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JP-2026515060-A - ミトコンドリアを有するマイクロベシクルの生成を促進する方法及びその医療用途

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Abstract

本発明は、ミトコンドリアを有するマイクロベシクルの生成を促進する方法及びその医療用途を提供するものであり、具体的には、ミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用し、細胞外小胞組成物を生成する方法を提供する。細胞にミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を添加して共培養を行い、得られた細胞外小胞組成物はミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する。ミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を添加することにより、細胞にミトコンドリアを有するマイクロベシクルを生成させることができ、収集されたミトコンドリアはマイクロベシクルに包覆されたミトコンドリアであるため、ミトコンドリアの保存及び細胞内への伝達がより容易になる。また、分離済みの細胞外小胞組成物、それを含有する医薬組成物、及び糖尿病及び/又は腎損傷を治療する薬物の製造に用いる応用を提供する。 【選択図】図2

Inventors

  • 王以莊

Assignees

  • 臺灣君百有限公司

Dates

Publication Date
20260513
Application Date
20230509

Claims (16)

  1. ミトコンドリアを有する細胞がミトコンドリアを有するマイクロベシクルを生成することを促進するために用いられる、ミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用する用途。
  2. 前記ミトコンドリア生成促進因子が、ヘムオキシゲナーゼー1、CoPPIX、ヘミン、ヘミン誘導体、ミトコンドリア構造断片、細胞組織断片及び5~20%酸素濃度環境培養からなる群から選択される、請求項1に記載のミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用する用途。
  3. 前記細胞外小胞生成促進因子が、エタノール、EP4受容体拮抗剤、エンドソームタンパク質選別輸送複合体、ARRDC1、関連タンパク質の腫瘍抑制遺伝子及び細胞弛緩素Bからなる群から選択される、請求項1に記載のミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用する用途。
  4. 前記ミトコンドリアを有する細胞が、間葉系幹細胞、造血幹細胞、骨髄幹細胞又は肝臓細胞である、請求項1に記載のミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用する用途。
  5. ミトコンドリアを有する細胞を提供する工程(1)と、 前記ミトコンドリアを有する細胞に対してミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を培養基中に添加して共培養を行い、ミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物を得る工程(2)と、 を含み、 前記ミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物は、細胞外小胞総数を基準として、0.2%以上のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを有する、ミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物を生成する方法。
  6. 前記ミトコンドリア生成促進因子の添加量は、前記培養基中の前記ミトコンドリア生成促進因子の濃度を0.1~100000ng/mLとするものである、請求項5に記載のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物を生成する方法。
  7. 前記細胞外小胞生成促進因子の添加量は、前記培養基中の前記細胞外小胞生成促進因子の濃度を10 -7 ~800ミリモル毎リットル(mM)とするものである、請求項5又は6に記載のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物を生成する方法。
  8. 細胞外小胞総数を基準として、0.2%以上のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを有する、分離済みの細胞外小胞組成物。
  9. 前記分離済みの細胞外小胞組成物が、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法により製造され、その後、分離されて得られる、請求項8に記載の分離済みの細胞外小胞組成物。
  10. 請求項8又は9に記載の分離済みの細胞外小胞組成物、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  11. 糖尿病を治療又は緩和する薬物を製造するための応用であって、前記薬物が有効用量の分離済みの細胞外小胞組成物及び薬学的に許容される担体を含有し、且つ前記分離済みの細胞外小胞組成物が、細胞外小胞総数を基準として、0.2%以上のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを有する、分離済みの細胞外小胞組成物の用途。
  12. 前記糖尿病が2型糖尿病である、請求項11に記載の分離済みの細胞外小胞組成物の用途。
  13. 前記薬物の投与対象が恒温動物又は人間である、請求項11又は12に記載の分離済みの細胞外小胞組成物の用途。
  14. 腎損傷を治療又は緩和する薬物を製造するための応用であって、前記薬物が有効用量の分離済みの細胞外小胞組成物及び薬学的に許容される担体を含有し、且つ前記分離済みの細胞外小胞組成物が、細胞外小胞総数を基準として、0.2%以上のミトコンドリアを有するマイクロベシクルを有する、分離済みの細胞外小胞組成物の用途。
  15. 前記腎損傷が慢性腎疾患である、請求項14に記載の分離済みの細胞外小胞組成物の用途。
  16. 前記薬物の投与対象が恒温動物又は人間である、請求項14又は15に記載の分離済みの細胞外小胞組成物の用途。

