JP-2026514794-A - 心血管疾患または脳血管疾患患者の血栓性疾患の治療および予防におけるミルベクシアンの使用
Abstract
心血管疾患または脳血管疾患のヒトの患者の血栓性疾患を予防するための方法において有用な、治療効果を有する活性化第XI因子阻害剤。 【選択図】図1
Inventors
- リィ,ダンシ
- ホロウ,ジェイ
- ネッセル,クリストファー
- プロトニコフ,アレクセイ
- バルナタン,エリオット
- ストロニー,ジョン
- ピーターズ,ゲイリー
- チンタラ,マドゥ
- リュートゲン,ジョセフ
- モハン,プニート
Assignees
- ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
- ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20240419
- Priority Date
- 20230419
Claims (20)
- 心血管疾患または脳血管疾患を有するヒトの患者における、血栓性疾患を治療または予防する方法であって、ヒトの患者に、25mg、50mg、または100mgのミルベクシアン(またはその医薬的に許容される塩あるいは溶媒和物)、および医薬的に許容される賦形剤を含む即放錠を投与すること、当該即放錠は適宜抗血小板療法と併用して投与してもよいこと、即放錠は1日2回投与されることを特徴とする、方法。
- ミルベクシアン(またはその医薬的に許容される塩あるいは溶媒和物)を含む即放錠の投与、または即放錠を含むレジメンにより、患者の第XI因子凝固活性がベースライン比で約7%~約20%減少するか、またはベースライン比で約27%~64%減少する、請求項1に記載の方法。
- ミルベクシアン(またはその医薬的に許容される塩あるいは溶媒和物)を含む即放錠の投与、または即放錠を含むレジメンにより、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)がベースライン比で約27%~約64%延長するか、あるいは患者の活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が延長し、ベースライン比が2.1~2.6となる、請求項1に記載の方法。
- 投与により、主要な出血性合併症が統計的に有意に増加することはない、請求項1に記載の方法。
- 即放錠の水中崩壊時間が20秒未満である、請求項1に記載の方法。
- 投与により、ミルベクシアンの血漿中の半減期が約13時間~約16時間となる、請求項1に記載の方法。
- 投与により、ミルベクシアンの血漿中濃度が約3日~6日で定常状態に達する、請求項1に記載の方法。
- 即放錠が食事のタイミングに関係なく投与される、請求項1に記載の方法。
- 血栓性疾患が、動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症、または心腔内あるいは末梢循環における血栓塞栓症から選択される血栓塞栓性障害である、請求項1に記載の方法。
- ヒトの患者が脳血管疾患を有する、請求項1に記載の方法。
- 脳血管疾患が、非心原性虚血性脳卒中、または一過性脳虚血発作(TIA)から選択される、請求項10に記載の方法。
- ヒトの患者が心血管疾患を有する、請求項1に記載の方法。
- 心血管疾患が、心房細動または心房粗動である、請求項12に記載の方法。
- 心血管疾患が急性冠症候群である、請求項12に記載の方法。
- 即放錠が、50mgまたは100mgのミルベクシアン(またはその医薬的に許容される塩あるいは溶媒和物)を含む、請求項1に記載の方法。
- 血栓性疾患に、急性冠症候群に伴う動脈血栓塞栓症が含まれる、請求項9に記載の方法。
- ヒトの患者に、(i)25mgのミルベクシアン(またはその医薬的に許容される塩あるいは溶媒和物)を含む即放錠の投与、および(ii)アスピリン、P2Y12阻害薬、およびその組合せからなる群から選択される抗血小板療法を含むレジメンを行い、当該即放錠は1日2回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 抗血小板療法にはP2Y12阻害薬が用いられる、請求項17に記載の方法。
- 抗血小板療法にはアスピリンが用いられる、請求項17に記載の方法。
- ミルベクシアンの投与により、臨床的に有意なQTc間隔の延長が認められない、請求項1に記載の方法。
Description
(関連出願の相互参照) 本出願は、2023年4月19日出願の米国仮出願第63/497,088号の優先権、2023年4月19日出願の米国仮出願第63/497,101号の優先権、2023年8月24日出願の米国仮出願第63/578,508号の優先権、2023年9月13日出願の米国仮出願第63/582,313号の優先権、および2023年4月19日出願の米国仮出願第63/497,111号の優先権を主張するものである。前記出願はそれぞれ全てが参照により本明細書に組み込まれる。 本開示は、正常な血液凝固過程を大きく損なうことなく、心血管疾患または脳血管疾患を有するヒトの患者の血栓性疾患を治療または予防するためのミルベクシアンの使用に関する。 [技術分野] 血栓塞栓症およびそれに関連する合併症は、世界的に大きな医療負担となっている。