JP-7855251-B2 - コート剤組成物及びその製造方法
Inventors
- 野村 彰一
Assignees
- 古田野村株式会社
Dates
- Publication Date
- 20260508
- Application Date
- 20240809
Claims (18)
- コート剤組成物の製造方法であって、 (A)ケイ酸アルコキシドを重合させてなるポリマーと水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムとを共存させることにより、中間組成物を得る工程と、 (B)前記工程(A)で得た前記中間組成物と、酸性コロイダルシリカとを共存させることによりコート剤組成物を得る工程 とを含む、製造方法。
- さらに、前記工程(A)の前に、前記ケイ酸アルコキシドを重合させることにより、3重合体~40重合体の前記ポリマーを得る工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ケイ酸アルコキシドがテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記水酸化セリウム及び/又は前記酸化セリウムが、粒子径100nm以下であり、かつ、セリウム濃度が酸化セリウム換算で50重量%以下のセリアゾルである、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、前記工程(B)の後に、前記コート剤組成物と界面活性剤とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、前記工程(B)の後に、前記コート剤組成物又は前記さらに加工されたコート剤組成物と酸化スズ系の微粒子とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、前記工程(B)の後に、前記コート剤組成物又は前記さらに加工されたコート剤組成物と水系バインダー樹脂成分とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、前記工程(B)の後に、前記コート剤組成物又は前記さらに加工されたコート剤組成物と水溶性溶媒及び/又は水とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
- ケイ酸アルコキシドを重合させてなるポリマーと、水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムと、酸性コロイダルシリカを含 み、請求項1に記載の製造方法により得られる、 コート剤組成物。
- 前記ケイ酸アルコキシドを重合させてなるポリマーが、3重合体~40重合体である、請求項9に記載のコート剤組成物。
- 前記ケイ酸アルコキシドがテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランである、請求項9に記載のコート剤組成物。
- 前記水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムが、粒子径100nm以下であり、かつ、セリウム濃度が酸化セリウム換算で50重量%以下のセリアゾルである、請求項9に記載のコート剤組成物。
- 光透過率が80%以上である、請求項9に記載のコート剤組成物。
- さらに、界面活性剤を含む、請求項9に記載のコート剤組成物。
- さらに、酸化スズ系の微粒子を含む、請求項9に記載のコート剤組成物。
- さらに、水系バインダー樹脂成分を含む、請求項9に記載のコート剤組成物。
- さらに、水溶性溶媒及び/又は水を含む、請求項9に記載のコート剤組成物。
- 請求項10~17のいずれか一項に記載のコート剤組成物を含むコート層を有する、塗装品。
Description
本発明はコート剤組成物及びその製造方法に関する。 従来の防汚・防曇コート層に関し、基材の表面に撥水性や親水性を持たせることにより、汚染物質の付着防止や水によるセルフクリーニング効果で防汚機能を発揮させている。ただこれらに使用するコート剤は溶媒系が多く、昨今の環境保護の観点から好ましくない。そのため、溶媒を含有しない防汚コート剤が要望されている。しかし、水系コート剤に関し、0.4μm以下の薄膜を形成することが困難であった。また1液型で長期保存が可能なコート剤は存在しなかった。 コート剤を屋外で使用する場合、常温硬化が必要であるが、水系コート剤では基材への密着性があまり良くなく、特にプラスチックス製品への密着性が低かった。 撥水性の付与はコート層に水が付着することを防止し、防汚効果を発揮する。また親水性・吸水性の付与は、基材表面の薄い水膜や吸水された水が親水性を示し、水を流すことで、付着した汚れを洗い流し防汚性を発揮する。一方で、防曇効果に関し、撥水膜において微量の水蒸気は基材の表面に付着し、光の乱反射を起こし、曇りが発生する。また、親水膜は水が少ない状態では表面に少量の汚れが付着し、曇りの原因となる。また、付着した汚れはコート層の静電気によってコート層内に入り込み防曇性を低下させる。また、吸水性を有するコート層は、水を含有することで耐水性及び密着性が低下し、コート層の劣化が促進される。 基材の表面抵抗値を下げ、基材への密着性を向上するために、酸化スズ系の無機超微粒子を添加した防汚・防曇性コート剤が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、基材の表面抵抗値を下げるには多量の酸化スズ系の超微粒子を添加する必要性があり、これは親水性の低下、密着性の低下の原因となり、安定した防汚性と防曇性を兼ね備えたコート層を作ることが困難であった。 