Description

本発明は、ミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用する用途に関する。また、細胞にミトコンドリアを有するマイクロベシクルを豊富に含有する細胞外小胞組成物を生成させる方法、分離済みの細胞外小胞組成物、これを含有する医薬品及びその用途に関する。 幹細胞(stem cell)は、未分化の母細胞であり、異なる機能を有する細胞に分化する能力を有し、複製能力により更に多くの一致した幹細胞を生成することができる。幹細胞は複製及び他の種類の細胞への分化能力を有するため、ヒトは疾患の治療に使用できる可能性があると認識し、幹細胞を薬物として使用することを試み始めた。幹細胞治療の定義は幹細胞を用いて多種の疾患を治療することであり、最も早くは1968年の骨髄移植まで遡ることができる。しかし、骨髄移植医療技術は「造血幹細胞」を移植するものであり、今日の間葉系幹細胞移植治療とは異なるものの、依然として一種の同種異系幹細胞治療の開始と考えることができる。間葉系幹細胞は、多くの動物実験を経て良好な結果を得た後、2000年以降徐々に幹細胞によるヒト疾患の治療が試みられるようになった。例えば、2003年に「骨髄幹細胞」を左心室に移植し、心筋組織を修復した。ヒト脊髄損傷への応用においては、確実に運動能力の明らかな回復をもたらすことができ、脳卒中治療の面では、急性炎症及び長期脳部退化を減少させ、長期機能回復を促進することができる。脳損傷の研究においては、症状を軽減し、活動能力及び長期記憶を改善することが確認された。後に脂肪由来の成体幹細胞も神経関連疾患の治療に効果があることが確認された。時間と事実により幹細胞治療は有効であることが証明されたが、元来の分化代替論は実験研究結果と常に矛盾があるため、間葉系幹細胞の治療原理は確定されていない。 最新の研究により幹細胞の治療効果の原理が実証されており、幹細胞から分泌される一部の物質の中で、ミトコンドリアがトンネル(tunnel)、間隙結合(gap junction)、マイクロベシクル(microvesicles)、細胞融合(cell fusion)等の方式により損傷細胞に転移し、損傷細胞がこれらの外来性ミトコンドリアを獲得することが、幹細胞が治療効果を生成する主要な原因である。多くの論文、例えば、Paliwal et al.(2018)も間葉系幹細胞の再生能力がミトコンドリアの伝送に由来することを検証している。同年Wang et al.(2018)も幹細胞のミトコンドリア輸送が組織損傷の新規治療技術であることを提起している。 現在の研究により、ミトコンドリア品質がより優良な幹細胞は、より良好な治療能力を有することも確認されており、後にさらに治療時において、幹細胞全体を使用する必要がなく、分離済みミトコンドリアを肺部に直接注射することで肺部炎症損傷を治療し、線維化した肺胞を復元できることが直接確認された。或いは遊離ミトコンドリアを脳部に直接注射することで、脳梗塞を治療して脳梗塞面積を改善し、多系統萎縮症(Multiple system atrophy、MSA)を治療して脳部損傷を減少させ、行動能力を改善することができる。 従って、健康なミトコンドリアを損傷細胞内に伝送することで、細胞復活を促進し、細胞成長及び活性化を促進し、ミトコンドリア損傷による老化或いは多種の退行性疾患を改善することができる。しかしながら、このような有効な治療方法において、現在最大の技術的障害は、依然としてミトコンドリアを大量生成する方法が存在せず、且つ分離済みミトコンドリアも細胞内環境を離れることにより、遊離ミトコンドリアが速やかに損傷死亡し且つ保存が困難となり、更に精製ミトコンドリア製剤の製造、量産及び長時間保存が始終困難となることである。 ミトコンドリア生成促進因子、細胞外小胞生成促進因子又はその組合せ後のヒト間葉系幹細胞を処理して生成された細胞外小胞中に有するミトコンドリアの数量を示し、*は信頼区間>95%を表す。