JP-2026514600-A - 乳脂肪球膜を含む乳製品およびその製造方法
Abstract
本開示は、乳製品、乳製品の製造方法、乳製品の使用、および乳製品を含む乳ベース製品に関する。本開示は、対象において身体パフォーマンスを改善または維持する方法ならびに対象において身体パフォーマンスを改善または維持することにおける使用のための乳製品または乳ベース食品製品にも関する。
Inventors
- トゥルペイネン,アヌ
- シバコフ,ティモ
- ヘイノ,アンッティ
- レフトネン,カイテュ-マリン
- マティライネン,オッリ
Assignees
- ヴァリオ・リミテッド
Dates
- Publication Date
- 20260512
- Application Date
- 20240510
- Priority Date
- 20230512
Claims (20)
- 乾物中で重量に対して少なくとも30%の乳タンパク質含量および乾物中で重量に対して少なくとも3%の乳脂肪球膜(MFGM)含量を含む、乳製品。
- 重量に対して1%未満、好ましくは重量に対して0.1%未満、より好ましくは重量に対して0.01%未満のラクトース含量を含む、請求項1に記載の乳製品。
- 乳タンパク質が、部分的に加水分解されている、請求項1または2に記載の乳製品。
- タンパク質加水分解の程度が、少なくとも2mg遊離チロシン/gタンパク質、好ましくは3から50mg遊離チロシン/gタンパク質の範囲内である、請求項3に記載の乳製品。
- タンパク質に対して重量比で約0.05から約0.4、好ましくは約0.1から約0.3の範囲内のMFGMを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 乾物中で重量に対して30%から90%の範囲内、好ましくは重量に対して40%から80%の範囲内の乳タンパク質含量を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 乾物中で重量に対して3%から30%の範囲内、好ましくは重量に対して4%から25%の範囲内のMFGM含量を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 灰分に対して重量比で約3.0から約25、好ましくは約5.0から約20の範囲内のタンパク質を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 灰分に対して重量比で約0.6から約10、好ましくは約1.0から約5.0のMFGMを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 脂肪に対して重量比で約3から約10、好ましくは約4から約6の範囲内のタンパク質を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- タンパク質に対して重量比で約0.9以下、好ましくは0.01から0.9、より好ましくは0.01から0.5、最も好ましくは0.02から0.4の範囲内の炭水化物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の乳製品。
- 先行する請求項のいずれか一項に記載の乳製品を含むか、または前記乳製品から製造された、乳ベース食品製品(dairy based food product)。
- 乳ベース食品製品が、粉末、乳ベース飲料、酸乳製品および酸性生鮮製品から選択される、請求項12に記載の乳ベース食品製品。
- 乳ベース食品製品が、タンパク質粉末、ミルクセーキ、乳ショットドリンク、ヨーグルト、発酵乳、ヴィーリ(viili)、発酵クリーム、サワークリーム、クレームフレーシュ、クワルク、およびケフィアから選択される、請求項12または13に記載の乳ベース食品製品。
- 乳ベース食品製品を製造するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の乳製品の使用。
- 乳ベース食品製品が、粉末、乳ベース飲料、酸乳製品および酸性生鮮製品から選択される、請求項15に記載の使用。
