JP-2026514918-A - KRAS突然変異を識別する高親和性T細胞受容体及びその応用
Abstract
VVVGADGVGK-HLA A1101複合体に結合する特性を有する、TCRを提供する。KRAS G12D陽性疾患を診断、治療及び予防するための薬物の調製に使用できる、多価TCR複合体、TCRをコードする核酸分子、核酸分子を含むベクター、TCRを発現する細胞、及び前記物質を含む医薬組成物をさらに提供する。TCRの調製方法をさらに提供する。
Inventors
- リャン ユーシュアン
- ジャン カイ
- ペン ジェン
- スン ハンリ
- ジャン ツイチョン
- ホァン ジャオ
- ウェン ジーミン
- メイ インイー
Assignees
- エックスライフエスシー リミテッド
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20240419
- Priority Date
- 20230419
Claims (20)
- TCRα鎖可変ドメイン及びTCRβ鎖可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)であって、 VVVGADGVGK-HLA A1101複合体に結合する活性を有し、 また前記TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列相同性を有し、及び前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列相同性を有することを特徴とする、前記TCR。
- 前記TCRβ鎖可変ドメインにおいてCDR1βはMNHEYであり、及びCDR2βはSVGEGTであり、及びCDR3βはASSYLWSYEQYであることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2であることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列相同性を有し、及び前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列相同性を有することを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRα鎖可変ドメインの三つのCDR(相補性決定領域)の参照配列は、次のとおりであり、 CDR1α:TRDTTYY CDR2α:RNSFDEQN CDR3α:ALSEAGNDMR、また少なくとも一つの以下の突然変異を含むことを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRβ鎖可変ドメインの三つのCDR(相補性決定領域)の参照配列は、次のとおりであり、 CDR1β:MNHEY CDR2β:SVGEGT CDR3β:ASSYLWSYEQY、また少なくとも一つの以下の突然変異を含むことを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、以下からなる群から選択されるCDRを有することを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、可溶性であることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、α鎖TRAC定常領域配列及びβ鎖TRBC1又はTRBC2定常領域配列を含む、αβヘテロ二量体TCRであることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、(i)TCRα鎖可変ドメイン及びTCRα鎖定常領域の膜貫通ドメインを除く全部又は一部、並びに(ii)TCRβ鎖可変ドメイン及びTCRβ鎖定常領域の膜貫通ドメインを除く全部又は一部を含むことを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、α鎖定常領域及びβ鎖定常領域を含み、また前記α鎖定常領域とβ鎖定常領域との間には、人工鎖間ジスルフィド結合を含み、 選択可能に、前記TCRα鎖定常領域とβ鎖定常領域との間に人工鎖間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基は、 TRAC*01のエクソン1のThr48及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のSer57、 TRAC*01のエクソン1のThr45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のSer77、 TRAC*01のエクソン1のTyr10及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のSer17、 TRAC*01のエクソン1のThr45及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のAsp59、 TRAC*01のエクソン1のSer15及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のGlu15、 TRAC*01のエクソン1のArg53及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のSer54、 TRAC*01のエクソン1のPro89及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のAla19、 並びにTRAC*01のエクソン1のTyr10及びTRBC1*01又はTRBC2*01のエクソン1のGlu20から選択される一つ又は複数の部位に置換されることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、以下の(I)及び(II)に示されるような条件のうちの一つ又は複数を満たし、 (I)前記TCRのα鎖可変ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:13~46のいずれか一つであり、及び (II)前記TCRのβ鎖可変ドメインアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:47~60のいずれか一つであり、 選択可能に、前記TCRは、以下からなる群から選択され、 (1)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:13であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (2)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:14であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (3)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:15であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (4)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:16であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (5)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:17であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (6)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