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JP-2026514992-A - HLA-A2*02に結合したプレプロインスリンペプチドALWGPDPAAAに特異的な高い親和性および特異性を有するTCR

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Abstract

本発明は、ペプチド-HLA-A*02複合体として提示されるALWGPDPAAA(配列番号1)ペプチド(ヒトプレプロインスリン(PPI)タンパク質由来)に結合する、ペプチド-主要組織適合複合体(pMHC)結合ドメインを含む結合分子に関する。前記結合分子は、フレームワーク配列内に埋め込まれたCDR配列を含むことができる。CDRおよびフレームワーク配列は、T細胞受容体(TCR)可変ドメインに対応していてもよく、天然のTCR可変ドメインと比較して非自然変異をさらに含むことができる。本発明の結合分子は、ALWGPDPAAA(配列番号1)-HLA-A*02複合体に対して高い親和性および高い特異性を有する。結合分子はさらに、免疫抑制因子および/または半減期延長ドメインを含むことができる。かかる結合分子は、糖尿病などの自己免疫疾患の治療のための可溶性の免疫治療試薬の開発において特に有用である。

Inventors

  • マホン,タラ
  • オーバートン,デイビッド
  • フィゲイレード,リタ
  • タワル,ラジーヴクマール
  • ワイズマン,ケイティ

Assignees

  • イミュノコア・リミテッド

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20240426
Priority Date
20230428

Claims (20)

