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JP-2026077399-A - 植物体の生産方法、植物体の生産用装置、植物体、植物体の生産用のプラズマ処理水

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Abstract

【課題】ジャスモン酸応答系の病害虫に対する抵抗性を誘導した植物体の生産方法等を提供する。 【解決手段】窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで、プラズマ処理水を調製する工程と、前記プラズマ処理水を、植物体に接触させる工程とを有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された前記植物体の生産方法。 【選択図】図1

Inventors

  • 河野 智謙
  • 玉井 鉄宗

Assignees

  • 公立大学法人北九州市立大学
  • 学校法人 龍谷大学

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20241025

Claims (8)

  1. 窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで、プラズマ処理水を調製する工程と、前記プラズマ処理水を、植物体に接触させる工程とを有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された前記植物体の生産方法。
  2. 前記プラズマ処理水が、プラズマ処理による窒素酸化物を含めた窒素由来活性種を含有する、請求項1に記載の生産方法。
  3. 前記気体が、空気である、請求項1または2に記載の生産方法。
  4. 窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで、プラズマ処理水を調製するプラズマ処理水調製部と、 前記プラズマ処理水を、植物体に供給する供給手段とを有する、 ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された前記植物体の生産用装置。
  5. 前記供給手段が、前記植物体を配置した容器に、前記プラズマ処理水を供給することで、前記植物体と、前記プラズマ処理水とを接触させるものである請求項4に記載の生産用装置。
  6. 前記供給手段が、前記プラズマ処理水を散布するものである、請求項4に記載の生産用装置。
  7. ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された植物体。
  8. プラズマ処理による窒素酸化物を含む窒素由来活性種を含有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された植物体の生産用のプラズマ処理水。

