JP-2026514812-A - Nav1.8阻害剤、その製造方法及び用途
Abstract
本発明は、式Iで表されるNav1.8阻害剤、並びにその製造方法及び用途を提供する。本発明の化合物は、優れたNav1.8選択的阻害活性、良好な薬物動態学的性質、及び好ましいドラッグライク特性を有する。本発明の化合物は、Nav1.8阻害剤として、Nav1.8チャネル活性の異常な発現に関連する疾患の予防及び/又は治療に使用でき、重要な臨床的応用価値を有する。 【化1】
Inventors
- ガオ,ジャオビン
- ヘー,チェン
- ウェイ,アイホァン
- チャン,シャオフェイ
- ワン,リンリン
- ヤン,チュンハオ
- タン,ツン
- チェン,ユエミン
- フー,リンシュー
- シュ,ハイエン
- チェン,シャオイェン
- フー,ユホン
- ション,ビング
Assignees
- シャンハイ インスティテュート オブ マテリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシズ
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20240412
- Priority Date
- 20230419
Claims (10)
- 式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩であって、 ここで、 R 0 が、 からなる群より選ばれ、 環Aが、置換または未置換のC6-C10アリール、置換または未置換の5-10員ヘテロアリールからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、ハロゲン、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれる1、2、3または4つの置換基で置換されることを意味し; n 1 が、0、1、2、3または4からなる群より選ばれ;n 2 が、0または1からなる群より選ばれ;mが、0、1、2、3または4からなる群より選ばれ; R 5 が、O、S、C=O、CR 5a R 5b またはNR 5c からなる群より選ばれ、その中、前記R 5a とR 5b が、それぞれ独立して、水素、ハロゲンからなる群より選ばれ;前記R 5c が、水素、置換または未置換のC1-C4アルキル、置換または未置換のC3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、ハロゲン、C1-C4アルキル、ハロゲン置換のC1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、ハロゲン置換のC1-C4アルキルオキシからなる群より選ばれる1、2または3つの置換基で置換されることを意味し; R 6 が、O、S、C=O、CR 6a R 6b またはNR 6c からなる群より選ばれ、その中、前記R 6a とR 6b が、それぞれ独立して、水素、ハロゲンからなる群より選ばれ;あるいは、CR 6a R 6b が、一緒になって置換または未置換のC3-C6シクロアルキル、置換または未置換の3-8員ヘテロシクリル、[置換または未置換のC3-C6シクロアルキル]縮合[置換または未置換のフェニル]、[置換または未置換のC3-C6シクロアルキル]縮合[置換または未置換の5-6員ヘテロアリール]、[置換または未置換の3-8員ヘテロシクリル]縮合[置換または未置換のフェニル]、[置換または未置換の3-8員ヘテロシクリル]縮合[置換または未置換の5-6員ヘテロアリール]、[置換または未置換のシクロペンタニル]縮合[置換または未置換のフェニル]、または[置換または未置換のシクロペンタニル]縮合[置換または未置換の5-6員ヘテロアリール]を形成し;前記R 6c が、水素、置換または未置換のC1-C4アルキル、置換または未置換のC3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、ハロゲン、C1-C4アルキル、ハロゲン置換のC1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、ハロゲン置換のC1-C4アルキルオキシからなる群より選ばれる1、2または3つの置換基で置換されることを意味し; X 1 が、NまたはCR a からなる群より選ばれ、X 2 が、NまたはCR b からなる群より選ばれ、X 3 が、NまたはCR c からなる群より選ばれ、X 4 が、NまたはCR d からなる群より選ばれ、かつX 1 、X 2 、X 3 とX 4 のうち、2つ以下のNしか存在しない; R a 、R b 、R c とR d が、表すたびに、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれ;特に、R a が、水素であり;R b が、-CF 3 、メチル、シクロプロピル、イソプロピルまたは-Clからなる群より選ばれ;R c が、-Cl、-CF 3 、シアノまたはエチニルからなる群より選ばれ;R d が、水素、-Cl、-Fからなる群より選ばれ; X 5 とX 6 の一方が、CR 1 であり、他方が、NまたはCR e からなる群より選ばれ; R e が、表すたびに、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれ;好ましくは、-Cl、-F、Br、水素、メトキシ、メチルからなる群より選ばれ; R 