JP-2026077675-A - 高用量低体積のボツリヌス毒素による顔のシワの治療
Abstract
【課題】高用量低体積のボツリヌス毒素による顔のシワの治療の提供。 【解決手段】本発明は、少量の注射体積(例えば、0.05ml~0.35ml)を用いて高用量(例えば、50U~200U)のボツリヌス毒素を投与する顔のシワを治療するためのボツリヌス毒素の使用及び方法により、好ましい安全性プロファイルを維持したまま効果期間の延長、すなわち顔のシワのより長期間の改善を実現する。 【選択図】なし
Inventors
- ズザナ ロール
- マイク スラーデク
- トーリン ガイスター
- イレーナ ピュルテ
- ペトラ バイセンベルガー
- グートルーン クライン
Assignees
- メルツ・ファルマ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲーアーアー
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20260206
- Priority Date
- 20200605
Claims (15)
- 顔のシワを治療するためのボツリヌス毒素の使用であって、総計で50U~200Uの用量及び総計で0.05ml~0.35mlの体積のボツリヌス毒素を対象の顔面領域に注射して前記顔のシワを治療する、前記使用。
- 総計で50U~175U、又は60U~150U、又は70U~125U、又は75U~100Uの用量で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項1に記載の使用。
- 総計で0.10ml~0.35ml、又は0.10ml~0.30ml、又は0.15ml~0.35ml、又は0.15ml~0.30mlの体積で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項1又は2に記載の使用。
- 150U/ml~2000U/ml、又は200U/ml~1500U/ml、又は250U/ml~1000U/ml、又は300U/ml~800U/ml、又は350U/ml~600U/mlの濃度で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項1から3のいずれか1項に記載の使用。
- 3か所~8か所の注射点で前記ボツリヌス毒素が注射され、及び/又は各注射点に6U~50Uの用量で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
- 各注射部位に0.02ml~0.14ml、又は0.03ml~0.10ml、又は0.04ml~0.06mlの体積で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項5に記載の使用。
- 前記ボツリヌス毒素が額の横ジワ、眉間の表情ジワ、目元のシワ、目尻のシワ、鼻柱のシワ、ほうれい線、上唇のシワ、下唇のシワ、口角周囲のシワ、マリオネットライン、口元のシワ、口角、頤唇溝及び顎の梅干しジワの治療、特に額の横ジワ、眉間の表情ジワ、並びに目尻のシワを含む目元のシワの治療に使用される、請求項1から6のいずれか1項に記載の使用。
- 前記対象が、最大限顔をしかめた際に調査者が顔面シワ尺度(FWS)を用いてした評価に基づく中等度若しくは重度の眉間の表情ジワを有する又は重度の眉間の表情ジワを有する対象である、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用。
- 前記対象が女性の対象である、請求項1から8のいずれか1項に記載の使用。
- 前記ボツリヌス毒素が眉間の表情ジワの治療に使用され、且つ、総計で50U~150Uの用量及び総計で0.15ml~0.35mlの体積の前記ボツリヌス毒素が4点、5点、又は6点の筋肉内注射点に注射される、請求項1から9のいずれか1項に記載の使用。
- 前記ボツリヌス神経毒が、最大限顔をしかめた際に調査者が顔面シワ尺度(FWS)を用いてした評価に基づく中等度若しくは重度の眉間の表情ジワ又は重度の眉間の表情ジワの治療に使用され、且つ、(i)総計で70U~130Uの用量及び総計で0.15ml~0.35mlの体積、又は(ii)総計で80U~120Uの用量及び総計で0.15ml~0.25mlの体積で前記ボツリヌス毒素が注射される、請求項10に記載の使用。
- 前記ボツリヌス毒素が、ボツリヌス神経毒複合体又はボツリヌス神経毒複合体の神経毒成分であり、前記神経毒成分が前記ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)神経毒複合体の他のあらゆるタンパク質成分を欠いており、好ましくは前記ボツリヌス毒素が血清型Aのボツリヌス毒素である、請求項1から11のいずれか1項に記載の使用。
- 前記ボツリヌス毒素が2回の連続する治療セッションの間に6~9か月の間隔を空けて投与される、請求項1から12のいずれか1項に記載の使用。
- 顔のシワを治療するための方法であって、前記顔のシワを治療するために総計で50U~200Uの用量及び総計で0.05ml~0.35mlの体積のボツリヌス毒素を対象の顔面領域に注射することを含む、前記方法。
- 前記ボツリヌス毒素が請求項1から13のいずれか1項に記載されるように規定又は使用される、請求項14に記載の方法。
Description
