JP-2026077959-A - 圧電膜積層体およびその製造方法
Abstract
【課題】異常粒の発生が抑制されたScAlN膜を備える圧電膜積層体を提供する。 【解決手段】圧電膜積層体は、下地表面14aを有するSiN膜14と、下地表面14aに接して配置されるScAlN膜15と、を備える。下地表面14aの表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下である。これによれば、表面粗さが0.5nm以下である下地表面14aに接してScAlN膜15が形成される。これにより、表面粗さが0.5nmよりも大きい下地表面に接してScAlN膜が形成される場合と比較して、ScAlN膜中の異常粒の発生を抑制することができる。 【選択図】図1
Inventors
- 勅使河原 明彦
- 山田 英雄
- 阿部 竜一郎
- 木嶋 健治
- 榎本 哲也
Assignees
- 株式会社デンソー
- トヨタ自動車株式会社
- 株式会社ミライズテクノロジーズ
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20260306
Claims (6)
- 圧電膜積層体であって、 下地表面(21a)を有する下地材(21)と、 前記下地表面に接して配置されるScAlN膜(15)と、を備え、 前記下地表面の表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下であり、 前記下地材は、絶縁性材料からなるAlN膜(21)である圧電膜積層体。
- 前記下地材は、膜形状であり、 前記下地材の膜厚は、前記ScAlN膜の膜厚の1/10以下である、請求項1に記載の圧電膜積層体。
- 前記圧電膜積層体は、前記下地材に対して前記ScAlN膜側の反対側に、前記下地材に接して配置される導電性材料(13)を備える、請求項1に記載の圧電膜積層体。
- 前記導電性材料は、前記下地材に接する表面(13a)を有し、 前記導電性材料の前記表面の表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下である、請求項3に記載の圧電膜積層体。
- 前記ScAlN膜は、Sc濃度が24原子%以上40%以下となっている、請求項1に記載の圧電膜積層体。
- 圧電膜積層体の製造方法であって、 下地表面(21a)を有する下地材(21)を用意すること(S1、S2、S3)と、 前記下地表面を平坦化すること(S4)と、 前記下地表面を平坦化した後、前記下地表面に接してScAlN膜(15)を形成すること(S5)と、を含み、 前記平坦化することにおいては、前記下地表面の表面粗さを、算術平均粗さの値で0.5nm以下とし、 前記下地材として、絶縁性材料からなるAlN膜を用いる、圧電膜積層体の製造方法。
Description
本発明は、圧電膜と下地材とが積層された圧電膜積層体およびその製造方法に関する。 特許文献1に、下地材と、圧電膜であるScAlN膜と、を備える圧電膜積層体が開示されている。 特許第5190841号公報 第1実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第1実施形態における圧電膜積層体の製造方法を示すフローチャートである。ScAlNの結晶構造を示す図である。実施例1~3および比較例1~3における下地表面の表面粗さRaと結晶性との関係を示す図である。実施例1のScAlN膜のSEM像である。実施例2のScAlN膜のSEM像である。実施例3のScAlN膜のSEM像である。比較例1のScAlN膜のSEM像である。比較例2のScAlN膜のSEM像である。実施例1~3および比較例1~3における下地表面の表面粗さRaと圧電性能との関係を示す図である。実施例1~3および比較例1~3における下地表面の表面粗さRaとtanδとの関係を示す図である。実施例1~4および比較例1~3における下地表面の表面粗さRaと結晶性との関係を示す図である。第2実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第3実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第4実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第5実施形態における圧電膜積層体の断面図である。実施例1~3、5および比較例1~4における下地表面の表面粗さRaと結晶性との関係を示す図である。第6実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第7実施形態における圧電膜積層体の断面図である。第8実施形態における圧電膜積層体の製造方法を示すフローチャートである。 以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。 (第1実施形態) 図1に示すように、本実施形態の圧電膜積層体10は、Si基板11と、AlN膜12と、Mo膜13と、SiN膜14と、ScAlN膜15と、を備える。これらの膜は、積層されている。 Si基板11は、半導体材料であるSiで主に構成された基板である。Si以外の半導体材料で構成された基板が用いられてもよい。 AlN膜12は、Si基板11の上側にSi基板11の表面に接して配置される。AlN膜12は、AlNで主に構成された膜である。AlN膜12は、Mo膜13の結晶性を向上させるためのMo膜13の下地材として用いられている。 Mo膜13は、AlN膜12の上側にAlN膜12の表面に接して配置される。換言すると、Mo膜13は、SiN膜14の下側にSiN膜14に接して配置される。SiN膜14の下側は、SiN膜14に対してScAlN膜15側の反対側である。 Mo膜13は、導電性材料であるMoで主に構成された膜である。Mo膜13は、ScAlN膜15の圧電機能を発現させるための下部電極として用いられている。Mo膜13は、SiN膜14に接する表面13aを有する。Mo膜13に替えて、Mo以外の金属材料などの導電性材料で構成された膜が用いられてもよい。 SiN膜14は、Mo膜13の上側にMo膜13の表面13aに接して配置される。SiN膜14は、ScAlN膜15の下地材であり、膜形状である。ScAlN膜15の下地材は、ScAlN膜15に接して、ScAlN膜15を支える。SiN膜14は、アモルファスの絶縁性材料であるSiNで主に構成される。 アモルファスは、結晶構造を持たない物質の状態のことであり、非晶質とも呼ばれる。膜を構成する材料がアモルファスであることは、膜に対して電子線回折測定を行うことで確認される。その測定結果がハローパターンのとき、膜を構成する材料はアモルファスである。本明細書において、絶縁性とは、電気抵抗率(すなわち、体積抵抗率)が104Ω・m以上であることを意味する。 絶縁性であるSiN膜14の膜厚が厚くなりすぎると、ScAlN膜15とSiN膜14とを含む複合膜の総合的な圧電性が損なわれる。このため、この複合膜の圧電性が大きく損なわれないように、SiN膜14の膜厚は、ScAlN膜15の膜厚の1/10以下であることが好ましく、ScAlN膜15の膜厚の1/50以下であることがより好ましい。これによれば、ScAlN膜15とSiN膜14とを含む複合膜の総合的な圧電性の低下を抑制することができる。 SiN膜14は、ScAlN膜15に接する表面(すなわち、下地表面)14aを有する。下地表面14aの表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下である。算術平均粗さは、JIS B0601に定められたものである。原子間力顕微鏡、触針式表面粗さ計などにより、表面を走査して、表面粗さを測定することができる。また、測定したい表面上に別の膜が形成されている場合、透過電子顕微鏡による断面観察を行い、測定したい界面の形状を求めることによって、表面粗さを測定することができる。 ScAlN膜15は、SiN膜14の上側にSiN膜14の下地表面14aに接して配置される。ScAlN膜15は、ScAlN(すなわち、スカンジウム含有窒化アルミニウム)で主に構成された圧電膜である。ScAlN膜15は、SiN膜14側の反対側の表面15aを有する。 ScAlN膜15のSc濃度は、0原子%よりも大きく、45原子%以下のいずれの濃度でもよい。Sc濃度とは、Scの原子数とAlの原子数との総量100原子%に対してのScの原子数が占める割合である。原子%は、原子数百分率を指している。Sc濃度は、RBSによって測定される。RBSは、Rutherford BackscatteringSpectrometry(すなわち、ラザフォード後方散乱分光)の略称である。本明細書に示すSc濃度は、下記の装置を用いて、下記の測定条件で測定された値である。 装置名:National Electrostatics Corporation製 Pelletron 3SDH 測定条件 RBS測定 入射イオン: 4He++ 入射エネルギー: 2300keV 入射角: 0deg 散乱角: 160deg 試料電流: 13nA ビーム径: 2mmφ 面内回転: 無 照射量: 70μC 次に、本実施形態の圧電膜積層体10の製造方法について説明する。圧電膜積層体10の製造方法は、図2に示すように、AlN膜12の形成工程S1と、Mo膜13の形成工程S2と、SiN膜14の形成工程S3と、SiN膜14の平坦化工程S4と、ScAlN膜15の形成工程S5と、を含む。 まず、AlN膜12の形成工程S1では、反応性DCスパッタリング法にて、Si基板11の表面上にAlN膜12を形成することが行われる。その後、Mo膜13の形成工程S2が行われる。 Mo膜13の形成工程S2では、DCスパッタリング法にて、AlN膜12の表面上にMo膜13を形成することが行われる。