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JP-2026514979-A - ON型双極細胞に効率的に標的させる複数プロモーターの遺伝子治療への使用

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Abstract

【課題】本出願は、バイオテクノロジー及び遺伝子治療技術の分野に関する。本出願は、網膜光オン型双極細胞特異的プロモーター配列、及び網膜もしくは網膜オルガノイド細胞における治療遺伝子の発現を制御し、視力の改善及び/または回復を図る遺伝子治療技術におけるその使用に関する。 【解決手段】網膜双極細胞は、光オン型双極細胞(ON型双極細胞または脱分極双極細胞)と光オフ型双極細胞(OFF型双極細胞または過分極双極細胞)に分類される。異なるタイプの双極細胞の異なる遺伝子発現特性を利用することで、トランスジーンの正確かつ特異的な発現を実現し、網膜疾患の効率的かつ精密な治療を実現する。本出願の利点は、光オン型双極細胞において高レベルかつ高特異性発現を示す一過性受容体電位カチオンチャネルタンパク質(TRPM1)遺伝子のプロモーターを実現できることである。 【選択図】なし

Inventors

  • ▲沈▼吟

Assignees

  • 中▲眸▼医▲療▼科技(武▲漢▼)有限公司

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20250424
Priority Date
20240923

Claims (14)

  1. エンハンサーまたはエンハンサー変異体であって、前記エンハンサーが、配列番号4、配列番号35、配列番号6、配列番号37、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号39に示されるヌクレオチド配列、または、配列番号4、配列番号35、配列番号6、配列番号37、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号39に示されるヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端から40~910塩基対の長さに切断され、好ましくは56~880塩基対の長さに切断されたものを含み、 前記エンハンサー変異体が、前記エンハンサーと少なくとも60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、エンハンサーまたはエンハンサー変異体。
  2. 前記エンハンサーが、配列番号4~14及び35~39のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のエンハンサーまたはエンハンサー変異体。
  3. プロモーターまたはプロモーター変異体であって、前記プロモーターが、配列番号1もしくは配列番号33に示されるヌクレオチド配列、または、配列番号1もしくは配列番号33に示されるヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端から500~800塩基対の長さに切断され、好ましくは550~750塩基対の長さに切断されたものを含み、 前記プロモーター変異体が、前記プロモーターと少なくとも60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、プロモーターまたはプロモーター変異体。
  4. 前記プロモーターが、配列番号1~3及び33~34のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載のプロモーターまたはプロモーター変異体。
  5. エンハンサー及びプロモーターを含む単離された核酸分子であって、 前記エンハンサーが請求項1または2に記載のエンハンサーであり、及び/または、 前記プロモーターが請求項3または4に記載のプロモーターである、単離された核酸分子。
  6. 前記エンハンサーまたはエンハンサー変異体のうちの1つ以上、前記プロモーターまたはプロモーター変異体のうちの1つ以上、及び任意選択で、前記エンハンサーまたはエンハンサー変異体と前記プロモーターまたはプロモーター変異体を分離するスペーサーからなる、請求項5に記載の単離された核酸分子。
  7. 前記単離された核酸分子が、配列番号15~31、40~42に示される配列を含むか、もしくは配列番号15~31、40~42に示される配列からなり、または配列番号15~31、40~42に示される配列と少なくとも60%の同一性を有する配列を含むか、もしくは配列番号15~31、40~42に示される配列と少なくとも60%の同一性を有する配列からなる、請求項6に記載の単離された核酸分子。
  8. 請求項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含む、核酸発現ベクター。
  9. 前記核酸発現ベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり、特に、前記核酸発現ベクターが、組換えAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、もしくはAAV12ベクター、または前記組換えベクターの誘導体変異体である、請求項8に記載の核酸発現ベクター。
  10. 前記核酸発現ベクターが、 a.光感受性タンパク質遺伝子、特に配列番号46もしくは47に示される光感受性タンパク質遺伝子であるか、または配列番号46もしくは47に示される光感受性タンパク質遺伝子を含むトランスジーン、及び b.カプシドタンパク質をコードする配列 をさらに含む、請求項8~9のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター。
  11. 請求項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または請求項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクターを含む、アデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子。
  12. 請求項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または請求項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び請求項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子から選択される、医薬品として使用される薬剤。
  13. 請求項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子、請求項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び請求項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子からなる群から選択される、先天性停止性夜盲症(CSBN1)または桿体-錐体及び錐体-桿体ジストロフィー、特に網膜色素変性症及び黄斑変性症、または双極細胞における治療遺伝子の発現によって治療効果を達成するその他の疾患を治療するための、薬剤。
  14. 請求項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または請求項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び請求項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子から選択され、以下の方法によって投与される薬剤: a.硝子体内注射、 b.網膜下注射、 c.脈絡膜注射、または d.点眼投与。

