JP-7855158-B2 - フローレスレドックス電池
Inventors
- 高木 順
- 神戸 健吾
- 乾 義尚
- 秋山 毅
Assignees
- 河村電器産業株式会社
- 公立大学法人 滋賀県立大学
Dates
- Publication Date
- 20260508
- Application Date
- 20220228
Claims (4)
- 炭素繊維織物から形成される電極と、電解質層と、セパレータとを含み、 前記セパレータの両面に前記電解質層が設けられ、前記両面に設けられた電解質層は2つの前記電極で挟まれており、 前記電解質層は、希硫酸を電解液とするバナジウムイオンレドックス溶液と炭素フィラーとを含む電解質ペースト層であり、 前記電極を形成する炭素繊維織物は、 比表面積が0.1m 2 /g~100m 2 /gの範囲内にあり、 厚さが50μm/Mpa~200μm/Mpaの範囲内にあり、 目付が20g/m 2 ~120g/m 2 の範囲内にあり、 厚み抵抗値が2.1mΩ/Mpa/cm 2 ~8.0mΩ/Mpa/cm 2 の範囲内にあり、 接触角が、0°~10°の範囲内であり、 前記2つの電極間の距離が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とするフローレスレドックス電池。
- 前記炭素繊維織物は、開口率が15%~75%の範囲内である、請求項1記載のフローレスレドックス電池。
- 前記電極の引き出し部を除き、封止材で封止されている、請求項1 または2 記載のフローレスレドックス電池。
- 前記封止材は、フィルム基材に導電部が形成されたものである、請求項 3 記載のフローレスレドックス電池。
Description
本発明は、炭素繊維織物(カーボンクロス)を電極としたフローレスレドックス電池に関する。 電気を繰り返し充放電することができる二次電池は、環境負荷の小さいエネルギー貯蔵源として注目を集めている。産業用の二次電池としては、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池等が知られている。このうち、バナジウム電解液を用いたレドックスフロー電池は、室温で作動し、活物質が液体で外部タンクに貯蔵できるので、他の二次電池の電解液と比べて再生が容易で長寿命である等の利点がある。しかし、電気容量を得るためにタンクを大型化する必要があり、軽量小型で高出力性能を有するレドックス電池を得ることは困難であった。そこで、軽量小型で高出力性能を有するレドックス電池を得るために、電解液を循環させないフローレスレドックス電池が提案されている。そして、バナジウムを活物質として含む電解質を集電体に担持させた電極を用いるフローレスバナジウムレドックス電池において、電池の内部抵抗を低減し、効率よく高エネルギー密度を実現し、高容量であり、軽量小型化を可能とするための検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。 しかし、軽量、フレキシブルで、形状の自由度の高さを兼ね備え、かつ、充放電回数が数千回以上を実現するような電池は、未だ実現には至っていない。このような電池が実現すると、環境や生体のモニタリングを実施する際の電源として極めて魅力的である。 特開2014-130778号公報 図1は、本発明のフローレスレドックス電池の模式構造図である。図2は、本発明のフローレスレドックス電池の、実施例での製造方法を説明する図である。図3は、実施例1における発電性能試験の結果を示すグラフである。図4は、比較例1における発電性能試験の結果を示すグラフである。図5は、実施例1と比較例1との充放電特性を比較したグラフである。図6は、比較例2における発電性能試験の結果を示すグラフである。 以下、本発明のフローレスレドックス電池の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。なお、以下で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。 本発明では、充放電回数が数千回におよぶレドックス電池、十分な導電性と高い実効電極面積を備えた炭素繊維織物(シート状のカーボンクロス)からなる電極、これらを最適に機能させるための電解質組成の組み合わせによって、従来にない軽量、フレキシブル、形状自由、かつ数千回におよぶ充放電回数を備える蓄電デバイスであるフローレスレドックス電池を提供する。 本発明のフローレスレドックス電池は、炭素繊維織物を電極として用い、前記炭素繊維織物は、特定の範囲の比表面積、厚さ、目付および厚み抵抗値を有している。 図1は、本発明のフローレスレドックス電池の模式構造図の一例である。図1に示すように、フローレスレドックス電池10は、セパレータ1の両面に電解質層3,3が設けられている。そして、セパレータ1の両面に設けられた電解質層3,3は、2つの電極4,4で挟まれている。図2は、本発明のフローレスレドックス電池の、実施例での製造方法を説明する図である。電解質層3は、セパレータ1に、電解質層3の形成箇所を設けている枠2を取り付け、枠2内に塗布することで形成することができる。 [電極] 前記炭素繊維織物の比表面積は、0.1m2/g~100m2/gの範囲内と大きいことが好ましい。前記比表面積は、N2BET値である。比表面積は、炭素繊維織物を賦活処理をすることで、例えば、1桁~2桁大きくすることができ、賦活処理条件等を調整することで、所望の好適な範囲の比表面積値を得ることができる。薄型の充放電系を構築するためには、電極実面積を増加させることが必要である。そこで、前記比表面積を所定の範囲内とする。 前記炭素繊維織物の厚さは、50μm/Mpa~200μm/Mpaの範囲内にある。前記厚さは、1cm2の押板で1Mpa押圧時の厚みを、ミツトヨ製のデジタル厚み測定器で読み取った値(μm/Mpa)であり、電池として使用される際の厚さを表す指標である。なお、通常状態の厚みは、電池セル枠の厚みから0~+数%程度であることが好ましい。 