JP-2026077356-A - ヌクレオチド濃度測定方法及びヌクレオチド濃度測定システム
Abstract
【課題】RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度を簡易的に測定することが可能な、測定方法及び測定システムを提供する。 【解決手段】RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度を測定する方法であって、RNAを含むサンプル又はRNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプルに対して光を照射し、出射光に関する実測スペクトルデータを得る、光照射工程と、前記実測スペクトルデータについて、あらかじめ取得しておいた各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータを用いた演算を行うことにより、各ヌクレオチドの濃度を導出する、演算工程と、を含む、ことを特徴とする、ヌクレオチド濃度測定方法。 【選択図】図1
Inventors
- 小鑓 卓朗
- 小田桐 広和
- 齋藤 広介
- 嶋田 和人
Assignees
- デクセリアルズ株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20241025
Claims (7)
- RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度を測定する方法であって、 RNAを含むサンプル又はRNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプルに対して光を照射し、出射光に関する実測スペクトルデータを得る、光照射工程と、 前記実測スペクトルデータについて、あらかじめ取得しておいた各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータを用いた演算を行うことにより、各ヌクレオチドの濃度を導出する、演算工程と、 を含む、ことを特徴とする、ヌクレオチド濃度測定方法。
- 前記実測スペクトルデータ及び前記参照スペクトルデータが、透過光に関するスペクトルデータ、反射光に関するスペクトルデータ、又はその両方である、請求項1に記載のヌクレオチド濃度測定方法。
- 前記実測スペクトルデータ及び前記参照スペクトルデータが、200nm以上300nm以下の波長範囲のデータである、請求項1に記載のヌクレオチド濃度測定方法。
- RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度を測定するためのシステムであって、 RNAを含むサンプル又はRNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプルを保持可能な、サンプル保持部と、 前記サンプル保持部に保持されたサンプルに対して光を照射可能な、光照射部と、 前記サンプルに対して光を照射した際の出射光を受信可能な、受光素子と、 前記受光素子が受信した出射光に関する実測スペクトルデータを作成する、データ作成部と、 各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータをあらかじめ搭載可能であり、前記データ作成部で作成された実測スペクトルデータについて、前記参照スペクトルデータを用いた演算を行うことにより、各ヌクレオチドの濃度を導出する、演算モジュールと、 を備える、ことを特徴とする、ヌクレオチド濃度測定システム。
- 前記光照射部が、サンプルに照射される光の波長を限定するためのバンドパスフィルタを有する、請求項4に記載のヌクレオチド濃度測定システム。
- 前記実測スペクトルデータ及び前記参照スペクトルデータが、透過光に関するスペクトルデータ、反射光に関するスペクトルデータ、又はその両方である、請求項4に記載のヌクレオチド濃度測定システム。
- 前記実測スペクトルデータ及び前記参照スペクトルデータが、200nm以上300nm以下の波長範囲のデータである、請求項4に記載のヌクレオチド濃度測定システム。
Description
本発明は、ヌクレオチド濃度測定方法及びヌクレオチド濃度測定システムに関する。 DNA、RNA等の核酸は、生体における遺伝子情報の蓄積又は処理などを担う物質である。このような核酸を確認する方法として、いくつかの手段が存在する。 例えば、核酸の配列又は構造を決定する手段としては、次世代シーケンシング、NMR(核磁気共鳴)などが挙げられる。また、核酸の濃度を測定する手段として、波長260nmにおける吸光度の検量線を作成することによる定量化が挙げられる。かかる定量化は、核酸全体として波長260nmに吸収極大を持つことに着目した技術である。そして、上述したいずれの手段も、それぞれ既に製品化に至っている。 上述したもののほか、特許文献1は、表面増強ラマン分光法(SERS)によって検出可能な改変分子ビーコンを用い、サンプル中の特定の核酸配列を検出又は同定する技術を開示している。かかる特許文献1では、具体的には、サンプル核酸における標的ヌクレオチド配列の存在又は不存在を決定する方法が開示されている。 また、特許文献2は、DNA/RNA二重鎖のDNA鎖にニック形成し、その生成物を増幅するプロセスに基づいて、サンプル中の標的RNA配列を検出する技術を開示している。 