートフィルムとで前記試験金属板を挟む手順と、 前記試験金属板を挟んだ状態で熱ラミネートフィルムを熱圧着することで前記試験金属板をパウチし、前記試験金属板を前記熱ラミネートフィルムで形成されたパウチ被覆内に封入するとともに、前記開口を前記測定面に密着させる手順と、を有する孔食電位測定用電極の作製方法。
- 熱ラミネートフィルムの開口を打ち抜きにより形成することを特徴とする請求項1記載の孔食電位測定用電極の作製方法。
- φ11.5mmの円形の打ち抜き型による打ち抜きによって面積が1cm 2 の開口を熱ラミネートフィルムに形成することを特徴とする請求項2に記載の孔食電位測定用電極の作製方法。
- 試験金属板に接続した導線と、 前記試験金属板を封入した絶縁性のパウチ被覆と、 前記パウチ被覆に形成され前記測定面を部分的に露出させる開口と、 前記パウチ被覆と前記導線との間の隙間に施された防水被覆と、を有する孔食電位測定用電極。
- パウチ被覆の開口の面積が1cm 2 であることを特徴とする請求項4記載の孔食電位測定用電極。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の孔食電位測定用電極の作製方法により孔食電位測定用電極を作製する手順と、 所定の液温に維持された試験溶液中に前記孔食電位測定用電極と対極とを浸漬するとともに、照合電極を所定の溶液中に浸漬する手順と、 前記孔食電位測定用電極の電位を予め設定された速度で掃引するとともに、前記孔食電位測定用電極に流れる電流密度を測定する手順と、 前記電流密度が所定の値を超えた時の電位に基づいて孔食電位を取得する手順と、を有する孔食電位測定方法。
Description
本発明は、試験溶液中で試験金属板に電位を印加して孔食を生じ させ、試験金属の耐食性を評価する孔食電位測定に関し、特にこの孔食電位測定に用いる孔食電位測定用電極の作製方法及びその孔食電位測定用電極、並びにこの孔食電位測定用電極を用いた孔食電位測定方法に関するものである。 ステンレス鋼は、概ね11%以上のクロムを含む鋼の総称であり、錆びにくい耐食性の高い金属として認知されている。この高い耐食性はステンレス鋼の表面に不動態皮膜と言われる保護性の強い皮膜が形成されているためである。尚、この不動態皮膜は鉄とクロムを含んだ酸化物(水酸化物)であり、その膜厚は1~3nmと極めて薄くクロムが大気中の酸素で酸化されることにより形成される。また、不動態皮膜は傷などにより破壊され一時的に下地の金属が露出することになっても、大気や水などに触れると直ちに修復されて耐食性を維持する。しかしながら、例えばステンレス配管などでは、使用環境や配管内を流れる水の水質などにより腐食が生じる場合がある。このようなステンレス配管の腐食は、上記の不動態皮膜が破壊されても回復せずに、アノード反応が生じて鉄が溶解することに起因する。また、水のpHが中性域の場合、不動態皮膜が正常な部位において酸素が電子を受け取るカソード反応が同時に進行して腐食電池を形成し、局部腐食といわれる局所的な腐食が進行することになる。 また、不動態皮膜は傷などの物理的な破壊の他に、水中のハロゲン元素により化学的な破壊を受けるとされている。また、ハロゲン元素は不動態皮膜の形成を阻害することが知られており、中でも環境中に多く存在している塩化物イオン(Cl-)が問題となることが多い。また、前述の局部腐食は、自然浸漬電位が局部腐食臨界電位よりも貴になる(上回る)場合にそのリスクが生じる事が知られている。尚、局部腐食の形態には様々あるが、このうち孔食と呼ばれる現象は、小さな孔が局部的に発生して深く浸食し、最終的に金属部分を貫通して配管等では漏水等を引き起こす原因となる。そしてステンレス鋼材の孔食リスクを評価するに当たっては、上記の局部腐食臨界電位に相当する孔食電位の数値を知ることが重要となる。 この孔食電位の孔食電位測定方法としては、先ず、試験金属の板を用いて測定用電極を作製する。次に、この測定用電極を試験溶液中に浸漬した上で、この測定用電極の電位を予め設定された速度で貴に掃引(上昇)する。そして、この測定用電極に流れる電流密度が予め規定された電位を超えた場合に、その電位をその試験金属の孔食電位とする。ここで、下記[特許文献1]には特殊な条件での測定が可能な孔食電位測定装置に関する発明が開示されている。 尚、試験金属がステンレスの場合、日本産業規格JIS G 0577によって孔食電位の測定条件が規定されており、この規定の中に使用可能な測定用電極として「すきま腐食防止電極」と「樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極」とが挙げられている。