前記炭素繊維織物の目付は、20g/m2~120g/m2の範囲内にあり、好ましくは、40m2/g~110m2/gの範囲内である。本願にて「目付」とは、日本工業規格(JIS)L02028における「毛織物などの単位面積当たりの質量を表す単位で、1m2当りのグラム数」と同義である。 また、前記炭素繊維織物の厚み抵抗値は、2.1mΩ/Mpa/cm2~8.0mΩ/Mpa/cm2の範囲内と低く、好ましくは、2.5mΩ/Mpa/cm2~6.0mΩ/Mpa/cm2の範囲内である。前記厚み抵抗値とは、1cm2の銀板で挟み100Nの押圧をかけた時の厚み方向の抵抗値(mΩ/Mpa/cm2)である。 本発明のフローレスレドックス電池は、電極4,4間の距離が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。電極間距離は、好ましくは、0.15mm以上0.17mm以下の範囲内である。 前記炭素繊維織物は、開口率が15%~75%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50%~75%の範囲内である。ここで、開口率とは、測定面積に対する透過光面積の割合で規定することができる。開口率が前記範囲であることで、比表面積を大きくすることで電子が伝わりやすい導電性炭素繊維を確保しつつ、電解質を多く充填できるため電極としての機能を保持させることができる。開口率が15%未満では、充填できる電解質の量が少ないため、寿命が短くなりやすく、開口率が75%を超えると、強度が不足する場合がある。 前記炭素繊維織物は、接触角が、0°~10°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0°~5°の範囲内である。フローレスレドックス電池における電極は、電池のセル内部で、電解質と密着しやすく、電子のやり取りが起こりやすい材料であることが求められるため、親水性の指標である接触角が、前記範囲にあることが好ましい。前記炭素繊維織物は、例えば、1μLの水滴をその表面に接触させると、織物繊維内に瞬時に拡散する程の親水性を有していることが好ましい。 織物は、平織、朱子織、2重織、マット織等を用いることができるが、織組織による溝構造を形成することができる平2重織を、特に好ましく用いることができる。 [セパレータ] 本発明のフローレスレドックス電池は、電解質ペースト層の間にセパレータ(多孔膜)を有する。セパレータとしては、特定のイオンを通過させるイオン交換膜等を例示することができる。イオン交換膜としては、SelemionAPS(登録商標)(旭硝子社製)やナフィオン(登録商標)(デュポン社製)、ネオセプタ(登録商標)等を例示することができる。特に、イオン膜が選択的に通過させることができるイオンには、プロトン、硫酸イオン及び亜硫酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のイオンが挙げられる。本発明において用いるセパレータとしては、陽イオン性で高いイオン交換容量、高い永久選択性及び高い抵抗率を有する膜を用いることが好ましく、ナフィオン(登録商標)、ネオセプタ(登録商標)(アストム社製)なる商品名で市販されているイオン交換膜を好適に用いることができる。 [電解質] 本発明のフローレスレドックス電池は、電解質として、希硫酸を電解液とするバナジウムイオンレドックス溶液と炭素フィラーとを含む電解質ペーストを用いる。希硫酸を電解液とするバナジウムイオンレドックス溶液系を用いることで、数千回におよぶ充放電サイクルを実現することができる。また、電極として炭素繊維織物を用いるので、電解質としては、電極に電解質が浸み出してくることを防止するため、前記溶液に炭素フィラーをとを含む電解質ペーストとして用いる。電解液は、電池が充電状態0~100%まで取り得るのに過不足のない量を含む。炭素フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等を使用することができる。電解質ペーストは、例えば、2Mの硫酸水溶液に2Mのバナジウムイオンを溶かした電解液に、体積比1/3のカーボンブラックを混合、分散させてペースト化して調製することができる。 これらを組みわせて密閉した電池構造とすることで、電解液の水分ロスやイオン流出を防ぎ、数千回におよぶ充放電サイクルを実現することができる。前記密閉した電池構造とするには、電極4の引き出し部4Aを除き、封止材5で封止することが好ましい。図1においては、電極4の引き出し部4Aは、銅板6で挟んで補強している。 前記封止材としては、電解液に対して耐性があり、薄くフレキシブルな材料を用いることが好ましく、カプトン(登録商標)テープ等のフィルム基材を用いることができる。前記封止材として、前記フィルム基材に導電部が形成されたものであると、封止材を貼り付けるだけで、電極を銅板で挟むことなく、そのまま使用することができるため、好ましい。フィルム基材に導電部が形成されたものとしては、カプトンテープに電極と導通が取れるように銅めっきや導電塗料を印刷等したものを用いることができる。 充放電回数が数千回以上におよぶ蓄電デバイスとしてのキャパシタを電源として用いるためには、DC-DCコンバーターなどの電圧安定化の回路が事実上必須であるが、蓄電デバイスである本発明のフローレスレドックス電池は、原理的にこれが不要あるいは簡素化できる。 また、充放電回数が数千回以上におよぶ蓄電デバイスとしてのリチウムイオン電池は、その性能を発現し、安全性を担保するためには精密な充放電を実現する電子回路が必須であるが、本発明のフローレスレドックス電池は原理的にこれが不要あるいは簡素化できる。 キャパシタやリチウムイオン電池に比べて、本発明のフローレスレドックス電池は、軽量化、フレキシビリティ、形状の自由度の高さにおいて原理的に優れている。 本発明のフローレスレドックス電池は、単位セルあたり最大0.8V程度の電池であり、直列接続による電圧微調整が容易である。そのため、所望の電圧が、例えば、3Vでも5Vでも対応が簡単である。また、原理的にフレキシブルな形状を取り得る。このような形状で充放電できるのは、用途展開の観点からも非常に好ましい。