1 が、 からなる群より選ばれ;あるいは、R 1 とR e が、それらに連結している炭素と一緒になって を形成し; その中、R 1a が、水素、-CN、-OH、C1-C6アルキルオキシからなる群より選ばれ;R 1b 、R 1c 、R 1e とR 1d が、それぞれ独立して、水素、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ; R 2 、R 3 とR 4 が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換または未置換のC1-C3アルキル、置換または未置換のC1-C3アルキルオキシ、置換または未置換のC3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、C1-C4アルキル、ハロゲン、-CN、-NO 2 または-NH 2 からなる群より選ばれる1、2または3つの置換基で置換されることを意味する、 化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- R 0 が であり、置換または未置換のインドリニル、置換または未置換のイソインドリニル、置換または未置換の1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、置換または未置換のテトラヒドロイソキノリニル、置換または未置換の4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル、置換または未置換の4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニルからなる群より選ばれ、その中、前記置換の置換基が、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、フェニルまたはハロC1-C4アルキルからなる群より選ばれる、 請求項1記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- R 0 が であり、置換または未置換のテトラヒドロピロール、置換または未置換のピペリジン、置換または未置換のモルホリン、置換または未置換のチオモルホリン、置換または未置換ピペラジン、置換または未置換のアゼパン、置換または未置換の1,4-オキザアゼパン、置換または未置換のアザスピロ[2.5]オクタン、置換または未置換のスピロ[インダン-1,4′-ピペリジン]-イル、置換または未置換の4,5-ジヒドロスピロ[ピペリジン-4、7′-チエノ[2、3-c]ピラン]-イル、置換または未置換の3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,4′-ピペリジン]-イルからなる群より選ばれ、その中、前記置換の置換基が、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、フェニルまたはハロC1-C4アルキルからなる群より選ばれ; 好ましくは、以下の基からなる群より選ばれる: 請求項1記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- 式Iで示される化合物が、以下の式I-a1、式I-a2、式I-b1、式I-b2、式I-c1、式I-c2、式I-dで示される化合物からなる群より選ばれ: その中、X 5 とX 6 がNまたはCR e であり、X 1 、X 2 、X 3 、X 4 、R 0 、R 1a 、R 1b 、R 1c 、R 1d 、R 1e 、R 2 、R 3 、R 4 、R e の定義が対応する請求項と同じである、 請求項1記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- 式Iで示される化合物が、以下の式IIで示される化合物からなる群より選ばれ: その中、X 1 がCまたはNであり;m、R 6 、R b 、R c 、R d 、R 2 、R 3 、R 4 、X 5 、X 6 の定義が対応する請求項と同じであり; 好ましくは、式IIで示される化合物が、以下の式II-a1、式II-a2、式II-b1、式II-b2、式II-c1、式II-c2、式II-dで示される化合物からなる群より選ばれ: その中、X 1 、m、R 6 、R b 、R c 、R d 、R 2 、R 3 、R 4 、X 5 、X 6 、R 1a 、R 1b 、R 1c 、R 1d 、R 1e の定義が対応する請求項と同じであり; 好ましくは、式II-a1と式II-a2で示される化合物が、以下の式II-a1-1または式II-a2-1で示される化合物からなる群より選ばれ: その中、 R 1a が、水素、-CN、-OHまたはC1~C6アルキルオキシからなる群より選ばれ、好ましくは、-OHであり; R 1b とR 1c が、それぞれ独立して、水素、C1~C6アルキルからなる群より選ばれ、好ましくは、水素であり; R 6 が、-CH 2 、-C=Oまたは-CF 2 であり; R b 、R c とR d が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれ;好ましくは、R b 、R c とR d が、それぞれ独立して、水素、塩素、フッ素、C1-C4アルキル、C2-C4アルキニル、C3-C6シクロアルキル、トリフルオロメチルからなる群より選ばれ; X 1 