その後、SiN膜14の形成工程S3が行われる。 SiN膜14の形成工程S3では、プラズマCVD法にて、Mo膜13の上側にMo膜13の表面13aに接してSiN膜14を形成することが行われる。その後、SiN膜14の平坦化工程S4が行われる。 SiN膜14の平坦化工程S4では、Arプラズマを用いたエッチングによって、SiN膜14の下地表面14aを平坦化することが行われる。このとき、エッチング時間が長いほど、下地表面14aの表面粗さが低減する。下地表面14aの表面粗さが、算術平均粗さの値で0.5nm以下となるように、エッチング時間が設定される。下地表面14aを平坦化した後、ScAlN膜15の形成工程S5が行われる。 ScAlN膜15の形成工程S5では、反応性DCスパッタリング法にて、SiN膜14の上側に下地表面14aに接してScAlN膜15を形成することが行われる。このようにして、図1に示す構造の圧電膜積層体10が製造される。 本実施形態では、AlN膜12の形成工程S1、Mo膜13の形成工程S2およびSiN膜14の形成工程S3が、下地材を用意することに対応する。SiN膜14の平坦化工程S4が、下地表面を平坦化することに対応する。ScAlN膜15の形成工程S5が、下地表面に接してScAlN膜を形成することに対応する。 なお、Mo膜13の形成工程S2の後であって、SiN膜14の形成工程S3の前に、Mo膜13の表面を平坦化することが行われてもよい。この場合も、SiN膜14の平坦化工程S4が行われることで、下地表面14aの表面粗さが、最終的に、算術平均粗さの値で0.5nm以下とされる。 ScAlN膜15は、図3に示す六方晶の結晶構造を有するとともに、複数の結晶粒を有する多結晶の構造を有する。複数の結晶粒に、ScAlN膜15の表面15aに対して垂直な向きに六方晶のc軸が配向するc軸配向結晶粒が多く含まれるときに、ScAlN膜の圧電性が高くなる。一方、複数の結晶粒に、六方晶のc軸の向きがランダムである異常粒が多く含まれるときに、ScAlN膜15の圧電性が低くなる。ScAlN膜15に存在する異常粒が少ないほど、ScAlN膜15に存在するc軸配向結晶粒が多くなる関係がある。このため、ScAlN膜15中の異常粒の発生が抑制されることが望まれる。 本発明者は、後述の通り、異常粒の発生の要因の一つが、下地表面14aの表面粗さであることを見出した。そして、表面粗さが0.5nm以下である下地表面14aに接してScAlN膜15を形成することで、ScAlN膜15中の異常粒の発生を抑制できることを見出した。 そこで、本実施形態の圧電膜積層体10は、下地表面14aを有するSiN膜14と、下地表面14aに接して配置されるScAlN膜15と、を備える。ScAlN膜15に接する下地表面14aの表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下である。 本実施形態の圧電膜積層体10の製造方法は、下地表面14aを有するSiN膜14を用意することと、下地表面14aを平坦化することと、下地表面14aに接してScAlN膜15を形成することと、を含む。平坦化することにおいては、下地表面14aの表面粗さは、算術平均粗さの値で0.5nm以下とされる。 これらによれば、表面粗さが0.5nm以下である下地表面14aに接してScAlN膜15が形成される。これにより、表面粗さが0.5nmよりも大きい下地表面に接してScAlN膜が形成される場合と比較して、ScAlN膜15中の異常粒の発生を抑制することができる。 さらに、本実施形態の圧電膜積層体10によれば、下記の効果を奏する。ScAlN膜15の下地材であるSiN膜14は、アモルファスの絶縁性材料である。 本実施形態と異なり、Mo膜13をScAlN膜15の下地材とする場合、すなわち、Mo膜13の表面13aに接してScAlN膜15を形成する場合、ScAlN膜15中に異常粒が発生しやすい。この理由として、次のことが考えられる。 一般的に、AlN膜の表面上に形成されたMo膜は、(101)配向しやすい。つまり、AlN膜の表面上に形成されたMo膜の表面に平行な面方向は、(101)面になりやすい。この場合、Mo膜13の表面13aに平行な面方向でのMoの原子配列の対称性は、六方晶のc軸の向きがScAlN膜15の表面15aに対して垂直な向きで、複数の結晶粒が配向するときのScAlN膜15の表面15aに平行な面方向でのScAlNの原子配列の対称性に近似している。これに加えて、Moの格子定数が、ScAlNの格子定数に対して数%程度の範囲内で不一致である。このため、ScAlN膜15の形成時に、ScAlN膜15に望まれない歪、すなわち、応力が発生する。これらが、上記の場合に異常粒が発生する原因であると考えられる。 これに対して、本実施形態によれば、SiN膜14の下地表面14aに平行な面方向でのSiNの原子配列は、上記の複数の結晶粒が配向するとき