  1. ALWGPDAAA(配列番号1)HLA-A*02複合体に結合する性質を有するペプチド-主要組織適合複合体(pMHC)結合ドメインを含む結合分子であって、pMHC結合ドメインが、(i)少なくともTCRアルファ鎖可変ドメインを含むアルファ鎖、および(ii)少なくともTCRベータ鎖可変ドメインを含むベータ鎖を含み、ここで、 (a)TCRアルファ鎖可変ドメインが、以下の配列: CDR1 - DKHSQG(配列番号23)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 CDR2 - IYSQGD(配列番号27)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 CDR3 - AVRGNEKLT(配列番号7)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列 を含むCDR1、CDR2およびCDR3を含み、かつ/または (b)TCRベータ鎖可変ドメインが、以下の配列: CDR1 - LQHSY(配列番号35)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 CDR2 - SVGVGF(配列番号29)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 CDR3 - ASAYMTGELF(配列番号30)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列 を含むCDR1、CDR2およびCDR3を含む、結合分子。
  2. TCRアルファ鎖可変ドメインCDRにおける変異(複数可)が、配列番号26に従いナンバリングされたK28R(CDR1)、H29G(CDR1)、G32S(CDR1)、およびQ53N(CDR2)から選択され、かつ/またはベータ鎖CDRにおける変異(複数可)が、配列番号74に従いナンバリングされたL27M(CDR1)、Q28N(CDR1)、S30N(CDR1)、V52A(CDR2)、F54I(CDR2)およびA104S(CDR3)から選択される、請求項1に記載の結合分子。
  3. 以下のTCRアルファ鎖可変ドメインCDRおよびTCRベータ鎖可変ドメインCDRの組合せ: (a)それぞれDRGSQS(配列番号5)、IYSNGD(配列番号6)およびAVRGNEKLT(配列番号7)であるアルファ鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列、ならびにそれぞれMNHNY(配列番号15)、SVGAGI(配列番号16)およびASSYMTGELF(配列番号17)であるベータ鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列; (b)それぞれDKHSQG(配列番号23)、IYSNGD(配列番号6)、およびAVRGNEKLT(配列番号7)であるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、ならびにそれぞれMNHSY(配列番号28)、SVGVGF(配列番号29)、およびASAYMTGELF(配列番号30)であるベータ鎖CDR1、CDR2およびCDR3アミノ酸配列; (c)それぞれDKHSQG(配列番号23)、IYSNGD(配列番号6)、およびAVRGNEKLT(配列番号7)であるアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、ならびにそれぞれMQHSY(配列番号32)、SVGVGF(配列番号29)、およびASAYMTGELF(配列番号30)であるベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、または (d)それぞれDKHSQG(配列番号23)、IYSQGD(配列番号27)、およびAVRGNEKLT(配列番号7)のアルファ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列、ならびにそれぞれLQHSY(配列番号35)、SVGVGF(配列番号29)、およびASAYMTGELF(配列番号30)のベータ鎖CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列 の1つを含む、請求項1または請求項2に記載の結合分子。
  4. TCRアルファ鎖可変ドメインが、以下の配列: FR1 - AKEVEQNSGPLSVPEGAIASLQCTYS(配列番号25)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR2 - FFWYRQYSGKSPELIMS(配列番号9)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR3 - KEDGRFTAQLNKASQYVSLLIRDSQPSDSATYLC(配列番号10)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR4 - FGTGTRLTIIP(配列番号11)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列 を含むフレームワーク領域FR1、FR2、FR3およびFR4を含み、 かつ/または、TCRベータ鎖可変ドメインが、以下の配列: FR1 - NAGVTQTPKFRILKIGQSMTLQCAQD(配列番号18)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR2 - MYWYRQDPGMGLKPIYY(配列番号19)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR3 - TDKGEVPQGYQVSRSTTEDFPLRLESAAPSQTSVYFC(配列番号75)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列、 FR4 - FGEGSRLTVL(配列番号21)であって、任意で1つ、2つ、または3つの変異を有する配列 を含むフレームワーク領域FR1、FR2、FR3およびFR4を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  5. TCRアルファ鎖可変ドメインフレームワーク領域における変異(複数可)が、配列番号26に従いナンバリングされたA1QおよびQ22Nから選択され、かつ/またはTCRベータ鎖可変ドメインフレームワーク領域における変異(複数可)が、配列番号74に従いナンバリングされたQ62N、Q62E、Q62D、およびQ65Nから選択される、請求項4に記載の結合分子。