Description

本出願はバイオテクノロジー分野に関し、特に網膜双極細胞における治療用トランスジーンの発現を駆動し、視力の回復及び/または改善を図るように、ヒト眼科網膜関連疾患、網膜黄斑部関連疾患、特に網膜色素変性症における、網膜双極細胞において特異的に遺伝子発現を制御し得る複数のエンハンサーまたはプロモーターエレメントの使用に関する。 遺伝性網膜疾患(Inherited retinal disease,IRD)は、5,000人に1人から3,000人に1人の割合で発症し、現在、失明の最も一般的な原因の一つとなっている(PMID:36362249)。網膜色素変性症(retinitis pigmentosa,RP)、シュタルガルト病、及び加齢黄斑変性(age-related macular degeneration,AMD)などの網膜疾患は、進行性の光受容細胞アポトーシスを特徴とし、部分的または完全な失明につながる(PMID:33686777)。RP、シュタルガルト病、及びAMDの従来の治療法は効果が限られており、光受容細胞のアポトーシスや最終的な失明という結果を変えることはできない。遺伝子治療では、治療用の内因性または外因性のDNAまたはRNAを投与し、欠陥遺伝子を置換またはサイレンシングすることで、疾患の進行を遅らせ、症状を緩和し、失われた機能を回復させることを目指す。網膜色素変性症(RP)、シュタルガルト病、加齢黄斑変性(AMD)患者の網膜では、光受容細胞のアポトーシスにもかかわらず、残存網膜構造は一定の時間枠内において、構造的及び機能的な健全性を維持することができる。残存網膜細胞に光感受性タンパク質を光遺伝学的手法で発現させ、光感受性のない細胞を光に反応させる治療法は、RPモデルマウスの視力を効果的に改善できることが示されている。また、複数の公開された臨床試験でも、光遺伝学技術がRP患者の視力を改善できることが実証されている。例えば、現在進行中の光遺伝学的療法の臨床試験(NCT04945772)では、網膜光オン型双極細胞(On-BC)に特異的に発現する多特性オプシン(vMCO)を用いて、網膜の光感受性を回復させている。この臨床試験の第2b相の結果は、この治療法が患者の視力をある程度改善できることを示しており、網膜に光感受性タンパク質を発現させることが、特定の条件下で網膜色素変性症患者の視力改善に実現可能な臨床戦略であることを示唆している。 網膜双極細胞は、光オン型双極細胞(ON双極細胞(ON bipolar)、ON-BC)と光オフ型双極細胞(OFF双極細胞(OFF bipolar)、Off-BC)の2種類に分けられる。正常な網膜では、光曝露により、ON-BCのシナプス前終末に連結されている光受容細胞からのグルタミン酸放出が減少し、これにより、通常はグルタミン酸によって阻害されていたmGluR6-TRPM1チャネルの抑制が解除され、陽イオンが流入し、ON-BCの脱分極反応を引き起こして活性化させる。一方、Off-BCは、光曝露によって光受容細胞からのグルタミン酸シグナルが減少し、その結果、陽イオンチャネルが閉じ、過分極反応が起こり、Off-BCが活性化される。したがって、光オン型双極細胞に脱分極光感受性タンパク質を特異的に標的させる遺伝子治療技術は、網膜色素変性症患者の視感度に大きな期待が寄せられている。先行研究で一般的に使用されていたON-BCプロモーターは、マウスGRM6遺伝子の上流にある約200bpのエンハンサー配列に由来し、この配列をSV40ミニプロモーターと組み合わせた人工プロモーターは、双極細胞に特異的に発現することができる。しかし、このプロモーターは後にrd1モデルマウスの網膜における活性が低下することが示され、疾患治療への臨床応用が制限された。 したがって、遺伝性網膜疾患における治療効果を高めるために、GRM6遺伝子プロモーターとは異なる、双極細胞特異的な発現制御エレメントを提供することが緊急に求められている。 本出願は、既存の眼科遺伝子治療技術の標的化特異性を向上させるために、ON型双極細胞に対する高い特異性と高い発現レベルを両立する一連の新規hTRPM1シリーズプロモーター、及び網膜変性疾患の治療薬の調製におけるそのプロモーターの使用を提供することを目的とする。本出願の革新性は以下の通りである。GRM6遺伝子のプロモーターまたは調節配列に基づいて改変する多くの既存技術とは異なり、本出願はTRPM1遺伝子に基づく新規なプロモーターまたはDNA調節配列(新規かつ未報告のDNA配列からなるプロモーター)を利用する。本出願に係るプロモーターまたはDNA調節配列は、網膜ON型双極細胞において発現特異性と十分な発現活性を示し、ヒト網膜オルガノイドにおける効率的な発現を可能にし、ヒト眼科網膜関連疾患、特に網膜黄斑部関連疾患の治療への可能性を有する。 本出願は、複数の新規な人工合成ON型双極細胞特異的プロモーターを提供することを目的とする。 上記の目的を達成するために、本出願は以下の技術的解決手段を採用する。 項1、エンハンサーまたはエンハンサー変異体であって、前記エンハンサーが、配列番号4、配列番号35、配列番号6、配列番号37、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号39に示されるヌクレオチド配列、または、配列番号4、配列番号35、配列番号6、配列番号37、配列番号9、配列番号10、もしくは配列番号39に示されるヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端から40~910塩基対の長さに切断され、好ましくは56~880塩基対の長さに切断されたものを含み、 前記エンハンサー変異体が、前記エンハンサーと少なくとも60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、エンハンサーまたはエンハンサー変異体。 