ミトコンドリア生成促進因子、細胞外小胞生成促進因子又はその組合せ後のヒト間葉系幹細胞を処理して生成されたミトコンドリアを有するマイクロベシクルが各処理群中において生成された細胞外小胞に占める比率を示し、*は信頼区間>95%を表す。ミトコンドリア生成促進因子細胞外小胞、細胞外小胞生成促進因子細胞外小胞組及び共同処理細胞外小胞が2型糖尿病ラットの空腹時血糖値を低下させる効果を示し、*は信頼区間>95%を表す。ミトコンドリア生成促進因子細胞外小胞、細胞外小胞生成促進因子細胞外小胞組及び共同処理細胞外小胞が2型糖尿病ラットの空腹時インスリン濃度を低下させる効果を示し、*は信頼区間>95%、**は信頼区間>90%を表す。ミトコンドリア生成促進因子細胞外小胞、細胞外小胞生成促進因子細胞外小胞組及び共同処理細胞外小胞が慢性腎疾患マウスの血液クレアチニンを低下させる効果を示し、*は信頼区間>95%を表す。ミトコンドリア生成促進因子細胞外小胞、細胞外小胞生成促進因子細胞外小胞組及び共同処理細胞外小胞が慢性腎疾患マウスの血液尿素窒素を低下させる効果を示し、*は信頼区間>95%を表す。 本発明は、以下の実施例により更なる説明を行うが、これらの実施例は本発明の前述の開示内容を限定するものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、若干の改良及び修飾を行うことができる。 実施例1 間葉系幹細胞を培養して細胞外小胞(Extracellular Vesicles,EVs)を生成 健康ドナーの臍帯から分離したヒト間葉系幹細胞を、10%胎児牛血清(Fetal bovine serum,FBS)を含有する高糖(グルコース濃度4500ミリグラム(mg)/リットル(L))のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)により150ミリメートル(mm)の培養皿中で培養し、5%の二酸化炭素、37℃下で24~48時間培養して細胞が40~60%のコンフルエンシーに達するまで培養した。前述のDMEM培地で細胞を2回洗浄した後、10%のFBSの前述DMEM培地を添加して細胞に対してそれぞれ4群の処理を行った。対照群は、培養基のみで細胞を培養し、追加の処理は行わなかった。ミトコンドリア生成促進因子処理群は、ミトコンドリア生成促進因子を添加した後、培地中のミトコンドリア生成促進因子の濃度を40ナノグラム/ミリリットル(ng/mL)とし、本実施例においてミトコンドリア生成促進因子はヘムオキシゲナーゼー1(Enzo LifeSciences, Ann Arbor, MI, USA)を選用した。細胞外小胞生成促進因子処理群は、細胞外小胞生成促進因子を添加した後、培地中の細胞外小胞生成促進因子の濃度を50mMとし、本実施例において、細胞外小胞生成促進因子は、エタノールを選用した。又はミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子の共同処理群(以下、共同処理群と略称する)であり、本実施例においては先にミトコンドリア生成促進因子を添加し、次に細胞外小胞生成促進因子を添加した。具体的には、ヒト間葉系幹細胞培養24時間後に、ミトコンドリア生成促進因子-ヘムオキシゲナーゼー1を添加し、培地中のヘムオキシゲナーゼー1の濃度を40ng/mLとし、培養36時間目に細胞外小胞生成促進因子-エタノールを添加して、培地中のエタノールの濃度を50mMとし、72時間培養後に上清液を採取して、各処理群で生成された条件培地(conditioned medium,CM)中の細胞外小胞を収集した。具体的には、各処理群で生成された条件培地を3000gで10分間遠心して死細胞又はより大きな細胞断片を除去し、続いて、各群の条件培地の上清液を細胞外小胞分離用予備洗浄カラム(Extracellular vesicle Isolation Pre-Clearing Column)を用いて予備洗浄を行った。