  6. (a)TCRアルファ鎖可変ドメインが、配列番号3、22、24および26のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、または配列番号3、22、24および26のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ (b)TCRベータ鎖可変ドメインが、配列番号13、68、31、34、74、76および78のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、または配列番号13、68、31、34、74、76および78のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、 前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  7. 以下のTCRアルファ鎖およびベータ鎖可変ドメインの組合せ: (a)配列番号22に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号68に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン; (b)配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号31に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン; (c)配列番号26に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号34に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン; (d)配列番号26に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号74に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン; (e)配列番号26に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号76に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン;または (f)配列番号26に記載されるアミノ酸配列を含むTCRアルファ鎖可変ドメイン、および配列番号78に記載されるアミノ酸配列を含むTCRベータ鎖可変ドメイン の1つを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  8. TCRアルファ鎖可変ドメインが配列番号26のアミノ酸配列を含み、TCRベータ鎖可変ドメインが配列番号74のアミノ酸配列を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  9. アルファ鎖はTCRアルファ鎖定常ドメインを含み、かつ/またはベータ鎖がTCRベータ鎖定常ドメインを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  10. 非天然のジスルフィド結合がTCRアルファ鎖定常ドメインの残基をTCRベータ鎖定常ドメインの残基に連結する、請求項9に記載の結合分子。
  11. TCRアルファ鎖定常ドメインが、配列番号37に記載されるアミノ酸配列、または配列番号37と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;かつ/または TCRベータ鎖定常ドメインが、配列番号39に記載されるアミノ酸配列、または配列番号39と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、 請求項9または請求項10に記載の結合分子。
  12. 2つ以上のポリペプチド鎖を含み、アルファ鎖およびベータ鎖が別々のポリペプチド鎖に含まれる、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  13. (a)アルファ鎖が、配列番号2、70、36、および40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、または配列番号2、70、36、および40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ (b)ベータ鎖が、配列番号12、69、38、41、80、81および82のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、または配列番号12、69、38、41、80、81および82のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、 前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  14. (a)アルファ鎖が配列番号70のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号69のアミノ酸配列を含む; (b)アルファ鎖が配列番号36のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号38のアミノ酸配列を含む; (c)アルファ鎖が配列番号40のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号41のアミノ酸配列を含む; (d)アルファ鎖が配列番号40のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号80のアミノ酸配列を含む; (e)アルファ鎖が配列番号40のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号81のアミノ酸配列を含む;または (f)アルファ鎖が配列番号40のアミノ酸配列を含み、ベータ鎖が配列番号82のアミノ酸配列を含む、 前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  15. pMHC結合ドメインがVα-L-Vβ、Vβ-L-Vα、Vα-Cα-L-Vβ、またはVα-L-Vβ-Cβの種類の単一ポリペプチド鎖形式であり、ここで、VαおよびVβがそれぞれTCRαおよびβ可変領域であり、CαおよびCβがそれぞれTCRαおよびβ定常領域であり、Lがリンカー配列である、請求項1~11のいずれか一項に記載の結合分子。
  16. 免疫抑制因子をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  17. 免疫抑制因子が免疫チェックポイントアゴニストであり、任意でPD-1アゴニストである、請求項16に記載の結合分子。
  18. 免疫抑制因子が抗原に結合可能な抗原結合部分を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の結合分子。
  19. 抗原がPD-1であり、抗原結合部分がPD-1アゴニストである、請求項18に記載の結合分子。
  20. 抗原結合部分が抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項18または請求項19に記載の結合分子。

