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JP-2026076842-A - 医薬組成物

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Abstract

【課題】本発明の目的は、グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に特異的な抗体を発現する、全身投与用のmRNA医薬品の有効成分、及びそれを用いた全身投与用のmRNA医薬品を提供することである。 【解決手段】病原性グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に対する特異的scFv抗体をコードする抗体コード領域を含むmRNAは、全身投与用のmRNA医薬品の有効成分として有用である。 【選択図】なし

Inventors

  • 佐和 貞治
  • 木下 真央
  • 内田 智士

Assignees

  • 京都府公立大学法人

Dates

Publication Date
20260512
Application Date
20241024

Claims (11)

  1. 病原性グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に対する特異的scFv抗体をコードする抗体コード領域を含むmRNAを有効成分として含有する、全身投与用の医薬組成物。
  2. 前記病原性グラム陰性菌が、緑膿菌、ペスト菌、百日咳菌、エルシニア菌、サルモネラ菌、赤痢菌、エアロモナスヒドロフィラ菌、せっそう病原因菌、仮性結核菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ビブリオ・ハーベイ菌、類鼻疽菌又はクラミジア菌である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記病原性グラム陰性菌が緑膿菌である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記V抗原タンパク質又はその相同体タンパク質が、PcrV、LcrV、LssV、AcrV、VcrV、Vp1659、IpaD、SipD、SeeB、BipD、CT584、EspA、又はBsp22である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記V抗原タンパク質又はその相同体タンパク質がPcrVである、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記mRNAが脂質ナノ粒子に担持されている、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記全身投与が、静脈投与又は筋肉内投与である、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記病原性グラム陰性菌感染症の予防又は治療に用いられる、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 前記感染症が肺炎、急性肺傷害、又は敗血症である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 病原性グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に対する特異的scFv抗体をコードする抗体コード領域を含むmRNA。
  11. 前記コード領域の5’末端に、組織プラスノゲン活性化因子シグナル配列を有する、請求項10に記載のmRNA。