現代医療の発展にもかかわらず、脳卒中は依然として世界的に主な死因および障害の原因となっている。2019年だけで、欧米諸国における脳卒中による障害調整生命年は1億4300万年、死亡は655万人におよび、医療費支出の相当な部分を占めることとなった(Katan et al,. Global burden of stroke, SeminNeurol., 2018, vol. 38, pp. 208-211)。血栓は動脈や静脈を部分的または完全に閉塞し、局所的な虚血性合併症を引き起こす可能性がある。脳動脈や肺を塞栓し、脳卒中や命に関わるその他の病態を引き起こすこともある。血栓症は心血管疾患の罹病率および死亡率に寄与し、特に冠動脈疾患(CAD)、心房細動(AF)、脳卒中、末梢動脈疾患(PAD)、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)、急性心筋梗塞(AMI)、および静脈血栓塞栓症(VTE)で顕著である。動脈血栓症および静脈血栓症は死亡率および罹病率の最も高い病因である。動脈血栓症は心筋梗塞(MI)および脳卒中の原因となり、静脈血栓症(VT)は静脈血栓塞栓症(VTE)および肺塞栓症(PE)を引き起こす。虚血性心疾患と脳卒中を合わせると、世界的な死因の約25%を占める(Lozano et al. Global and regional mortality from 235 causes of death for 20 age groups in 1990 and 2010: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010. Lancet. 2012;380:2095-2128)一方、深部静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症(PE)からなるVTEの発症率推定値は、全世界で100,000人あたり115~269件である(Day I.S.C.f.W.T. Thrombosis: A major contributor to the global disease burden. J. Thromb. Haemost. 2014;12:1580-1590)。 血栓の全体的な構成は動脈血栓とは大きく異なる。静脈血栓では赤血球とフィブリン繊維が主な成分であり、それぞれの体積平均は63%および35%を占める一方、動脈血栓は主にフィブリンおよび血小板から構成される。血小板は、比較的高い壁せん断速度(約102~105s-1)で形成される動脈血栓の発生に重要な役割を果たし、しばしば「白色血栓」と呼ばれるものを形成する。冠動脈疾患患者では、一般にアテローム性動脈硬化プラークの破裂や、凝固促進成分(例えばコラーゲンや、脂質に富み、組織因子を発現する活性化マクロファージ)の露呈により血栓が生じ、血栓が生じて閉塞することになれば心筋梗塞が引き起こされる。同様の機序により、脳またはその他の循環系において原発性動脈血栓症が発症し得る。対して、低いせん断速度(10~100s-1)で形成される静脈血栓は、主に赤血球およびフィブリンから構成され、「赤色血栓」と呼ばれる。静脈血栓の形成は、一般に、血液凝固の亢進、血管内皮の障害および血液の鬱滞(ウィルヒョウの3徴)が組み合わさった結果と考えられている。肺塞栓症の全体的な組成は、動脈血栓とは大きく異なっていたが、静脈血栓とは有意な差を示さなかった(Cheynysh et al., The distinctive structure and composition of arterial and venous thrombi and pulmonary emboli, Scientific Reports, 2020, vol. 10, pp.5112)。従って、抗血小板療法は動脈血栓症の予防において好ましい選択肢と考えられている一方、静脈血栓症の治療においては抗凝固療法(ビタミンK抗凝固薬、ヘパリン、または直接活性化第X因子阻害剤)が推奨されている。しかしながら、動脈血栓症と静脈血栓症の間で、下記のような類似性を示す状況も存在する。 (1)心房細動(AF)を有する患者の左心耳(低圧・低せん断を特徴とし、肺毛細血管後循環から酸素化された静脈血を受ける部位)、(Wysokinski et al., Atrial fibrillation and thrombosis: immunohistochemical differences between in situ and embolized thrombi. J Thromb Haemost, 2004, vol. 2, pp.1637-1644)および心筋梗塞(MI)患者の冠動脈系(Yamashita et al., Detection of von Willebrand factor and tissue factor in platelets-fibrin rich coronary thrombi in acute myocardial infarction. Am J Cardiol 97(1):26-28)において、フィブリン主体の血栓が形成される特殊な状況; (2)静脈血栓塞栓症(VTE)の予防にアスピリンが効果を示す可能性(これは静脈系での血栓形成に血小板が不可欠な役割を果たすことを示唆する)(3)網膜静脈閉塞症(RVO)患者における主要な心血管(CV)リスク因子(主に高血圧)の高頻度の併存(Janssen et al., Retinal vein occlusion: a form of venous thrombosis or a complication of atherosclerosis? A meta-analysis of thrombophilic factors. Thromb Haemost. 