Description

本発明は、TCR可変ドメインを含むペプチド-主要組織適合複合体(pMHC)結合ドメインを含む結合分子に関する。結合分子はさらに、免疫抑制因子および/または半減期延長ドメインを含むことができる。本発明はまた、糖尿病などの自己免疫疾患の治療または診断における結合分子の使用に関する。 自己免疫疾患はしばしば慢性的で衰弱をもたらし、臨床的ニーズのある領域を構成する。全身性免疫抑制に関連する潜在的な重大な有害事象を考慮すると、全身性免疫抑制よりもむしろ臓器特異的免疫抑制が治療にとって有益な経路となり得る。 自己免疫において、PD-1経路の障害が疾患発症に重要な役割を果たすという証拠も蓄積している。PD-1、PD-L1、およびPD-L2遺伝子の多型はいくつかの自己免疫疾患と関連している。1型糖尿病およびクローン病患者のサンプルでは、PD-L1発現が異常に低いことが観察されている。したがって、自己反応性リンパ球上のPD-1を活性化することは、自己免疫疾患を治療する機構として作用し得る。しかし、臨床試験の段階に達したPD-1アゴニストは少なく、患者における有効性はまだ実証されていない。 1型糖尿病(T1DM)は、代謝機能障害、特に糖代謝の調節異常を特徴とし、特徴的な長期の血管合併症および神経学的合併症を伴う自己免疫疾患である。T1DMは絶対的インスリン欠乏を特徴とし、患者は生存のために外因性インスリンに依存する。高血糖症状を伴うT1DMの急性臨床発症前には、長い無症状の前臨床期があり、この間にインスリン産生ベータ細胞が徐々に破壊される。ベータ細胞(β細胞)の自己免疫性破壊はリンパ球浸潤と関連している。 CD8+T細胞がT1DMに至る病態に関与していることは、多くの証拠によって裏付けられている。罹患した個人の膵島組織を組織学的に分析すると、CD8+T細胞の浸潤が認められる。T1DMの動物モデルでは、CD8+T細胞を用いて疾患プロセスを罹患動物から健康な動物へ移すことが可能である。 抗CD3遮断抗体に基づく全身作用性免疫療法は、最近、T1DMステージ2疾患の治療についてFDAの承認を受けている。しかし、この薬剤は非標的性であるため安全性の懸念が高く、治療初期段階におけるリンパ球減少症が主な副作用である。発症後早期段階における1型糖尿病の抗原特異的(または組織特異的)免疫療法は、全身性の免疫不活性化を回避しながら、疾患進行を阻止し、残存膵島細胞機能を維持する可能性を有する。安全な免疫療法は、膵島同種移植片の保護および1型糖尿病への強い遺伝的素因が認められる場合の予防としても考慮できる。膵島ベータ細胞は、Foxp3を発現する制御性CD4+T細胞(Treg)によって病原性T細胞から自然に保護されており、養子移入されたT細胞を介する保護には膵島細胞抗原の認識が必要であることが確立されている。 いくつかの糖尿病特異的なヒト自己反応性CD8+T細胞が、患者から単離されている(Skowera et al. 2008 J Clin Invest. 118:3390-402およびLieberman et al. Proc Natl Acad Sci U.S.A. 2003 Jul 8;100(14):8384-8)。これらのT細胞は、主にプレプロインスリン(PPI)などのβ細胞抗原のペプチドエピトープを認識するT細胞受容体(TCR)を有する。ALWGPDPAAA15-24(配列番号1)ペプチドは、ヒトPPIのシグナル配列に由来するそのようなペプチドの1つである(Skowera et al. 2008 J Clin Invest. 118:3390-402および国際公開第2009004315号)。このペプチドはHLA-A*02分子にロードされ、インスリン産生β細胞の表面に提示される。したがって、ALWGPDPAAA-HLA-A*02複合体は、TCRによって認識可能なヒトベータ細胞特異的マーカーを提供する。このPPIペプチドの高発現は、疾患段階に関係なくベータ細胞表面で検出可能であり、このことは、PPIを標的とした治療薬が既存の免疫療法と比較して、より早期の疾患段階で有効であり得ることを意味する。 国際公開第2015092362号は、ALWGPDPAAAペプチド-HLA-A*02複合体に結合するTCRおよび融合分子を開示している。国際公開第2019219709号は、ALWGPDPAAAペプチド-HLA-A*02複合体に結合するTCR、ならびにPD1アゴニスト(天然リガンドPDL1または抗PD1scFv)と融合したかかるTCRを開示している。Curnock et al, 2021, JCI Insight. 2021;6(20):e15246は、ALWGPDPAAAペプチド-HLA-A*02複合体に特異的な可溶性TCR、およびPD1アゴニストを含むエフェクター末端で構成される二重特異性分子を開示している。 ヒトドナーから単離したTCRは安全性の観点から一般的に好ましいとされるが、自己反応性TCRについては必ずしもそうとは限らず、これは、自己抗原を認識するTCRは胸腺選択過程で本来除去されている可能性が高いためである。さらに、患者由来の自己反応性TCRは、がん抗原または病原体抗原に特異的なTCRに比べて一般的に親和性が低く(Dolton G. et al., Frontiers Imm. 2018)、これはHLAへ正しくドッキングができないことに起因する可能性がある。 自己免疫疾患、例えばT1DMの診断および治療に最適化された、強力、特異的かつ効果的な組織標的化免疫抑制組成物であって、全身性免疫抑制に伴うリスクを回避する免疫抑制組成物を提供する必要性が依然として存在する。自己免疫疾患の治療に有効な治療薬には、有利なリスクプロファイル(例えば、高レベルの標的および組織特異性)を有し、投与頻度を減らすことができるものが含まれる。 