JP-2026077268-A - 絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法および絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手
Abstract
【課題】絶縁性被膜を有する金属板を3枚以上積層した積層部も溶接可能な、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法およびスポット溶接継手を提供する。 【解決手段】少なくとも片面に絶縁性被膜を有する金属板を3枚以上積層した積層部に対してスポット溶接を行う、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法およびスポット溶接継手であって、(a)積層部に対するスポット溶接の溶接予定位置に、積層部を貫通する導電用の貫通孔を設けるとともに、(b)該貫通孔に、積層部厚さと略同じ長さを有し、2本の電極間で導電路の一部となるフィラーワイヤを配置して、スポット溶接を行う、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法およびスポット溶接継手が提供される。 【選択図】図1
Inventors
- 宮▲崎▼ 康信
- ▲徳▼永 仁寿
- 富士本 博紀
- 上川畑 正仁
Assignees
- 日本製鉄株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20241025
Claims (7)
- 少なくとも片面に絶縁性被膜を有する金属板を3枚以上積層した積層部に対して、該積層部を前記金属板の積層方向から2本の電極で挟み、該電極間に加圧しながら電流を流してスポット溶接を行う、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法であって、 (a)前記積層部に対する前記スポット溶接の溶接予定位置に、前記積層部を貫通する導電用の貫通孔を設けるとともに、 (b)該貫通孔に、前記積層部厚さと略同じ長さを有し、前記2本の電極間で導電路の一部となるフィラーワイヤを配置して、 前記スポット溶接を行う、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法。
- 前記電極は、先端に曲率半径が15mm以上100mm以下の曲率を有する、請求項1に記載の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法。
- 前記貫通孔を含まない前記積層部を所定の加圧力により前記電極で加圧したときの接触面の直径を初期接触径とするとき、 前記貫通孔の直径を、1.0mm以上、前記初期接触径以下とする、請求項1または請求項2に記載の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法。
- 前記フィラーワイヤの直径は、前記貫通孔の中心軸と該フィラーワイヤの中心軸とを重ね合わせたときに該中心軸に垂直な断面で想定される前記貫通孔内周と該フィラーワイヤ外周との間の環状のクリアランスの幅が、0.1mm以上0.3mm以下となる直径とする、請求項3に記載の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法。
- 前記フィラーワイヤの長さは、前記貫通孔の長さより長く、かつ該長さの差分に対応する前記フィラーワイヤの部分の体積が前記クリアランスの体積より小さい、請求項4に記載の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法。
- 少なくとも片面に絶縁性被膜を有する3枚以上の金属板が積層された積層部に、貫通孔が設けられて、2本の電極間でスポット溶接された、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手であって、 前記スポット溶接継手の表層部における板厚方向断面に、前記スポット溶接時の導電用の前記貫通孔およびフィラーワイヤの痕跡を残す、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手。
- 前記貫通孔の痕跡の直径は、前記スポット溶接後に前記積層部の外表面に前記電極の押圧痕として現れる圧痕の直径を圧痕径とするとき、0.9mm以上、前記圧痕径以下である、請求項6に記載の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手。
Description
本発明は、絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法および絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手に関する。 金属製構造体にあっては、絶縁、耐食性や外観の向上のために塗膜等の絶縁性被膜を設けることが各方面に渡り多種多様に用いられている。金属板を用いて金属製構造物を製作する場合、その組み立てに必要となる接合方法として抵抗溶接が多く用いられる。抵抗溶接としては、例えば重ねスポット溶接が挙げられる。 しかし、金属製構造物では重ねられた金属板の表面にも被膜を付与する後工程のコストは金属板に予め被膜を付与しているものを組み立てるのに比べ価格が上がってしまう。そのため、予め被膜を付与している金属板を用いての構造体の組み立てが望まれる。そして被膜の多くは絶縁性である。こうした場合の接合方法としては、絶縁性被膜があるために通電せず抵抗溶接が行えないため、リベット、ボルトナット、またはネジ等の副資材による接合方法が多く用いられる。 