Description

本発明は、グラム陰性菌に対する受動免疫療法に用いられる核酸医薬に関する。 高度先進医療又は高齢化に伴い、多剤耐性菌による致死的感染症が多く報告されてきている。グラム陰性菌は、集中治療対象者における人工呼吸器関連肺炎、免疫不全患者又は高齢者に対する日和見感染等の高頻度起炎菌である。近年、グラム陰性菌の高度多剤耐性化が急激に進んでいるため、抗菌薬に頼らない抗菌治療薬の開発が強く求められている。 緑膿菌等の病原性グラム陰性菌は、標的真核細胞と直接接触し、III型分泌システム(TTSS)と呼ばれる特殊な分泌装置を用いて、タンパク毒素を標的細胞の細胞質内に直接転移させる。このTTSSは、非特許文献1~4等に報告されている通り、多くの病原性グラム陰性菌において、非常に相同性の高いシステムとしてその存在が確認されてきた。 TTSSによる標的細胞質への毒素の注入経路は、TTSSのニードル状構造の先端部分で五量体複合体を構成するV抗原タンパク質と、標的細胞膜においてPopB/PopDにより構成されるトランスロコンとが接続されることにより成立する。そして、非特許文献5では、緑膿菌のV抗原タンパク質に対する特異的抗体が、毒素のトランスロコン通過を遮断できることが解明されており、このV抗原タンパク質を標的とする抗体医薬品の緑膿菌感染症に対する有効可能性が示唆されている。 一般的な抗体医薬品の長所は、標的分子に特異的に結合する点だけでなく、他のバイオ医薬品と比較して血中半減期が長い点にもある。非特許文献6には、腫瘍関連糖タンパク質72抗体であるCC49の、IgG、F(ab’)2、Fab’又はscFvを用いたマウスでの代謝研究においては、scFvの血漿中及び全身クリアランスが極めて速いことが示されている。非特許文献7には、抗体の血中半減期について報告されており、CD1マウスを用いた薬物動態試験において、IgGでα相7時間/β相222時間、scDb-Fcでα相2.8時間/β相140時間、scFv-Fcでα相2.5時間/β相104時間であることに対し、scDbでα相0.4時間/β相1.3時間、scFvでα相0.2時間/β相0.6時間であると報告されている。 つまり、抗体断片のサイズが小さくなるほど血中半減期が短く、特にscFvでは血中半減期が極端に短くなる。このため、ある程度の血中滞留性を得るためには少なくともFcドメインが必須であり、十分な血中滞留性を得るためにはIgG型であることが必要である。 そして、抗体が十分な血中滞留性を持つことは、抗体による薬理効果を得るためのクリティカルな要因となる。 例えば、上述の非特許文献6には、LS-174Tヒト結腸癌異種移植モデルを用いた、4種類の放射性標識CC49(scFv、Fab’、F(ab’)2、IgG)を用いた腫瘍ターゲティング研究により、scFv及びFab’が、F(ab’)2及びIgGと比較して、注射用量に対する腫瘍結合率が非常に低いことが示されている。また、上述の非特許文献5では、緑膿菌V抗原タンパク質に対する抗体(抗PcrV抗体)として、IgG又はF(ab’)2を静脈内投与した結果、F(ab’)2の静脈内投与では緑膿菌感染症に対する防御が十分ではなく、最終的に敗血症及び菌血症を引き起こしたことが開示されている。当該文献では、緑膿菌感染症に対する防御にTTSS遮断とは別のFc依存性メカニズムの寄与があり得ること、及びF(ab’)2の循環系からのクリアランスがIgGよりもはるかに速いという事実に言及されており、静脈内投与治療薬としてIgGが優れていると結論付けられている。 事実、血中半減期は医薬品の実用化のためのハードルとなっており、これまで開発されてきた抗体医薬品には全てIgG型の構造を持つ抗体が用いられている。 一方、mRNA医薬品は、薬理効果を奏するタンパク質の情報をコードしたmRNAを投与し、細胞質で当該タンパク質を産生させることによって治療又は予防を行う医薬品である。抗体医薬品に対応するmRNA医薬品の創薬戦略も検討されており、実際に、感染症やがんに対する治療又は予防において、抗体発現mRNAの有用性が示されている。mRNA医薬品は、抗体医薬品よりも安価に製造できるだけでなく、病原体の抗原変異に対応して迅速に配列の改変が可能であるため、効率よく短期間で新薬を完成できる利点があり、世界的に研究開発が活発化している。なお、mRNA医薬品においても、全長抗体つまりIgGを体内で発現するように設計されている点は、核酸医薬品と同様である。 Rumbaugh KP et al. Kluwer Academic Publishers, 2003; 183-199.Sawa T et al. Anesthesiol Clin North America 2004; 22: 591-606.Kipnis E et al. Med Mal Infect 2006; 36: 78-91.Sato H et al. Front. Microbiol. 2011; 2 Article 142Shime N, Sawa T, et al. J Immunol. 2001; 167(10):5880-6Cancer Res. 1991 Dec 1;51(23 Pt 1):6363-71.MAbs. 2016 Jan; 8(1): 120-128. 試験例1による、緑膿菌性肺炎マウスへの実施例1のmRNAの治療的投与(静注又は筋注)後の抗-PcrV titer上昇の時間経過を示す。横軸は投与後の時間を示す。試験例2による、マウスへの実施例1のmRNAの予防的投与(静注又は筋注)後の、致死量緑膿菌による肺感染に対する急性肺傷害抑制効果(感染後24時間経過時の肺浮腫抑制効果)を示す。試験例2による、マウスへの実施例1のmRNAの予防的投与(静注又は筋注)後の、致死量緑膿菌による肺感染に対する急性肺傷害抑制効果(感染後24時間経過時の肺内細菌数抑制効果)を示す。