2005, vol. 93, pp. 1021-1026)。 (1)外因系経路および(2)内因系経路は、血液凝固カスケードを惹起する2つの主要経路として周知である。両経路とも一連のカスケード反応を開始し、血栓を形成する。これにより、誘発因子を血液から隔離、および封じ込めることで、血漿成分とのさらなる接触を防ぎ、血栓形成プロセスを停止させることを目的としている(図1)。止血とは、損傷後の出血を抑制するため、凝固カスケードにより血管損傷部位が修復される正常な生理学的過程である。血小板は一次止血を担い、凝固は二次止血(血小板血栓の強化)を担う。一方、血栓症とは、正常な生理的血液凝固過程により、血管腔内に血栓が形成されてしまい、通常の血流を阻害する種々の病態を指す。止血および血栓症のいずれにおいてもトロンビン生成およびフィブリン形成は最終段階であるが、関与する経路には重要な違いが存在する(図1)。 止血は通常、血管外膜に存在する組織因子(TF)が血液に露出した際に開始される。出血を引き起こし得る血管損傷が生じると、一連の可溶性血漿タンパク質が活性化され、酵素活性化カスケードとして連続的に作用し、血小板-フィブリン血栓を形成する。このような状況ではTFの濃度が比較的高いため、トロンビンの生成は迅速かつ強力となり、誘発因子であるTFを血液から隔離する止血栓が速やかに形成される。これによりフィードバック機序を介して凝固経路の活性化が中断され、病的状態に至ることが阻止される。 におけるTFの濃度は止血時よりも低いものの、血液成分との接触時間がしばしば止血時より長くなる。アテローム性動脈硬化プラークの破裂に伴うTF、損傷部位や炎症部位に発現した活性化単球/マクロファージによって凝固が誘発される場合であっても、インプラント医療機器または好中球細胞外トラップ(NETs)によって凝固が誘発される場合であっても、血栓の成長および血栓の安定性に対する凝固カスケードのフィードバック機序によって状況は異なる(図1)。この凝血塊または血栓は、遠位組織や遠位臓器への血流を阻害して虚血や壊死を引き起こし、急性冠症候群(ACS)、脳卒中、または深部静脈血栓症(DVT)を含む臨床症状として現れる(Badimon et al., Factor XI/XIa Inhibition: The Arsenal in Development for a New Therapeutic Target in Cardio- and Cerebrovascular Disease, J Cardiovasc Dev Dis., 2022, vol. 9, p. 437)。 TF経路は、凝固の「開始」および「増幅」段階においてより大きな役割を果たし、血栓症よりも正常な止血において機能していると理解されている。FXIは二重の役割をもち、、一方は内因系経路においてFXIIの直下に位置する役割、他方は増幅経路においてトロンビン(および存在する場合にはFXIIa)によって活性化される役割である。しかしながら、内因系経路は血栓性疾患において重要な役割を果たす際に活性化される。血漿中のFXII、FXI、またはカリクレインの活性増加はアテローム性動脈硬化症(Colhoun et al., Activated factor XII levels and factor XII 46C>T genotype in relation to coronary artery calcification in patients with type 1 diabetes and healthy subjects. Atherosclerosis. 2002;163:363-369)や、心筋梗塞(MI)(Doggen et al., Levels of intrinsic coagulation factors and the risk of myocardial infarction among men: Opposite and synergistic effects of factors XI and XII. Blood. 2006;108:4045-4051)と関連することが報告されている。 遺伝的に決定されているFXIに関する解析では、FXI値が最も高い集団は虚血性脳卒中のリスクが高いこととの関連が示されている(Gill et al. Genetically determined FXI (Factor XI) levels and risk of stroke. Stroke 2018;49 (11):2761-2763)。一方、重度のFXI欠損は脳卒中および深部静脈血栓症のリスクが低下することと関連している(Salomon et al., Reduced incidence of ischemic stroke in patients with severe factor XI deficiency. Blood. 2008;111:4113-4117; Salomon et al., Patients with se