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JP-2026514834-A - 皮膚炎症の処置に有用な新規細菌株

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Abstract

本明細書では、皮膚の炎症性疾患、特に皮膚科学的病態の予防および/または処置に有用である、地下水から単離された新規細菌株およびその細菌抽出物が提供される。また、このような細菌抽出物を活性成分として含有する化粧品組成物または皮膚科学的組成物も提供する。 【選択図】図1

Inventors

  • ブーレン,ミュリエル
  • カルヴェ,オードリー
  • メートル,マルティーヌ
  • ラヴァール,カティア
  • ルバロン,フィリップ

Assignees

  • ピエール ファーブル デルモ-コスメティック
  • サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク
  • ソルボンヌ・ユニヴェルシテ

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20240418
Priority Date
20230418

Claims (16)

  1. 2022年11月4日にCNCM(パスツール研究所、フランス、パリ)にI-5858の番号で寄託された細菌株。
  2. 請求項1に記載の細菌株の抽出物を調製する方法であって、 a) 適切な増殖培地中で該細菌株を増殖させ、それによって細菌培養物を得ることを含む細菌培養工程; b) 工程a)の細菌培養物に有機溶媒または塩基性緩衝液を添加することを含む抽出工程、 を含み、 これにより、該細菌株の抽出物を得る、方法。
  3. 抽出工程b)が、以下の工程をさらに含む、請求項2に記載の方法: b1) 液相と固相を分離する工程、 b2) 液相に塩基性緩衝液を添加する工程、および b3) 緩衝化液相を回収する工程。
  4. 抽出工程b)が、以下の工程をさらに含む、請求項2に記載の方法: b1’) 該細菌培養物に塩基性緩衝液を添加する工程、 b2’) 液相と固相を分離する工程、および b3’) 緩衝化液相を回収する工程。
  5. 工程b3)またはb3’)の緩衝化液体を濾過する工程c)をさらに含む、請求項3~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 該塩基性緩衝液が、アルギニン緩衝液である、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 抽出工程b)が、以下の工程をさらに含む、請求項2に記載の方法: b1’’) 該細菌培養物に有機溶媒を添加する工程、 b2’’) 水相と有機相を分離する工程、および b3’’) 有機相を回収する工程、および任意で、有機相を乾燥させる工程。
  8. 工程b)の有機溶媒が、アルコール(C1-C6)および/またはアルキルアセテートである、請求項2または7のいずれか一項に記載の方法。
  9. アルコールがブタノールである、請求項8に記載の方法。
  10. アルキルアセテートが酢酸エチルである、請求項8に記載の方法。
  11. 請求項2~10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる細菌抽出物。
  12. 請求項1に記載の細菌株またはその抽出物と、任意で少なくとも1種類の化粧品的または皮膚科学的に許容できる賦形剤とを含む組成物。
  13. 前記細菌抽出物が、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、請求項12に記載の組成物。
  14. 該組成物が、局所適用に適しているものである、請求項12または13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 皮膚炎症性障害の処置および/または予防において活性成分として使用するための、請求項1に記載の細菌株、請求項11に記載の細菌抽出物、または請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 該皮膚炎症性障害が、アトピー性皮膚炎掻痒症(atopic dermatitis pruritis)、乾癬、湿疹、酒さ、扁平苔癬、脂漏性皮膚炎またはざ瘡から選択される、請求項1に記載の細菌株、請求項11に記載の細菌抽出物、または請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物、請求項15に記載の使用のための組成物。