技術分野 本発明は、概して、少量の注射体積で高用量のボツリヌス毒素を投与する顔のシワを治療するためのボツリヌス毒素の使用に関する。また、本発明は、少量の高濃縮ボツリヌス毒素溶液を使用して高用量のボツリヌス毒素を対象の顔面領域に注射することによって眉間の表情ジワなどの顔のシワを治療するための方法に関する。 本発明の背景 顔のシワを改善するためのボツリヌス毒素注射は、近年一般的になってきており、今では世界中で全ての美容術の中で最も人気がある。ボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)の嫌気性発酵によって生じる。数種類の異なるボツリヌス菌(C.botulinum)株が特定されており、それらの菌株は8種類の免疫学的に異なる血清型(A型~H型)を生み出す。 血清型Aと血清型Bがヒトに使用するために開発されており、ボツリヌス毒素血清型A調製物は世界中で最も広く使用されており、審美的用途のためにアメリカ食品医薬品局(FDA)により認可されている。現在ではオナボツリナムトキシンA(Botox(登録商標)/Vistabel(登録商標)、アラガン社、アーバイン、カリフォルニア州、米国)、アボボツリナムトキシンA(Dysport(登録商標)/Azzalure(登録商標)、イプセン社、パリ、フランス)、及びインコボツリナムトキシンA(Xeomin(登録商標)/Bocouture(登録商標)、メルツ・ファーマスーティカルズ社、フランクフルト、ドイツ)の3種類の主要A型ボツリヌス毒素製品が市場に存在する。 全ての血清型のボツリヌス毒素が、それらの天然の形態で安定な非共有結合による巨大分子タンパク質複合体としてボツリヌス菌により生産される。これらのタンパク質複合体は、活性のある150kDaの神経毒と毒性の無い神経毒結合タンパク質(NAP)から構成される。全ての150kDaの神経毒血清型が、ジスルフィド結合により接続される50kDaの軽鎖と100kDaの重鎖から構成される二鎖タンパク質にタンパク質分解により切断される単鎖タンパク質(約150kDa)として合成される。A型ボツリヌス菌培養物から単離されるこれらのボツリヌス神経毒NAP複合体は、NAPの組成に応じて分子量が変化し(300kDa~900kDa)、その分子量はさらに製造過程に依存する。 顔の表情に関係する筋肉の反復的な収縮と活動が、シワ、特に額のシワと目の周りのシワの形成における主要因子である。ボツリヌス毒素はシナプス間隙へのアセチルコリン放出を妨げ、そうして筋収縮に必要な横紋筋及び平滑筋のコリン作動性神経筋刺激伝達を防止する。したがって、ボツリヌス毒素は通常の顔の動きの結果である全てのシワ(力学的なシワ)を治療するために使用され得る。この目的のため、ボツリヌス毒素は、所望の美容効果の達成のため、例えば顔のシワを伸ばすために標的注射によって各筋肉に投与される。 しかしながら、ボツリヌス毒素はその意図した効果と共に幾つかの望まれない効果を生じさせることもある。例えば、注射体積及び/若しくはや注射用量、注射技術、又は針のサイズの結果としてこの神経毒は元の注射部位から近傍の筋肉へ広がり、それにより望ましくない麻痺作用が生じることがある。さらに、ボツリヌス毒素は免疫応答を誘導する可能性を有し、この免疫応答が二次的な無応答を引き起こし得る中和抗体の発生につながり得る。低用量を用いて治療される審美的適応症では免疫原性は大きな問題ではない可能性があるが、高用量を受容する対象、頻繁に投与を受ける(治療間隔が短い)対象、注射を多数回受ける対象、及び/又は長期間にわたって治療を受ける対象では免疫原性は問題になる可能性がある。したがって、中和抗体の発生を減らす又は無くすための臨床戦略が是認され、それらの戦略には最小有効用量を使用すること、及び前記治療間隔を最長許容注射間隔まで延長することが含まれる。 ボツリヌス毒素の効果は恒久的ではなく、むしろ神経終末の発芽及び新しいシナプス接合の形成のために時間と共に元に戻る。審美治療のため、これらの美容効果の臨床的減弱化は3~4か月以内に見られることが典型的である。したがって、所望の皮膚外観を維持するためにはボツリヌス毒素が3~4か月毎に再注射される必要がある。効果期間と、したがって2回の治療の間の時間は患者の満足度にとって重要な因子であり、治療間隔が長い方が概ねに望ましい。さらに、治療間隔が長くなるほど中和抗体形成の免疫原性リスクが低下する。これらの理由のため、治療間隔の延長につながり得る改変型治療計画を開発する努力がなされてきた。 例えば、女性の眉間のシワの治療に関するA型ボツリヌス毒素の以前の用量範囲決定試験では4種類の用量(10U、20U、30U、及び40U)のA型ボツリヌス毒素の有効性、安全性、及び効果期間が比較された。有害事象を増加させず、効果期間の用量依存的増加が、最大限顔をしかめた際の奏効率の用量依存的増加と同様に認められた。統計学的に有意な差が10Uの用量と40Uの用量との間に見られた。しかしながら、20Uの用量群、30Uの用量群、及び40Uの用量群の間では統計学的に有意な差がなかった。この研究の筆者らは、20Uは眉間のシワの治療に有効な用量であり、3~4か月が適切な治療間隔であるという結論をした(Carruthers et al., Dose-Ranging Study of Botulinum Toxin Type A in the Treatment of Glabellar Rhytids in Females, Dermatol. Surg. 2005, 31:414-422)。 男性での似たような試験では眉間のシワの治療に20U、40U、60U、及び80Uの用量のBoNT/Aが投与された。