がNまたはCHであり; X 5 とX 6 がNまたはCR e であり、R e が、表すたびに、水素、ハロゲン、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれ;好ましくは、R e が、表すたびに、水素、フッ素、塩素、Br、メトキシまたはメチルからなる群より選ばれ; R 2 、R 3 とR 4 が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換または未置換のC1-C3アルキル、置換または未置換のC1-C3アルキルオキシ、置換または未置換のC3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、メチル、-F、-CN、-NO 2 または-NH 2 からなる群より選ばれる1、2または3つの置換基で置換されることを意味し; 好ましくは、式II-a2-1で示される化合物が、以下の式II-a2-1-Aで示される化合物からなる群より選ばれ: R e が、水素、F、Cl、Br、C1-C6アルキルまたはC1-C6アルキルオキシからなる群より選ばれ、好ましくは、水素、F、ClまたはBrであり、より好ましくは、水素またはFであり、特にFであり; R 6 が、-CH 2 、-C=Oまたは-CF 2 であり; R b 、R c とR d が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシからなる群より選ばれ;好ましくは、R b 、R c とR d が、それぞれ独立して、水素、塩素、フッ素、C1-C4アルキル、C2-C4アルキニル、C3-C6シクロアルキル、トリフルオロメチルからなる群より選ばれ; X 1 がNまたはCHであり; R 2 、R 3 とR 4 の定義が対応する請求項と同じである、 請求項1から4のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- 式Iで示される化合物が、以下の化合物からなる群より選ばれる、請求項1から4のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩。
- 請求項1から6のいずれか記載の化合物を製造する方法であって、以下の反応スキームによって達成され、 スキーム一: III-a1またはIII-a2をピナー反応によりピナー塩と変換した後、NR 1a およびNR 1b R 1c と反応させて、I-a1またはI-a2を製造し、 その中、各置換基の定義が対応する請求項と同じであり; スキーム二: III-a1またはIII-a2を、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミンの塩と反応させて、I-a1またはI-a2を得て、 その中、R 1a がOHであり、R 1b がHであり、R 1c がHであり、残りの各置換基の定義が対応する請求項と同じであり; スキーム三: III-a3もしくはIII-a4を加水分解して酸とし、続いて当該酸を酸塩化物へと変換した後、グアニジンと縮合反応させることで、I-b1もしくはI-b2を製造し、 その中、各置換基の定義が対応する請求項と同じであり; スキーム四: Key1とSM-2eもしくはSM-2fを酸アミド縮合反応により処理することで、I-c1もしくはI-c2を製造し、 その中、各置換基の定義が対応する請求項と同じであり; スキーム五: Key1とSM-3を酸アミド縮合反応により処理することで、I-dを製造し、 その中、各置換基の定義が対応する請求項と同じである、 方法。
- 請求項1から6のいずれか記載の化合物、その互変異性体、立体異性体、その重水素化物、及び薬学的に許容される塩から選択される1種以上と、必要に応じて薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
- Nav1.8阻害剤の製造における、請求項1から6のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩、または前記の医薬組成物の使用。
- Nav1.8チャネル活性の異常発現に関連する疾患を予防及び/または治療する医薬品の製造における、請求項1から6のいずれか記載の化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩、または前記の医薬組成物の使用であって、 好ましくは、Nav1.8チャネル活性の異常発現に関連する疾患が、疼痛性疾患、掻痒症、急性または慢性掻痒、喘息、多発性硬化症、不整脈、心房細動、心不全、ブルガダ症候群、腎結石、てんかん、痙攣、シャルコー・マリー・トゥース病、失禁を含む、 使用。
Description