項2、前記エンハンサーが、配列番号4~14及び35~39のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、項1に記載のエンハンサーまたはエンハンサー変異体。 項3、プロモーターまたはプロモーター変異体であって、前記プロモーターが、配列番号1もしくは配列番号33に示されるヌクレオチド配列、または、配列番号1もしくは配列番号33に示されるヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端から500~800塩基対の長さに切断され、好ましくは550~750塩基対の長さに切断されたものを含み、 前記プロモーター変異体が、前記プロモーターと少なくとも60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する、プロモーターまたはプロモーター変異体。 項4、前記プロモーターが、配列番号1~3及び33~34のいずれか1つに示されるヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、項3に記載のプロモーターまたはプロモーター変異体。 項5、エンハンサー及びプロモーターを含む単離された核酸分子であって、 前記エンハンサーが項1または2に記載のエンハンサーであり、及び/または、 前記プロモーターが項3または4に記載のプロモーターである、単離された核酸分子。 項6、前記エンハンサーまたはエンハンサー変異体のうちの1つ以上、前記プロモーターまたはプロモーター変異体のうちの1つ以上、及び任意選択で、前記エンハンサーまたはエンハンサー変異体と前記プロモーターまたはプロモーター変異体とを分離するスペーサーからなる、項5に記載の単離された核酸分子。 項7、前記単離された核酸分子が、配列番号15~31、40~42に示される配列を含むか、もしくは配列番号15~31、40~42に示される配列からなり、または配列番号15~31、40~42に示される配列と少なくとも60%の同一性を有する配列を含むか、もしくは配列番号15~31、40~42に示される配列と少なくとも60%の同一性を有する配列からなる、項6に記載の単離された核酸分子。 項8、項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子を含む、核酸発現ベクター。 項9、前記核酸発現ベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり、特に、前記核酸発現ベクターが、組換えAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、もしくはAAV12ベクター、または前記組換えベクターの誘導体変異体である、項8に記載の核酸発現ベクター。 項10、前記核酸発現ベクターが、 a.光感受性タンパク質遺伝子、特に配列番号46もしくは47に示される光感受性タンパク質遺伝子であるか、または配列番号46もしくは47に示される光感受性タンパク質遺伝子を含むトランスジーン、及び b.カプシドタンパク質をコードする配列 をさらに含む、項8~9のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター。 項11、項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクターを含む、アデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子。 項12、項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子から選択される、医薬品として使用される薬剤。 項13、項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子、項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子からなる群から選択される、先天性停止性夜盲症(CSBN1)または桿体-錐体及び錐体-桿体ジストロフィー、特に網膜色素変性症、シュタルガルト病及び加齢黄斑変性症、または双極細胞における治療遺伝子の発現によって治療効果を達成するその他の疾患を治療するための、薬剤。 項14、項5~7のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または項8~10のいずれか1項に記載の核酸発現ベクター、及び項11に記載のアデノ随伴ウイルス粒子、ウイルス様粒子、または非ウイルス粒子から選択され、以下の方法によって投与される薬剤: a.硝子体内注射、 b.網膜下注射、 c.脈絡膜注射、または d.点眼投与。 実施例1でプロモーター設計に選択されたヒトhTRPM1遺伝子のエンハンサー及びプロモーターエレメントのクロマチン局在を示す模式図である。(A)PhastCons 100wayは100種の脊椎動物ゲノム全体にわたって保存されたピークプロットであり、FetalRetina-125D-DNaseはDNase I処置を行った発育125日目の胎児網膜ゲノムのシーケンシングピークプロットであり、高いピークを持つ部位はクロマチンアクセシビリティが高い、すなわちゲノム活性が高いことを示している。灰色のボックスは、選択された4つのエンハンサー領域(En1、En2、En3、En4)と1つのコアプロモーター領域(P)が強いクロマチンアクセシビリティを有することを示している。これらのうち、4つのエンハンサーはすべて、実施例1で説明したhTRPM1遺伝子の最初のイントロン領域に位置している。(B~F)図Aの(B)En1、(C)En2、(D)En3、(E)En4、及び(F)Pコアプロモーターとそれらのそれぞれの短縮配列のヒト15番染色体上の位置を示す。薄い灰色のボックスは、転写因子のChip-seq濃縮領域を示している。濃い灰色の