Description

本開示は、地下水から単離された新規細菌株に関する。さらに詳しくは、皮膚炎症性疾患、特に皮膚科学的病態の予防および/または処置に有用となり得る細菌抽出物を提供する。本開示はまた、このような細菌抽出物を活性成分として含有する化粧品組成物または皮膚科学的組成物も提供する。 該分離された新規細菌株は、フランスの深部帯水層の温泉水から単離された、アクアバクテリウム(Aquabacterium)属に属する、中温性の有機栄養性で、グラム陰性オキシダーゼ陽性非芽胞形成性の桿状の細菌株である。本開示は、このような細菌株から得られる細菌抽出物、皮膚炎症性障害の予防および/または処置におけるそれらの使用、およびそのような抽出物を含有する皮膚用化粧組成物にも関する。 反応性皮膚は、環境的または化学的要因(熱、冷気、化学物質、汚染物質など)に対する顕著な感受性と、皮膚バリアの変化によって修復能力が損なわれることを特徴とする。 反応性皮膚の進行段階は、アトピー性皮膚炎のような異なる皮膚炎症性疾患につながることがある。これは、遺伝的に決定された一連の状況に起因して発生するアトピーの皮膚兆候、すなわち慢性炎症性皮膚症である。アトピー性皮膚炎は集団における最も一般的な慢性疾患の1つである。しばしばかゆみおよび掻痒を伴うため、日常生活における不快感および煩わしさを引き起こす(引っかき傷、睡眠不足など)。 アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア機能障害と皮膚炎症を併せ持つ慢性炎症性皮膚科学的疾患である。特に、皮膚バリアの欠損によりアレルゲンが表皮の上層へ侵入する。その後、アレルゲンは表皮ランゲルハンス細胞および真皮樹状細胞によって処理(内取り込み)される。ランゲルハンス細胞は、皮膚抗原を捕捉し、処理してTリンパ球に提示することができる抗原提示細胞である。これによりTh2(Tヘルパー2)応答が活性化され、結果として、IL-4(インターロイキン-4)、IL-5およびIL-13などの炎症性サイトカインが産生される(例えば、Bieber, Ann Dermatol. 2010, 22(2): 125-137を参照)。 承認されている処置には、局所コルチコステロイドおよび免疫調節剤、副作用が頻繁に起こり、長期使用が制限される全身性薬剤、ならびに皮膚軟化剤などがある。したがって、この疾患は長期にわたって処置されなければならない。したがって、これらの炎症性皮膚疾患に対する治療代替物へのニーズと需要は非常に高い状況にある。 皮膚の最外層である表皮は、微生物や病原体による体内への侵入、化学製品による損傷、水や溶質の喪失に対する生物学的および物理的バリアを提供する。表皮のこの物理的バリア性は、特にその構造に関連している。表皮は一般に、表皮の胚芽層を構成する基底層のケラチノサイト、複数層の多面体細胞からなるいわゆる有棘層、そして最終的に、分化の最終段階にあるケラチノサイトである角質細胞から構成される角質層(corneal layer)(または角質層(stratum corneum))と称される上層群に分けられる。表皮の再生能力は、角質化の間に除去された分化細胞の定期的な置き換えを可能にする成体幹細胞によって与えられる。この過程はバリア機能の成熟と維持に特に重要である。 ケラチノサイトは、皮膚バリア機能に重要である。特に、有棘層と顆粒層のケラチノサイトを連結するデスモソームは、組織の高い凝集性と非常に高い機械的抵抗性を保証する。顆粒層のケラチノサイトには、プロフィラグリンを含むケラトヒアリンの顆粒と、脂質を含むオドランドのラメラ小体がある。この「レンガ壁」の水密性は、特定の脂質(コレステロール、コレステロールスルフェート、遊離脂肪酸およびセラミド)で構成される細胞間セメントによって提供される。 角質細胞はもはや核や細胞小器官をもたないが、フィラグリンに覆われたケラチンフィラメントをもっており、線維性基質を形成している。最表層では、フィラグリンはアミノ酸とウロカニン酸に分解される。アミノ酸はNMF(天然保湿因子)を形成し、ウロカニン酸はUV(紫外線)を吸収する。 有棘層および顆粒層のケラチノサイト間の強固な凝集性と、脂質および角質細胞によって形成される疎水層との連携が、皮膚にとって真の保護バリアを構成する。ケラチノサイトの増殖および発生が刺激されると、表皮の肥厚が誘発され、これにより表皮は最適な機能性、すなわち、水分喪失を防ぐ皮膚バリア機能を発揮する。 皮膚炎症性疾患、特にアトピー性皮膚炎に対する効率的な治療法は依然として必要とされている。 本開示の概要 本開示の第1の態様は、2022年11月4日にCNCM(パスツール研究所、フランス、パリ75015)にI-5858の番号で寄託された細菌株に関する。 本開示の第2の態様は、本開示の細菌株の抽出物を調製する方法であって、 a) 適切な増殖培地中で該細菌株を増殖させ、それによって細菌培養物を得ることを含む細菌培養工程; b) 工程a)の細菌培養物に有機溶媒または塩基性緩衝液を添加することを含む抽出工程、 を含み、 これにより、該細菌株の抽出物を得る、方法に関する。 本開示の第3の態様は、本開示の方法によって得ることができる細菌抽出物に関する。 本開示の第4の目的は、本開示の細菌抽出物と、任意で少なくとも1種類の美容的または皮膚科学的に許容できる賦形剤とを含む組成物に関する。 最後に、本開示の第5の態様は、皮膚炎症性障害の処置および/または予防における活性成分としての本開示の細菌抽出物、本開示の組成物または本開示の細菌株の使用に関する。 図1:菌株LMB275Tと関連するアクアバクテリウム(Aquabacterium)種との関係を示す16S rRNA遺伝子配列に基づく近隣結合系統樹。