JP-2026514876-A - 標的化ペプチド担体システムを使用する核酸の送達
Abstract
腫瘍細胞にNAカーゴ治療薬を標的化送達するための交互積層ELP-核酸(NA)ナノ粒子(LENN)複合体;交互積層吸着法(LbL)を使用してLENN複合体を製剤化する方法;LENN複合体製剤;LENN複合体製剤を含む医薬組成物;及びNAカーゴ治療薬のLENN媒介送達を介して対象における膀胱がんを処置する方法。
Inventors
- デイヴィッド・トンプソン
- アアユーシュ・アアユーシュ
- サロニ・ダルジ
Assignees
- パーデュー リサーチ ファウンデーション
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20240419
- Priority Date
- 20230420
Claims (20)
- EGFR(上皮増殖因子受容体)が過剰発現している腫瘍細胞に核酸カーゴを送達するためのエラスチン様ポリペプチド(ELP)担体システムを調製する方法であって、 核酸カーゴの核酸物質をデカアルギニン-β-シクロデキストリン(CD)と複合体化させてCD-BPポリプレックスカーゴを得る工程;及び CD-BPポリプレックスカーゴをELP-上皮増殖因子(ELP-EGF)融合タンパク質でコーティングしてELP担体システムを得る工程 を含む、方法。
- 核酸物質が、siRNA、pDNA、miRNA、mRNA及びdsDNAのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
- 腫瘍細胞が膀胱腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。
- ELPが(VPGXG) n 構築物であり、式中、nはペンタペプチドリピートの数を表し、Xは所定のアミノ酸を表す、請求項1に記載の方法。
- Xがバリンであり、n=24である、請求項4に記載の方法。
- EGFR(上皮増殖因子受容体)が過剰発現している腫瘍細胞に核酸カーゴを送達するためのエラスチン様ポリペプチド(ELP)担体システムであって、 デカアルギニン-β-シクロデキストリン(CD)と複合体化された核酸物質;及び 少なくとも一部において、CD-核酸複合体を1つ又は複数のELP-上皮増殖因子(ELP-EGF)融合タンパク質で包み込む、外側コーティング を含む、ELP担体システム。
- 核酸物質が、siRNA、pDNA、miRNA、mRNA及びdsDNAのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載のELP担体システム。
- 腫瘍細胞が膀胱腫瘍細胞である、請求項1に記載のELP担体システム。
- ELPが(VPGXG) n 構築物であり、式中、nはペンタペプチドリピートの数を表し、Xは所定のアミノ酸を表す、請求項1に記載のELP担体システム。
- Xがバリンであり、n=24である、請求項9に記載のELP担体システム。
- 交互積層ELP-核酸(NA)ナノ粒子(LENN)複合体を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載のELP担体システム。
- 少なくとも一部においてELP融合タンパク質コーティングによって包み込まれたポリイオン複合体コアを含む、交互積層ELP-核酸(NA)ナノ粒子(LENN)複合体であって、 ポリイオン複合体コアが、オリゴカチオンによって縮合された核酸カーゴを含み、ELP融合タンパク質が、同時発現された標的リガンドに直接又は間接的に連結されたEFPを含む、 LENN複合体。
- 核酸カーゴが、pDNA、mcDNA、線状DNAアンプリコン、ASO、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、及びDNA酵素のうちの1つ又は複数を含むDNA治療薬である、請求項12に記載のLENN複合体。
- 核酸カーゴが、mRNA、siRNA、shRNA、miRNA、piRNA、eRNA、saRNA、IncRNA、circRNA、リボザイム、アンタゴニストRNAアプタマー、及び細胞型特異的なRNAアプタマーのうちの1つ又は複数を含むRNA治療薬である、請求項12に記載のLENN複合体。
- 核酸カーゴがCRSPR-Cas9ベクターを含む、請求項12に記載のLENN複合体。