総合的には、最大限顔をしかめた際の奏効率と効果期間の両方に用量依存的な増加が存在した。これらの40U、60U、及び80Uの用量は、作用の程度と期間の両方に関して20Uよりも一貫して効果的であった(Carruthers A. and Carruthers, J., Prospective, Double-Blind, Randomized, Parallel-Group, Dose-Ranging Study of Botulinum Toxin Type A in Men with Glabellar Rhytids, Dermatol. Surg. 2005, 31:1297-1303)。 単一の適応症(眉間の表情ジワ)に限定した第II相用量範囲決定試験が2006年~2007年にメルツ社によって行われた(「複合タンパク質を含まないNT201の眉間の表情ジワの治療における最適用量を決定するための前向き無作為二重盲検プラセボ対照多施設臨床試験」)というタイトルのMRZ60201-0527試験)。プラセボに加えて試験した用量は10U、20U、及び30UのNT201(Xeomin(登録商標))であった。この試験ではレスポンダー率及び効果期間の用量依存的増加が見られた。これにもかかわらず、20Uの用量が以降の2つの重要なGFL試験(0724及び0741)用に選択された(例えば、オーストラリア薬品・医薬品行政局(TGA)、AusPARアタッチメント2、サブミッションPM-2012-04159-1-1、A型ボツリヌス毒素であるXeominの臨床評価レポート抜粋版、メルツ・オーストラリア、2014年を参照されたい)。 最大限顔をしかめた際に中等度から重度の眉間のシワができる30人の対象からなる最近の非盲検試験において、120UのアボボツリナムトキシンAを5等分したものを5か所の注射部位にそれぞれ注射した。120UのアボボツリナムトキシンAは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の第III相無作為プラセボ対照試験において使用された50Uの用量よりも長期間にわたって眉間のシワの低減に有意に有効であることが分かった(Joseph et al., Does Increasing the Dose of abobotulinumtoxina Impact the Duration of Effectiveness of the Treatment of Moderate to Severe Glabellar Lines?, J. Drugs Dermatol. 2016, 15(12):1544-1549)。 さらに、眉間の表情ジワ(GFL)の治療に関する近年の研究において新規A型ボツリヌス毒素製剤であるダキシボツリナムトキシンA(「DAXI」、レバンス・セラピューティクス社、ニューアーク、カリフォルニア州、米国)の有効性と安全性が評価されている。このDAXI製剤は、高度精製ダキシボツリナムトキシンA(RTT150、150kDaのA型ボツリヌス毒素)、高結合活性で神経毒に結合する特許権で保護された35アミノ酸からなる安定化ペプチド(RTP004)、並びにポリソルベート20(界面活性剤)、緩衝剤、及び糖を含む他の賦形剤から構成される。 第2相試験において、最大限顔をしかめた際に中等度又は重度の眉間のシワができる対象を無作為に20U、40U、若しくは60UのダキシボツリナムトキシンA、20UのオナボツリナムトキシンA、又はプラセボに割り当てた。注射点毎の注射体積は0.1mlであった。40Uと60Uの用量のダキシボツリナムトキシンAは、20Uの用量及び20UのオナボツリナムトキシンAと比較して長い効果期間を示した。60UのダキシボツリナムトキシンAの用量については望ましくないベネフィット・リスク評価になる有害作用の増加、特に眼瞼下垂のために試験をさらに続行しなかった(Carruthers et al., Injectable DaxibotulinumtoxinA for the Treatment of Glabellar Lines: A Phase 2, Randomized, Dose-Ranging, Double-Blind, Multicenter Comparison With OnabotulinumtoxinA and Placebo, Dermatol. Surg. 2017, 43(11):1321-1331)。 さらに、40UのダキシボツリナムトキシンAを使用する2つの重要な第III相試験において効果期間の延長が示された。眉間のシワが無い又は軽度の状態が中央値で24.0週間(SAKURA 1)及び23.9週間(SAKURA 2)にわたって維持されることが、ダキシボツリナムトキシンA治療後の最大限顔をしかめた際の調査者・対象複合評定によって示された(Carruthers et al., DaxibotulinumtoxinA for Injection for the Treatment of Glabellar Lines: Results from Each of Two Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 3 Studies (SAKURA 1 and SAKURA 2), Plast. Reconstr. Surg. 2020, 145(1):45-58)。 調査者は主に様々な用量での有効性と効果期間に焦点を当てたが、少数の実証研究において有効性と効果期間に対する様々な希釈度の効果が調査された。しかしながら、それらの研究の結果については議論の余地があった。Ca