試験例2による、マウスへの実施例1のmRNAの予防的投与(静注又は筋注)後の、致死量緑膿菌による肺感染に対する急性肺傷害抑制効果(感染後24時間経過時の肺顆粒球ペルオキシダーゼ活性抑制効果)を示す。試験例2による、マウスへの実施例1のmRNAの予防的投与(静注又は筋注)後の、致死量緑膿菌による肺感染に対する肺内サイトカイン分泌抑制効果(感染後24時間経過時のインターロイキン-6分泌抑制効)を示す。試験例2による、マウスへの実施例1のmRNAの予防的投与(静注又は筋注)後の、致死量緑膿菌による肺感染に対する肺内サイトカイン分泌抑制効果(感染後24時間経過時の腫瘍壊死因子TNF-α分泌抑制効果)を示す。試験例3による、緑膿菌性肺炎マウスへの実施例1又は比較例1のmRNAの治療的投与(静注又は筋注)による生存率を示す。試験例3による、緑膿菌性肺炎マウスへの実施例2又は比較例2のmRNAの治療的投与(静注又は筋注)による生存率を示す。試験例3による、緑膿菌性肺炎マウスへの実施例1又は比較例1のmRNAの治療的投与(静注)3時間後における気管支肺胞洗浄液中の抗PcrV抗体価を示す。 本発明のmRNAは、病原性グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に対する特異的scFv抗体をコードする抗体コード領域を含むことを特徴とする。また、本発明の医薬組成物は、病原性グラム陰性菌のV抗原タンパク質又はその相同体タンパク質に対する特異的scFv抗体をコードする抗体コード領域を含むmRNAを有効成分として含有し、全身投与に用いられることを特徴とする。 1.mRNA1-1.抗体コード領域1-1-1.病原性グラム陰性菌 病原性グラム陰性菌については特に限定されず、例えば、緑膿菌、ペスト菌、百日咳菌、エルシニア菌、サルモネラ菌、赤痢菌、エアロモナスヒドロフィラ菌、せっそう病原因菌、仮性結核菌、病原性大腸菌(腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管侵入性大腸菌(EIEC)、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、腸管凝集接着性大腸菌(Eaec))、腸炎ビブリオ菌、ビブリオ・ハーベイ菌、類鼻疽菌、クラミジア菌等が挙げられ、好ましくは緑膿菌が挙げられる。本発明のmRNA及び医薬組成物は、病原性グラム陰性菌が薬剤耐性菌である場合に特に有用である。薬剤耐性菌の好ましい例としては、カルバペネム耐性緑膿菌、フルオロキノロン耐性サルモネラ菌等が挙げられる。 1-1-2.V抗原タンパク質又はその相同体タンパク質(ニードルチップタンパク質) V抗原タンパク質又はその相同体(ホモログ)タンパク質は、III型分泌システム(TTSS)ニードル状構造の先端部分を構成するタンパク質、つまりニードルチップタンパク質である。TTSSとしては、Yop、Pop/Exo、Lop、Aop、Vop、Esp/Tir、Sop.Sip、Ipa等が挙げられる。TTSSは、非常に高い相同性をもって広範なグラム陰性菌においてその存在が確認されているため、V抗原タンパク質又はその相同体タンパク質としては特に制限されない。V抗原タンパク質又はその相同体タンパク質の具体例としては、PcrV[由来:緑膿菌等]、LcrV[由来:ペスト菌、仮性結核菌、腸炎エルシニア菌等]、LssV[由来:フォトラブダス菌等]、AcrV[由来:エアロモナスヒドロフィラ菌、せっそう病原因菌]、VcrV[由来:腸炎ビブリオ菌、ビブリオ・ハーベイ菌]、Vp1659[由来:腸炎ビブリオ菌]、IpaD[由来:赤痢菌等]、SipD,SeeB[由来:サルモネラ菌等]、BipD[由来:類鼻疽菌]、CT584[由来:クラミジア菌]、EspA[由来:EPEC、EHEC等の病原性大腸菌]、Bsp22[由来:百日咳菌]等が挙げられ、好ましくはPcrVが挙げられる。 1-1-3.scFv抗体 抗体コード領域にコードされるscFv抗体は、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とがペプチドリンカーで連結された構造を持つ小型抗体である。本願発明において、scFv抗体は、Fc領域を含まない(つまり、Fc融合scFv抗体は除外される)。VH及びVLのアミノ酸配列は、V抗原タンパク質又はその相同体(ホモログ)タンパク質に応じ、技術常識に基づいて当業者が適宜選択できる。VH及びVLのアミノ酸配列としては、公知の配列を使用、又は公知の配列を適宜設計変更して使用できる。 具体例として、緑膿菌のV抗原タンパク質に対する特異的scFv抗体は、相補性決定領域(CDR)として、VHが以下のアミノ酸配列からなるVH CDR1~VH CDR3を含み、VLが以下のミノ酸配列からなるVL CDR1~VL CDR3を含むことができる。 VH CDR1:配列番号1に示されるアミノ酸配列 VH CDR2:配列番号2に示されるアミノ酸配列 VH CDR3:配列番号3に示されるアミノ酸配列、又は 配列番号3に示されるアミノ酸配列において、13番目のアミノ酸残基のFへの置換、及び15番目のアミノ酸残基のI、S、又はQへの置換の少なくともいずれかが導入されたアミノ酸配列(一例として、15番目のアミノ酸残基のIへの置換が導入されたアミノ酸配列からなる配列番号4が挙げられる。) VL CDR1:配列番号5に示されるアミノ酸配列 VL CDR2:配列番号6に示されるアミノ酸配列 VL CDR3:配列番号7に示されるアミノ酸配列、又は 配列番号7に示されるアミノ酸配列において、2番目のアミノ酸残基のQへの置換、及び5番目のアミノ酸残基のGへの置換の少なくともいずれかが導入されたアミノ酸配列(一例として、2番目のアミノ酸残基のQへの置換が導入されたアミノ酸配列からなる配列番号8が挙げられる。) 配列番号1~3に示すCDR1~3を有する