JP-2026514661-A - 細菌感染症の治療におけるO抗原の使用
Abstract
本発明は、細菌感染症の治療におけるO抗原の使用に関する。本発明の一態様では、細菌感染症の治療用薬剤の製造におけるO抗原の使用が提供され、ここで、投与される薬剤は、移行性前単球(TpMos)を対象の骨髄から末梢血へ動員する。別の態様では、細菌感染症の治療に使用するためのO抗原が提供され、このO抗原は、TpMosを対象の骨髄から末梢血へ動員する。別の態様では、増殖中の移行性前単球(TpMos)を骨髄から対象の末梢血へ動員する方法が提供され、その方法は、治療有効量のO抗原を対象に投与することを含む。
Inventors
- ライ・コアン・ウン
- シュー・チェン・チョン
- イェー・チェアン・テ
- ミン・ヤオ・チューイ
- スウェイン・チェン
Assignees
- エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20230303
Claims (20)
- 細菌感染症を治療するための薬剤の製造におけるO抗原の使用であって、投与される前記薬剤は、移行性前単球(TpMos)を対象の骨髄から末梢血へ動員する、使用。
- 前記細菌感染症が細菌性敗血症である、請求項1に記載の使用。
- 前記O抗原が大腸菌由来のO抗原である、請求項2に記載の使用。
- 前記O抗原がDGlc-(α1-4)-DGal-(α1-3)-DGlcNAcの構造を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
- 前記O抗原は、大腸菌O18血清型又はO111血清型由来のO抗原である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
- 大腸菌O18血清型は大腸菌UTI89株である、請求項5に記載の使用。
- 前記薬剤は補助治療として使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用。
- (a)DGlc-(α1-4)-DGal(α1-3)-DGlcNAcの構造を含むO抗原の治療有効量と、(b)1種以上の薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物。
- 前記O抗原が大腸菌由来のO抗原である、請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記O抗原が大腸菌O18血清型又はO111血清型由来のO抗原である、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
- 前記大腸菌O18血清型は大腸菌UTI89株である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 細菌感染症の治療に使用するためのO抗原であって、TpMosを対象の骨髄から末梢血へ動員するO抗原。
- 前記細菌感染症が細菌性敗血症である、請求項12に記載のO抗原。
- 前記O抗原は大腸菌由来のO抗原である、請求項12又は13に記載のO抗原。
- 前記O抗原はDGlc-(α1-4)-DGal(α1-3)-DGlcNAcの構造を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のO抗原。
- 前記O抗原が大腸菌O18血清型又はO111血清型由来のO抗原である、請求項12~15のいずれか1項に記載のO抗原。
- 前記大腸菌O18血清型は大腸菌UTI89株である、請求項16に記載のO抗原。
- 前記O抗原は補助治療として使用される、請求項12~17のいずれか1項に記載のO抗原。
- 細菌感染症を治療する方法であって、対象に治療有効量のO抗原を含む組成物を投与することを含み、前記O抗原の投与により、移行性前単球(TpMos)が前記対象の骨髄から末梢血へ動員される、方法。
- 前記細菌感染症が細菌性敗血症である、請求項19に記載の方法。
Description
本発明は、一般に細菌感染症の治療に関し、より詳細には細菌感染症の治療のためのO抗原の使用に関する。 敗血症は集中治療室における死亡の主な原因の一つである。敗血症の病因を解明し、抗生物質療法や静脈内輸液による蘇生などの介入戦略を策定することに、多大な研究努力が注がれてきた。しかし、敗血症の進行は複雑かつ急速であるため、現在の治療法や転帰予測のバイオマーカーの成功には限界がある。 敗血症に対する支持療法の進歩にもかかわらず、敗血症の死亡率は依然として高い。敗血症は細菌感染症に伴って起こることが多いため、有害な結果を防ぐために抗生物質による治療が行われるのが一般的である。しかし、広範囲の抗生物質療法は細菌に対して効果が低下しており、世界中の公衆衛生システムに対する世界的脅威として出現している抗菌薬耐性のために患者に悪影響を及ぼす可能性があることがますます明らかになっている。 図1は、細菌感染症及び敗血症の際に骨髄(BM)から末梢血へ動員された移行性前単球(TpMos)として同定されたLy6Chi増殖性単球の出現を示す。