JP-2026077965-A - BACE1阻害剤、アミロイドβ凝集体形成阻害剤、アミロイドβに対する細胞保護剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤
Abstract
【課題】安全で高い活性を有するBACE1阻害剤、Aβ凝集体形成阻害剤、Aβに対する細胞保護剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を提供する。さらに、認知機能改善剤、記憶力の維持又は改善剤並びに認知症及び/又はMCIの治療及び/又は予防用の医薬 組成物を提供する。 【解決手段】ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むBACE1阻害剤、Aβ凝集体形成 阻害剤、Aβに対する細胞保護剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、認知機能改善剤、記憶力の維持又は改善剤並びに認知症及び/又はMCIの治療及び/又は予防用の医薬組 成物。 【選択図】図2
Inventors
- 上村 知広
- 山田 道生
Assignees
- 林兼産業株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20260309
- Priority Date
- 20220426
Claims (9)
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むBACE1阻害剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むAβ凝集体形成阻害剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むAβに対する細胞保護剤。
- 前記ナデシコ科に属する植物が、ジャクゼツソウである、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
- 前記ナデシコ科に属する植物が、ジャクゼツソウである、請求項5に記載のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含む認知機能改善剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含む、記憶力の維持又は改善剤。
- ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含む、認知症及び/又はMCIの治療及び/又は予防用の医薬組成物。
Description
本発明は、BACE1阻害剤、アミロイドβ凝集体形成阻害剤、アミロイドβに対する細胞保護剤及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤に関する。さらに、本発明は、認知機能改善剤、記憶力の維持又は改善剤並びに認知症及び/又はMCIの治療及び/又は予防用 の医薬組成物に関する。 認知症は、加齢に伴う脳機能障害であり、その有病率及び罹患率は、加齢に伴い著しく増大する。世界的な高齢化の進行に伴い、認知症の罹患者は増大傾向にあり、全世界の認知症罹患者数は、2020年には4000万人、2040年には8000万人に達するという推計もなされている。 認知症の主なものとして、アルツハイマー型認知症(AD)、脳血管性認知症、レビー小体型認知症があるが、最も頻度が高いのはアルツハイマー病で、認知症全体の40~60%を占 める。最近の疫学研究によると、脳血管性認知症の有病率や罹患率は治療法や予防法などの進歩に伴い年々減少する傾向にあるが、アルツハイマー型認知症の罹患者は確実に増加しているとも言われている(非特許文献1)。 上述のとおり、アルツハイマー型認知症は、高齢化の進行する現在社会において深刻な社会問題の一つとなっており、その治療や予防を目的とした医薬品やサプリメント等の開発が急務となっている。アルツハイマー型認知症の要因として、脳内におけるアミロイドβ(アミロイドβタンパク質:Aβ)の蓄積及び脳内に蓄積したアミロイドβの神経毒性に起因する神経細胞死が考えられている。現在、アルツハイマー型認知症の症状の軽減のための治療として、脳の機能低下に対する対症療法としてのコリンエステラーゼ阻害剤又はグルタミン酸NMDA受容体拮抗薬の投与、脳の神経細胞の細胞死を抑制する効果を有する薬剤として、ペリンドブリル等の投与が行われている。しかし、ペリンドブリルには血圧降下作用の存在が知られており、却って症状を悪化させる懸念がある。 アミロイドβは、「アミロイドβ生成」と「アミロイドβ凝集」の2つの段階を経て脳内に蓄積すると考えられている。