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JP-2026076977-A - 深共晶溶媒を含む抽出溶媒及びその製造方法

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Abstract

【課題】深共晶溶媒による抽出成分を主に化粧品等に利用する際の安全性を高める 【解決手段】対象物に含有する成分を抽出した抽出溶液の製造方法であって、水素結合アクセプター及び水素結合ドナーが混合された深共晶溶媒を含む抽出溶媒を対象物に接触させることにより、抽出溶媒に前記対象物中の成分を溶解させた抽出溶液を得る。水素結合アクセプターは、アミノ酸又はその誘導体であり、水素結合ドナーは、糖、有機酸、及びアルコールから選択されたいずれか一つである。 【選択図】図1

Inventors

  • 鳥井 昭吾
  • 鈴木 章悟
  • 田中 江里
  • 荒木 アリサ
  • 臼杵 豊展

Assignees

  • 株式会社アルビオン
  • 学校法人上智学院

Dates

Publication Date
20260512
Application Date
20251022
Priority Date
20241024

Claims (10)

  1. 対象物に含有する成分を抽出した抽出溶液の製造方法であって、 水素結合アクセプター及び水素結合ドナーが混合された深共晶溶媒を含む抽出溶媒を前記対象物に接触させることにより、前記抽出溶媒に前記対象物中の成分を溶解させた抽出溶液を得る抽出工程を含み、 前記水素結合アクセプターは、アミノ酸又はその誘導体であり、 前記水素結合ドナーは、糖、有機酸、及びアルコールから選択されたいずれか一つである 抽出溶液の製造方法。
  2. 前記水素結合アクセプターは、プロリン、L-アルギニン、L-セリン、又はベタインであり、 前記水素結合ドナーは、乳酸、スクロース、キシリトール、又は1,3-ブチレングリコールである 請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記抽出溶媒を構成する水素結合アクセプターと水素結合ドナーのモル比率が3:1~1:6である 請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記深共晶溶媒は、 プロリンと1,3-ブチレングリコールの組み合わせ、 プロリンと乳酸の組み合わせ、 L-アルギニンと乳酸の組み合わせ、 L-セリンと乳酸の組み合わせ、 ベタインと1,3-ブチレングリコールの組み合わせ、 ベタインとスクロースの組み合わせ、又は ベタインとキシリトールの組み合わせ によって形成されたものである 請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記抽出溶媒は、さらに水を含む 請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記抽出溶液は、前記対象物中の脂溶性成分が溶解したものである 請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記抽出溶液は、前記対象物中の水溶性成分が溶解したものである 請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記抽出溶液を濾過することにより前記抽出溶液から不溶成分を除去する濾過工程をさらに含む 請求項1に記載の製造方法。
  9. 請求項1に記載の製造方法により得られた抽出溶液を含む化粧品又は医薬部外品の製造方法。
  10. 水素結合アクセプター及び水素結合ドナーが混合された深共晶溶媒を含む抽出溶媒であって、 前記水素結合アクセプターは、アミノ酸又はその誘導体であり、 前記水素結合ドナーは、糖、有機酸、及びアルコールから選択されたいずれか一つである 抽出溶媒。