Description

本発明は、植物の病害虫に対する抵抗性遺伝子の発現の誘導を通じて植物の病虫害防除する植物体の生産方法等に関する。 農作物などの植物の病虫害対策には主に化学的防除が採用されている。化学的防除には、病害発生初期に殺虫剤や殺菌剤などの病虫害を殺傷することによって防除をするものが主流であったが、環境への影響や残留する化学物質の問題から、より少ない化学物質散布量で効果を発揮する病害発生前における予防薬の散布技術が広く利用されるようになった。 これは、日本で開発されたイモチ病予防薬プロベナゾールやスイスで開発されたBTH(ベンゾチアジアゾール)系のアンベジゾラルSメチルなどが、植物が本来もつ病原微生物に対する抵抗性遺伝子の発現を予防的に誘導する手法である。一方、そのような予防試薬にもある程度の残留性や環境への流入の問題は残るため、残留性のある農薬に依存しない病原抵抗性遺伝子の誘導技術が望まれている。 一般に植物の病原抵抗性遺伝子(PR遺伝子)群には、生体内での誘導反応に関与する生体防御ホルモンの種類によって(1)サリチル酸応答系(活性酸素の生成を伴う)と(2)ジャスモン酸(およびエチレン)に応答する系に大別できる。 特許文献1は、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、含酸素有機ラジカル種の中から選択された時間的に挙動の異なる第1の活性酸素種と第2の活性酸素種とを含有し、これら第1及び第2の活性酸素種は、一方は他方に対して比較的反応性が低く、且つ、長時間保持機能させることができるものであり、同活性酸素種のもつ酸化還元力を植物体の細胞外より植物細胞内へ到達させることで、前記植物細胞内でレドックス反応を惹起し、病原抵抗性遺伝子を発現させる活性酸素含有水を開示している。この技術は、農薬を利用せずに、植物の病原抵抗性遺伝子の発現を誘導する技術として、サリチル酸応答系のPR遺伝子の発現誘導を企図し、活性酸素を長時間発生させる光触媒反応水生成技術を活用した植物でのPR遺伝子発現技術に関する。 特許文献2は、紫外線光源と、アルミニウム繊維の表面に30nm以上の膜厚のアルミナ皮膜を形成してなる繊維状触媒体とを一定の間隙を保持して配設することにより、水流が繊維状触媒体の組織中を流出入するように構成したレドックス活性を有する生成装置に関する技術を開示している。 特許第5371060号公報特許第5493211号公報 本発明の生産方法の実施形態に関するフロー図である。植物体の病原抵抗性遺伝子群の発現に関する概要図である。植物体の病原抵抗性遺伝子群に関する概要図である。本発明の生産用装置の実施形態に関する概要図である。実施例の評価結果を示すグラフである。 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。 [本発明の生産方法] 本発明の生産方法は、窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで、プラズマ処理水を調製する工程と、前記プラズマ処理水を、植物体に接触させる工程とを有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された前記植物体の生産方法に関する。 [本発明の生産用装置] 本発明の生産用装置は、窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで、プラズマ処理水を調製するプラズマ処理水調製部と、前記プラズマ処理水を、植物体に供給する供給手段とを有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された前記植物体の生産用装置に関する。 [本発明の植物体] 本発明の植物体は、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された植物体に関する。 [本発明のプラズマ処理水] 本発明のプラズマ処理水は、プラズマ処理による窒素酸化物を含めた窒素由来活性種を含有する、ジャスモン酸応答性の病原抵抗性遺伝子群が活性化された植物体の生産用のプラズマ処理水に関する。 なお、本願において本発明の生産用装置により本発明の生産方法を行うこともでき、本発明の植物体は本発明の生産方法等により得ることができ、本発明のプラズマ処理水は本発明の生産方法に用いることができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。 本発明は、空気のように窒素と酸素を含む状況でプラズマに接触させた水に、大気由来の窒素を高濃度に固定し、窒素酸化物を含めた窒素由来活性種を含有するプラズマ処理水を製作し、このプラズマ処理水に植物体を接触させることで、ジャスモン酸応答性の植物の病原抵抗性遺伝子(PR遺伝子群)の発現を誘導する。 本発明者らは、実施例に後述する育苗中のイネ科植物にプラズマ処理水を添加することで、ジャスモン酸系のPR遺伝子群の発現を誘導できることを見出した。本発明はこの実験による知見に基づき、農薬に依存せず、水と大気中の窒素と酸素を原料に一過的に生成する窒素活性種および窒素酸化物を含むプラズマ処理水を生成することで、従来法ではできなかったジャスモン酸応答系の病原抵抗性遺伝子群の発現を強力に誘導する。本発明によれば、環境負荷の低い手法で農作物を病虫害から守ことができる。 [本発明の植物体の生産] 図1は、本発明の生産方法の実施形態に関するフロー図である。ステップS11は、水や窒素と酸素とからプラズマ処理水の調製を行う工程である。ステップS21は、プラズマ処理水を植物体と接触させる工程である。ステップS31は、病原抵抗性遺伝子群が活性化された植物体を得る工程である。 [ジャスモン酸応答系] 図2は、植物体の病原抵抗性遺伝子群の発現に関する概要図である。図3は、植物体の病原抵抗性遺伝子群に関する概要図である。