JP-2026077908-A - 立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織
Abstract
【課題】マウス由来の細胞を用いて立体的細胞組織を作製した場合に、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制する技術を提供する。 【解決手段】マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む混合物を得る工程(A)と、前記混合物から細胞集合体を得る工程(B)と、前記細胞集合体を培養して立体的細胞組織を得る工程(C)と、を含み、前記細胞集団が内皮細胞を更に含む、立体的細胞組織の製造方法。 【選択図】なし
Inventors
- 森村 吏惟
- 近藤 イサナ
- 北野 史朗
Assignees
- TOPPANホールディングス株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20260305
- Priority Date
- 20200821
Claims (12)
- マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む混合物を得る工程(A)と、 前記混合物から細胞集合体を得る工程(B)と、 前記細胞集合体を培養して立体的細胞組織を得る工程(C)と、を含み、 前記細胞集団がマウス由来の内皮細胞と、免疫細胞を更に含み、 前記間質細胞、前記内皮細胞及び前記免疫細胞がシンジェニックであり、 前記間質細胞の細胞数に対する前記内皮細胞の細胞数の割合は、1.0%以上50%以下である、立体的細胞組織の製造方法。
- 製造から4日目の前記立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値が、製造直後の前記立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値の50%以上である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記工程(A)及び前記工程(B)を2回以上行った後に前記工程(C)を行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記細胞外マトリックス成分は、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリリン、プロテオグリカン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記混合物中の前記細胞外マトリックス成分の濃度が、0.005mg/mL以上1.0mg/mL以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記高分子電解質は、グリコサミノグリカン、デキストラン硫酸、ラムナン硫酸、フコイダン、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリアクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記混合物中の前記高分子電解質の濃度が、0.005mg/mL以上1.0mg/mL以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記間質細胞が線維芽細胞であり、前記内皮細胞が血管内皮細胞である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 工程(A)を水性媒体中で行う、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
- マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)、マウス由来の内皮細胞及び免疫細胞を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分並びに高分子電解質を含み、 前記細胞集団中の前記間質細胞の細胞数に対する前記内皮細胞の細胞数の割合が、1.0%以上50%以下であり、 前記間質細胞、前記内皮細胞及び前記免疫細胞がシンジェニックである、立体的細胞組織。
- 製造直後の前記立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値が40μm以上である、請求項10に記載の立体的細胞組織。
- 製造から4日目の前記立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値が、製造直後の前記立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値の50%以上である、請求項10又は11に記載の立体的細胞組織。
Description
本発明は、立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織に関する。 本願は、2020年8月21日に日本に出願された特願2020-140134号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。 近年、再生医療及び生体に近い環境が求められる薬剤のアッセイ系等の分野において、平板上で成育させた細胞よりも立体的に組織化させた立体的細胞組織を使用することの優位性が示されている。このため、生体外で立体的細胞組織を構築するための様々な技術が開発されている。 本願発明者らは、以前に、細胞が、カチオン性緩衝液、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を少なくとも含む溶液に懸濁されている混合物を得る工程と、得られた前記混合物から前記細胞を集め、基材上に細胞集合体を形成する工程と、前記細胞を培養し、立体的細胞組織を得る工程と、を含む、立体的細胞組織の製造技術を開発した(例えば、特許文献1を参照)。 