ノードに塗りつぶされた丸印がある枝は、最大節約アルゴリズム(maximum-parsimony algorithm)および最大尤度アルゴリズム(maximum-likelihood algorithm)でも再構築された分岐を示す。ブートストラップ値(1000回の反復の百分率で表示)は70%を超えるものを分岐点に示した。バーはヌクレオチド位置あたり0.005の置換を表す。 詳細な説明 発明者らは、地下水から新規細菌種に属する株を単離することに成功し、その株をLMB275と命名した。この特定の細菌株は、アトピー性皮膚炎における皮膚炎症を低減できるため、特に有用である。実際、本発明者らは、これらの細菌抽出物がケラチノサイトの分化に対する刺激効果および皮膚炎症に対する阻害効果を有することを実証した。これは特に、アトピー性皮膚炎のインビトロモデルにおいて、これらの細菌抽出物によって炎症遺伝子の発現が低減されたことから示されている。 本発明者らは、当該細菌株を、アクアバクテリウム(Aquabacterium)属に属するグラム陰性オキシダーゼ陽性非胞子形成性の桿状の細菌株であるとさらに特徴づけた。アクアバクテリウム(Aquabacterium)属の種は、ベルリンの飲料水バイオフィルムから初めて単離された、運動性桿状グラム陰性オキシダーゼ陽性カタラーゼ陰性の細菌である。アクアバクテリウム(Aquabacterium)属に同定された種には、アクアバクテリウム・シトラティフィラム(Aquabacterium citratiphilum)、アクアバクテリウム・パルヴム(Aquabacterium parvum)、アクアバクテリウム・コミューン(Aquabacterium commune)、アクアバクテリウム・フォンティフィラム(Aquabacterium fontiphilum)、アクアバクテリウム・リムノティカム(Aquabacterium limnoticum)、アクアバクテリウム・オレイ(Aquabacterium olei)、アクアバクテリウム・テピディフィラム(Aquabacterium tepidiphilum)、アクアバクテリウム・ピクタム(Aquabacterium pictum)、アクアバクテリウム・ラクーナエ(Aquabacterium lacunae)、およびアクアバクテリウム・テラエ(Aquabacterium terrae)が挙げられる。 しかしながら、これらの種と本願の菌株とのDNA-DNAハイブリダイゼーションによる近縁性解析により、本願の菌株がアクアバクテリウム(Aquabacterium)属の新種に属することが示された。 したがって、第1の態様において、本開示は、アクアバクテリウム(Aquabacterium)属の新たな細菌株に関する。 本明細書で開示された菌株LMB275は、ブダペスト条約に基づき、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)にCNCM I-5858の番号で寄託されたものである。 本開示は、より具体的には、2022年11月4日にCNCM(パスツール研究所、フランス、パリ)にI-5858の番号で寄託された細菌株に関する。 したがって、本開示の1つの目的は、CNCMにCNCM I-5858の番号で寄託された細菌またはそのバリアントである。 本明細書で使用される用語「バリアント」とは、例えば本願の菌株I-5858などの対象細菌株に由来する細菌細胞または細菌株を意味する。本明細書で使用される用語「由来する」とは、バリアント細菌細胞が対象細菌株、例えば本癌の菌株I-5858と実質的に同一のヌクレオチド配列を含むことを意味する。例えば、本明細書で開示されたバリアント細菌細胞は、例えば本願の菌株I-5858などの対象細菌株と、最大80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性を有し得る。したがって、本明細書で使用される「バリアント」は、ゲノム中の少なくとも1つの変化によって、対象となる元の細菌株とは異なるものである。このゲノム中の変化は、例えば、突然変異事象(自然のものまたは誘導されたもの;ランダムまたは部位特異的)の結果であることができる。このような突然変異事象は、例えば、1つ以上の置換、挿入、および/または欠失をもたらすことができる。あるいは、細菌ゲノム中の変化は組換えによって生じ得る。「バリアント」は、参照細菌株、例えば本願の菌株I-5858と実質的に同一の機能活性を有し得る。例えば、本願の菌株I-5858のバリアントは、依然としてケラチノサイトの分化を促進し、皮膚炎症を阻害する能力を有することが好ましい。 本願の細菌株は、好気性/微好気性条件下で増殖する新規中温性の有機栄養性細菌株として特徴づけられ、フランスの深層帯水層の温泉水から単離されたものである。細胞は、オキシダーゼ陽性カタラーゼ陰性で、極性鞭毛を有していた。16S rRNA遺伝子配列に基づく系統発生解析により、菌株LMB275はアクアバクテリウム(Aquabacterium)属内で系統学的な系譜を形成し、アクアバクテリウム・パルヴム(Aquabacterium parvum)B6T(99.1%)、アクアバクテリウム・コミューン(Aquabacterium commune)B8T(97.9%)およびアクアバクテリウム・シトラティフィラム(Aquabacterium citratiphilum)B4T(97.0%)と最も近縁であることが示された。菌株LMB275とA.パルヴム(A. parvum)のDNA-DNA近縁性は70.0%未満であった。DNA G+C含有量は67mol%であった。菌株LMB275は、フランスのエロー県北部、「モンターニュ・ノワール」山脈東端に位置する深層帯水層(深さ180メートル)の取水点で採取した温泉水から単離された。より具体的には、この好気性・微好気性細菌LMB275は桿状で、長さは約2.6±0.2μm、幅は約0.6±0.1μmである。この