したがって、これらの段階の一方又は双方を阻害する活性を有する化合物は、アルツハイマー型認知症の予防又は治療に有効であることが期待される。アミロイドβ凝集を阻害する活性を有する組成物として、例えば、シソ抽出物を有効成分として含むものが提案されている(特許文献1)。また、アミロイドβ生成に関与するタンパク質プロセシング酵素の1つであるγセクレターゼを阻害する活性を有する組成物として、ヒシュカ等に由来する植物エキスを有効成分として含むγセクレターゼ阻害組成物が提案されている(特許文献2)。 特開2016-124865号公報特開2013-53076号公報 Nakamura S, Shigeta M, Iwamoto M, Tsuno N, Niina R, Homma A, Kawamuro Y. Prevalence and predominance of Alzheimer type dementia in rural Japan. Psychogeriatrics. 3 (2003):97-103. BACE1阻害活性の測定結果を示すグラフである。試料濃度50μg/ml、値は平均±SDである。n=3アミロイドβ凝集阻害活性の測定結果を示すグラフである。試料濃度10μg/ml、値は平均±SDである。n=3アミロイドβ誘導性細胞死の抑制作用の測定結果を示すグラフである。試料濃度20μg/ml、値は平均±SDである。n=2アセチルコリンエステラーゼ阻害活性の測定結果を示すグラフである。試料濃度37μg/ml、値は平均±SDである。n=2Y迷路試験における自発的交替行動率の測定結果を示すグラフである。* p<0.01 vs 偽手術群, # p<0.01 vs 媒体対照群, n=10 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 なお、本明細書において「含有する、含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。 本発明のBACE1阻害剤、Aβ凝集体形成阻害剤、Aβに対する細胞保護剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、認知機能改善剤、記憶力の維持又は改善剤(以下、「本発 明のBACE1阻害剤等」と称することもある)、並びに認知症及び/又はMCI (Mild Cognition Impairment:軽度認知障害)の治療及び/又は予防用の医薬組成物は、ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物からなる群から選択される少なくとも1種の抽出物を含むことを特徴とする。 ボケ(木瓜)(学名:Chaenomeles speciosa)は、バラ科に属する植物であり、中国原産で日本にも広く分布している。果実部分が古くから食用とされている(果実酒、ジャムなど)。 リンデン(学名:Tilia europaea、Tilia plantyphillos, Tilia cordata, Tilia argentea)とは、シナノキ科に属する植物であり、高い木でヨーロッパ、北米に植栽されている。主に花や葉部がリンデンフラワーとして、ハーブティーや香り付け等に古くから利用されている。 サンカクトウ(山核桃)(学名:Carya cathayensis Sarg.)とは、クルミ科に属する植物 であり、産地は中国である。中国では、種子がナッツとして食されている。 ナデシコ科に属する植物としては、具体的には、ジャクゼツソウ、カーネーション、ナデシコ、カスミソウ、サポナリア、サボンソウ、ハコベ等などが挙げられ、特にジャクゼツソウが好ましい。 ジャクゼツソウ(雀舌草)(学名:Stellaria alsine Grimm)とは、ナデシコ科に属する植物であり、アジア温帯地域に広く分布している。別名:ノミノフスマである。温野菜として、若茎、若葉が食用とされている。 ボケ、リンデン、サンカクトウの外果皮、及びナデシコ科に属する植物(以下、これら の植物をまとめて「本発明の植物」と称することもある)の抽出物の製造には、これらの 植物の一部若しくは全体を使用することもできる。植物の一部としては、花、花穂、果皮 (内果皮、外果皮、中果皮)、果実、果肉、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子、虫えい、心材、地上部、地下部などが挙げられ、これらを単独又は複数部位を組み合わせて使用することができる。抽出物の製造に使用する植物の部位としては、好ましくはボケは果実であり、リンデンは花及び葉であり、ナデシコ科に属する植物は葉である。また、抽出物の製造には、生の物、乾燥した物、切断又は粉砕された物などいずれの状態の植物も使用することができる。 本発明の植物の抽出物を製造する方法としては、特に制限されず、通常用いられる方法により行うことができる。