ところで、特許文献1には、図6に示すように、絶縁性被膜を有する金属板の接合ではないが、リベット接合強度の改善を目的として、リベットを通電加熱して軟化させ、塑性変形させることで板材をかしめる、スポット溶接にも類似する発明が開示されている。具体的には、同文献記載の発明では、まず、軸部54aと頭部54bとを有する金属製のリベット54を、重ねられた複数の板材51の通し穴52に挿通させる。次に、リベット54を一対の電極56の間に挟んで加圧・通電することで軸部54aの先端を塑性変形させて形成した変形部54cと、頭部54bとの間で、板材51を挟持する(かしめる)。さらに、加圧とともに通電することで、リベット54に抵抗発熱を生じさせてリベット54の内部に溶融部を形成した後、冷却することで溶融凝固部54dを生じさせる。 絶縁性被膜を有する金属板の接合の問題に戻ると、上記のような接合方法は、構造物表面において副資材が突起部となる不具合がある。そこで、絶縁性被膜が付与されている金属体でも抵抗溶接するための方法が考えられている。 例えば特許文献2では、図7に示すように、両面に塗装被膜61a、61bを有する鋼板61と両面に塗装被膜62a、62bを有する鋼板62を重ね合わせた重合部の片面側からシリーズスポット溶接をほどこす溶接方法が提案されている。同文献に記載のシリーズスポット溶接は、具体的には次のようにして行われる。まず、バックバー63上に塗装鋼板61、62の重合部を重ね、さらに電極加圧面側に非塗装鋼板65を重ね合わせる。そのうえで、電極64a、64bを接触させて、バックバー63と電極64a、64bとの間で、塗装鋼板61、62および軟鋼板65を挟み込み、これらを加圧する。さらに電極64a、64bに溶接電流を印加すると、溶接電流は、まず溶接電流ループA1を形成して軟鋼板65を流れ、次第に軟鋼板65を加熱する。その結果これに隣接する塗装被膜61aが破壊される。塗装被膜61aの破壊が完了すると軟鋼板65と鋼板61とは導通状態となるので、溶接電流は軟鋼板65を通過して鋼板61に達し、鋼板61において溶接電流ループA2を形成する。溶接電流ループA2により、今度は鋼板61が加熱されはじめ、加熱温度が所定の温度に達すると塗装被膜61bを、さらには鋼板62の塗装被膜62aまでも順次加熱破壊して鋼板61と鋼板62とを電気的に導通状態とする。その結果、鋼板62において溶接電流ループA3が形成され、以下同様にして塗装被膜62bをも破壊されて、結局バックバー63との間において溶接電流ループA4が形成されるような溶接が行われる。なお、溶接電流は、鋼板61を通過して鋼板62に至り、溶接電流ループA3を形成する。これにより鋼板61と鋼板62の間の、電極直下においてナゲットを形成することができる。したがってバックバー63の第一の役割は、電極64aおよび64bに加えられた加圧力を支え、鋼板65、61、62を密着させることである。このためバックバーは必ずしも良導電体である必要はない。さらに、重合部の構造として電極64aおよび64bに加えられた加圧力を支えることができれば、バックバー63は必ずしも必要としない。 特開2021-154375号公報特開昭56-151183号公報 本発明の実施形態に係る絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法を、部分断面図で模式的に説明する図である。本実施形態に係る電極について、先端形状がフラットな場合と曲率を有する場合とで、被溶接材表面との接触状態に及ぼす影響の違いを、電極傾斜の外乱因子も含め、部分断面図で模式的に示す図である。本発明に至る前に、絶縁性被膜を有する金属板の積層部に導電用の貫通孔を設け、該貫通孔にフィラーワイヤを挿入せずにスポット溶接を行ったときに形成されたナゲットの健全性を確認した予備試験結果を説明する図である。本発明の実施形態に係る、貫通孔とフィラーワイヤとのクリアランスが比較的小さく、溶接電流が低めの場合の、スポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。本発明の実施形態に係る、貫通孔とフィラーワイヤとのクリアランスが比較的小さく、溶接電流が中程度の大きさの場合の、スポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。本発明の実施形態に係る、貫通孔とフィラーワイヤとのクリアランスが比較的小さく、溶接電流が適正な場合の、スポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。図4Cとほぼ同じ溶接条件としつつ、フィラーワイヤ径を細くしてクリアランスをやや広げた場合の、本発明の実施形態に係るスポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。図4Cとほぼ同じ溶接条件としつつ、貫通孔径を大きくしてクリアランスを広げた場合の、本発明の実施形態に係るスポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。図4Eと同じクリアランス条件としつつ、溶接電流を高めた場合の、本発明の実施形態に係るスポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。図4Eとほぼ同じ溶接条件としつつ、フィラーワイヤ径を細くしてクリアランスを広くした場合の、本発明の実施形態に係るスポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。図4Gと同じクリアランス条件としつつ、溶接電流を高めた場合の、本発明の実施形態に係るスポット溶接部の断面写真の一例を示す図である。