JP-2026076969-A - 基板付き分極膜、振動発電素子、有機発光素子及び基板付き分極膜の製造方法
Abstract
【課題】フッ素原子を含まなくても、高い表面電荷密度及びを高い分子配向度を有する基板付き分極膜が提供される。 【解決手段】本開示の基板付き分極膜は、基板と、前記基板の2つの主面の少なくとも一方上に形成された分極膜と、を備える。前記分極膜は、下記式(I)で表される化合物を含む。式(I)中、Zは、極性官能基及び有機基の一方を表す。A 1 及びA 2 は、単結合又は2価の連結基を表す。X 1 及びX 2 は、極性官能基及び有機基の他方を表す。 【選択図】図8
Inventors
- 田中 正樹
- 中村 暢文
- 杉本 鈴奈
Assignees
- 国立大学法人東京農工大学
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20251017
- Priority Date
- 20241024
Claims (11)
- 基板と、前記基板の2つの主面の少なくとも一方上に形成された分極膜と、を備え、 前記分極膜が、下記式(I)で表される化合物を含む、基板付き分極膜。 (式(I)中、Z、A 1 、A 2 、X 1 及びX 2 は、第1の組み合わせ又は第2の組み合わせであり、かつフッ素原子を含まない。 前記第1の組み合わせでは、 Zが、前記化合物に屈曲した構造を付与する2価の極性官能基を表し、 A 1 及びA 2 が、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、 X 1 及びX 2 が、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、1価の前記有機基が、炭素数5~24のアルキル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、炭素数5~30のアルキルシクロアルキル基を表し、 前記アルキル基、前記シクロアルキル基及び前記アルキルシクロアルキル基を構成する炭素原子の一部又は全部が、ヘテロ原子に置換されていてもよい。 前記第2の組み合わせでは、 Zが、前記化合物に屈曲した構造を付与する2価の有機基を表し、2価の前記有機基が、炭素数7~20のシクロアルキレン基、炭素数7~30のアルキルシクロアルキレン基又は炭素数7~80の2価の芳香族炭化水素基を表し、 A 1 及びA 2 が、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、 X 1 及びX 2 が、それぞれ独立に、1価の極性官能基を表し、 前記シクロアルキレン基、前記アルキルシクロアルキレン基及び前記芳香族炭化水素基を構成する炭素原子の一部又は全部が、ヘテロ原子に置換されていてもよい。)
- 2価の前記連結基が、炭素数1のメチレン基、下記の式(a-1)で表される基、式(a-2)で表される基、式(a-3)で表される基、式(a-4)で表される基、又は式(a-5)で表される基である、請求項1に記載の基板付き分極膜。 (式(a-1)~式(a-5)中、*は、結合位置を示す。)
- Z、A 1 、A 2 、X 1 及びX 2 が、第1の組み合わせであり、 2価の前記極性官能基が、スルホニル基、1環~15環のアリールホスフィンオキシド基、ベンゾニトリル基、フタルイミド基、又はピリジン基である、請求項2に記載の基板付き分極膜。
- 1価の前記有機基が、炭素数5~8のアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基、又は炭素数5~8のアルキルシクロアルキル基を表す、請求項3に記載の基板付き分極膜。
- Z、A 1 、A 2 、X 1 及びX 2 が、第2の組み合わせであり、 1価の前記極性官能基が、1環のアリールスルホニル基、2環のアリールホスフィンオキシド基、ニトリル基、フタルイミド基、又はピリジン基である、請求項2に記載の基板付き分極膜。
- 2価の前記有機基が、炭素数7~10のシクロアルキレン基、炭素数7~10のアルキルシクロアルキレン基、又は炭素数7~22の2価の芳香族炭化水素基を表す、請求項5に記載の基板付き分極膜。
- 前記化合物が、絶対値で1.0Debye~30.0Debyeの永久双極子モーメントを有する、請求項1に記載の基板付き分極膜。
- 単位膜厚当たりの表面電位の絶対値が、50mV/nm~1500mV/nmである、請求項1に記載の基板付き分極膜。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の基板付き分極膜を備える、振動発電素子。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の基板付き分極膜から分離された分極膜を備える、有機発光素子。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の基板付き分極膜を製造する方法であって、 前記化合物を含む原料を準備することと、 前記原料を用いて、真空蒸着法又はウェットプロセス法によって、前記基板の2つの主面の少なくとも一方に、前記分極膜を形成することと、 を含む、基板付き分極膜の製造方法。
Description