そのような方法としては、例えば、上記植物の各部位をそのまま又は適当な大きさに切断し、搾汁又は溶媒で抽出することや超臨界二酸化炭素抽出により行うことが挙げられる。抽出方法としては、溶媒抽出が特に好ましい。そのような溶媒抽出には水、有機溶媒又は含水有機溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール等の炭素数1~5の低級アルコール、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、酢酸、氷酢酸、プロピオン酸等の有機酸等が挙げられる。抽出溶媒としては、好ましくは、水、メタノール、エタノール及びこれらの任意の2種以上を任意の割合で 混合した水性溶媒であり、特に好ましい抽出溶媒は、水、食品添加物として認められている有機溶媒であるエタノールと水とを任意の割合で混合した水性溶媒である。 溶媒抽出としては、エタノール抽出及び熱水抽出が特に好ましい。エタノール抽出に使用する溶媒としては、例えば、エタノール濃度が10~60容量%又は45~55容量%の含水エタノールが挙げられる。 抽出溶媒の使用量は、用いる植物の部位や抽出溶媒等により異なるが、質量比で、例えば、1:2~1:30 (植物原料:抽出溶媒)であり、1:3~1:20の範囲内が好ましい。 抽出溶媒の温度は、室温を超え抽出溶媒の沸点以下の任意の温度とすることができ、抽出効率、被抽出物の耐熱性、揮発性等を考慮して決定されることが望ましい。必要に応じて、抽出効率を向上させるために、加熱した抽出溶媒を用いることもできる。熱水抽出を行う場合の温度は、例えば70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは95℃以上である。抽出時間としては、30分~15日の範囲内が挙げられる。抽出溶媒として水及び水性溶媒を用いる場合には、抽出効率を向上させるために、必要に応じて、酸、塩基、塩等を適宜含ませることができる。抽出に用いる水のpHとしては、特に制限されず、生体への使用を考慮して中性付近が好ましく、pH4~9がより好ましく、pH6~8が更に好ましい。 溶媒抽出は任意の公知の方法により行うことができ、例えば、本発明の植物を溶媒中で所定時間混合後、ろ過、遠心分離、デカンテーション等により固形分と分離する方法、ソックスレー抽出法等の連続抽出法等の方法を用いることができる。 ろ過により不溶分等を除去する場合には、必要に応じて、不純物を除去するために活性炭、ベントナイト、セライト等の吸着剤やろ過助剤を添加することもできる。特に抽出液の状態で用いる場合には、メンブレンフィルター等による除菌ろ過を併せて行うことが好ましい。 本発明の植物の溶媒抽出物は、そのままでも使用することができ、必要に応じて、限外濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、透析法、これらの組合せなどによる精製を行うことができる。 本発明の植物の溶媒抽出物としては、回収された抽出液(必要に応じて更に精製された ものも含む)、当該抽出液を濃縮した濃縮液、凍結乾燥、スプレードライ等により当該抽 出液の溶媒が除去された固形物などが含まれる。ここで、抽出液の濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。 アルツハイマー型認知症に関連する諸症状の改善に関連すると思われる活性の一例として、アミロイドβの生成を阻害する活性が挙げられる。アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβからなるアミロイド線維が沈着して生成した老人斑が広範に認められる神経変性疾患であり、アミロイドβの蓄積がアルツハイマー型認知症の発症の引き金であるというアミロイドβ仮説が提唱されている。アミロイドβは、アミノ酸残基数約700の一 回膜貫通型前駆体タンパク質(アミロイド前駆体タンパク質:APP)が2種類のタンパク質プロセシング酵素により切断されることにより産生される。アミロイドβは、APPの細胞外 領域から膜貫通領域にかけて存在しており、βセクレターゼによりアミロイドβのN末部 分が、次いでγセクレターゼによりC末部分が切断させる。 BACE1 (β site amyloid cleaving enzyme)は、βセクレターゼを有する膜結合型のアスパラギン酸プロテアーゼであり、1999年にクローニングされて以来、阻害剤に関する多くの研究がなされている。一方、γセクレターゼは複数のサブユニットからなる複合タンパク質であるが、未だ正体は不明であり、APP以外にも、細胞の発生や分化に関与す るいくつかの膜貫通型タンパク質も基質とすることが知られている。γセクレターゼの触媒中心であるプレセニリン(