:18であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (7)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:19であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (8)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:20であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (9)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:21であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (10)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:22であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (11)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:23であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (12)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:24であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (13)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:25であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (14)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:26であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (15)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:27であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (16)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:28であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (17)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:29であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (18)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:30であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (19)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:31であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (20)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:32であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (21)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:33であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (22)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:34であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (23)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:35であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (24)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:36であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (25)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:37であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (26)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:38であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (27)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:39であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (28)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:40であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (29)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:41であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (30)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:42であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (31)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:43であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (32)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:44であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (33)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:45であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (34)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:46であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2であり、 (35)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:47であり、 (36)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:48であり、 (37)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:49であり、 (38)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:50であり、 (39)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:51であり、 (40)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:52であり、 (41)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:53であり、 (42)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:54であり、 (43)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:55であり、 (44)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:56であり、 (45)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:57であり、 (46)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:58であり、 (47)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:59であり、並びに (48)α鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:1であり、及びβ可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:60であることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、一本鎖TCRであり、 選択可能に、前記TCRは、α鎖可変ドメインとβ鎖可変ドメインとからなる一本鎖TCRであり、前記α鎖可変ドメイン及びβ鎖可変ドメインは、フレキシブルショートペプチド配列(linker)によって連結されることを特徴とする 請求項1に記載のTCR。
- 前記TCRは、以下のI)及びII)に示されるような条件のうちの一つ又は複数を満たし、 I)前記TCRのα鎖のC-末端又はN-末端にコンジュゲートが結合され、及び II)前記TCRのβ鎖のC-末端又はN-末端にコンジュゲートが結合され、 選択可能に、前記コンジュゲートは、検出可能なマーカー又は治療剤であり、さらに選択可能に、前記治療剤は、抗-CD3抗体であることを特徴とする 請求項1~13のいずれか1項に記載のTCR。
- 多価TCR複合体であって、 前記多価TCR複合体は、少なくとも二つのTCRを含み、またそのうちの少なくとも一つのTCRは、請求項1~14のいずれか1項に記載のTCRであることを特徴とする、前記多価TCR複合体。
- 核酸分子であって、 前記核酸分子は、請求項1~14のいずれか1項に記載のTCRをコードする核酸配列又はその相補配列を含むことを特徴とする、前記核酸分子。
- ベクターであって、 前記ベクターは、請求項16に記載の核酸分子を含むことを特徴とする、前記ベクター。
- 宿主細胞であって、 前記宿主細胞は、請求項17に記載のベクターを含むか、又は染色体には請求項16に記載の外因性核酸分子が組み込まれることを特徴とする、前記宿主細胞。
- 単離された細胞であって、 前記単離された細胞は、請求項1~14のいずれか1項に記載のTCRを発現し、選択可能に、前記単離された細胞は、T細胞であることを特徴とする、前記単離された細胞。
- 単離された細胞であって、 前記単離された細胞は、請求項1~14のいずれか1項に記載のTCRを発現し、また前記単離された細胞は、外因性CD8受容体をさらに発現し、選択可能に、前記CD8受容体は、CD8αであり、さらに選択可能に、前記単離された細胞は、T細胞であることを特徴とする、前記単離された細胞。
Description
発明の詳細な説明 [技術分野] 関連出願 本出願は、2023年04月19日に出願された中国特許出願第2023104220334号「KRAS突然変異を識別する高親和性T細胞受容体及びその応用」の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。 本出願は、生物医学技術分野に属し、KRAS G12Dを識別する高親和性T細胞受容体及びその応用に関し、KRAS G12Dタンパク質由来のポリペプチドを識別できるT細胞受容体(T cell receptor、TCR)にも関し、本出願は、前記TCRの調製方法及び用途にも関する。 [背景技術] わずか2種類の分子が抗原を特異的に識別することができる。ここで、一つは、免疫グロブリン又は抗体であり、もう一つは、T細胞受容体(TCR)であり、それは、α鎖/β鎖又はγ鎖/δ鎖がヘテロ二量体形態として存在する細胞膜表面糖タンパク質である。免疫系のTCR総プロファイルの構成は、胸腺においてV(D)J組換え、次いで陽性及び陰性の選択によって生成される。末梢環境において、TCRは、T細胞がマスター組織適合性複合体-ペプチド複合体(pMHC)に対する特異的識別を媒介するため、免疫系の細胞性免疫機能にとって極めて重要である。 TCRは、マスター組織適合性複合体(MHC)上に提示される特異的抗原ペプチドに対する唯一の受容体であり、このような外因性ペプチド又は内因性ペプチドは、細胞に異常が出現する唯一の兆候となる場合がある。免疫系において、抗原特異的TCRとpMHC複合体との結合は、T細胞と抗原提示細胞(APC)との直接的な物理接触を引き起こし、次いで、T細胞及びAPCの両方の他の細胞膜表面分子は、相互作用し、これは、一連の後続の細胞シグナル伝達及び他の生理学的反応を引き起こし、それにより異なる抗原特異的T細胞がその標的細胞に対して免疫効果を発揮できるようになる。 TCRに対応するMHC Iクラス及びIIクラスの分子リガンドも免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質であるが、抗原の提示には特異的であり、異なる個体によってMHCが異なり、それによりタンパク質抗原における異なるショートペプチドをそれぞれのAPC細胞表面に提示することができる。ヒトMHCは、通常、HLA遺伝子又はHLA複合体と呼ばれる。 KRAS遺伝子(P21遺伝子)は、マウス肉腫ウイルスの癌遺伝子であり、ras遺伝子ファミリーのメンバーの一つであり、KRASタンパク質をコードする。KRAS遺伝子が突然変異すると、細胞成長を持続的に刺激し、腫瘍形成につながる可能性がある。ここで、G12Dは、よく見られる突然変異部位の一つであり、当該突然変異体は、KRAS G12Dと呼ばれる。KRAS G12Dは、肺がん、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がん等を含むがこれらに限定されない、様々なヒト癌細胞で発現されることが文献で示される(FISHER GH et al(2001)Genes Dev 15(24):3249-3262、Brychta N et al(2016)Clin Chem 62(11):1482-1491、Ondrej Fiala et al(2016)Tumour Biol 37(5):6823-30、AnaS.Leal et al(2018)Curr Protoc Pharmacol 83(1):e48等)。KRAS G12D突然変異後のショートペプチドVVVGADGVGKは、KRASアミノ酸の7~16位に位置し、関連疾患治療の標的となっている。