また、従来の防曇コート層(例えば、特許文献2)は透明基材の片面の温度が氷点下で、もう一方の面が常温である場合に、曇りが発生する。また、透明基材の温度を氷点下にし、さらに常温に戻す際に、基材には曇りが発生する。また、透明基材に塗布した防汚・防曇コート層が水を吸収するものは、吸収した水が氷点下で凍結し、結晶により曇りが発生する。 特開2008-208241号公報特開平05-222338号公報 <用語の定義> 本明細書において用語「コート剤組成物」は、ガラスや金属、プラスチック等の基材表面に塗布されることでコート層を形成し、その目的に応じ、基材表面の保護、艶出し効果、防汚効果、撥水効果等の効果を付与する組成物を意味する。 本明細書において用語「セリアゾル」は、水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムを微粒子として含む、ゾル分散体を意味する。 本明細書において用語「コロイダルシリカ」は、シリカ(二酸化ケイ素)の微細粒子が溶媒に分散された状態のものを意味する。通常、シリカは非晶質であり、その粒子径は通常10~300nm程度で、コロイド状に分散している。 1.工程(A) 本発明に用いるケイ酸アルコキシドは特に限定されず、任意のアルコキシ基を有していてもよい。なかでも、炭素数1~4のアルコキシ基、例えばメトキシ基やエトキシ基等を有するケイ酸アルコキシドは、常温で液状であるため好ましい。このようなケイ酸アルコキシドとして、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等が挙げられる。 本発明に用いるケイ酸アルコキシドを重合させる際、1種又は2種以上の混合物を用いてよい。また、縮合反応は公知の方法によって行われてよく、例えば、加水分解反応後の脱水反応や脱アルコール反応により行われる。これら反応のために、水や有機溶媒、触媒等を適宜用いてよい。また、反応後のポリマーの重合度は特に限定されないが、コート剤組成物として好適な粘度とするため、3重合体~40重合体のポリマーであることが好ましい。また適宜、水溶性溶媒や水等と混合されてよい。 本発明に用いる水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムの形態は特に限定されず、例えば、粉末状であってもよいが、分散性の観点から水溶性溶媒や水等に分散したセリアゾルの形態を用いることが好ましい。水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムをセリアゾルの形態とする場合、公知の方法によってゾル化が行われてよい。水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムが、粒子径100nm以下であり、かつ、セリウム濃度が酸化セリウム換算で50重量%以下である場合に、好適なセリアゾルが得られる。 工程(A)において、さらにコート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と他の金属アルコキシドとを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物としてもよい。金属アルコキシドとしては例えば、アルミニウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物が挙げられる。これら化合物は硬化触媒として作用すると考えられる。 本発明において混合手段は、撹拌、震とう、超音波分散等の方法を、その反応スケールに応じて適宜採用することができる。 2.工程(B) 本発明に用いるコロイダルシリカは例えば水溶性溶媒や水に分散したものを用いることができる。また、その粒子径は特に限定されないが、分散性の観点から粒子径100nm以下の球状、又は球状粒子が鎖状に繋がったナノ粒子であることが好ましい。また、コート剤組成物の安定性を維持するため、酸性コロイダルシリカを用いることが好ましい。 酸性コロイダルシリカと水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムと直接を混合した場合、白色のゲル物質が形成され、透明性が損なわれるため、水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムは固形分比で0.5%~3%程度の混合のみ可能である。この点、本発明者らは、ケイ酸アルコキシドを重合させてなるポリマーと水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムとを共存させた組成物と、酸性コロイダルシリカとを共存させることにより、コート剤組成物の透明性を損なうことなく、水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムの配合可能な量を増加させることができることを見出した。本発明により、その用途に応じて固形分比で最大約30%の水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムを含むコート剤組成物を製造することができる。 3.追加工程 本発明の製造方法は、用途に応じたコート剤組成物を製造するため、希釈工程や、さらなる添加剤を共存させる工程等をさらに含んでもよい。追加される工程は本発明のコート剤組成物の特性が損なわれない範囲で特に限定されず、本発明の製造方法は、同一又は異なる追加工程を複数含んでもよく、その順序も制限されない。以下に追加工程を例示するが、本発明はこれら例示によって何ら限定されるものではない。 