JP-2026514995-A - 高透過率放射冷却保護フィルムおよびその使用
Abstract
本発明は、高透過率放射冷却保護フィルムに関する。スペクトル制御層を含み、前記スペクトル制御層は、交互に積層された低屈折率材料および高屈折率材料を含み、高屈折率材料は、6層以上であり、低屈折率材料は、5層以上である。該フィルムは、多層フィルムの構造設計によりスペクトル制御を実現し、高い可視光線透過率を確保しながら、太陽光帯域の他のエネルギーの入射を効果的に遮断し、また、熱赤外線帯域を通して電磁波の形で熱を宇宙の自然冷源に放出することで、最大の放射冷却効果を実現する。 【選択図】図2
Inventors
- 宗 麟奇
- 孔 徳▲興▼
- 呂 彬
Assignees
- 墨光新能科技(蘇州)有限公司
Dates
- Publication Date
- 20260513
- Application Date
- 20240731
- Priority Date
- 20230607
Claims (10)
- 高透過率放射冷却保護フィルムであって、 スペクトル制御層を含み、前記スペクトル制御層は、交互に積層された低屈折率材料および高屈折率材料を含み、高屈折率材料は、6層以上であり、低屈折率材料は、5層以上である、ことを特徴とする高透過率放射冷却保護フィルム。
- 光線が前記スペクトル制御層を経ると、可視光は、90%以上の透過率を有し、近赤外線は、80%以上の遮断率を有し、中赤外光は、95%以上の放射率を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 各層の高屈折率材料は、同一であるか、または異なり、TiO 2 、Ti 3 O 5 、Ti 2 O 3 、ZrO 2 、CeO 2 、HfO 2 から選択される1種または複数種の材料であり、各層の低屈折率材料は、同一であるか、または異なり、SiO 2 、SiO、Al 2 O 3 、AlF 3 、MgF 2 から選択される1種または複数種の材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 前記スペクトル制御層は、非金属層の材料で構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 前記低屈折率材料、および高屈折率材料は、いずれも電子ビーム蒸着コーティングにより形成され、コーティングプロセスは、 コーティング速度が0.1~1.0nm/sであること、 コーティング時の材料の粒子径が1~20mmであること、 成膜温度が80~200℃であること、 コーティング過程における真空度が1×10 -2 ~1×10 -4 に維持されること、および コーティングの補助のためにイオン源が使用され、イオン源エネルギーパラメータが、電圧150~220V、電流3~6Aであることのうちの1つまたは複数の組み合わせを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 前記スペクトル制御層の最上層および最下層の材料は、すべて高屈折率材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 前記スペクトル制御層は、最下層から最上層に順次設けられた、TiO 2 、SiO、TiO 2 、SiO、TiO 2 、SiO、TiO 2 、SiO、TiO 2 、SiO、TiO 2 を含み、光線が外部から入射されると、まず最上層に到達し、次に各中間層を経て、最下層に到達する、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 有機パッケージ層と、ベースフィルムと、接着層と、をさらに含み、前記有機パッケージ層は、疎水性層であり、ベースフィルムは、強化ガラスフィルムであり、前記有機パッケージ層、および放射冷却層は、それぞれベースフィルムの両側に設けられ、接着層は、前記放射冷却保護フィルムを電子スクリーン上に接着するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 