本発明は、ナトリウムチャネル阻害剤の合成技術分野に関し、特に、Nav1.8阻害剤、その製造方法、及びNav1.8チャネル活性の異常発現に関連する疾患の予防および/または治療用医薬品の製造におけるその使用に関する。 電圧作動性ナトリウムイオンチャネル(voltage-gated sodium channels、以下VGSCまたはNavと称する)は、ナトリウムイオンの選択的透過性膜輸送を媒介し、神経細胞などの興奮性細胞において、活動電位の開始、伝導、伝達に重要な役割を果たす(Catterallら、Pharmacol Rev. 2005,57(4):397-409.)。Navファミリーは9つのサブタイプ、すなわちNav1.1~Nav1.9から構成され、Navに作用することで、人体における多様な重要な生理的及び病理的過程を調節する(Blackら、Neuron. 2013,80(2):280-91;Catterallら、Annu Rev Pharmacol Toxicol. 2014,54:317-38;Bennettら、Physiol Rev. 2019,99(2):1079-1151.)。 Nav1.1、Nav1.2、Nav1.3及びNav1.6は中枢及び末梢神経系の両方に発現している。Nav1.4は主に骨格筋に、Nav1.5は主に心筋細胞に発現している。一方、Nav1.7、Nav1.8及びNav1.9は主に末梢神経系に発現している。これら9つのサブタイプは機能的に類似しているが、電位依存性及び動態的特性の特定の側面において差異を示している。 Navの一つのサブタイプであるNav1.8は、主に脊髄後根神経節(DRG)において痛覚信号を伝達する神経細胞に発現している。Nav1.8チャネルは比較的高い活性化電位と不活性化電位を有しており、これにより、他のNavチャネルサブタイプが機能しない不活性状態にある状況下でも、活動電位の立ち上がり相における主要な電流成分を形成する(Goodwinら、Nat Rev Neurosci. 2021,22(5):263-274.)。 現在の研究により、Navファミリーに属するNav1.8が多数の疾患の発症と密接に関連することが実証されている: 1)Nav1.8は疼痛発生に関与:Nav1.8チャネルは不活性化が緩やかで再活性化が速いという特性により、膜電位の脱分極や神経細胞の高頻度放電を伴う疼痛などの生理的・病理的過程に参与する(Alsaloumら、Nat Rev Neurol. 2020,16(12):689-705.)。ヒト遺伝学的研究により、Nav1.8遺伝子変異が小線維神経痛および紅斑性疼痛症を引き起こすことが確認されている(Faberら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2012,109(47):19444-9;Kaluzaら、Pflugers Arch. 2018,470(12):1787-1801.)。齧歯類動物では、Nav1.8チャネル遺伝子のノックアウトまたはノックダウンにより多様な炎症性疼痛及び神経障害性疼痛が緩和され、一方、Nav1.8阻害剤(例:A-803467)の投与が疼痛反応を効果的に軽減することが示されている(Jarvisら、Proc Natl Acad Sci U S A. 2007,104(20):8520-5.)。糖尿病性神経痛マウスモデルにおいて、メチルグリオキサールは直接Nav1.8チャネル機能を増強し、Nav1.8チャネルの遺伝子ノックアウトまたはノックダウンによりメチルグリオキサール誘発性神経痛が効果的に緩和される(Bierhausら、Nat Med. 2012,18(6):926-33.)。STZ誘発糖尿病性神経痛ラットモデルでは、腹腔内または足底投与されたNav1.8阻害剤A-803467が用量依存的に動物の疼痛行動反応を軽減した(Mertら、J Am Assoc Lab Anim Sci. 2012,51(5):579-85.)。 2)Nav1.8は多発性硬化症の発症に関与:多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)は、中枢神経系に原発する炎症性脱髄疾患であり、その正確な発症機序は未解明である。健常者の小脳プルキンエ線維ではNav1.8チャネルは発現しないが、多発性硬化症患者では小脳におけるNav1.8の発現が上方調節されており、その発現量は病態の進行に依存して増加する。さらに、Nav1.8コード遺伝子の一塩基多型(SNP)もMSの発症程度との関連が示されている(Cranerら、J Neuropathol Exp Neurol. 2003,62(9):968-75;Roostaeiら、Neurology. 2016,86(5):410-7.)。小脳プルキンエ線維にNav1.8を強制発現させた遺伝子改変マウス(L7-1.8TG)は多発性硬化症様の行動表現型を示し、Nav1.8選択的阻害剤PF-01247324を投与することで、このL7-1.8TGトランスジェニックマウスのMS様行動が緩和された(Shieldsら、Ann Neurol. 2012,71(2):186-94;Shieldsら、PLoS One. 2015,10(3):e0119067.)。 3)Nav1.8は変形性関節症の炎症発生に関与:変形性関節症は変性性関節疾患であり、軟骨摩耗と疼痛がその主要な特徴である。リン酸化されたcAMP応答要素結合タンパク質(CREB)はNav1.8コード遺伝子のプロモーターに直接結合し、Nav1.8タンパク質の転写を促進することで、Nav1.8チャネルの発現レベルを上方調節する(Zhuら、Elife. 2020,9:e57656.)。 4)Nav1.8は心血管疾患の発症に関与:心血管系において、Nav1.8チャネルはプルキンエ線維などの心臓神経に発現することが確認されている。一部の研究では、心筋細胞における発現も示唆されている(Verkerkら、Circ Res. 2012,111(3):333-43.)。ヒト遺伝学的研究により、Nav1.8遺伝子変異がブルガダ症候群と関連することが明らかとなった(Huら、J Am Coll Cardiol. 2014,64(1):66-79.)。