- 乳ベース食品製品が、タンパク質粉末、ミルクセーキ、乳ショットドリンク、ヨーグルト、発酵乳、ヴィーリ、発酵クリーム、サワークリーム、クレームフレーシュ、クワルク、およびケフィアから選択される、請求項15または16に記載の使用。
- 乾物中で重量に対して少なくとも30%の乳タンパク質含量および乾物中で重量に対して少なくとも3%のMFGM含量を含む乳製品の製造方法であって、方法が、乳タンパク質およびMFGMを含む乳原料を限外ろ過および限外ろ過残余分の回収に供することを含む、方法。
- 限外ろ過が、ダイアフィルトレーションの工程を含む、請求項18に記載の方法。
- 任意に、製品が重量に対して1%未満、好ましくは重量に対して0.1%未満、より好ましくは重量に対して0.01%未満のラクトース含量を有する、請求項18または19に記載の方法。
Description
本開示は、乳製品、および特にその組成にもとづき、特別な栄養価を有する乳製品に関する。本開示は、さらに乳製品の製造方法、乳製品の使用および乳製品を含む乳ベース製品に関係する。本開示は、対象において身体パフォーマンスを改善または維持する方法ならびに対象において身体パフォーマンスを改善または維持することにおける使用のための乳製品または乳ベース食品製品にも関する。 良い身体パフォーマンスは、ウェルビーイング、および特に活動的で健康的な加齢の中心である。身体パフォーマンスは、筋骨格系だけでなく、日常生活のその他の態様にも関する。例えば、サルコペニアの有病率は加齢とともに上昇し、特に>70歳の人で顕著である。サルコペニアは、低い筋強度、筋質量および筋質として定義できる。重度のサルコペニアは、さらに低い身体パフォーマンスを含む。筋質量の減少は、栄養失調、低いタンパク質摂取、低い身体活動、意図しない体重減少および低いボディマス指数を含む因子に関係する。世界の人口が高齢化するにつれ、これらの障害に対抗する実現可能な介入方法を見出だす必要がある。 哺乳類の健康に対する乳の好ましい影響は、広く認識され確立されている。例えば、乳製品の定期的かつ多量の消費と過体重成人におけるメタボリックシンドロームの発症の間には強い逆相関関係が観察されている。また、乳は、適切な骨形成および骨健康維持に寄与しうるカルシウムの優れた供給源である。乳は、その栄養価のために消費されるだけでなく、乳は、全年齢の人々の間で毎日の食事において一般的に消費される飲料としてそれ自体確立されている。 乳は、多量の乳タンパク質を含む。乳タンパク質は、栄養的にタンパク質の良い天然の供給源である。タンパク質は、身体組織の重要な構成要素として、修復および新たな組織の構築に必要であるため、食事に必要である。乳タンパク質は腸管でよく吸収され、身体に必要なすべてのアミノ酸を含有する。 乳脂肪球膜(MFGM)は、哺乳類の乳中の脂肪球を取り囲む、主に脂質およびタンパク質で構成される、乳中の複合体構造である。それは、脳および腸管内で重要な機能的役割を担うかもしれないリン脂質、糖脂質、および糖タンパク質を含む、複数の生理活性化合物の供給源である。それは、抗菌性、抗炎症性、抗コレステロール血症性であり、サプリメントとして使用しても安全であることが見出されている。 よって、乳は、優れた栄養価を有する多様な成分を含有するが、これまでその完全なポテンシャルが利用されていなかった。乳成分を活用してヒトにおいて身体パフォーマンスの改善を補助する新規な栄養組成物を提供する乳製品を開発する、不変で長期の必要性がある。 本開示の目的は、上記課題を解決するために、乳タンパク質およびMFGMの両方を高い含量で有する乳製品を提供することである。特に、乳製品は、乾物中で重量に対して少なくとも30%の乳タンパク質含量および乾物中で重量に対して少なくとも3%のMFGM含量を有する。乳製品を含む乳ベース食品製品および乳ベース食品製品を製造するための乳製品の使用も提供する。乳製品の製造方法、前記方法により製造された乳製品および乳製品から製造された乳ベース食品製品も提供する。 本開示の目的は、独立請求項に記載された内容により特徴づけられる乳製品、乳ベース食品製品、使用および方法により達成される。