前記制御層は、順次設けられた材料層として、 厚さ10~20nmのTiO 2 材料層、 厚さ20~50nmのSiO材料層、 厚さ100~150nmのTiO 2 材料層、 厚さ150~200nmのSiO材料層、 厚さ80~110nmのTiO 2 材料層、 厚さ150~200nmのSiO材料層、 厚さ90~130nmのTiO 2 材料層、 厚さ150~200nmのSiO材料層、 厚さ90~130nmのTiO 2 材料層、 厚さ20~50nmのSiO材料層、および 厚さ10~20nmのTiO 2 材料層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルム。
- 請求項1に記載の高透過率放射冷却保護フィルムの電子機器のスクリーンフィルムとしての使用。
Description
本発明は、保護フィルムに関し、特に、高透過率放射冷却保護フィルムおよびその使用に関する。 世界人口の増加および社会の継続的な発展に伴い、気候温暖化の問題はますます深刻になり、その結果として冷却エネルギー消費の需要も増加している。従来の能動冷却手段は、圧縮冷却システムに依存しており、大量の電力を消費し、大量の二酸化炭素を生成する一方、圧縮冷却システムで使用されるフロンなどの冷媒は、オゾン層を破壊し、深刻な環境問題を引き起こす可能性がある。放射冷却は、従来の冷却手段とは大きく異なり、熱放射によって熱を冷たい宇宙に放出する受動冷却方法である。地球の大気層は、波長によって電磁波の透過率が異なり、8~13μm帯域の電磁波に対する透過率が非常に高く、これは、「大気の窓」として知られる。したがって、優れた放射冷却面は、太陽光(0.3~2.5μm)を強く反射しながら、8~13μm帯域で可能な限り高い放射率を持ち、それによってエネルギーを消費せずに自然冷却を実現する。以上のように、放射冷却技術は、従来の冷却によって引き起こされる温室効果や環境汚染などの問題を軽減しながら、エネルギーを節約することができる。 ナノフォトニクスと高度な製造技術の発展により、フォトニック結晶とメタマテリアルが放射冷却材料に初めて使用されるようになった。ナノフォトニック結晶とは、一部の半導体材料をマグネトロンスパッタリングや電子ビーム蒸着などのコーティングプロセス、またはマイクロナノ加工プロセスで加工することにより形成される、さまざまな層構造や超表面構造を持つナノフォトニック材料を指し、それによって、特定の中赤外線帯域での選択的な高放射を実現する。 通常の材料の放射スペクトルは通常非常に広いが、フォトニック材料を用いることで、放射冷却において特に必要とされる、制御可能な狭帯域放射スペクトルを有する熱源を設計することができる。文献(Nature,2014,515(7528):540-544)では、平面層状の1次元フォトニック結晶を集積することで放射冷却体を作製した。この放射体は、銀(Ag)ミラー上にSiO2層とHfO2層を交互に7層積層したフォトニック結晶が設計されている。ここで、SiO2層は、フォノンポラリトンにより、8~13μmの中赤外線帯域において極めて高い放射率を有する。SiO2層とHfO2層を重ね合わせることで、中赤外線帯域のスペクトル放射率がさらに調整される。さらに、Agミラーは、太陽光の紫外線部分に対する複合フィルム層の反射率を向上させることができる。多層フィルムの構造設計により、該放射冷却体は、太陽光放射の約97%を反射し、大気の窓内で強力な放射を有し、900W・m-2の太陽光放射下では、周囲温度より5℃低い降温効果と40.1W・m-2の冷却電力を実現できる。 しかし、現在、放射冷却材料は、主に壁や屋根などの屋外建物に使用されており、ディスプレイデバイスにはほとんど使用されていない。これは、ディスプレイデバイスでは放射冷却材料に対するスペクトル要件がより高いためである。 本発明における高透過率放射冷却保護フィルムの構造模式図である。本発明におけるスペクトル制御層の構造図である。コーティング前後のガラスの可視光および近赤外線帯域における透過率の試験である。コーティング前後のガラスの中赤外線帯域における放射率である。コーティング前後のガラスの降温性能の試験である。