Description

本発明は、例えば化粧品及び医薬部外品に利用可能な深共晶溶媒を含む抽出溶媒とその製造方法に関する。 深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvent)とは、水素結合ドナーとなる化合物と水素結合アクセプターとなる化合物を一定の割合で混合して共晶融点降下を生じさせることにより室温付近で液体となり得る溶媒である。深共晶溶媒は、イオン液体と類似の特徴を持ち、熱安定性及び電気化学的安定性が高く、リグニン等の有機溶媒では溶けない物質を溶解するといった特徴を示す。また、深共晶溶媒は、水素結合アクセプターと水素結合ドナーを混合するだけで調整可能であるため、イオン液体に比べて調整が容易である。また、深共晶溶媒は、糖やアミノ酸などの無毒かつ安価な天然由来化合物を原料として用いることができるため、安全で、環境に対する負荷が低く、かつ低コストで抽出溶媒を調整できる可能性がある。そのため、近年では深共晶溶媒は新しい環境調和型溶媒として注目されている。 例えば、塩化コリンと尿素を用いた深共晶溶媒により玉ねぎ果皮からケルセチンを抽出できると報告されている(非特許文献1)。また、塩化コリンと糖を用いた深共晶溶媒により木材からリグニンが抽出できると報告されている(非特許文献2)。 吉田,松島,近藤,小川,環境調和型溶媒による廃棄物からの有価物抽出,北海道立総合研究機構,新原料の開発と利用・道内資源の有効利用,17,2022Chen Y, Zhang L, Yu J, Lu Y, Jiang B, Fan Y, Wang Z. 2019 High-purity lignin isolated from poplar wood meal through dissolving treatment with deep eutectic solvents. R. Soc. open sci. 6: 181757 図1は、本発明の一実施形態に係る抽出溶液の製造方法を示したシークエンス図である。図2は、水素結合アクセプター及び水素結合ドナーとして用いられる化合物の例を示している。図3は、実施例1~11及び比較例1~2のDPA抽出率及びDHA抽出率を示したグラフである。図4は、実施例12~21及び比較例3~5の総フラボノイド収量を示したグラフである。 以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。 なお、本願明細書において、数値範囲を表す「A~B」とは「A以上B以下」であることを意味する。 図1は、本発明の一実施形態に係る抽出溶液の製造方法の各工程を示している。図1に示すように、本実施形態は、深共晶溶媒の調整工程(ステップS1)、抽出工程(ステップS2)、及び濾過工程(ステップS3)をこの順に含む。抽出の対象となる試料に対して、上記各工程を行うことにより、この試料の有効成分が抽出溶媒に溶解した抽出溶液が得られる。 試料としては、生体組織が用いられる。生体組織としては、細胞が細胞壁を有する植物、藻類、菌類、古細菌、もしくは真正細菌、又は細胞が細胞壁を有しない動物を由来とする原料である。植物由来原料の場合は、特定の植物の葉、枝、樹木、花弁、茎、根、果肉、果皮、及び種子の少なくとも1つを由来とする原料が試料として用いられる。藻類の場合は、緑藻類、黄緑藻類、紅藻類、褐藻類、珪藻類、ユーグレナ類、不等毛藻類、渦鞭毛藻類等の単細胞性もしくは多細胞性の藻体、その乾燥物、抽出物、破砕物、又はそれらの混合物が原料として用いられる。菌類、古細菌、もしくは真正細菌の場合は、培養物、菌体、胞子、菌糸体、又は菌糸の少なくとも1つが試料として用いられる。動物由来原料の場合は、例えば、ヒト又は異種哺乳動物由来の皮膚、血管、心臓弁膜、角膜、羊膜、硬膜等を含む軟組織、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、脳等を含む臓器、又は骨、軟骨、腱等を含む結合組織が原料として用いられる。生体組織から抽出する成分は、脂溶性成分であってもよいし、水溶性成分であってもよいし、これらの両方であってもよい。 なかでも、試料としては、不等毛藻類又は植物由来原料を用いることが好ましい。 不等毛藻類は、光合成を行わず、主に有機物を取り込んで成長する従属栄養性の特性を持つ。不等毛藻類は、DHA(ドコサヘキサエン酸)の含有量が高いことで知られており、栄養補助食品や化粧品原料として注目されている。不等毛藻類、特にオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)には、主に、DHA(ドコサヘキサエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)、スクワレン、及びカロテノイド類(アスタキサンチンやβ-カロテン等)などの脂溶性成分が含まれる。不等毛藻類の例は、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)の他、シュードコカレオス(Pseudococcolithus)、バイオルシウム(Biflagellates)、ディクティオスファエラ(Dictyocha)、及びフラグラータ(Flagellates)である。 また、植物由来原料としては、フラボノイド類やポリフェノール類などの水溶性成分を含有する植物が好ましい。例えば、アンザンジュ(Anastatica hierochuntica)は、エジプトなどの砂漠地帯に生息する植物であり、抗酸化活性を有するフラボノイド類を含有することが知られている。 深共晶溶媒の調整工程(ステップS1)は、水素結合アクセプターと水素結合ドナーを混合して深共晶溶媒を調整する工程である。深共晶溶媒とは、低融点の溶媒成分が水素結合を介して相互作用し、共晶混合物を形成することで得られる溶媒のことである。