植物体が病原に接すると、サリチル酸応答性のPR遺伝子(PR1a遺伝子など)の誘導が起こり病原体に対する抵抗性が得られる。他方で、植物体に食害が生じると、ジャスモン酸の下流で活性化されるPR遺伝子(PR1b遺伝子やPR4b遺伝子など)の発現の誘導が起こり病原体や害虫に対する抵抗性が得られる。酸性PR遺伝子にかかるサリチル酸応答性(サリチル酸系)のものと、塩基性PR遺伝子にかかるジャスモン酸系のものとは、拮抗関係にあり同時にはおこらない。 [プラズマ処理水の調製] プラズマ処理水は、窒素と酸素を含む気体と接する水をプラズマ処理することで調製することができる。このプラズマ処理を行うための、窒素と、水とがプラズマ処理されて窒素活性種および窒素酸化物を水中に溶解させることができる手法であればよい。例えば、プラズマ照射方式は大気圧プラズマとすることができる。例えば、電極で挟んだ流路に流れる窒素と酸素を含む気体と接している水に放電することでプラズマ処理することができる。放電で空気中の窒素、酸素および窒素酸化物がイオン化して水に溶け込む、イオン化した反応性に富む原子同士がさらに反応して寿命の短い活性中間体を作って水に溶け込む。 [プラズマ処理の対象] プラズマ処理は、窒素と酸素を含む気体と、水とが、接している状態に対して行う。この気体と水とが接している状態としては、ベンチュリ管などの気体の気相と水の液相との界面付近にプラズマ照射してもよいし、マイクロバブルやウルトラファインバブルなどの状態の気体の気泡を水中に分散させた状態でプラズマ処理するものとしてもよい。プラズマ処理により発生した窒素酸化物を含めた窒素由来活性種が、水の溶解度等に応じて溶解するが溶解度は限られ、微量でもその量に応じた効果が生じ、適宜、植物体への供給量や接触時間を調製することできる。このため、気体の量は限定的でも多量であっても、十分に水に窒素酸化物を含めた窒素由来活性種が溶け込むと考えられる。よって、気体と水との混合比率などの制限は設けなくてもよい。 窒素と酸素を含む気体は、高純度の窒素および酸素の混合気体でもよいし、窒素と他の酸素原子を含む気体を混合したものでもよく、窒素と混合する気体としては水蒸気などをあげることができ、例えば、空気などを用いてもよい。入手しやすさなどの観点から、空気を用いることが好ましい。また、気相と接する水については、水を構成するH2Oの元素は、プラズマ処理のとき、窒素と活性種を形成することに寄与すると考えられ、ジャスモン酸応答のための有効成分を形成していると考えらえる。このため、水の純度などは特に制限はなく、純水や、水道水、農業用水などを用いることができる。 なお、気体を接する水にプラズマ処理をすることで、プラズマ処理により生じた成分のうち、溶解性が低いものは、気体の気相に選択的に移動しやすい状態になると考えられる。このため、酸素元素が存在することで、オゾンなどが発生することも考えられるが、このオゾンは気相に移動するように分離され、プラズマ処理水におけるオゾン濃度は限定的なものとすることができると考えられる。 [プラズマ処理] プラズマ処理は、例えば実施例にも例示するような高周波電源を用いた大気圧プラズマ処理法などを用いることができる。この大気圧プラズマ処理法の場合、例えば、周波数10~1,000kHや、20~500kHz、50~300kHz程度の周波数のものなどを用いることができる。また、電圧は、0.5V~100Vや、1.0V~50V、2.0V~10V程度の電圧のものなどを用いることができる。また、パルス幅0.1μsec~50μsecや、0.2μsec~20μsec、0.5μsec~10μsec程度のパルス幅のものなどを用いることができる。 [窒素由来活性種] プラズマ処理水は、プラズマ処理による窒素酸化物を含む窒素由来活性種を含むものとすることができる。窒素由来活性種は、プラズマ処理によるラジカルやイオンなどを含み、本願においては、プラズマ処理により生成し、効果に寄与するものを包括して活性種と呼ぶものとする。これらの活性種は短時間で状態が変わるものもあるが、窒素由来活性種の含有量として、硝酸生成濃度を目安とすることができる。プラズマ処理水における硝酸生成濃度としては、10ppm以上や、20ppm以上、30ppm以上とすることができる。なお、硝酸生成濃度の上限は特に設けなくてもよいが、調製にかかる時間や、装置や運転条件の汎用性、安定性等の観点から、1,000ppm以下や、500ppm以下、200ppm以下などの上限を設けてもよい。 本発明に用いるプラズマ処理水が効果を奏する想定作用機序として、次のことが考えられる。窒素と酸素と水とがプラズマ処理することで、窒素酸化物を含めた窒素由来活性種が生成し、水に溶解しているものと考えられる。この窒素由来活性種は、ジャスモン酸応答系の遺伝子発現を阻むサリチル酸系の応答を促進する因子である活性酸素種の生成を抑えると考えられる。このように植物体内における活性酸素種に対して拮抗的に作用する窒素酸化物として、スーパーオキシドなどの活性酸素生成を打ち消すNOなどが知られている。なお、大気へのプラズマ照射下、窒素と酸素に由来しNOが発生する一連の反応機序は、Zeldovich機構として知られている。上記のようにNOと活性酸素種との反応により生じる派生種としては、過酸化亜硝酸イオン(ONOO-)などが知られる。本発明のプラズマ処理水は、安定な活性酸素種である過酸化水素の濃度も0.2ppm以下程度とすることができる。また窒素由来の成分は、アンモニア量は少なくてもよく、0.2ppm以下程度の検出限界以下とすることができる。 プラズマ処理水は、プラズマ処理を行って調製後、比較的、短時間で植物体と接触させることが好ましい。本発明の効果に寄与すると想定される窒素酸化物を含めた窒素由来活性種の内、反応性に富むものは、経時変化とともに、ジャスモン酸応答性への影響が低減する可能性がある。この