有機パッケージ層を備えるガラスと水との接触角である。有機パッケージ層を備えないガラスと水との接触角である。 以下、具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の保護範囲は、具体的な実施形態によって限定されるものではないことは理解されるべきである。 本発明の高透過率放射冷却保護フィルムは、ベースフィルムと、スペクトル制御層と、を含み、スペクトル制御層は、ベースフィルム上に堆積され、スペクトル制御層は、交互に積層された高屈折率材料および低屈折率材料を含み、高屈折率材料は、6層以上であり、低屈折率材料は、5層以上である。屈折率の異なる2つの材料を交互に配置することにより、フィルム内の光線の屈折角を調整し、フィルム内の異なる帯域の光の透過経路を調整することで、スペクトル性能の制御を実現する。光線がフィルム層を経ると、可視光は、90%以上の透過率を有し、近赤外線は、80%以上の遮断率を有し、中赤外光は、95%以上の放射率を有する。有機パッケージ層は、フッ素含有有機物を使用して、電子ビーム蒸着によって形成され、パッケージ層の厚さは、5~40nmの範囲が好ましく、蒸発抵抗電流は30~200mAの範囲が好ましく、コーティング速度は0.3~1.0nm/sである。 本発明における低屈折率材料および高屈折率材料は、いずれもセラミック材料であり、金属層を含まないため、フィルムシステムの設計が簡素化される。セラミック材料の各層の厚さおよびコーティングプロセスを制御することにより、反射率、透過率および放射率を制御することができる。ここで、低屈折率材料と高屈折率材料の屈折率差は0.5~0.9である。 スペクトル制御層中の各低屈折率材料は、同一であるか、または異なり、単一材料を採用してもよいし、複数種の材料を採用してもよい。各低屈折率材料は、部分的に同一であるか、または全体として同一であってもよく、SiO2、SiO、Al2O3、AlF3、およびMgF2から選択される1種または複数種の材料である。各高屈折率材料は、同一であるか、または異なり、部分的に同一あるか、または全体として同一であってもよく、TiO2、Ti3O5、Ti2O3、ZrO2、CeO2、およびHfO2から選択される1種または複数種の材料である。プロセスを簡素化するために、各低屈折率材料が同一であり、各高屈折率材料が同一であることが好ましい。 本発明におけるベースフィルムは、携帯電話用強化ガラスフィルムであってもよく、放射冷却保護フィルムは、有機パッケージ層と、AB接着層と、をさらに含み、有機パッケージ層およびスペクトル制御層は、それぞれベースフィルムの両側に蒸着またはスパッタリングされ、好ましくは電子ビーム蒸着コーティングである。このコーティングプロセスによって形成されるフィルム層は、構造が緻密で、安定性が高く、コーティングプロセス中、材料の粒子径は、1~20mmとすることができ、成膜温度範囲は80~200℃であり、真空度は1×10-4~1×10-1Paに維持され、コーティング速度は、フィルム層の厚さに応じて選択され、フィルム層の厚さが50nm未満の場合、コーティング速度は0.1~0.5nm/sが好ましく、フィルム層の厚さが50nm以上の場合、コーティング速度は、0.6~1.0nm/sが好ましい。この構成により、フィルム層の精度の制御が容易になる一方、成膜の安定性に有益である。 多層フィルム構造間の緻密な結合を確保するため、各材料のコーティングプロセスにおいて、コーティングの補助のためにイオン源が使用され、イオン源のエネルギーパラメータが、電圧150~220V、電流3~6Aである。 本発明では、保護フィルムは、好ましくは、ガラス基板から外側に、順次TiO2、SiO、TiO2、SiO、TiO2、SiO、TiO2、SiO、TiO2、SiO、TiO2であり、各フィルム層の厚さは、以下の通りである。 