JP-2026077151-A - 自己注射型デバイス
Abstract
【課題】手に触れる部分を木材に置き換えたリユーサブルな自己注射型デバイスを提供する。 【解決手段】図1の左のものは、通常円筒型デバイスの外観図である。木製万年筆や家具の足のように、持ち手部分に少しふくらみを持たせた形状を示す。まっすぐな筒でも良い。中央のものは、持ち手楕円体型デバイスの外観図である。木部がオーバル形状になっており、自己注射の際に握りやすいデザインとなっている。右のものは、キャップ楕円体型デバイスの外観図である。楕円体の厚肉箇所で作れることを活かして、キャップをひねって開けるツイストキャップ構造を採用している。 【選択図】図1
Inventors
- 六車 惟
- 根本 孟
- 土井 淳史
Assignees
- zenius株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20241025
Claims (1)
- 自己注射型デバイスは、少なくとも木を含む材料で、少しふくらみを持たせた形状、まっすぐな筒、オーバル形状又は楕円体断面形状の持ち手部分を有する。
Description
本発明は、自己注射型デバイスに関し、特に手に触れる部分を木材に置き換えることで、環境負荷が低く、満足度・ユーザビリティが高く、さらにはアドヒアランスの向上を含めた、これらを包括するサステナビリティを実現する自己注射型デバイスおよびその製造方法に関する。 自己注射型デバイスには、大きく分けてカートリッジ式とディスポーザブル式の2種類が存在する。 完治しない病気や治療が長期間に及ぶ病気、例えば糖尿病といった疾患では、患者が恒久的に薬剤を投与し続ける必要がある場合、その際、自己注射型デバイスを使用することがある。普段から使い続けるものではあるが、医療デバイスは厳格な規制の下で製造される必需品であり、嗜好品ではない点でユーザには外観、あるいは機能を選択することは概ねできない。また、製造コストを抑えることも医療デバイスを多くのユーザに安定量を届けることに寄与しており、価格面でも医療デバイスを高級品にすることは本来の治療する目的を損ないやすく、市場のニッチさから、デバイスの見た目が無機質になりがちである。 また、これらのデバイスを小児から使用し続ける例も少なくない。彼らにとってデバイスの外観や投与操作の体験を含めた満足度は、治療の効果を十分に理解して使っている大人と比べて、アドヒアランスに影響を及ぼしやすく、薬の効能やデバイスの機能では解決できない部分で治療が進まない場合がある。 患者の心理的負担や生活の質(QOL)への影響も考慮すべきであるが、現状のデバイスでは十分に対応することは難しい。 前述のように、自己注射型デバイスは患者、とりわけ小児患者にとって心理的負担となり得る。デバイスの無機質なデザインや使い捨て文化は、患者の満足度やアドヒアランスを低下させる可能性があり、環境負荷の観点からも、従来のプラスチックや金属製のデバイスは課題があり、課題を包括するとサスティナビリティに課題がある。 一方で、木材は文化的・伝統的な価値、耐久性、手工芸的な美しさ、自然とのつながりなど、多くの魅力を持つ素材である。特に、子供に贈られる特別なものとして、木製の贈答品が多く存在する。しかし、医療機器に木材を使用することには、菌の繁殖リスクや製造工程におけるコンタミネーションの問題、コスト増加などの課題があり、これまで実現されてこなかった。 本発明は、これらの課題を解決し、手に触れる部分を木材に置き換えたリユーサブルな自己注射型デバイスを提供することを目的とする。これにより、エコロジー、満足度、ユーザビリティ、アドヒアランスを含めた広い意味でのサステナビリティを実現する。 ここで、従来の自己注射型デバイスとして、本体部分及び本体の一端に設けられた針を覆うキャップ部分を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。 この自己注射型デバイスは、キャップを外して自己注射するのに用いられる。 特開2013-234184号公報 図1は、自己注射型デバイスの外観図である。 本発明は、以下の手段により前記課題を解決する。 1.木材の使用:デバイスの持ち手部分やキャップ部分、親指で触るエンドキャップ部分に木材を使用する。また、前述の部品だけに限らず、他の部品に用いても良い。木材は適切な加工・処理を施すことで、耐久性は高められ、美観を伴う。 2.抗菌処理・コーティング:木材部分には抗菌性を持たせるために、抗菌塗装や抗菌コーティングを施しても良い。例えば、漆(ウルシオール成分)を用いたコーティングにより抗菌作用を付与する、などの方法でも良い。 3.製造方法の工夫:木材の加工には、粉末を樹脂に練り込んでフィラメント化し、FDM方式の3Dプリンタで成形する方法、薄くスライスした木材を巻き付けて樹脂含浸させる方法、成形合板や曲木の技術を応用する方法などを採用しても良い。 4.デザインの多様化:プラスチック射出成形では困難な厚肉形状や偏肉形状のものであっても、木材の加工方法であれば可能になる形状があるが、これにより、デバイスの形状を偏肉の円筒型、偏肉の楕円体型等といった形状でも良い。従来ではありえなかった重心位置を持ち手に近づけることで操作しやすくなったり、握りやすさやデザイン性を向上させることを可能にする。 5.