特に他の望ましい特性とのバランスが取れている場合に高親和性を有するように操作されたTCRの作製は容易ではなく、通常高い脱落率を伴う。第1に、当業者は適切な開始配列、または足場配列を特定する必要がある。典型的には、そのような配列は天然源、例えばドナー血液から抽出した抗原応答性T細胞、または自然レパートリーから得られたアルファ鎖およびベータ鎖を含むTCRライブラリから得られる。PPIなどの自己抗原に特異的なT細胞は自然レパートリーにおいて稀であるため、反応性T細胞を発見するには多くのドナー、例えば20以上をスクリーニングする必要があることがしばしばである。このスクリーニングプロセスは数週間から数カ月を要する場合があり、反応性T細胞が見つかったとしても、免疫療法への使用には適さない場合がある。例えば、反応が弱すぎる、および/または標的抗原に特異的ではない場合がある。あるいは、クローン性T細胞集団を生成できない、あるいは特定のT細胞株を増殖または維持して正しいTCR鎖配列を同定するのに十分な材料を産生することもできない場合もある。同様に、天然ライブラリから抗原特異的TCRを同定することができない場合もある。開始配列または足場配列として適したTCR配列は、以下の特性:標的ペプチド-HLA複合体に対する良好な親和性、例えば200μM以上;高レベルの標的特異性、例えば代替ペプチド-HLA複合体への結合が比較的弱いか、または全くない(これは自己免疫疾患の治療において特に重要である);ファージディスプレイなどのディスプレイライブラリでの使用に適していること;関連する発現系から高収率で再折り畳みおよび/または精製が可能であること;および融合タンパク質を含む精製形態で安定性を維持することのいずれか1つまたは複数を有すべきである。TCR認識の縮退性を考慮すると、特定の足場TCR配列が治療用途に向けた操作に適した特異性プロファイルを有するかどうかを判断することは、熟練した研究者であっても極めて困難である(Wooldridge, et al., J Biol Chem. 2012 Jan 6;287(2):1168-77)。 次の課題は、特異性および収率などの望ましい特性を維持しつつ、標的抗原に対してより高い親和性を有するようにTCRを操作することであり、これは天然に存在するTCRは、抗体に比べて標的抗原への親和性が弱い(低マイクロモル濃度範囲)ためである。この弱い親和性は、免疫療法用の治療用TCRが通常、標的抗原への親和性を高めさせ、それにより強力な応答を生じさせるための操作が必要であることを意味する。かかる親和性向上は、可溶性TCRベースの試薬にとって不可欠である。かかる場合、数時間の結合半減期の、ナノモル濃度からピコモル濃度範囲の抗原結合親和性が望ましい。低エピトープ数における高親和性抗原認識によって生成される効果の向上は、Liddy et al.(Liddy, et al., Nat Med. 2012 Jun;18(6):980-7)の図1eおよび1fに示されている。親和性成熟プロセスでは、通常、当業者が、抗原認識の強度を高めるために、開始TCR配列に対して、置換、挿入および/または欠失を含むがこれらに限定されない特定の変異を操作する必要がある。親和性成熟技術は当技術分野で公知であり、例えばディスプレイライブラリの使用が挙げられる(Li et al., Nat Biotechnol. 2005 Mar;23(3):349-54; Holler et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2000 May 9;97(10):5387-92)。しかしながら、特定の標的に対する特定のTCRの親和性を著しく高めるためには、当業者は多数の代替物候補の中から変異を操作せざるを得ない場合がある。親和性を著しく高める特定の変異は予測不可能であり、高い脱落率が生じる。多くの場合、特定のTCR開始配列では親和性の著しい向上を達成できない可能性がある。 親和性成熟プロセスでは、TCRの抗原特異性を維持する必要性も考慮しなければならない。標的抗原に対するTCRの親和性を高めることは、TCRの抗原認識に固有の縮退性の結果として、他の意図しない標的との交差反応性が明らかになる実質的なリスクがもたらされる(Wooldridge, et al., J Biol Chem. 2012 Jan 6;287(2):1168-77; Wilson, et al., Mol Immunol 2004,40(14-15):1047-55; Zhao et al., J Immunol 2007,179(9):5845-54)。自然なレベルの親和性では、交差反応性抗原の認識は反応を生じるには低すぎる場合がある。交差反応性抗原が正常な健康細胞に提示されている場合、インビボ(in vivo)でオフターゲット結合が起こる可能性が高く、これによって臨床的毒性を示す可能性がある。したがって、抗原結合強度を高めることに加え、当業者はTCRが標的抗原に対する高い特異性を保持し、前臨床試験で良好な安全性プロファイルを示すことが可能である変異および/または変異の組合せを操作しなければならない。繰り返しになるが、適切な変異および/または変異の組合せは予測不可能である。この段階での脱落率はさらに高く、多くの場合、特定のTCR開始配列からは全く達成できないこともあり得る。 結合分子 第1の態様において、本発明は、ALWGPDAAA(配列番号1)HLA-A*02複合体に結合する性質を有する、ペプチド-主要組織適合複合体(pMHC)結合ドメインを含む結合分子を提供し、ここで、pMHC結合ドメインは、(i)少なくともTCRアルファ鎖可変ドメインを含むアルファ鎖、および(ii)少なくともTCRベータ鎖可変ドメインを含むベータ鎖を含み、ここで、 (a)TCRアルファ鎖可変ドメインは、以下の配列: C