予備洗浄後の上清液を細胞外小胞分離カラム(CapturemTM)に移し、室温下で1000gで2~4分間遠心分離した。前述のカラムを細胞外小胞分離洗浄バッファー(Extracellular vesicle Isolation Wash Buffer)で1回洗浄し、さらにキット中の細胞外小胞溶出バッファー(Extracellular vesicle Isolation Elution Buffer)で各群の細胞外小胞を溶出した。 試験例1 ナノ粒子追跡分析 実施例1の各群の処理により得られた細胞外小胞をリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)により希釈し、視野中に20~100個の粒子を有する希釈液とし、ナノ粒子追跡分析(Nanoparticle Tracking Analysis、NTA)によりミトコンドリアを有するマイクロベシクル数を測定した。ミトコンドリアを有するマイクロベシクル(microvesicle)の最終計数は、蛍光ナノ粒子追跡分析(fluorescent NTA、fNTA)により行った。実施例1で分離した細胞外小胞をTMRE蛍光染色剤(tetramethylrhodamine ethyl ester)により標識し、細胞外小胞中のミトコンドリアを検出した。TMRE蛍光染色剤の励起光及び放射光波長は、それぞれ550ナノメートル(nm)及び575nmであった。細胞外小胞及びミトコンドリアを有するマイクロベシクルのサイズは、ナノ粒径分析装置(NanoSight LM10-HS system、Malvern、英国)により測定し、ナノ粒子追跡ソフトウェア(バージョン2.3)によりデータを分析した。 各処理群のミトコンドリア数測定結果を図1に示す。ミトコンドリア生成促進因子処理群、細胞外小胞生成促進因子処理群及び共同処理群により得られたミトコンドリアを有するマイクロベシクルは、対照群と比較して、確実により多くのミトコンドリアを有するマイクロベシクルの生成を促進することが確認された。従って、ミトコンドリア生成促進因子、細胞外小胞生成促進因子又はミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子によりヒト間葉系幹細胞を共同処理することは、いずれもヒト間葉系幹細胞によるより多くのミトコンドリアを有するマイクロベシクルの生成を促進することができる。このうち、ミトコンドリア生成促進因子処理群及び共同処理群は、ヒト間葉系幹細胞によるより多くのミトコンドリアを有するマイクロベシクルの生成をより促進することができ、それぞれ対照群の16倍及び132倍であった。 また、図2の結果を各処理群により得られた細胞外小胞数で除することにより、ミトコンドリアを有するマイクロベシクルが各処理群において生成された細胞外小胞に占める比率を求め、結果を図2に示す。ミトコンドリア生成促進因子処理群、細胞外小胞生成促進因子処理群及び共同処理群により得られた細胞外小胞は、対照群と比較して、生成された細胞外小胞中に確実により高い比率でミトコンドリアを有することが確認された。従って、ミトコンドリア生成促進因子、細胞外小胞生成促進因子又はミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子によりヒト間葉系幹細胞を共同処理することは、いずれもヒト間葉系幹細胞により生成される細胞外小胞中により高い比率でミトコンドリアを有することを促進することができる。その中でも、ミトコンドリア生成促進因子処理群及び共同処理群は、ヒト間葉系幹細胞により生成される細胞外小胞中により高い比率でミトコンドリアを有することを可能にし、それぞれ1.89%及び4.9%であり、対照群と比較してそれぞれ14.44倍及び37.40倍であった。 従って、ミトコンドリア生成促進因子及び細胞外小胞生成促進因子を併用することにより、確実にミトコンドリアを有する細胞がミトコンドリアを有す