JP-2026077862-A - 複合膜及びその製造方法
Abstract
【課題】本発明は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒、並びに炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、及び炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素含有基を分子内に合計で1~6個有するフッ素化合物を含有する有機溶液中の前記フッ素化合物を分離するために用いられ、前記有機溶媒の透液性能と前記フッ素化合物の阻止性能を高いレベルで両立させた複合膜及びその製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】本発明の複合膜は、シリコーン層と、緻密層及び支持層を有し、かつシリコーン以外の高分子で形成された高分子膜とを含み、前記シリコーン層が前記緻密層の表面に設けられているものであり、有機溶液中に存在するフッ素化合物を分離するために用いられるものである。 【選択図】図1
Inventors
- 中村 亮太
- 井上 邦子
- 正木 辰典
- 馬越 恭平
- 平井 みほ
Assignees
- ユニチカ株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20260224
Claims (10)
- シリコーン層と、緻密層及び支持層を有し、かつシリコーン以外の高分子で形成された高分子膜とを含み、前記シリコーン層が前記緻密層の表面に設けられている複合膜であって、 前記複合膜は、有機溶液中に存在するフッ素化合物を分離するために用いられるものであり、 前記有機溶液の有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、 前記フッ素化合物は、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、及び炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素含有基を分子内に合計で1~6個有するフッ素化合物である、複合膜。
- 高分子膜は、ポリアミド又はポリアクリロニトリルで形成されている、請求項1に記載の複合膜。
- 高分子膜は、中空糸膜である、請求項1に記載の複合膜。
- 緻密層は、中空糸膜の内腔面側に有する、請求項3に記載の複合膜。
- 支持層は、空隙率が60~80%である、請求項1に記載の複合膜。
- 緻密層は、厚みが0.1μm以上である、請求項1に記載の複合膜。
- シリコーン層は、厚みが0.05~10μmである、請求項1に記載の複合膜。
- シリコーン層は、シリコーンゴムで形成されている、請求項1に記載の複合膜。
- 請求項1~8のいずれかに記載の複合膜を使用して、有機溶媒とフッ素化合物を含む被処理液を濾過処理する濾過方法であって、 前記有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、 前記フッ素化合物は、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、及び炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素含有基を分子内に合計で1~6個有するフッ素化合物である、濾過方法。
- モジュールケースに、請求項1~8のいずれかに記載の複合膜が収容されてなる、膜モジュールであって、 前記膜モジュールは、有機溶液中に存在するフッ素化合物を分離するために用いられるものであり、 前記有機溶液の有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、 前記フッ素化合物は、炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、及び炭素数1~6のパーフルオロアルキレン基からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素含有基を分子内に合計で1~6個有するフッ素化合物である、膜モジュール。
Description
本発明は、有機溶液中に存在するフッ素化合物を分離するために用いられる複合膜及びその製造方法に関する。 近年、持続可能な社会の構築、カーボンニュートラルの達成といった観点から、化学産業においても、より省エネルギーなプロセスが求められている。特に、蒸留プロセスは、化学産業全体で消費されるエネルギーに占める割合が高いことから、より省エネルギーなプロセスへの転換が求められており、省エネルギーなプロセスである膜分離プロセスへの転換が検討されている。 膜分離プロセスは、浄水分野や、水を溶媒とする各種工業製品の製造プロセスで利用されており、工業的に確立された技術となっている。膜分離プロセスに用いられる分離膜の素材としては、成形加工が比較的容易であり、安価な大量製造プロセスが確立しやすいこと、軽量・柔軟性があり取り扱いやすいことから、高分子膜が主流となっている。 一方で、化学産業においては、溶媒として有機溶媒を主に用いるため、分離膜の素材には耐溶剤性が求められる。