ただし「すきま腐食防止電極」は構造が複雑であり、測定用電極の作製に相応のコスト負担が生じる他、孔食電位測定中に「すきま腐食防止電極」に対する「蒸留水またはイオン交換水のしみ出し量を2~6mL/hに調整する」必要があり、扱い難いという問題点がある。この点、「樹脂などの絶縁物を用いた塗布形電極」では試験金属板の露出部分が1cm2となるようにエポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂などの絶縁物によって被覆又は埋込みを行うと規定されたもので、測定時の水の通水も不要で「すきま腐食防止電極」と比較して構造も簡単であり、扱いも容易となっている。 特開平07-092131号公報 本発明に係る孔食電位測定用電極の作製方法のフローチャートである。本発明に係る孔食電位測定用電極の作製方法を説明する図である。孔食電位測定器を示す概略構成図である。本発明に係る孔食電位測定用電極の検証結果を示すグラフである。本発明に係る孔食電位測定用電極の検証結果を示すグラフである。本発明に係る孔食電位測定用電極の検証結果を示すアノード分極曲線である。 本発明に係る孔食電位測定用電極80の作製方法及び、その孔食電位測定用電極80、並びにこの孔食電位測定用電極80を用いた孔食電位測定方法について図面に基づいて説明する。ここで、図1は孔食電位測定用電極80の作製方法のフローチャートである。また、図2は孔食電位測定用電極80の作製方法を説明する図である。 本発明に係る孔食電位測定用電極80の作製方法では、先ず、測定を行う金属の試験金属板30を入手する。この試験金属板30の厚さは一般的な熱ラミネートフィルム34によるパウチが可能な厚さのものならば特に限定は無く、概ね0.1mm~0.6mm程度とすることが好ましい。また、縦横寸法に関しても特に限定は無いが、概ね20mm×30mm~50mm×50mm程度が好ましい(試験金属板取得工程S102)。 次に、図2(a)に示すように、この試験金属板30の1辺に導線32をハンダ付けやスポット溶接等により接続する(導線接続工程S104)。尚、接続はJIS G 0577にも記載されているように、測定面31に接続時の熱の影響が及ばないように裏面側のなるべく離れた位置で行うことが好ましい。この構成では、測定面31に導線32が位置せず平滑性が維持されるため、同時に後述の開口36の測定面31への密着を確実に行うことができる。また、このとき使用する導線32には特に限定は無く。導電性を有する周知の銅線やステンレス線を用いることができる。そして、これにより試験金属板30と導線32とは電気的に導通する。尚、導線32の線径は太いと熱ラミネートフィルム34との隙間Sが大きくなるため、概ね0.5mm~2mm程度とすることが好ましい。 次に、絶縁性の熱ラミネートフィルム34を準備する。この熱ラミネートフィルム34としては、例えば、基材層と熱可塑性樹脂層を基本構成とし、層厚は例えば100μm~150μm、基材層としては絶縁性の高いPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)を用い、熱可塑性樹脂層としてはEVA(エチレン酢酸ビニール共重合体)を用いた周知のものを使用する事ができる。ここで、板状の対象物(ここでは試験金属板30)を対象物よりも大きな2枚の熱ラミネートフィルム34で熱可塑性樹脂層側が内側(対象物側)になるようにして挟み、この状態で熱圧着することで互いの熱可塑性樹脂層を溶融硬化し、対象物を表裏の熱ラミネートフィルム34内に封入することを一般的にパウチと称する。そして、このパウチ被覆34aは基本的に防水性を有する。尚、一般的なパウチ用の熱ラミネートフィルム34は、熱可塑性樹脂層を内側にして一辺が接合された2枚一組の状態となっている。そして、図2(b)に示すように、この熱ラミネートフィルム34の一方に開口36を形成する(開口形成工程S106)。この開口36の形成は開口面積のバラつきを抑えるために型による打ち抜きによって行うことが好ましい。特に試験金属板30がステンレスの場合には開口36から露出する測定面31aの面積を1cm2とすることが要求される。ここで、一般的な熱ラミネートフィルム34はパウチの前後で寸法変化がほとんど発生しない。よって、面積が1cm2の円形の測定面31aを得る場合、熱ラミネートフィルム34に形成する開口36の径は概ねφ11.5mmとすることが好ましい。