KRAS G12Dは、細胞内で生成された後に小分子ポリペプチドに分解され、且つMHC(マスター組織適合性複合体)分子と結合して複合体を形成し、細胞表面に提示され、VVVGADGVGKは、KRAS G12D抗原に由来するショートペプチドである。上記疾患の治療には、化学療法及び放射線療法等の方法使用できるが、どちらも自体の正常細胞を損害することがある。 従って、VVVGADGVGK-HLA A1101複合体は、腫瘍細胞を標的とすることができるTCRマーカーを提供する。VVVGADGVGK-HLA A1101複合体に結合できるTCRは、腫瘍の治療に対して非常に高い応用価値を有する。例えば、当該腫瘍細胞マーカーを標的とすることができるTCRは、細胞傷害性薬剤又は免疫刺激剤を標的細胞に送達するか、又はT細胞に形質転換して、当該TCRを発現するT細胞が腫瘍細胞を破壊するようにし、養子免疫療法と呼ばれる治療中に患者に投与することができる。前者の目的において、理想的なTCRは、より高い親和性を有し、それにより当該TCRは、標的とする細胞上に長期間存在することができる。後者の目的において、中程度の親和性を有するTCRが好ましい。従って、当業者は、異なる目的を満たすために腫瘍細胞マーカーを標的とすることができるTCRの開発に尽力している。 [発明の概要] [発明が解決しようとする課題] 従来技術の欠点を解消するために、本出願の目的は、KRAS突然変異を識別する高親和性T細胞受容体及びその応用を提供することである。技術的解決策は、次のとおりである。 [課題を解決するための手段] 本出願の第1態様は、T細胞受容体(TCR)を提供し、前記TCRは、TCRα鎖可変ドメイン及びTCRβ鎖可変ドメインを含み、前記TCRは、VVVGADGVGK-HLA A1101複合体に結合する活性を有し、 また前記TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%等であり得る)の配列相同性を有し、及び前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%等であり得る)の配列相同性を有する。 SEQ ID NO:1: AQKVTQAQTEISVVEKEDVTLDCVYETRDTTYYLFWYKQPPSGELVFLIRRNSFDEQNEISGRYSWNFQKSTSSFNFTITASQVVDSAVYFCALSEAGNDMRFGAGTRLTVKP。 SEQ ID NO:2: NAGVTQTPKFRVLKTGQSMTLLCAQDMNHEYMYWYRQDPGMGLRLIHYSVGEGTTAKGEVPDGYNVSRLKKQNFLLGLESAAPSQTSVYFCASSYLWSYEQYFGPGTRLTVT。 一例示において、前記TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列及び前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、同時に野生型TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列及び野生型TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列ではない。 別の例示において、前記TCRのα鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:1に示される配列と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むか、又はSEQ ID NO:1に示される配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個のアミノ酸残基の突然変異を有する。 別の例示において、前記TCRのβ鎖可変ドメインは、SEQ ID NO:2に示される配列と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列相同性を有するアミノ酸配列であるか、又はSEQ ID NO:2に示される配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個のアミノ酸残基の突然変異を有する。 別の例示において、前記TCRα鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有し、及び前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有する。 別の例示において、前記TCRβ鎖可変ドメインにおいてCDR1βはMNHEYであり、及びCDR2βはSVGEGTであり、及びCDR3βはASSYLWSYEQYである。 別の例示において、前記TCRは、VVVGADGVGK-HLA A1101複合体に結合する活性をさらに有する。 別の例示において、前記TCRα鎖可変ドメインの三つのCDRは、 CDR1α:TRDTTYY SEQ ID NO:65、 CDR2α:RNSFDEQN SEQ ID NO:66、及び CDR3α:ALSEAGNDMR SEQ ID NO:67である。 また少なくとも一つの表1における突然変異を含む。 別の例示において、前記TCRβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:2である。 別の例示において、前記TCRβ鎖可変ドメインの三つのCDRは、 CDR1β:MNHEYSEQ ID NO:116、 CDR2β:SVGEGT SEQ ID NO:117、及び CDR3β:ASSYLWSYEQY SEQ ID NO:118である。 また少なくとも一つの表2における突然変異を含む。 別の例示において、前記TCRとVVVGADGVGK-HLA A1101複合体との親和性は、野生型TCRの少なくとも2倍、例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5等であり得る。 別の例示において、前記TCRは、SEQ ID NO:1に示されるα鎖可変ドメインにおいて突然変異を有し、前記突然変異は、T30E/Q/D/M/S/V/Y、T31N/D、Y32F、R51Q、N52T/V/Q、F54Y/W、N99R、D100I/M/T/N/Q/L/S、M101T/L/Q/K/H及びR102N/H/A/Q/K/S/T/D/Vのうちの一つ又は複数から選択され、ここで、アミノ酸残基番号は、SEQ ID NO:1に示される番号を使用する。 別の例示において、前記TCRは、SEQ ID NO:2に示されるβ鎖可変ドメインにおいて突然変異を有し、前記突然変異は、M27N、E30D、G51H、E52Q/N/K/T、G53E/H/D/N/Q/K/R/T、T54H/S/Iのうちの一つ又は複数から選択され、ここで、アミノ酸残基番号は、SEQ ID NO:2に示される番号を使用する。 別の例示において、前記TCRは、表3に記載のCDRから選択されるCDRを有する。 SEQ ID NO:68~SEQ ID NO:115のアミノ酸配列は、次に示されたとおりである。 SEQ ID NO:68:TRDTDYY SEQ ID NO:69:TRDTNYY SEQ ID NO:70:TRDQNYY SEQ ID NO:71:TRDENFY SEQ ID NO:72:TRDENYY SEQ ID NO:73:ALSEAGRITN SEQ ID NO:74:ALSEAGRMLH SEQ ID NO:75:ALIEAGRTQA SEQ ID NO:76:ALSEAGRNTQ SEQ ID NO:77:ALSEAGRQLK SEQ ID NO:78:ALSEAGRTTH SEQ ID NO:79:ALSEAGRTKQ SEQ ID NO:80:ALSEAGRNLA SEQ ID NO:81:ALSEAGRNKS SEQ ID NO:82:ALSEAGRLTH SEQ ID NO:83:ALSEAGPLHS SEQ