例えば、半導体や液晶パネルの製造においては、配線パターンを形成する際に使用するフォトレジスト薬液、洗浄液、及び剥離液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;シクロヘキサノン等の環状ケトン類;ジメチルスルホキシド、及びN-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が用いられている。膜分離プロセスを蒸留プロセスの代替とするには、分離膜の素材が、これらの有機溶媒に対する耐性を有する必要がある。 また、膜分離プロセスを蒸留プロセスの代替とするためには、有機溶媒系被処理液中の溶質、特に、分子量が200~1000程度の溶質を分離できる、ナノ濾過レベルの分離性能を有する分離膜が求められる。 このような状況下、前記各種有機溶媒に対して高い耐性を有するポリアミド樹脂を用い、熱誘起相分離法(TIPS)と呼ばれる手法で、ナノ濾過膜を得ることが検討されている。TIPS法は、比較的新しい方法であり、高分子材料に対して低温では溶解しないが高温で溶解する溶媒を選択し、高温で溶解させた均一な高分子溶液を1相領域と2相領域の境界であるバイノダル(binodal)線以下の温度へ冷却させることにより相分離を誘起し、高分子の結晶化やガラス転移により構造を固定する方法である。TIPS法は、低温で溶解する溶媒がない高分子にも適用できることから耐溶剤性の高い樹脂に適用できること、また、スポンジ状の均質構造になる傾向があり高強度の分離膜が得られることから、孔径が小さいために液体透過量が少なくなるナノ濾過膜において、液体透過の駆動力である圧力を高圧でかけることが可能になるため、耐溶剤性のナノ濾過膜を得るために適した手法である。 例えば、特許文献1では、TIPS法で製造された、分画分子量が200~1000であり、メタノール透過量が0.03L/(m2・bar・h)以上である、ポリアミド樹脂を用いて形成されたナノ濾過中空糸膜が提案されている。 また、特許文献2では、TIPS法を応用して製造された、少なくとも一方の面に緻密層が形成されており、前記緻密層の表面に一方向に伸びる筋状凹部を有する、限外濾過膜又はナノ濾過膜として用いられるポリアミド中空糸膜が提案されている。 膜分離プロセスを蒸留プロセスの代替とするためには、有機溶媒の透液性能に優れ、かつ有機溶媒系被処理液中の溶質の阻止性能に優れる分離膜が求められるが、前記透液性能と前記阻止性能は相反する性能であるため、前記透液性能と前記阻止性能を高いレベルで両立させることは非常に困難である。 また、例えば、前記フォトレジスト薬液等には、光酸発生剤としてパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキレン基を有するフッ素化合物をアニオン部とするオニウム塩が用いられている。光酸発生剤を構成する前記フッ素化合物は、化学的に安定な物質であるが故に、微生物によって分解され難く、生態系での分解が進まないことから、環境への残留が大きな問題となっている。そのため、工業用廃液等から特定のフッ素化合物を効率的かつ効果的に除去できる分離膜の開発が強く望まれている。 国際公開第2022/071123号公報国際公開第2022/071122号公報 複合中空糸膜又は中空糸膜の分画分子量、透液量(Flux)、及び阻止率を測定する際に使用する装置の模式図である。中空糸膜の支持層の空隙率を算出する例について説明する模式図であり、中空糸膜を長手方向に対して垂直方向に割断した断面模式図である。図2において点線で囲まれた領域の部分拡大図である。図2において点線で囲まれた領域の部分拡大図である。 1.定義 本発明において、「限外濾過」又は「限外濾過膜」と表記する場合には、分画分子量が1000~100万の範囲内に設定されている濾過又は分画分子量が1000~100万の範囲内にある濾過膜を意味し、「ナノ濾過」又は「ナノ濾過膜」と表記する場合には、分画分子量が200~1000の範囲内に設定されている濾過又は分画分子量が200~1000の範囲内にある濾過膜を意味する。 本発明において、「緻密層」とは、高分子膜において、緻密な微細孔が集合している領域であって、倍率10000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真において実質的に細孔の存在が認められない領域を意味する。 本発明において、「支持層」とは、高分子膜において、緻密層以外の領域であって、倍率2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真において実質的に細孔の存在が認められる、連続多孔構造を有する多孔質領域を意味する。 本発明において、「シリコーン層」とは、高分子膜の緻密層の表面に設けられ、シリコーンを用いて形成された層を意味する。 本発明において、「中空糸膜」とは、シリコーン以外の高分子で形成された、緻密層及び支持層を有する中空糸形状の高分子膜を意味する。 2.複合膜 本発明の複合膜は、シリコーン層と、緻密層及び支持層を有し、かつシリコーン以外の高分子で形成された高分子膜とを含み、前記シリコーン層が前記緻密層の表面に設けられているものである。以下、本発明の複合膜について詳述する。 [高分子膜] 本発明の複合膜の主要構成部材である高分子膜は、緻密層及び支持層を有しており、かつシリコーン以外の高分子で形成されている。 高分子膜を構成する高分子は特に制限されず、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、酢酸セルロース、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリイミド、及びポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、複合膜に特定有機溶媒及びその他の有機溶媒に対する耐性を付与する観点から、好ましくはポリアミド、及びポリアクリロニトリル、より好ましくはポリアミドである。 ポリアミドの種類については、特に制限されないが、例えば、ポリアミドのホモポリマー、ポリアミドの共重合体、又はこれらの混合物が挙げられる。ポリアミドのホモポリマーとしては、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミド4T、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T等が挙げられる。また、ポリアミドの共重合体としては、具体的には、ポリアミドとポリテトラメチレングリコール又はポリエチレングリコール等のポリエーテルとの共重合体等が挙げられる。また、ポリアミドの共重合体におけるポリアミド成分の比率については、特に制限されないが、例えば、ポリアミド成分が占める割合として、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上が挙げられる。ポリアミドの共重合体においてポリアミド成分の比率が上記範囲を充足することにより、一層優れた有機溶媒耐性を高分子膜に備えさせることができる。ポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて使用してもよい。 これらのポリアミドの中でも、ポリアミド6は、耐圧性と耐溶剤性を好適に両立させ易く、さらに特定有機溶媒の透液性能を向上させ易いため、高分子膜の形成樹脂として好ましく用いられる。 ポリアミドは、架橋の有無は問わないが、製造コストを低減させるという観点から、架橋されていないものが好ましい。 ポリアミドの相対粘度については、特に制限されないが、例えば、2.0~7.0、好ましくは2.5~6.0、より好ましくは3.0~5.0が挙げられる。このような相対粘度を備えることにより、高分子膜の製造時に、成形性や相分離の制御性が向上し、高分子膜に対して優れた形状安定性を備えさせることが可能になる。なお、ここで、相対粘度とは、96%硫酸100mLに1gのポリアミドを溶解した溶液を用い、25℃でウベローデ粘度計によって測定した値を指す。 ポリアクリロニトリルは特に制限されず、アクリロニトリルの単独重合体であってもよく、アクリロニトリルと共重合モノマーの共重合体であってもよいが、好ましくはアクリロニトリルの単独重合体である。共重合モノマーは特に制限されず、ポリアクリロニトリルの製造において用いられているモノマーを用いることができる。共重合体である場合、アクリロニトリルの含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、共重合モノマーの含有量は、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。共重合モノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて使用してもよい。また、ポリアクリロニトリルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて使用してもよい。 ポリアクリロニトリルの極限粘度は特に制限されないが、高分子膜の強度及び製膜原液を調製する際のポリアクリロニトリルの溶解性を良好なものとする観点から、好ましくは0.4以上3.5未満、より好ましくは1.0以上3.0以下、更に好ましくは2.0以上3.0以下である。なお、ここで、極限粘度とは、チオシアン酸ナトリウム0.1mol/リットル添加N,N-ジメチルホルムアミド50mLに150mgのポリアクリロニトリルを溶解した溶液を用い、25℃でオストワルド粘度計によって測定した値を指す。 高分子膜は、前記高分子の他に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、フィラーが含まれていてもよい。フィラーを含むことにより、高分子膜の強度、伸度、弾性率を向上させることができる。特に、フィラーを含むことにより、濾過の際に高圧をかけても、高分子膜が変形し難くなるという効果も得られる。添加するフィラーの種類については、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維等の繊維状フィラー;タルク、ハイドロタルサイト、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト等の珪酸塩;酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等