- オリゴカチオンがデカアルギニン-β-シクロデキストリン(CDPLR 10 )又は2.5kDポリエチレンイミン修飾β-シクロデキストリン(CDPEI 2.5k )である、請求項12に記載のLENN複合体。
- 標的リガンドが、がんの挙動に関与する標的化膜タンパク質又は糖タンパク質と選択的に相互作用することが可能なペプチド又はタンパク質であり、その発現が、(1)膀胱腫瘍においては正常組織と比較して過剰発現される(若しくはアップレギュレートされる)こと、又は、(2)膀胱腫瘍において異常発現されるが正常組織においてはそうではないこと、のいずれかを特徴とし得る、請求項12に記載のLENN複合体。
- 標的リガンドが、アップレギュレートされたインテグリン、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、又はGタンパク質共役受容体と選択的に相互作用することが可能なペプチド又はタンパク質である、請求項17に記載のLENN複合体。
- 標的リガンドが、αEβ7インテグリン、インテグリンα2β1、インテグリンβ8、EGFR、FGFR、HER2、VEGFR-2、又はケモカイン受容体7(CCR7)のうちの1つと選択的に相互作用することが可能なペプチド又はタンパク質である、請求項17に記載のLENN複合体。
- 膜タンパク質がEGFRであり、ELP融合タンパク質がN24EGFである、請求項17に記載のLENN複合体。
Description
本開示は、一般的に、がんを処置するための物質の組成物及びがんを処置するための方法に関する。特に、腫瘍細胞への核酸カーゴの送達において使用するためのエラスチン様ポリペプチド(ELP)担体システムが開示されている。 ヒトゲノムの解読は、様々な数多くの疾患と闘うために、遺伝情報を制御し利用するという多くの道を切り開いてきた。この遺伝情報及びドライバー変異に基づいて、siRNA、miRNA、mRNA、dsDNA、及び他の核酸(NA)構造を含む核酸ベースの治療法が、ゲノムの創薬可能部位(druggable sites)を拡大するため研究されている。これらのアプローチに関する多大なる可能性を実現するには、NAが複数の生理的及び細胞的障壁を通過し、その意図した作用部位に到達することができるということが必要である。残念なことに、高い負電荷密度、親水性、及び未改変NAの循環からの速やかなクリアランスが細胞内へのアクセスを困難とする。遺伝情報の保存及び導入についてウイルスから得られた教示により、研究者達は、ウイルスの設計原理の一部を使用してNAカーゴを標的細胞の細胞質へと送達するウイルス系及び非ウイルス系送達システムの設計へと導かれてきた。 ウイルス及びウイルス様粒子は、それらのNAカーゴをカプセル化して分解と病原体関連の分子パターンの認識を防ぎ、NAカーゴを宿主細胞の細胞質に送達する。ウイルスでカプセル化されたNAカーゴは、特定の細胞型に対する指向性を示すことが多く、これがオフターゲット効果を低減する。これらの担体は特定のゲノムサイズを封入化するように進化してきているので、カーゴサイズに制限があり、それがその適合できる製造に課題をもたらし、免疫監視を回避するために表面残基を操作することが必要となることが多く、信頼性をもって大規模に製造することが困難となり得る。脂質ベースのナノ粒子(LNP)送達システムが、ウイルスカプセル化担体のいくつかの制限に対処するために開発された。最も成功した製剤は、イオン化可能なカチオン性脂質を利用してNAカーゴのエンドソーム放出を促進するものであり、Alnylam社のパティシラン及びBio-N-Tech/Pfizer社及びModerna社によって開発されたコロナウイルスワクチンの基盤を形成している。最近のデータからは、製造中及び/又は保管中のイオン化脂質のN酸化によって副産物がもたらされ、これらが反応して脂質付加型mRNA(lipidated mRNA)を形成し、翻訳不可能となる。これは、LNPがエンドサイトーシスされたNAカーゴの約1%しか細胞質に送達しないということから、NAコピー数ベースでのLNPの生物学的効率が低いことを部分的に説明している。カチオン性ポリマーは、トランスフェクション複合体の機能性及び生物物理学的特性を制御する生物学的材料及び合成材料のもう一つの大きなクラスである。