バイオマスプラスチックの活用:他の木材以外の部品についても、可能な限り植物由来の割合の高いプラスチックを使用し、環境負荷を低減することへの組み合わせによる相乗効果は高い。木材があしらわれていることで、見た目に変化のないプラスチックのバイオマス化部品であっても、ユーザにわかりやすさを提供できる。 本発明によれば、以下の効果が得られる。 患者の心理的負担軽減:木材特有の温もりや質感、臭いなどにより、デバイスに対する親しみやすさが増し、患者の心理的負担が軽減される。 アドヒアランスの向上:愛着を持って使い続けられるデバイスにより、服薬アドヒアランスの向上が期待できる。 環境負荷の低減:化石燃料由来の素材を植物由来の木材やバイオマスプラスチックに置き換えることで、CO2排出量を削減し、環境に優しい製品となる。 デザイン性・カスタマイズ性の向上:木材を使用することでデバイスのデザイン性や高級感が増し、名入れや模様の彫刻などにより、よりパーソナルな贈り物としての価値が高まる。 ユーザビリティの向上:握りやすい形状や転がり防止形状など、使用者の利便性を高める工夫が可能である。 図1は、自己注射型デバイスの外観図である。 図1の左のものは、通常円筒型デバイスの外観図である。木製万年筆や家具の足のように、持ち手部分に少しふくらみを持たせた形状を示す。まっすぐな筒でも良い。 図1の中央のものは、持ち手楕円体型デバイスの外観図である。木部がオーバル形状になっており、自己注射の際に握りやすいデザインとなっている。 図1の右のものは、キャップ楕円体型デバイスの外観図である。楕円体の厚肉箇所で作れることを活かして、キャップをひねって開けるツイストキャップ構造を採用している。 (1)具体例 [1]インスリンペンの持ち手部分に木材を使用 1型糖尿病の小児患者に対して、インスリンペンのカートリッジ式デバイスの持ち手部分に木材をあしらったもの選択できる、選択肢を提供する。もし通常のものよりも満足度が高く使い続けることになれば、使い続けたことにより木材の表面に良い艶が生まれたりして、そのデバイスに独特の風合いが出て、より気に入って使い続けるきっかけを与えられる。 [2]後付けの木製スリーブ カートリッジ式のリユーサブルなものだけでなく、既存のデバイスに後付け可能な木製スリーブでも良い。これによりより手軽に持ち手部分を木材に変えることができる。このスリーブは、プラスチック側に自己注射デバイス特有の投与回数を表示させる窓部分を設ける形状でもよく、その場合は製造しやすく、ユーザが挿入もしやすい。このスリーブは円筒形状の内側があとから差し込める形になっていて、使用に影響が出なければどんな形でもよく、外側には指が掛けやすかったり、少ない力でも把持しやすい等の形状になっていても良い。 [3]着せ替え式デバイス また、既製品に後付けすり後付けスリーブではなく、持ち手部分の形状を取り替えられる着せ替え式のデバイスで、その着せ替えるパーツが木材であるものも含まれる。 (2)形状の変形例 リング形状のスリーブ:はさみのように指を通せるリング形状を設けても良い。注射時に手が滑りにくく把持を安定化させる。 多角形断面:断面を円や楕円率の低い楕円ではなく多角形でも良い。転がり防止効果を期待できる。 キャップ部分の木材化:キャップを木材で製造、または内側をプラスチック、外側を木材の二層構造としても良い。これにより耐久性とデザイン性を両立させる。 (3)木桶・曲げわっぱの技術の応用 曲げわっぱ方式:断面をC字型にした木材をプラスチック部分にはめ込んでも良い。無垢の塊から削り出すよりも木材使用量が少なく、C字型にする型を増やせば工数も少なく生産性が高く環境負荷も低い方法である。 スライス突板+樹脂含浸方式:紙のように薄くスライスした突板をくるくると軸に巻いてから樹脂を含浸させてから切削するなりして形状を整えて円筒を作っても良い。この方法であれば削り出す量を大幅に削減でき、曲げて固定する手間も不要である。 木桶方式:中心に穴が開いたスリーブ状ではなく、木桶のように短冊状の木材をプラスチック側に貼り付けるようにして作っても良い。上記曲げわっぱ式で我などが発生する場合の作り方である。例えば鉛筆製造時のように六角形断面とすれば木材のロスを低減できる。 (4)医療デバイス特有の課題とその解決策 菌の繁殖リスク:木材部分が菌の温床になり、治療を脅かすことがあるのであれば、抗菌性塗装や抗菌コーティングを施す。たとえば、木材部品に表面に漆塗りを施し、漆による抗菌作用(ウルシオール成分)を活用する。 製造工程におけるコンタミネーション:木材加工品を洗浄・滅菌可能な状態にし、次工程のクリーン度を侵さないように、樹脂含浸やコーティングにより、木材表面を保護する。 コストの増加:量産性の高い製造方法(例:FDM3Dプリンタによる成形、曲げわっぱ技術の応用)を採用し、コストを抑える。 (結論) 本発明は、手に触れる部分を木材に置き換えたリユーサブルな自己注射型デバイスを提供するものであり、エコロジー、満足度、ユーザビリティ、アドヒアランスを含めたサステナビリティを実現する。医療デバイス特有の課題を解決しつつ、患者のQOL向上と環境負荷の低減に貢献する本発明は、医療業界に新たな価値をもたらすものである。 本発明のデバイスは、医療分野において広く利用可能である。特に、自己注射型デバイスを必要とする小児患者や長期治療患者に対して、心理的負担の軽減や使用の満足度向上によるアドヒアランスの向上、さらに環境負荷の低減を兼ね備えた、治療行為を超えたサスティナブルな製品である。