スポット溶接継手の貫通孔およびフィラーワイヤの痕跡ならびに電極の圧痕の表面写真の例を、(A)図4Gのスポット溶接継手の表側および(B)同継手の裏側について、それぞれ示す図である。従来技術に係るリベット接合継手構造の製造方法を、工程順に部分断面図で示す図である。他の従来技術に係る塗装板の溶接方法を部分断面図で示す図である。 以下、本発明の絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法および絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接継手について、その実施形態を詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。 本実施形態に係る絶縁性被膜としては、典型的には塗装金属板の塗膜が例示できるが、これに限定されない。絶縁性被膜の絶縁性評価試験としては、例えば、絶縁性被膜を有する金属板1枚を、先端曲率半径40mmの電極を用いて挟み込み、加圧しながら電流1Aを流す試験を行い、電極間抵抗値を測定する。この抵抗値は加圧力に依存し、加圧力が高くなるほど小さくなる傾向を示す。本実施形態では、加圧力が2kNのときの電極間の平均抵抗値が概ね200mΩ以上となる被膜を絶縁性被膜とする。なお、この方法により板厚1.6mmの冷延鋼板SPCC(JIS G 3141)を測定すると、電極間抵抗値は概ね1mΩであった。 本実施形態に係る金属板としては、典型的には軟鋼板から高強度鋼板までの普通鋼板が例示できるが、これに限定されない。スポット溶接されることのあるステンレス鋼板、電磁鋼板、ニッケル板、チタン板等も、少なくとも片面に絶縁性被膜が形成されている限り対象となる。 (本発明に至る経緯) スポット溶接の溶接条件決定のために、外径16mmのDR形、先端径6mm、先端曲率半径40mmのキャップチップを有する電極で、ある絶縁性被膜を有する鋼板を挟み、2kNで加圧して1Aの電流を流したとき、約400mΩの抵抗値を示したとする。本発明者らが、この鋼板1枚を、上記と同じ電極を用いて加圧力3.4kNで挟み、アップスロープ2サイクル(電源周波数50Hz)(以下、周波数記載省略)、通電時間3サイクル、設定電流値1kAで、溶接を試みたときは、スポット溶接用電極間で通電した。しかし、溶接条件は変えずに、鋼板を2枚重ねにしてスポット溶接しようとすると、無通電エラーとなった。ここで無通電エラーとは、設定された条件で溶接シーケンスが終了しても、溶接するのに有効な電流が流れなかった際に、溶接電源が出すエラーのことである。さらに、この鋼板を8枚重ね、同様の溶接条件でスポット溶接を試みたが、満足できる結果は得られなかった。具体的な失敗例を挙げると、被膜一枚を突破した電流が、電極位置から離れた切断端面の被膜の無い切断エッジで、上下鋼板が僅かに短絡している部位に流れ、一部を溶損する等したが、電極直下の鋼板間に溶融凝固部を形成できなかった例、等がある。 本発明者らは、上記の切断端面での通電にヒントを得て、試みに上記の絶縁性被膜を有する鋼板を8枚重ね、さらに直径2mmの貫通孔を形成し、その貫通孔を狙ってスポット溶接を行った。その際の溶接条件は、加圧力3.5kN、アップスロープ3サイクル後の通電時間7サイクルで1.6kAの予備通電をし、2サイクルの冷却後、3サイクルの4.4kAの溶接通電である。このとき溶接できた溶接部の断面写真を図3に示す。この断面写真から、溶融凝固した金属は、鋼板の溶融境界に集まり、中央に大きな空洞が形成されているのが分かる。このように内部の空洞があまり大きいと、継手強度の低下が懸念される。また、圧痕部の窪み深さであるインデンテーションがかなり深くなっていることも分かる。このような状況から、もう少し大きなナゲットを形成しようとすると、電極のキャップチップ先端が、重ねた鋼板内に入り込んでしまい、良好なスポット溶接ができなくなると推定される。 そこで、本発明者らは、通電用に形成した貫通孔に溶接前にフィラーワイヤを差し込んで溶接し、貫通孔によるメタル欠損を抑制することを考えた。鋼板と差し込んだフィラーワイヤの両者を通電加熱により溶融し、一体化することで健全な溶接部を形成できるはずである。 なおフィラーワイヤは、完全にストレートである必要はない。例えば溶接用のマイクロワイヤ(ソリッドワイヤ)はスプールに巻き付けられて市販されているが、その線癖(巻き癖)を矯正せず、線癖がある方が、貫通孔から滑り落ちず、扱いやすい。フィラーワイヤの装填は、具体的には、積層した鋼板に設けた貫通孔に、フィラーワイヤを挿入し、鋼板表面においてニッパ等で切断すればよい。 試みに、上記のような試験体をスポット溶接機の電極で挟みこみ、スポット溶接を行った。その結果、広い電流値、したがって広いナゲット径の範囲で良好な溶接が可能であることが分かった。 次に、以上のような経緯によりなされた本発明について、詳細に説明する。 (絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法) 本発明の実施形態に係る絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法では、図1に示すように、少なくとも片面に絶縁性被膜を有する金属板1、2、3、・・・、nを、n≧3の枚数積層した積層部10に対してスポット溶接を行う。 本実施形態では、「本発明の実施形態に係る絶縁性被膜を有する金属板」を単に「本実施形態に係る金属板」と、また、「本発明の実施形態に係る絶縁性被膜を有する金属板のスポット溶接方法」を単に「本実施形態に係るスポット溶接方法」という場合がある。 本実施形態に係るスポット溶接方法での積層部10の金属板積層枚数nを3枚以上とするのは、絶縁性被膜を有する金属板が2枚まで