TiO2材料層は、厚さ10~20nmであり、 SiO材料層は、厚さ20~50nmであり、 TiO2材料層は、厚さ100~150nmであり、 SiO材料層は、厚さ150~200nmであり、 TiO2材料層は、厚さ80~110nmであり、 SiO材料層は、厚さ150~200nmであり、 TiO2材料層は、厚さ90~130nmであり、 SiO材料層は、厚さ150~200nmであり、 TiO2材料層は、厚さ90~130nmであり、 SiO材料層は、厚さ20~50nmであり、 TiO2材料層は、厚さ10~20nmである。 以下、具体的な実施形態に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。 実施例1 放射冷却保護フィルムは、有機パッケージ層1と、ベースフィルム2と、スペクトル制御層3と、AB接着層4と、を含み、有機パッケージ層1は、フッ素含有有機物材料層であり、ベースフィルムは、携帯電話用フィルムであり、市販の携帯電話用強化ガラスフィルムまたは光透過特性の高い携帯電話用ソフトフィルムであってもよい。本実施例におけるスペクトル制御層3は、携帯電話用強化ガラスフィルムをベースとしてコーティングすることにより形成され、AB接着層4は、放射冷却保護フィルムを携帯電話上に接着するために使用され、スペクトル制御層3は、11層の構造を有し、そのうち、高屈折率材料と低屈折率材料は、交互に積層され、高屈折率材料は6層、低屈折率材料は5層を含む。各低屈折率材料は、SiO2(n=1.46@550nm、つまり波長550nmの光の屈折率は1.46)を使用し、高屈折率材料は、TiO2(n=2.35@500nm)を使用する。各フィルム層は、電子ビーム蒸着によってコーティングすることにより製造され、また、コーティングの補助のためにイオン源も使用される。電子ビーム蒸着によるコーティングの温度は120℃、真空度は1*10-3に設定され、低屈折率材料の粒子径は、1~3mm、高屈折率材料の粒子径は、3~5mmとする。コーティングの補助のためのSiOイオン源のエネルギーは150V、3Aであり、コーティングの補助のためのTiO2イオン源のエネルギーは200V、6Aであり、フッ素含有有機物の蒸気抵抗電流は100mAである。 各フィルム層の構成は、図1および図2に示されており、スペクトル制御層3は、TiO2層21、SiO層22、TiO2層23、SiO層24、TiO2層25、SiO層26、TiO2層27、SiO層28、TiO2層29、SiO層210、TiO2層211を含む。 そのフィルム層材料および厚さとコーティング速度は、表1に示される。 得られた放射冷却保護フィルムの有機パッケージ層の一方側について、シータ(Theta)接触角試験機(LSA100、LAUDA Scientific社製)を用いて疎水性を試験した。試験結果を図6に示す。コーティング後の平均静的接触角は140°を超えた。 実施例2 実施例1との違いは、具体的には、表2に示すように、スペクトル制御層の材料が異なり、各フィルム層の厚さとコーティング速度が異なっている点である。 実施例3 実施例1との違いは、フィルム層の数が異なり、各フィルム層の材料、厚さ、およびコーティング速度が具体的には表3に示されている点である。 実施例4 実施例1と比較すると、材料の粒子径が異なり、低屈折率材料の粒子径は5~8mm、高屈折率材料の粒子径は8~10mmに選択されている点のみが相違する。 比較例1 スペクトル制御層を堆積しない携帯電話用強化ガラスフィルムが実施例1のベースフィルムである。 実施例1の放射冷却保護フィルムと比較例1の携帯電話用強化ガラスフィルムの特性を試験した。 比較例1の携帯電話用強化ガラスフィルムと実施例1の放射冷却保護フィルムの太陽光帯域における反射率を比較した。使用した機器は、積分球モデル(ISR-3100)を備えたUV-Vis-NIR分光光度計(uv3600、島津社製)であった。測定帯域範囲は0.3~2.5μmであった。結果を図3に示す。実施例1の放射冷却保護フィルムは、可視光帯域における透過率を0.90から0.94へとさらに向上させることができ、本発明の放射冷却保護フィルムは、携帯電話用強化ガラスフィルムの透過率向上効果を果たし、近赤外線帯域における反射率が大幅に向上し、従来の携帯電話用強化ガラスフィルムの0.1未満から0.8以上へと向上し、外部からの高温による携帯電話の温度