また、特許文献3は、DNA及び/又はRNAを含むサンプルの分光光度計データを分析するための、コンピュータ実行方法を開示している。この方法では、具体的には、アデニン-チミン(AT)、グアニン-シトシン(GC)、アデニン-ウラシル(AU)から選択される塩基対の含有量が測定される。 特表2007-503581号公報特表2023-553860号公報特表2014-512517号公報 各ヌクレオチドについての、波長と透過率の関係を表すスペクトルデータである。AMP濃度と透過率の関係を表すデータである。各ヌクレオチドの濃度についての、理論値と演算値との関係を表すデータである。 以下、本発明の概要を説明した上で、本発明のヌクレオチド濃度測定方法及びヌクレオチド濃度測定システムを、実施形態に基づき詳細に説明する。 <発明の概要> RNAは、4種の塩基(アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U))のヌクレオチドが連結した構造を有しており、生体内において様々な生理機能のコントロールに関わる物質である。そして、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、RNAを構成する4種のヌクレオチドごとに、光を照射した際の出射光のスペクトル形状が異なることを知見した。 なお、ヌクレオチドとは、塩基に対し、糖及びリン酸が結合した物質である。また、RNAを構成する各ヌクレオチドは、上述した4種の塩基のヌクレオチドであり、具体的には、アデニル酸(別称:アデノシン-リン酸、Adenosine monophosphate、「AMP」)、グアニル酸(別称:グアノシン-リン酸、Guanosine monophosphate、「GMP」)、シチジル酸(別称:シチジン-リン酸、Cytidine monophosphate、「CMP」)、ウリジル酸(別称:ウリジン-リン酸、Uridine monophosphate、「UMP」)の4種である。 上述した知見に関連し、本発明に至るまでのアプローチ及び本発明の実質的な原理について説明する。 図1は、本発明者らの鋭意の実験により採取した、各ヌクレオチド(AMP、GMP、CMP、UMP)についての、透過光に関するスペクトルデータ(波長と透過率の関係を表すスペクトルデータ)である。より具体的に、図1の左上の図は、AMPの濃度が調整されたサンプル(0.025mg/mL、0.05mg/mL、0.075mg/mL、及び0.1mg/mLの4点)について、光を照射し、その応答の一つである透過率のスペクトルを示したものである。また、図1の右上の図は、GMPの濃度が調整されたサンプル(0.025mg/mL、0.05mg/mL、0.075mg/mL、及び0.1mg/mLの4点)について、光を照射し、その応答の一つである透過率のスペクトルを示したものである。また、上記と同様に、図1の左下の図は、CMPに関する透過率のスペクトルを示したものであり、図1の右下の図は、UMPに関する透過率のスペクトルを示したものである。図1に示すように、4種のヌクレオチドは、それぞれ固有のスペクトル形状を有していること、また、濃度依存的なピーク強度の変化、ひいては波形の変化を示すことが、本発明者らの実験により確認された。 図2は、AMPを一例として挙げ、図1に示す透過光のスペクトル(波長と透過率の関係を表すスペクトルデータ)について、AMP濃度と透過率の関係を表すデータへとプロットの書き換えを行ったものである。図2より、抽出した波長ごとに、良好な濃度依存性が見られた。また、図示しないが、GMP、CMP、UMPについても、同様に良好な濃度依存性が見られた。 続いて、かかる濃度依存性に基づき、以下の実験を行った。まず、各ヌクレオチド(AMP、GMP、CMP及びUMP)の濃度をそれぞれ所定の値(理論値)に調整したヌクレオチド混合物を作製した。次いで、かかるヌクレオチド混合物に光を照射し、その応答の一つである透過率のスペクトルを実測した。この実測した透過率のスペクトルが、ランベルト=ベールの法則に基づき、所定濃度及び所定のヌクレオチドのスペクトルへと数学的に分離できるものと仮定し、図1に示されるような各スペクトルデータのうちのいずれによって構成されているかについて、演算を行った。そして、かかる演算により、AMP、GMP、CMP及びUMPの濃度の演算値を得た。また、AMP、GMP、CMP及びUMPの濃度の値(理論値)を複数通りに変更して調整した上で、上記と同様のスペクトルの実測及び演算を複数行った。 図3は、各ヌクレオチドの濃度の理論値と、上述した複数の演算により得られた濃度の演算値との関係を表すデータである。なお、図3において、全プロット数は200である(つまり、ヌクレオチド混合物のサンプル数は50である)。かかるデータから分かる通り、各ヌクレオチドの濃度の演算値が、理論値との良好な相関性を示す結果となった(4種のヌクレオチドのいずれも、決定係数R2が0.957以上であった)。このことから、上述した仮定は実質的に正しいことと判断された。即ち、サンプル中に4種のヌクレオチドが併存していても、各ヌクレオチドの光照射の応答は、他のヌクレオチドの影響が無いか又は極めて小さいものと考えられた。 