ポリエチレンイミン(PEI)は、一般的に使用されるポリマー系トランスフェクション剤の1つであるが、PEIであっても、細胞当たりの核プラスミドの細胞当たりの投与される総プラスミドに対する比は非常に低く、約0.8%である。 ペプチドベースの製剤は、一般に、固相ペプチド合成又は組換えタンパク質というアプローチを介して標的リガンドの組み込みを容易にするという利点を有する。エラスチン様ポリペプチド(ELP)は、組織工学から遺伝子送達に至る様々な生物医学的な適用に向けての調整可能な刺激感受性特性が付与され得る、非免疫原性及び生体適合性高分子の有望なクラスとして登場した。Val-Pro-Gly-Xaa-Gly、又はVPGXG配列(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)が複数回リピートされて構成されているELPは、典型的には、非常に高いハイドロパシー(hydropathies)を有する。パーデュー大学(Purdue University)の最近の研究は、生物学的活性を保持しつつ、大腸菌(E. coli)で発現させたELP融合物からホスト細胞のNAとリポ多糖を除去する有機溶媒抽出/沈殿ワークフローを使用して高速精製を行うためにこの特性を利用した(Sweetら、Biomacromolecules 22(5): 1990-1998頁(2021年)を参照、これは参照により本明細書に組み込まれる)。 膀胱内への化学療法薬又は免疫療法薬の注入は、持続的な尿の流入及び排尿によって妨げられ、標的への作用時間が制限され、典型的には、膀胱内注入により送達される薬物については2時間未満であるので、膀胱の疾患は処置が困難である。これらの療法は他の方法によっても送達され得るが、一般的には腫瘍へのアクセスが減少し、副作用が増大する。腫瘍選択性の改善とともに膀胱との接触を拡大することに関して、低分子薬と高分子薬の両方が標的化アプローチの有益性について明らかにされている。全身化学療法又は免疫療法の送達は、典型的には、末期筋層浸潤性膀胱がんと診断された患者の約20%に適用される別の代替選択肢である。膀胱がんの再発率は高いことから、完全寛解には、通常、手術と補助化学療法及び/又は免疫療法の併用が必要とされる。最も一般的なこの行為の過程は、検出可能な腫瘍の外科的切除後、弱毒化した生カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette Guerin、BCG)を膀胱に注入することである。BCGマイコバクテリアと腫瘍組織の共局在は、フィブロネクチン付着タンパク質として知られている細菌接着によって可能となり、マイコバクテリア接着部位付近の腫瘍の免疫学的排除をもたらす。この療法は膀胱がん免疫療法において大きな進歩であったが、30%を超える患者が依然としてこの処置の手法に反応を示さない。更に、BCGは生マイコバクテリウム(mycobacterium)であるため、この微生物が膀胱区画から漏出した場合、全身感染のリスクが多少生じる。BCG療法のさらなる複雑な問題は、バッチ間の変動が過去に見られ、品質の問題による利用可能性の不安定さがBCGのサプライチェーンに悪影響を及ぼしている。 Sweetら、Biomacromolecules 22(5): 1990-1998頁(2021年) 例示的なLENN複合体の図を示す。例示的なLENN複合体の断面図を示す。前駆体ポリイオン集合体の図を示す。トランスフェクトされた腫瘍細胞へのNAカーゴ核酸の細胞内LENN媒介送達のフローチャートである。酢酸ウラニル(UA)をネガティブ染色として使用した、siRNA LENN、ポリイオン複合体、及び構成製剤の一連のTEM画像を示している。ここで、NP2-A-5x N24EGF(1列目)は、N:P=2でβ-CD空洞に対して疎水性ELP補欠分子族の5倍モル過剰のプロリン+バリンを含む、N24EGF:CDPLR10:siRNA LENN複合体であり;NP2-A(2列目)は、N:P比が2のsiRNA:CDPLR10ポリイオン複合体であり;N24EGF(3列目)は、他の製剤成分を含まない未変性N24EGF融合タンパク質であり;NP4-A-5x N24EGF(4列目)は、N:P=4でβ-CD空洞に対して疎水性ELP補欠分子族の5倍モル過剰のプロリン+バリンを含む、CDPLR10:5xN24EGF:siRNA LENN複合体であり;NP4-A(5列目)は、N:P比が4のCDPLR10:siRNAポリイオン複合体である。