特許第6639634号公報 実験例1において撮影した、立体的細胞組織の薄切切片の顕微鏡写真である。図1に基づいて、立体的細胞組織の厚さの最大値を測定した結果を示すグラフである。実験例1において、立体的細胞組織における血管内皮細胞を染色した結果を示す蛍光顕微鏡写真である。実験例2において撮影した、立体的細胞組織の薄切切片の顕微鏡写真である。 [立体的細胞組織の製造方法] 一実施形態において、本発明は、マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む混合物を得る工程(A)と、前記混合物から細胞集合体を得る工程(B)と、前記細胞集合体を培養して立体的細胞組織を得る工程(C)と、を含み、前記細胞集団が内皮細胞を更に含む、立体的細胞組織の製造方法を提供する。 本実施形態の製造方法は、マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)及び内皮細胞を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む混合物を得る工程(A)と、前記混合物から細胞集合体を得る工程(B)と、前記細胞集合体を培養して立体的細胞組織を得る工程(C)と、を含む、立体的細胞組織の製造方法であるということもできる。 本明細書において、「立体的細胞組織」とは、立体的な細胞の集合体を意味する。本実施形態の製造方法により製造される立体的細胞組織は、少なくとも内皮細胞、及び内皮細胞以外のマウス由来の間質細胞を含む。 立体的細胞組織の用途としては、生体組織モデル及び固形癌モデルが挙げられるが、これらに限定されない。生体組織モデルとしては、皮膚、毛髪、骨、軟骨、歯、角膜、血管、リンパ管、心臓、肝臓、膵臓、神経及び食道等のモデルが挙げられる。固形癌モデルとしては、胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌及び肝癌等のモデルが挙げられる。 例えば、癌細胞に対する免疫細胞の挙動を解析する場合等には、立体的細胞組織にさらに免疫細胞を含ませることができる。この場合、立体的細胞組織を構成する全ての細胞がシンジェニックであることが好ましい。 立体的細胞組織の形態に特に制限は無く、例えば、セルカルチャーインサートの内部で細胞を培養して形成した立体的細胞組織であってもよいし、コラーゲン等の天然生体高分子又は合成高分子によって構成されたスキャフォールド内で細胞を培養して形成した立体的細胞組織であってもよいし、細胞凝集体(スフェロイド)であってもよいし、シート状の細胞構造体であってもよい。 発明者らは、マウス由来の細胞を用いて立体的細胞組織を製造する場合に、使用する細胞集団に内皮細胞を含ませることにより、経時的な厚さの減少を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。 本実施形態の製造方法によれば、マウス由来の細胞を用いて立体的細胞組織を作製した場合であっても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制することができる。立体的細胞組織の経時的な厚さの減少の抑制の程度としては、例えば、製造から4日目の立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値が、製造直後の立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さの最大値の50%以上であることが例示できる。ここで、製造から4日目の立体的細胞組織の前記最大値は、培養を開始してから4日間経過した立体的細胞組織を上面から見たときの重心を通る線に沿って、立体的細胞組織を切断して得られる切片において測定される立体的細胞組織の厚さの最大値ともいうことができる。また、製造直後の立体的細胞組織の前記最大値は、製造直後の立体的細胞組織を上面から見たときの重心を通る線に沿って、立体的細胞組織を切断して得られる切片において測定される立体的細胞組織の厚さの最大値ともいうことができる。ここで、製造直後とは、工程(C)において細胞集合体の培養を開始してから5分間~72時間後であってもよく、工程(C)において細胞集合体の培養を開始してから1日後(好ましくは24時間後)であってもよい。また、製造から4日目とは、工程(C)において細胞集合体の培養を開始してから4日目(好ましくは96時間後)であってもよい。 ここで、立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さとは、立体的細胞組織のほぼ中央部における切片の厚さである。立体的細胞組織の形状は、立体的細胞組織の製造に使用した容器によって異なるが、例えば、円柱形状のセルカルチャーインサートを用いて立体的細胞組織を製造した場合には、円柱形状となる。この場合、立体的細胞組織を上面から見たときの形状は円であり、上面から見たときの重心は、円の中心となる。立体的細胞組織の形状は、円柱形状に限定されず、目的に応じて任意の形状であることができる。具体的には、例えば、三角柱形状及び四角柱形状等の多角柱形状等が例示できる。 本実施形態の製造方法は、マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)及び内皮細胞を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分並びに高分子電解質を含む混合物を得る工程(A)と、前記混合物から細胞集合体を得る工程(B)と、前記細胞集合体を培養して立体的細胞組織を得る工程(C)とを含む。以下、各工程について説明する。 まず、工程(A)において、マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)及び内皮細胞を含む細胞集団、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分並びに高分子電解質を含む混合物を得る。