本発明のヌクレオチド濃度測定方法及びヌクレオチド濃度測定システムは、上述した知見及び実質的な原理に基づき、測定対象サンプル(RNA又はヌクレオチド混合物)のスペクトルデータを採取し、かかるスペクトルデータについて演算を行うことで、RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度、又は混合物における各ヌクレオチドの濃度を確認することを可能にするものである。かかる測定方法及び測定システムは、前処理などの煩雑な手順が必須ではなく、また、NMRなどの大型機器を用いる必要もないため、RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度を簡易的に測定することができる。また、かかる測定方法及び測定システムは、言うまでもなく、各ヌクレオチド(4種のヌクレオチド)の構成比の確認も可能にするものである。 なお、上述の説明では、透過光に関するスペクトルデータを用いたが、用いるスペクトルデータは、光を照射したときの応答(出射光)に関するスペクトルデータであれば、特に限定されない。例えば、透過光に関するスペクトルデータを用いてもよく、反射光に関するスペクトルデータを用いてもよく、又は、その両方を用いてもよい。上述の知見を踏まえれば、理論上、反射光に関するスペクトルデータも良好な濃度依存性が見られ、各ヌクレオチドの濃度の測定を可能にし得るものと考えられる。 また、上述の説明で用いたスペクトルデータは、200nm以上300nm以下の波長範囲のデータであるが、着目する波長範囲のデータは、濃度依存性が見られる波長範囲であれば、特に限定されない。上述の知見を踏まえれば、理論上、200nm以上300nm以下の範囲以外の波長範囲のデータも、濃度依存性が見られ、各ヌクレオチドの濃度の測定を可能にし得るものと考えられる。 また、上述の説明では、測定対象サンプルとしてヌクレオチド混合物を用いたが、測定対象サンプルは、RNAそのものであってもよい。上述の知見を踏まえれば、RNAを含むサンプルを用いて得られるスペクトルデータは、当該RNAを(ヌクレアーゼ酵素などによって)あらかじめ分解したヌクレオチドを含むサンプルを用いて得られるスペクトルデータと、実質的に対応し得るものと考えられる。つまり、測定対象サンプルとしてRNAそのものを用いたとしても、当該RNAを構成する各ヌクレオチドの濃度の測定を可能にし得るものと考えられる。 <ヌクレオチド濃度測定方法> 本発明の一実施形態に係るヌクレオチド濃度測定方法(以下、「本実施形態の測定方法」)は、上述した原理に基づいた、RNAを構成する各ヌクレオチド((AMP、GMP、CMP、UMP))の濃度を測定する方法である。そして、本実施形態の測定方法は、RNAを含むサンプル又はRNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプルに対して光を照射し、出射光に関する実測スペクトルデータを得る、光照射工程と、前記実測スペクトルデータについて、あらかじめ取得しておいた各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータを用いた演算を行うことにより、各ヌクレオチドの濃度を導出する、演算工程と、を少なくとも含む、ことを特徴とする。 (光照射工程) 本実施形態の測定方法において、光照射工程は、RNAを含むサンプル又はRNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプル(各ヌクレオチドの濃度が未知のサンプル)に対して光を照射し、出射光に関する実測スペクトルデータを得る工程である。 光が照射されるサンプルは、RNAそのものを含むサンプルであってもよく、RNAに由来する各ヌクレオチドを含むサンプル、より具体的には、RNAを(ヌクレアーゼ酵素などによって)あらかじめ分解したヌクレオチドを含むサンプルであってもよい。また、上記サンプルとしては、RNA又はRNAに由来する各ヌクレオチドが所定の希釈率で調整されたものを用いてもよい。 サンプルに照射される光としては、特に限定されないが、紫外光(100nm以上400nm以下の波長範囲の光)、可視光(400nm超780nm未満の波長範囲の光)、赤外光(780nm以上1mm以下の波長範囲の光)、又は、これら紫外光、可視光及び赤外光を含む光が挙げられる。サンプルに照射される光は、特には、200nm以上300nm以下の波長範囲を含むことが好ましい。 実測スペクトルデータを得る対象の出射光は、透過光であってもよく、反射光であってもよく、透過光及び反射光の両方であってもよい。 光照射工程における光照射の条件は、あらかじめ参照スペクトルデータ(後述)を取得する際の光照射の条件と、実質的に同一であることが好ましい。 出射光に関する実測スペクトルデータの取得は、常法に従って行うことができる。例えば、分光光度計等の装置を用い、実測スペクトルデータを取得することができる。 (演算工程) 本実施形態の測定方法において、演算工程は、光照射工程で得られた実測スペクトルデータについて、あらかじめ取得しておいた各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータを用いた演算を行う工程である。 あらかじめ取得しておいた「各ヌクレオチドの濃度ごとの出射光に関する参照スペクトルデータ」とは、要するに、図1に示されるようなスペクトルデータである。例えば図1には、4(ヌクレオチドの種類)×4(濃度)=16個の参照スペクトルデータ(透過光に関するスペクトルデータ)