Nav1.8チャネルを抑制すると心臓リモデリングが改善されることから、不整脈、心房細動、心不全などの心血管疾患における潜在的な治療標的と考えられている(Dybkovaら、Cardiovasc Res. 2018,114(13):1728-1737.)。 5)Nav1.8は病的咳嗽の発症に関与:Nav1.8チャネルは咳嗽関連の迷走神経叢に発現しており、病的咳嗽の過程でそのリン酸化レベルと発現量が上昇し、咳嗽反射への関与が示されている(Muroiら、Lung. 2014,192(1):15-20.)。 6)Nav1.8は掻痒行動の発現に関与:哺乳類の痒覚感知において、リンパ球や肥満細胞などから放出されるヒスタミンなどの発痒物質はNav1.8チャネルを活性化する。Nav1.8ノックアウトマウスでは、ヒスタミン及びエンドセリン誘発性の掻痒行動が有意に抑制される(Riol-Blancoら、Nature. 2014,510(7503):157-61.)。 7)その他の関連疾患:さらに、ヒトNav1.8の先天性変異がてんかん、痙攣などの疾患を引き起こすことが報告されている(Kambourisら、Ann Clin Transl Neurol. 2016,4(1):26-35.)。 以上で述べたように、Nav1.8が疼痛(小線維神経痛、紅斑性疼痛症、糖尿病性神経痛など)およびその他の関連疾患(多発性硬化症、変形性関節症、不整脈、心房細動、心不全、掻痒、てんかん、痙攣、病的咳嗽など)の治療において極めて高い関連性を示すことから、Nav1.8チャネル阻害剤は、Nav1.8チャネルの関与または機能異常に関連する疾患の治療、予防、または管理に有用であると考えられる。 現在、臨床研究段階にある特異的Nav1.8標的阻害剤には、VX-548(臨床第III相)、HRS-4800(臨床第II相)、VX-150(臨床第I相)、JMKX-000623(臨床第I相)が含まれるが、現時点では上市された製品は存在しない。したがって、新規Nav1.8阻害剤の開発は、Nav1.8発現調節異常関連疾患の治療に対して、極めて重要な科学的価値と臨床的意義を有する。 本発明の目的の一は、Nav1.8選択的阻害活性を有する、式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩を提供することにある。 本発明の目的の二は、式Iで示される化合物の製造方法を提供することにある。 本発明の目的の三は、式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供することにある。 本発明の目的の四は、Nav1.8阻害剤の製造における、式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩、若しくは上記の医薬組成物の使用を提供することにある。 本発明の目的の五は、Nav1.8チャネル活性の異常発現に関連する疾患を予防及び/または治療する医薬品の製造における、式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物、または薬学的に許容される塩、若しくは上記の医薬組成物の使用を提供することにある。 一態様では、本発明は、式Iで示される化合物、またはその互変異性体、立体異性体、その重水素化物または薬学的に許容される塩を提供する。 ここで、R0が、 からなる群より選ばれ、環Aが、置換または未置換のC6-C10アリール、置換または未置換の5-10員ヘテロアリールからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、以下からなる群より選ばれる1、2、3または4つの置換基で置換されることを意味し:ハロゲン、C1-C6アルキル、ハロC1-C6アルキル、C1-C6アルキルオキシ、ハロC1-C6アルキルオキシ、C2-C6アルケニル、ハロC2-C6アルケニル、C2-C6アルケニルオキシ、ハロC2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニル、ハロC2-C6アルキニル、C2-C6アルキニルオキシ、ハロC2-C6アルキニルオキシ、C3-C6シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルオキシ; n1が、0、1、2、3または4からなる群より選ばれ;n2が、0または1からなる群より選ばれ;mが、0、1、2、3または4からなる群より選ばれ; R5が、O、S、C=O、CR5aR5bまたはNR5cからなる群より選ばれ、その中、前記R5aとR5bが、それぞれ独立して、水素、ハロゲンからなる群より選ばれ;前記R5cが、水素、置換または未置換のC1-C4アルキル、置換または未置換のC3-C6シクロアルキルからなる群より選ばれ、その中、前記置換とは、以下からなる群より選ばれる1、2または3つの置換基で置換されることを意味し:ハロゲン、C1-C4アルキル、ハロゲン置換のC1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、ハロゲン置換のC1-C4アルキルオキシ; R6が、O、S、C=O、CR6aR6bまたはNR6cからなる群より選ばれ、その中、前記R6aとR6bが、それぞれ独立して、水素、ハロゲンからなる群より選ばれ;あるいは、CR6aR6bが、一緒になって置換または未置換のC3-C6シクロアルキル、置換または未置換の3-8員ヘテロシクリル(アザスピロ環の一つの環として、R6a、R6bが共に連結しているC原子をスピロ原子とする)、[置換ま