本発明は、基板付き分極膜、振動発電素子、有機発光素子及び基板付き分極膜の製造方法に関する。 振動を電力に変換する発電素子として、静電式振動発電素子(以下、単に「振動発電素子」ともいう)が知られている。振動発電素子は、振動によりエレクトレット(電石)と電極の相対位置を変化させて、電極に逐次静電誘導を誘起するように構成された発電素子である。振動発電素子は、加速度の小さい低周波振動(例えば、環境振動等)から効率よく電力を取り出せる。 振動発電素子のエレクトレットとして、ポリマー膜に電荷を打ち込んで得られるエレクトレット膜(以下、「分極膜」ともいう)を中心に研究開発が進められていた。ポリマー膜に電荷を打ち込む方式としては、荷電処理プロセス(例えば、コロナ放電法、電子線照射法、熱ポーリング法、又は接触充電法)が採用されてきた。 しかしながら、従来の分極膜の作製では、外部から高電圧をポリマー膜に印加する必要がある。そのために、大掛かりな設備が必要であり、製造工程は煩雑である。従来の分極膜の作製方法では、生産性は低く、コストが高かった。 近年、成膜過程で自発的に発生する表面電位を有する有機薄膜を利用した振動発電素子が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。 特許文献1は、膜(以下、「分極膜」ともいう)を開示している。特許文献1に開示の膜は、下記一般式(x)で表される化合物を含む。 一般式(x)において、Rはフッ化アルキル基を表す。X,YおよびZのうちの0~2つは各々独立にフッ化アルキル基を表し、残りは各々独立にフッ化アルキル基以外の置換基を表す。 特開2022-143338号公報 図1は、化合物(I-1)の永久双極子モーメントの向きを示す図である。図2は、本開示の第1実施形態に係る振動発電素子の断面図である。図3は、本開示の第2実施形態に係る振動発電素子の断面図である。図4は、本開示の第3実施形態に係る振動発電素子の断面図である。図5は、合成例(I-1)で得られた化合物の1H-NMRを示すグラフである。図6は、合成例(I-2)で得られた化合物の1H-NMRを示すグラフである。図7は、合成例(CE)で得られた化合物の1H-NMRを示すグラフである。図8は、実施例1~実施例4及び比較例1~比較例4の膜厚に対する表面電位を示すグラフである。図9は、実施例5~実施例8及の膜厚に対する表面電位を示すグラフである。図10は、化合物(I-1)の蒸着薄膜と、6FDI-2oBNの蒸着薄膜とを用いた振動発電試験の時間に対する電流密度を示すグラフである。図11は、化合物(I-1)の蒸着薄膜を含む有機発光素子(A)と、化合物(I-1)の蒸着薄膜を含まない有機発光素子(B)とを用いた実験の電圧に対する輝度特性を示すグラフである。図12は、化合物(I-1)の蒸着薄膜を含む有機発光素子(A)と、化合物(I-1)の蒸着薄膜を含まない有機発光素子(B)とを用いた実験の電流密度に対する電流効率を示すグラフである。 以下において、本開示の内容について詳細に説明する。 以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。 本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。 本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。 本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。 本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、1つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。 (1)基板付き分極膜 本開示の基板付き分極膜は、基板と、前記基板の2つの主面の少なくとも一方上に形成された分極膜と、を備える。前記分極膜は、下記式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)を含む。 式(I)中、Z、A1、A2、X1及びX2は、第1の組み合わせ又は第2の組み合わせであり、かつフッ素原子を含まない。 前記第1の組み合わせでは、 Zが、前記化合物に屈曲した構造を付与する2価の極性官能基を表し、 A1及びA2が、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、 X1及びX2が、それぞれ独立に、1価の有機基を表し、 1価の前記有機基が、炭素数5~24のアルキル基、炭素数5~20のシクロアルキル基、又は炭素数5~30のアルキルシクロアルキル基を表し、 前記アルキル基、前記シクロアルキル基及びアルキルシクロアルキル基を構成する炭素原子の一部又は全部が、ヘテロ原子に置換されていてもよい。 前記第2の組み合わせでは、 Zが、前記化合物に屈曲した構造を付与する2価の有機基を表し、2価の前記有機基が、炭素数7~20のシクロアルキレン基、炭素数7~30のアルキルシクロアルキレン基又は炭素数7~80の2価の芳香族炭化水素基を表し、 A1及びA2が、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、 X1及びX2が、それぞれ独立に、1価の極性官能基を表し、 前記シクロアルキレン基、前記アルキルシクロアルキレン基及び前記芳香族炭化水素基を構成する炭素原子の一部又は全部が、ヘテロ原子に置換されていてもよい 本開示において、「分極膜」とは、膜厚方向に半永久的に分極を保持する膜を示す。換言すると、「分極膜」とは、表面電位を有する膜を示す。「表面電位」とは、分極膜の表面(すなわち、分極膜の基板とは反対側の表面)と基板(0V)との電位差を示す。表面電位は、巨大表面電位(GSP)とも呼ばれる。 「化合物に屈曲した構造を付与する2価の有機基」とは、結合角度が180°ではないことを示す。「結合角度」とは、式(I)中において、ZのうちのA1と結合する原子(Zがスルホニル原子である場合、硫黄原子)と、X1のうちのA1と結合する原子(例えば、炭素原子)とを結ぶ第1直線と、ZのうちのA2と結合する原子と、X2のうちのA2と結合する原子(例えば、炭素原子)とを結ぶ第2直線とがなす角度を示す。 