深共晶溶媒は、複数の化合物から構成され、各化合物の水素結合能力により、元となる各化合物よりも低い融点を持つという特性がある。特に、本願明細書において、深共晶溶媒とは、2つ以上の化合物を特定のモル比率で混合することで、1~30℃の室温にて液体となる溶媒であって、元の化合物よりも低い融点を示すものを意味する。 本発明では、深共晶溶媒の調整において、水素結合アクセプターとしては、アミノ酸又はその誘導体が選択され、水素結合ドナーとしては、糖、有機酸、又はアルコールが選択される。水素結合アクセプターの例は、プロリン(Proline)、L-アルギニン(L-Arginine)、L-セリン(L-Serine)、及びベタイン(Betaine)である。また、水素結合ドナーは、乳酸(Lactic acid)、スクロース(Sucrose)、キシリトール(Xylitol)、又は1,3-ブチレングリコール(1,3-butylene glycol)である。また、深共晶溶媒の調整において、第3成分として、水(精製水)をさらに添加することとしてもよい。第3成分として水を添加した場合は、水を添加しなかった場合と比べて、水素結合アクセプターと水素結合ドナーとの混合により深共晶溶媒が形成されるモル比の幅を広げることができる。深共晶溶媒の調製においては、水素結合アクセプターと水素結合ドナーを均一に混合し、深共晶溶媒を形成させるために加温攪拌することが好ましい。攪拌時の温度は、60~100℃又は70~90℃であることが好ましく、80~85℃であることが特に好ましい。攪拌時間は、30分~5時間又は1~3時間であることが好ましく、1.5~2.5時間であることが特に好ましい。 水素結合アクセプターと水素結合ドナーの組み合わせの第1例は、プロリンと1,3-ブチレングリコールの組み合わせである。第1例において、プロリンと1,3-ブチレングリコールのモル比は、1:2~1:6とすることが好ましく、1:5~1:6であることがより好ましい。 第2例は、プロリンと乳酸の組み合わせである。第2例において、プロリンと乳酸のモル比は、3:1~1:3とすることが好ましく、1:2~1:3とすることがより好ましい。 第3例は、L-アルギニンと乳酸の組み合わせである。第3例において、L-アルギニンと乳酸のモル比は、1:2~1:5とすることが好ましく、1:4~1:5とすることがより好ましい。 第4例は、L-セリンと乳酸の組み合わせである。第4例において、L-セリンと乳酸のモル比は、1:2~1:5とすることが好ましく、1:4~1:5とすることがより好ましい。 第5例は、ベタインと1,3-ブチレングリコールの組み合わせである。第5例において、ベタインと1,3-ブチレングリコールのモル比は、3:1~1:3とすることが好ましく、1:2~2:1とすることがより好ましい。 第6例は、ベタインとスクロースの組み合わせである。第6例において、ベタインとスクロースのモル比は、5:1~1:1とすることが好ましく、3:1~1:1とすることがより好ましい。 第7例は、ベタインとキシリトールの組み合わせである。第7例において、ベタインとキシリトールのモル比は、3:1~1:1とすることが好ましく、3:2~2:3とすることがより好ましい。 第8例は、ベタインと乳酸の組み合わせである。第8例において、ベタインと乳酸のモル比は、3:1~1:3であり、1:2~2:1とすることがより好ましい。 水素結合ドナーと水素結合アクセプターに加えて、第3成分として、さらに水を加えて深共晶溶媒を調整することが好ましい。水素結合ドナー及び水素結合アクセプターの混合物と水との比率は、重量比において、3:1~10:1とすることが好ましく、4:1~8:1又は5:1~7:1とすることが特に好ましい。 抽出工程(ステップS2)は、ステップS1で調整された深共晶溶媒に試料を浸漬させて、試料から成分を抽出する工程である。これにより、深共晶溶媒に試料の有効成分が溶解した抽出溶液(濾過前のもの)が得られる。深共晶溶媒は、1~30℃の室温で液体となる溶媒であるため、高温環境下(例えば80℃以上)としなくても試料からの成分抽出に用いることができる。ただし、深共晶溶媒の抽出能力を高めるために、深共晶溶媒を形成する個々の化合物が揮発等しない程度に加温することが好ましい。抽出工程における深共晶溶媒の温度は、35~90℃であることが好ましく、40~80℃であることが特に好ましい。具体的には、藻類や動物由来の脂溶性成分を抽出する場合は35~60℃であることが好ましく、40~50℃であることが特に好ましい。一方、植物由来の水溶性成分を抽出する場合は60~90℃であることが好ましく、70~85℃であることが特に好ましい。また、試料を深共晶溶媒に浸漬させる時間(抽出時間)は、30~240分であることが好ましく、60~180分又は90~120分であることが特に好ましい。 濾過工程(ステップS3)は、ステップS2で得られた抽出溶液を濾過することにより、この抽出溶液から抽出残渣等の不溶成分を除去する工程である。濾過工程では、まず、ステップS2の抽出完了の直後に、粗目の濾紙を用いて抽出残渣を分離すると良い(一次濾過)。この一次濾過で用いる濾紙の目開きは、例えば1~10μm、特に5~8μmとすると良い。次に、抽出溶液を12~48時間程度静置して、抽出溶液中に不溶成分を析出した後、細目のメンブレンフィルタにて吸引濾過し、不溶成分を除去する(二次濾過)。また、抽出溶液は、静置中に0~10℃、特に1~6℃に冷却しておくことが好ましい。この二次濾過で用いる細目のメンブレンフィルタとしては、目開きが0.3~1μm、特に0.35~0.5μmのものを用いると良い。さらに、二次濾過を経た濾液を、さらに細目のメンブレンフィルタにて滅菌濾過し、滅菌済み容器に充填する(三次濾過)。三次濾過で用いるさらに細目のメンブレンフィルタとしては、目開きが0.1~0.5μm、特に0.15~0.25μmのものを用いると良い。なお、三次濾過では、二次濾過よりも目開きの小さいメンブレンフィルタが