割断マイカ表面上のNP4ポリイオン複合体(1行目)及びNP4-A-5x N24EGF LENN複合体(2行目)の一連のAFM画像を示す。PTAネガティブ染色を使用した、LENN、ポリイオン複合体、及び構成製剤の再現された一連のTEM画像を示しており、ここで、NP10-A(1列目)は、N:P比が10のpDNA:CDPLR10ポリイオン複合体であり;NP10-A-2xN24EGF(2列目)は、N:P=10でβ-CD空洞に対して疎水性ELP補欠分子族の2倍モル過剰のプロリン+バリンを含む、N24EGF:CDPLR10:pDNA LENN複合体であり;NP10-5x N24EGF(3列目)は、N:P=10でβ-CD空洞に対して疎水性ELP補欠分子族の5倍モル過剰のプロリン+バリンを含む、N24EGF:CDPLR10:pDNA LENN複合体である。T24ヒト膀胱腫瘍細胞への結合にはLENN粒子(Cy5.5で標識)上のEGFの存在が必要であること、及びLENN粒子とT24細胞との結合はインキュベーション時間とともに増加することを示すフローサイトメトリーデータを示す。様々なパネルは、結合プロファイル及び血清競合プロファイルの経時的変化を示している。結合の大部分は2時間以内に発生した。CY5.5投与NP4製剤へのELP添加45分後のT24細胞関連蛍光のCy5.5蛍光の変化の箱ひげ図を示す。成分の濃度は様々な条件にわたり同様に保たれた。ポリプレックスを調製した後、異なるウェルに分配され、続いてTNSが添加され、45分間安定化させた。ELPのみを含むウェルにはH2Oが事前充填され、続いてTNSが添加された。CY5.5投与NP4製剤へのELP添加45分後のT24細胞関連蛍光のCy5.5蛍光の変化の箱ひげ図を示す。成分の濃度は様々な条件にわたり同様に保たれた。ポリプレックスを調製した後、異なるウェルに分配され、続いてTNSが添加され、45分間安定化させた。ELPのみを含むウェルにはH2Oが事前充填され、続いてTNSが添加された。様々なN:P比のポリイオン複合体CD-PLR10:siRNA及びCD-PEI2.5k:siRNA並びに様々なN:P比のLENN複合体5x-CDPLR10:N24EGF:siRNA:及び5x-CD-PEI2.5k:N24EGF:siRNAのヘパリン負荷前後のアガロースゲル特性決定を示す。100ngのsiRNAが各レーンにロードされた。図6Aにおいては、LENN製剤は様々なN:P比で実行され、奇数レーンは5x-CD-PEI2.5k:5xN24EGF:siRNA専用とし、N:P比は以下のとおり割り当てられた:レーン1、NP2;レーン3、NP4;レーン5、NP6;レーン6、レーン7、NP8;及びレーン9、NP10。また偶数レーンはCDPLR10:N24EGF:siRNA専用とし、N:P比は以下のとおり割り当てられた:レーン2、NP2;レーン4、NP4、レーン6、NP6;レーン8、NP8;及びレーン10、NP10。様々なN:P比のポリイオン複合体CD-PLR10:siRNA及びCD-PEI2.5k:siRNA並びに様々なN:P比のLENN複合体5x-CDPLR10:N24EGF:siRNA:及び5x-CD-PEI2.5k:N24EGF:siRNAのヘパリン負荷前後のアガロースゲル特性決定を示す。100ngのsiRNAが各レーンにロードされた。図6Bにおいては、様々なN:P比のsiRNAポリイオン複合体を示し、レーン1~5はCD-PEI2.5k複合体専用であり、N:P比は以下のとおり割り当てられた:レーン1、NP2;レーン2、NP4;レーン3、NP6;レーン4、NP8;レーン5、NP10。またレーン6~10はCD-PLR10複合体専用であり、N:P比は以下のように割り当てられた:レーン6、NP2;レーン7、NP4;レーン8、NP6;レーン9、NP8;レーン10、NP10;レーン11、siRNA単独。様々なN:P比のポリイオン複合体CDPLR10:pDNA及びCD-PEI2.5k:pDNA、並びにLENN複合体5x-CDPLR10:N24EGF:pDNA:及び5x-CD-PEI2.5k:N24EGF:pDNAのヘパリン負荷前後のアガロースゲル特性決定を示す。図6Cにおいては、様々なN:P比の300ng pDNAを含むLENN複合体、及びCy5.5標識N24EGF(遠赤色発光)を含むLENN複合体構成成分が以下の