「極性官能基」とは、電子吸引性を有する官能基を示す。詳しくは、「極性官能基」とは、量子化学計算(例えば量子化学計算ソフトウェアGaussian16を用いて、DFT B3LYP/6-31G(d))により、1.0Debye以上の永久双極子モーメントを有する官能基を示す。 「2価の連結基」とは、-O-、-S-、-CO-、-N-、炭素数2~80の2価の炭化水素基、又はこれらの組み合わせを示す。炭素数2~80の2価の炭化水素基を構成する炭素原子の一部又は全部は、ヘテロ原子に置換されていてもよい。 「芳香族炭化水素基」とは、少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素基を示す。「芳香環」とは、4n+2個のπ電子を有する環状共役化合物を示す。芳香環は、単環式(例えば、ベンゼン等)であってもよいし、多環式(例えば、ナフタレン、アントラセン、又はフェナントレン等)であってもよい。芳香族炭化水素基は、アルキル基を含んでよいし、シクロアルキル基を含んでよい。 本開示の基板付き分極膜は、上記の構成を有するので、フッ素原子を含まなくても、高い表面電荷密度及びを高い分子配向度を有する。これにより、本開示の基板付き分極膜の環境負荷は、低減される。加えて、一定の表面電位を有する基板付き分極膜を形成する場合に、本開示の基板付き分極膜が用いられると、分極膜の厚みは、従来の分極膜を用いる場合よりも薄くてすむ。その結果、本開示の基板付き分極膜は、例えば、振動発電素子の製造コストを抑制することができる。 この効果は、以下の理由によると推測されるが、これに限定されない。 本開示では、式(I)中、ZとX1及びX2との一方は、極性官能基である。例えば、基板上に分極膜が真空蒸着により形成される場合、電子密度が高い極性官能基が基板側になるように、化合物は基板上に堆積される傾向がある。更に、化合物(I)の分子内における電荷の分布は、化合物(I)の極性官能基の近傍に偏っている。これにより、分極膜の全体の分極の度合いは、従来よりも大きい。その結果、本開示の基板付き分極膜は、フッ素原子を含まなくても、高い表面電荷密度及びを高い分子配向度を有すると推測される。 基板付き分極膜の構成は、基板付き分極膜の用途等に応じて適宜選択される。分極膜は、基板の2つの主面上に直接的に形成されていてもよいし、基板の2つの主面上に間接的に形成されていてもよい。分極膜が基板の2つの主面上に間接的に形成されている場合、分極膜と基板との間には、後述するその他の層が介在していてもよい。 (1.1)分極膜 基板付き分極膜は、分極膜を備える。分極膜は、化合物(I)を含む。分極膜は、化合物(I)のみからなってもよい。分極膜は、真空蒸着によって形成された膜(すなわち、真空蒸着膜)であってもよい。 分極膜の厚さは、基板付き分極膜の用途等に応じて適宜選択される。分極膜の厚さは、十分な表面電位を発現させる点から、100nm以上であることが好ましく、500nm以上であってもよく、1000nm以上であってもよい。膜の厚さは、10000nm以下であってもよく、1000nm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。分極膜の厚さは、1nm~100nmであってもよく、5nm~100nmであってもよく、20nm~100nmであってもよく、50nm~100nmであってもよい。分極膜の厚さの測定方法は、実施例に記載の方法と同様である。 分極膜は、上記(I)で表される化合物の構造と分極に起因して、その表面に正又は負の表面電位を示す。Z、A1、A2、X1及びX2は、第1の組み合わせである場合、分極膜の表面電位は正である傾向にある。Z、A1、A2、X1及びX2は、第2の組み合わせである場合、分極膜の表面電位は負である傾向にある。分極膜は、その表面電位が分極膜の厚さに依存して変化することが好ましい。 分極膜の表面電位の絶対値は、特に限定されるものではなく、100V~1000Vであってもよく、1000V~10000Vであってもよく、10000V~100000Vであってもよい。 分極膜の表面電位の絶対値を上述した範囲内に調整する方法は、化合物(I)を真空蒸着して分極膜を形成する方法が挙げられる。 分極膜の表面電位の測定方法は、実施例に記載の方法と同様である。 分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の絶対値は、50mV/nm~1500mV/nmであることが好ましい。 分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の絶対値が50mV/nm~1500mV/nmであることは、分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の絶対値が従来よりも高いことを示す。これにより、本開示の基板付き分極膜は、振動発電素子の出力をより高くすることができる。 分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の絶対値は、振動発電素子の性能および製造コストの観点から、より好ましくは100mV/nm~1500mV/nm、さらに好ましくは300mV/nm~1500mV/nmである。 分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の絶対値を上述した範囲内に調整する方法は、化合物(I)を真空蒸着して分極膜を形成する方法が挙げられる。 分極膜の単位膜厚当たりの表面電位の測定方法は、実施例に記載の方法と同様である。 (1.1.1)化合物(I) 化合物(I)は、下記式(I)で表される。分極膜に含まれる化合物(I)は、1種であってもよいし、2種類以上であってもよい。 式(I)中、Z、A