(A-B)PBSコントロールマウスと、体内にBrdUを組み込んだ大腸菌感染マウスにおける代表的な蛍光活性化細胞選別(FACS)プロット(A)と血液中の増殖性Ly6Chi単球の数(B)。結果は平均値(n=4)として表され、3つの実験のうちの1つの代表値である。***P<0.001(Student’s t検定)。(A-B)PBSコントロールマウスと、体内にBrdUを組み込んだ大腸菌感染マウスにおける代表的な蛍光活性化細胞選別(FACS)プロット(A)と血液中の増殖性Ly6Chi単球の数(B)。結果は平均値(n=4)として表され、3つの実験のうちの1つの代表値である。***P<0.001(Student’s t検定)。(C)マウスをCLP誘発敗血症にさらし、示された時点でのBrdU取り込みに基づいて血液中の増殖性Ly6Chi単球を定量した。結果は平均値(n=5)として表され、3つの実験のうちの1つの代表値である。**P<0.01、****P<0.0001(一元配置分散分析)。(D)感染していない骨髄細胞(左)、感染していない血液細胞(中央)、及び大腸菌に感染した血液細胞(右)からの単球サブセットの均一多様体近似及び投影(UMAP)分析。UMAP投影に使用したパラメータには、Ly6C、CXCR4、CD49f、CD115、cKit、CD43、CX3CR1、CD48が含まれる。増殖性(Fucci+)Ly6Chi単球を含む単球サブセットは手動でゲートされ、UMAP空間に重ね合わせられた。(E)示された時点におけるBMTpMos(左)と血液Ly6Chi増殖性単球(右)の数。結果は平均値(n=4)として表され、2つの実験のうちの1つの代表値である。*P<0.05、***P<0.001、****P<0.0001(一元配置分散分析)。(F)GFPタグ付きTpMosとtdTomatoタグ付きMatMos(成熟単球)を1:1の比率で再懸濁し、大腿内経路(IBM)を介してレシピエントマウスに移植した。その後、レシピエントマウスにPBS又は大腸菌を腹腔内注射し、感染後9時間で分析のために採取した(左)。移植された細胞の代表的なFACSプロットが、生体内でのBrdUの取り込みを示している(中央)。移植された細胞中のBrdU陽性細胞の割合(右)。結果は平均値(n=4-5)として示され、3回の実験のうち1回の代表値である。***P<0.001(一元配置分散分析)。図2は、TpMosが防御反応を付与し、敗血症マウスの生存率を改善したことを示している。(A)LPS刺激を受けたコントロールBM TpMosとMatMosを3時間後にFLICAポリカスパーゼを使用してアポトーシス細胞について分析した。結果は平均値(n=4-6)として表され、3つの実験のうちの1つの代表値である。***P<0.001(Student’s t検定)。(B)TpMosとMatMosはCD45.1マウスから選別され、腹腔内(i.p.)経路を介してCLP誘導CD45.2レシピエントマウスに養子移植された。移植された細胞は、養子移植後1、3、5日目にIL-6、IL-1β、TNF-α、iNOSの発現について分析された。結果は平均値(n=4-6)として表され、3つの実験のうちの1つの代表値である。n.s.有意差なし、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001(Student’s t検定)。(C)TpMos又はMatMosは選別され、CLPを受けた直後にレシピエントマウスに養子移植された。これらのマウスの生存率は、カプラン・マイヤー生存曲線を用いて評価された。結果は3つの実験のうちの1つ(n=10)の代表値である。*P<0.05(Mantel-Cox法)。図3は、TpMoの動員が細菌誘発性炎症状態に特異的であることを示す。CLP誘発性敗血症モデル(A)、マラリア(B)、インフルエンザ(C)、デング熱(DENV)及びジカ熱(ZIKV)モデル(D)、高脂肪食モデル(E)、及び妊娠モデル(F)におけるTpMos(CD62LhiCXCR4hi)を示す代表的なFACSプロット。図4は、TpMoの動員が特定のグラム陰性細菌O抗原グリカン構造によって誘導されることを示す。(A)グラム陰性細菌(大腸菌、A.baumannii、P.aeruginosa)及びグラム陽性細菌(S.aureus、E.faecalis、及びE.faecium)に感染したマウスの循環TpMosの数。結果は平均値(グループあたりn=4-5)として表される。****P<0.0001(一元配置分散分析)。(B)異なるO抗原構造及び密度の大腸菌株(MG1655、L5、L9、UTI89)に感染したマウスにおける循環TpMosの数。結果は平均値(グループあたりn=4-7)として表され、2つの実験のうちの1つの代表値である。****P<0.0001(一元配置分散分析)。(C)異なるO抗原(O55、O111)のLPSを投与されたマウスの循環TpMosの数。結果は平均値(グループあたりn=4)として表され、2つの実験のうちの1つの代表値である。****P<0.0001(一元配置分散分析)。(D)TpMo動員を誘導できたO18抗原とO111抗原に共通するグリカン構造を強調表示。O18AはO18血清型のサブタイプである。図5は骨髄(BM)における単球の発生過程を簡略に示している。