本開示の好ましい実施形態を、従属請求項に開示した。 下記において、開示は添付の図面を参照して好ましい実施形態の手段により、より詳細に記載されるであろう。 図1は、本開示に記載の例示的なプロセスを示す。図2は、本開示に記載の例示的なプロセスを示す。図3は、実施例3に記載の臨床試験のフローチャートを示す。図4は、加齢およびタンパク質毒性をともなうC. elegansの活動性に対するMFGM含有粉末の有益な効果を例証する。A)Ctrl、タンパク質粉末1およびタンパク質粉末2で処置した4日目の成虫(孵化から7日)の野生型(N2)個体の活動性。B)Ctrl処置Aβ1-42およびコントロール(CL2122)株と比較した、タンパク質粉末1およびタンパク質粉末2で処置した2日目の成虫Aβ1-42株(GMC101)の活動性。AおよびBにおいて、タンパク質粉末1およびタンパク質粉末2をH2Oに溶解し(1mg/ml)、NGM寒天培地(粉末溶液2mLの10cmNGM寒天プレート)の表面に塗布した。H2Oをコントロールとして使用した。プレートを乾燥させた後、E.coli OP50を食物資源として添加した。C. elegansの活動性をwMicroTrackerを使用して96ウェルプレート中で測定した。各点は10個体の群を表す(各条件あたりn=240(A)およびn=120(B)個体、*p<0.05,****p<0.0001、Tukeyの検定をともなう一元配置ANOVA)。 本明細書中で使用する場合、用語「乳製品」は、乳タンパク質を含む、乳由来の製品を指す。用語「乳製品」は、よって、そのまままたは濃縮物としてまたは熱処理などの所望の方法で前処理した状態の乳などの乳原料、および乳とホエイの組合せに由来してもよい。乳製品には、脂肪、タンパク質、灰分(ミネラル)、または糖フラクションなどの乳ベース食品の調製に一般的に使用される材料を添加してもよい。乳製品の製造に使用される乳製品または乳原料は、例えばラクトース除去により処理されてもよい。乳製品は、よって、例えば、バターミルク、全脂肪乳、クリーム、低脂肪乳、ウルトラフィルターミルク(ultrafiltered milk)、ダイアフィルターミルク(diafiltered milk)、マイクロフィルターミルク(microfiltered milk)、ホエイタンパク質除去乳、乳粉末から再構成した乳、オーガニックミルクまたはそれらの組合せ、またはそれらのうちいずれかの希釈液などの乳原料に由来してもよい。乳原料および乳製品は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ウマまたは栄養分として適した乳を作るその他の任意の動物に由来してもよい。本明細書中では、乳製品は特に乳タンパク質およびMFGMの両方を含有する。言い換えれば、本開示に記載の乳製品は、乳タンパク質およびMFGMの両方を含む乳原料から製造される。 本明細書中で使用する場合、用語「乳タンパク質」および「タンパク質」は互換的に使用されてもよい。 本明細書中で使用する場合、用語「乳ベース食品製品(dairy based food product)」、「乳ベース食品製品(dairy-based food product)」などは、乳由来の成分を含む製品を指す。例えば、乳ベース食品製品は、本開示に記載の乳製品を含むか、またはそれから製造されるか、またはそれを使用して製造されてもよい。 本明細書中で使用する場合、用語「ラクトースフリー(lactose free)」、「ラクトースフリー(lactose-free)」などは、乳製品のラクトース含量が0.5g/杯以下(例えば、液体乳製品では0.5g/244g、ラクトース含量ほぼ0.21%以下)であるが、0.5%(w/w)以下であることを指す。マイクロフィルトレーション、限外ろ過、ナノフィルトレーション、ダイアフィルトレーションおよび逆浸透法を含む1つ以上の様々な膜ろ過を使用する膜技術、ラクトース加水分解、クロマトグラフィー、沈殿法、または1つ以上の段階でのこれらの任意の組合せなどの当分野で知られた任意の方法で、ラクトースを乳から除去することができる。