工程(A)は、水性媒体中で行うことが好ましい。 間質細胞とは、上皮細胞の支持組織を構成する細胞の総称である。間質細胞としては、線維芽細胞及び平滑筋細胞等が挙げられる。細胞が間質細胞であるか否かは、顕微鏡で観察した細胞の形態によって判断することもできるし、細胞のマーカー分子の発現により判断することもできる。 線維芽細胞のマーカーとしては、Fibroblast growth factor receptor(FGFR)1、FGFR2、FGFR3、CD90及びビメンチン等が挙げられる。平滑筋細胞のマーカーとしては、アクチン、デスミン、カルボニン及びSM22等が挙げられる。 本実施形態の製造方法において、間質細胞としてはマウス由来の細胞を用いる。間質細胞は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。また、マウス由来の間質細胞に加えて、マウス以外の種由来の間質細胞を使用してもよい。マウス以外の種としては、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ及びラット等が挙げられる。 内皮細胞としては、血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞等が挙げられるが、血管内皮細胞が好ましい。内皮細胞の由来は特に限定されず、例えば、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ、マウス及びラット等が挙げられる。なかでも、マウス由来の内皮細胞であることが好ましい。 細胞が内皮細胞であるか否かは、顕微鏡で観察した細胞の形態によって判断することもできるし、細胞のマーカー分子の発現により判断することもできる。 血管内皮細胞のマーカーとしては、CD31、VEGFR-2及びTie-2/Tek等が挙げられる。リンパ管内皮細胞のマーカーとしては、ポドプラニン、LYVE-1、PROX-1及びVEGFR-3等が挙げられる。 本実施形態の製造方法において、間質細胞が線維芽細胞であり、内皮細胞が血管内皮細胞であることが好ましい。 本実施形態の製造方法において、細胞集団中の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)の細胞数に対する内皮細胞の細胞数の割合は、1.0%以上50%以下であることが好ましく、1.0%以上20%以下であってもよく、1.5%以上20%以下であってもよく、1.5%以上10%以下であってもよい。実施例において後述するように、内皮細胞の割合が上記の範囲であると、マウス由来の細胞を用いて立体的細胞組織を作製した場合であっても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制することができる傾向にある。 細胞集団は、マウス由来の間質細胞(但し、内皮細胞を除く。)及び内皮細胞以外の細胞を含んでいてもよい。このような細胞としては、例えば、骨、筋肉、内臓、神経、脳、骨、皮膚、血液等に由来する体細胞、生殖細胞、誘導多能性幹細胞細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、組織幹細胞及び癌細胞等が挙げられる。血液に由来する体細胞としては、リンパ球、好中球、マクロファージ及び樹状細胞等の免疫細胞が挙げられる。癌細胞としては、胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌及び肝癌等が挙げられる。 細胞集団を構成する細胞は、初代細胞であってもよいし、継代培養細胞、細胞株細胞等の培養細胞であってもよい。 カチオン性物質としては、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、任意の正電荷を有する物質を用いることができる。カチオン性物質には、トリス-塩酸、トリス-マレイン酸、ビス-トリス及びHEPES等のカチオン性緩衝剤、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリリシン、ポリヒスチジン及びポリアルギニン等が挙げられるが、これらに限定されない。なかでもカチオン性緩衝剤が好ましく、トリス-塩酸がより好ましい。 工程(A)におけるカチオン性物質の濃度は、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。本実施形態で用いられるカチオン性物質の濃度は10~100mMであることが好ましく、例えば20~90mMであってもよく、例えば30~80mMであってもよく、例えば40~70mMであってもよく、例えば45~60mMであってもよい。 カチオン性物質としてカチオン性緩衝剤を用いる場合、カチオン性緩衝液のpHは、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは6.0~8.0であることが好ましい。例えば、本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0であってよい。本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは7.2~7.6であることがより好ましく、7.4であることが更に好ましい。 細胞外マトリックス成分としては、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、細胞外マトリックス(ECM)を構成する任意の成分を用いることができる。細胞外マトリックス成分としては、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリリン、プロテオグリカン及びこれらの改変体又はバリアント等が挙げられるが、これらに限定されない。細胞外マトリックス成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 プロテオグリカン