単球は共通単球前駆細胞(cMoP)から移行前駆細胞を経て成熟Ly6Chi単球(MatMos)へと分化する。この移行前駆細胞は移行性前単球(TpMos)と呼ばれていた。TpMosは機能的に未熟で、骨髄中で活発に増殖し、動員のシグナルに反応せず、MatMosの貯蔵庫であると考えられていた。図6は、細菌感染時の浸潤単球の重要性を示す。炎症時には、単球が炎症部位に急速に動員され、単球由来マクロファージに分化してニッチを補充し、貪食や炎症誘発性サイトカインの産生などのエフェクター機能を提供して細菌負荷を軽減する必要がある。図7は、細菌の貪食が単球の枯渇及び細胞死につながることを示している。単球はミトコンドリアとATPレベルが低い。そのため、細菌の摂取はしばしば単球の枯渇とそれに続く細胞死につながり、その後のマクロファージへの分化能力を制限する。図8はTpMosに関する重要な知見を示している。細菌感染症及び敗血症において、TpMosはMatMosと同様に腹膜へ効率的に移行し、増殖能を維持した。TpMosはCSF-1に対する反応が強化され、MatMosと比較してより多くのマクロファージを生成した。TpMo及びTpMo由来マクロファージは、MatMo及びMatMo由来マクロファージと比較して、生存能が高く、炎症性が低い。また、TpMosはサイトカインストームに寄与しなかった。図9は、TpMosが敗血症の結果に影響を及ぼし得ることを示している。TpMosが敗血症の際に保護的であるか有害であるかを判断するために、TpMosとMatMosを選別し、敗血症マウスに養子移植して、それらの生存率を比較した。本発明の一側面では、対象におけるTpMosの養子移植により敗血症の生存結果が改善したことが示され、これはTpMosの動員が細菌免疫応答を保護することを示唆している。図10はリポ多糖(LPS)の成分を示す。LPSはグラム陰性細菌の細胞壁成分の主要部分を占める。リピドA、コアオリゴ糖、O型多糖(O抗原)から構成されている。LPSの様々な形態は、細菌の毒性、透過性、細胞接着において重要な役割を果たす。LPS構造を形成する成分のうち、O抗原は細菌の毒性に関与していると言われている。図11は、O抗原及び血清型の存在が細菌の病原性を左右することを示す。O抗原は細菌の毒性に関与しているといわれているため、O抗原の構造と病原性の異なる大腸菌株を使用して、O抗原がTpMoの動員に役割を果たしているかどうかを調べた。本発明に記載されているように、O抗原を使用してTpMosを動員する効果を決定するために、データを取得して研究した。図12は、細菌の毒性がTpMoの放出を誘発する役割を果たしていることを示す。さまざまな投与量でさまざまな株に関連する数の傾向を示さなかったMatMosとは対照的に、TpMosは、マウスがO18抗原を運ぶUTI89に感染したときに循環系に放出されることが示された。図13は、TpMosは成熟Ly6Chi単球(MatMos)の遷移的前駆細胞である。定常状態では、機能的に未熟であり、骨髄内で活発に増殖し、骨髄内のMatMosの貯蔵庫として機能する。図14は、重度の炎症時におけるTpMosの挙動と機能を示す。TpMosは、細菌感染症や敗血症の際に、骨髄から循環系に入り、炎症部位に侵入する可能性がある。TpMosはマクロファージプールを活発に補充し、MatMosによって生成される炎症誘発性サイトカインのバランスをとることで敗血症に対する防御効果を発揮する。図15は敗血症介入戦略を示す。図16は、本発明の一実施形態による一般的な研究開発計画を示す。図17は、敗血症患者にTpMosが存在することを示す。ICUから退院した敗血症患者の循環血中にTpMos(CXCR4陽性、Ki67陽性)が存在することを示す代表的なFACSプロット。 一態様において、本発明は、細菌感染症を治療するための医薬の製造におけるO抗原の使用を提供し、ここで、投与される薬剤は、移行性前単球(TpMos)を対象の骨髄から末梢血へ動員する。 「O抗原」という用語は、「O特異的多糖類」又は「O側鎖」としても知られ、構造が非常に多様なグラム陰性細菌の表面リポ多糖類(LPS)の主成分を指す。本明細書で使用される「O抗原」には、O抗原自体、完全なリポ多糖類(LPS)の一部としてのO抗原、又は細菌細胞上の完全なLPSの一部としてのO抗原への言及が含まれる場合がある。 本明細書において、敗血症などの疾患を治療するという文脈における用語「治療する」又は「治療すること」は、その疾患を有する患者の臨床転帰を改善することを含むことを意味する。これには、病気の患者の生存率の向上も含まれる。 本明細書において、移行性前単球(TpMo)とは、以下の表面マーカーを有する細胞である:Ly6Chi、CXCR4hi、CCR2lo、CD62Lhi、CD11blo、及びCD31hi。移行性前単球(TpMos)は、本来活発に増殖している。細胞に関して「増殖」という用語は、細胞周期のS/G2/M期にある細胞を指す。「移行性前単球」と「増殖性移行性前単球」という用語は同じ意味で使用される。TpMosは活発な増殖段階にあり、これはBrdUアッセイによるBrdUの発現によって、又はFucci-474トランスジェニックマウスでのFucciシグナル