当分野で知られるラクトース加水分解のための任意のラクターゼ酵素を使用できる。 本明細書中で使用する場合、用語「バターミルク(butter milk)」、「バターミルク(buttermilk)」、「バターセラム(butter serum)」などは、バターを製造するためのクリームのチャーニングにより得られる液体製品を指す。バターをチャーニングするとき、クリーム中の乳脂肪球は破壊され、MFGMがクリームの液体部分に放出される。この液体は、つづいて固形バターから分離され、これが一般にバターセラムまたはバターミルクと呼ばれる。バターセラムは、大量のMFGMを含有することができ、この材料を必要とする食品製品のためのMFGMの潜在的な供給源となる。クリームは、生乳などの乳原料をクリームとスキムミルクに分離することで製造される。脂肪クリームは、つづいてチャーニングされてバターおよびバターミルクになってもよい。ラクトースフリーバターミルクの典型的な組成は下記のとおりである:乾物9wt-%、タンパク質3wt-%、ラクトース<0.01wt-%、灰分0.7wt-%、脂肪0.6wt-%、リン脂質0.1から0.15wt-%の範囲内。典型的には、バターミルクは、0.5から2.5wt-%の脂肪含量、および8から11wt-%の乾物含量を有する。バターミルクの組成は、リン脂質、スフィンゴ脂質および糖タンパク質などのMFGM成分を含有するスキムミルクとは異なる。ラクトースフリーバターミルクは、ラクトースフリーバターがラクトースフリークリームからチャーニングされるときに製造される。ラクトースフリーバターの製造プロセスにおいて、生乳は典型的にはまずラクトースを単糖に加水分解するために酵素的に処理されて、つづいて、酵素的ラクトース加水分解クリームがチャーニングされてバターおよびバターミルクになる。 ある態様では、本開示は、乳タンパク質およびMFGMの両方を高い含量で有する乳製品に関する。特に、乳製品は、乾物中で重量に対して少なくとも30%の乳タンパク質含量および乾物中で重量に対して少なくとも3%のMFGM含量を有する。任意に、乳製品は、重量に対して1%未満、好ましくは重量に対して0.1%未満、より好ましくは重量に対して0.01%未満のラクトース含量を有してもよい。 我々は、驚くべきことに、MFGMおよびタンパク質を含有する乳製品が、特別な栄養価を有する栄養組成物を提供することを見出した。MFGM補給は、身体運動に関与する運動単位の重要な構造である、神経筋接合部の発達を刺激してもよい。活性な運動単位の増加は、歩行活動、身体的敏捷性、脚筋質量、および筋線維速度の改善などの身体機能の改善をもたらしてもよい。 さらなる態様では、乳製品に含まれる乳タンパク質は、部分的に加水分解されていてもよい。乳タンパク質の加水分解は、当分野で知られる任意の方法で達成されてもよい。任意の適したプロテアーゼ酵素を、加水分解に使用できる。植物および微生物などの一般に知られている酵素の供給源から得られる酵素によるタンパク質の酵素的分解は、当領域では一般に知られており、このプロセスは、タンパク質がペプチドまたはアミノ酸またはその両方に分解されるように1つ以上のプロテアーゼ酵素またはその混合物を乳に加える工程を含む。 本明細書中に記載の高齢女性(≧70歳)における12週間ランダム化比較対照試験において、試験参加者は、MFGMおよび加水分解された乳タンパク質の両方が高い乳ベース食品製品を提供された。多くの高齢者は推奨量未満のタンパク質を消費しているため、本試験の目的は、MFGMおよび加水分解された乳タンパク質の両方が高い乳ベース食品製品が、ベースラインで推奨量未満のタンパク質を摂取している高齢女性の身体パフォーマンスを改善するかどうかを試験することであった。結果として、短時間身体機能バッテリー(Short Physical Performance Battery)(SPPB)テストにおいて、コントロールと介入群の間で、合計SPPBスコアは有意に異なり、介入群が優位であった(p=0.020)。SPPBの中でも、平衡性テストで最も大きな差がみられた。タンパク質摂取量は、コントロール群(-1g)と比較して介入群(+14g)において有意に増加した。この結果は、MFGM