この場合、開口36の形成は内径略φ11.5mmの円形の打ち抜き型により行うことが特に好ましい。尚、パウチ前後で寸法変化が生じる熱ラミネートフィルム34を用いる場合には、熱ラミネートフィルム34の寸法変化を加味した値の開口36を熱ラミネートフィルム34に形成する必要がある。 次に、開口36が形成された測定面31側の熱ラミネートフィルム34と開口の形成されていない裏面側の熱ラミネートフィルム34とで試験金属板30を挟む。この際、開口36を試験金属板30の測定面31の所定の位置、通常は図2(c)に示すように、試験金属板30の中央寄りで導線32から離れた部位に位置させる(試験金属板配置工程S108)。 次に、この状態で両方の熱ラミネートフィルム34を熱しながら加圧して熱圧着する。これにより、熱ラミネートフィルム34の熱可塑性樹脂層が溶融して試験金属板30に溶着する。また、余白部分では表裏の熱ラミネートフィルム34の熱可塑性樹脂層同士が溶着する。そして、これらが冷却することで硬化し試験金属板30がパウチされる。これにより、図2(d)に示すように、試験金属板30は表裏の熱ラミネートフィルム34で形成されたパウチ被覆34aによって密封され、パウチ被覆34a内に封入される(熱圧着工程S120)。このとき、開口36は試験金属板30の測定面31に密着して、硬化後の開口36からは測定面31aが露出するとともに、開口36の周縁は試験金属板30に溶着して防水機能を果たす。 次に、図2(e)に示すように、パウチ被覆34aの余剰部分を切除する。尚、厚みのある導線32部分では熱ラミネートフィルム34同士が完全に密着できず、硬化後にパウチ被覆34aと導線32との間に隙間Sが生じる場合がある。この場合、この隙間Sをエポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、その他の防水性樹脂の塗布や防水テープの貼付等の周知の防水被覆38を施す(防水工程S122)。これにより、図2(f)に示すように、本発明に係る孔食電位測定用電極80が完成する。 次に、本発明に係る孔食電位測定用電極80の検証を行うとともに、本発明に係る孔食電位測定方法を説明する。ここで、図3は孔食電位測定器100を示す概略構成図である。 本発明は、 (1)試験金属板30に導線32を接続する手順と、 絶縁性の熱ラミネートフィルム34の一方に開口36を形成する手順と、 前記開口36を前記試験金属板30の測定面31に位置させながら、前記開口36が形成された熱ラミネートフィルム34と開口36の形成されていない熱ラミネートフィルム34とで前記試験金属板30を挟む手順と、 前記試験金属板30を挟んだ状態で熱ラミネートフィルム34を熱圧着することで前記試験金属板30をパウチし、前記試験金属板30を前記熱ラミネートフィルム34で形成されたパウチ被覆34a内に封入するとともに、前記開口36を前記測定面31に密着させる手順と、を有する孔食電位測定用電極80の作製方法を提供することにより、上記課題を解決する。 (2)熱ラミネートフィルム34の開口36を打ち抜きにより形成することを特徴とする上記(1)記載の孔食電位測定用電極80の作製方法を提供することにより、上記課題を解決する。 (3)φ11.5mmの円形の打ち抜き型による打ち抜きによって面積が1cm2の開口36を熱ラミネートフィルム34に形成することを特徴とする上記(2)に記載の孔食電位測定用電極80の作製方法を提供することにより、上記課題を解決する。 (4)試験金属板30に接続した導線32と、 前記試験金属板30を封入した絶縁性のパウチ被覆34aと、 前記パウチ被覆34aに形成され前記試験金属板30の測定面31を部分的に露出させる開口36と、 前記パウチ被覆34aと前記導線32との間の隙間に施された防水被覆38と、を有する孔食電位測定用電極80を提供することにより、上記課題を解決する。 (5)パウチ被覆34aの開口36の面積が1cm2であることを特徴とする上記(4)記載の孔食電位測定用電極80を提供することにより、上記課題を解決する。 (6)上記(1)乃至上記(3)のいずれかに記載の孔食電位測定用電極80の作製方法により孔食電位測定用電極80を作製する手順と、 所定の液温に維持された試験溶液中に前記孔食電位測定用電極80と対極22とを浸漬するとともに、照合電極20を所定の溶液中に浸漬する手順と、 前記孔食電位測定用電極80の電位を予め設定された速度で掃引するとともに