本発明の製造方法は、さらに、工程(B)の後に、コート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と界面活性剤とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含んでもよい。界面活性剤は、本発明のコート剤組成物の基質に対する濡れ性を向上させる。界面活性剤の形態は特に限定されず、固体、液体、水溶性溶媒及び/又は水との混合物等であってもよい。本発明のコート剤組成物の水の含有率が高い場合、表面張力が高くなり、基質への濡れ性が悪化する。特に、水の含有率が70%以上となる場合、コート剤組成物が界面活性剤を含むことが好ましい。 本発明に用いる界面活性剤は、特に限定されず、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤のいずれも用いることができるが、コート剤組成物に対して0.5重量%以下含まれる場合にコート剤組成物の濡れ性を向上させ、透明性を維持できるものが好ましい。また、コート剤組成物の固形成分の分散性に影響を与えないため、特に、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。その中でも特に、アセチレングリコール系の界面活性剤は、少量で濡れ性を向上させるだけでなく、コート剤組成物の防汚性及び防曇性を向上させるため、特に好ましい。 本発明の製造方法は、さらに、工程(B)の後に、コート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と酸化スズ系の微粒子とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含んでもよい。酸化スズ系の微粒子の形態は特に限定されず、固体、水溶性溶媒及び/又は水との混合物等であってもよい。酸化スズ系の微粒子は、コート剤組成物の基質への密着性を向上させ、また、帯電防止効果により汚れの付着を抑制させる。 本発明に用いる酸化スズ系の微粒子は、特に制限されないが、アンチモンドープ酸化スズ及び/又はインジウムドープ酸化スズを含むことが好ましい。酸化スズ系の微粒子は、コート剤組成物の透明性を維持するため、その粒子径は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。 本発明の製造方法は、さらに、工程(B)の後に、コート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と水系バインダー樹脂成分とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含んでもよい。水系バインダー樹脂成分の形態は特に限定されず、固体、水溶性溶媒及び/又は水との混合物等であってもよい。コート剤組成物が水系バインダー樹脂成分を含む場合、樹脂製基質に対する優れた密着性を示し、剥がれづらくなる。水系バインダー樹脂は、基材の樹脂の種類によって選択され、基材への密着力の優れたものを選択すればよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、塩化ビニールフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリプロピレンフィルム、その他各種フィルムに対して、水分散性ポリエステル樹脂エマルジョン、水溶性自己反応型アクリル樹脂、水分散性塩素化プロピレン樹脂エマルジョン等が使用される。 水系バインダー樹脂成分は酸化スズ系の微粒子の存在下で分散性が向上することが知られている。そのような場合、酸化スズ系の微粒子100質量部に対して、水系バインダー樹脂成分が0.3~10質量部含まれることが好ましく、0.8~8重量部含まれることがより好ましい。水系バインダー樹脂成分が0.3重量部より少ないと、基材との密着性の低下や耐水性の低下が起こり、基材から剥がれやすくなる。 本発明のコート剤組成物は固形成分の濃度が高い場合に安定性が低下するため、本発明の製造方法は、さらに、コート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と水溶性溶媒及び/又は水とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含んでよい。 本発明に用いる水溶性溶媒は、特に限定されず、例えば、エタノール等のアルコール類やグリコールエーテル類が挙げられる。また、その形態も特に限定されず、水又は異なる水溶性溶媒との混合物であってもよい。コート剤組成物において水溶性溶媒の含有率が高くなると、危険物として貯蔵や取扱いが制限されるため、水溶性溶媒の含有率は低く、水の含有率が高いことが好ましい。水の含有率はコート剤組成物に対して、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。 本発明の製造方法は、本発明のコート剤組成物の特性が損なわれない範囲で、さらに、コート剤組成物又はさらに加工されたコート剤組成物と、染料、酸化防止剤、滑剤、安定化剤、増粘剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、難燃剤等とを共存させることによりさらに加工されたコート剤組成物を得る工程を含んでもよい。これら添加剤の種類は特に限定されない。また、これらの添加物の形態は特に限定されず、固体、液体、水溶性溶媒及び/又は水との混合物等であってもよい。 4.コート剤組成物 また、本発明は、ケイ酸アルコキシドを重合させてなるポリマーと、水酸化セリウム及び/又は酸化セリウムと、酸性コロイダルシリカを含むコート剤組成物を包含する。 本発明のコート剤組成物が形成するコート層は、透明性が高く、透明基材の透過率を低下させないことが好ましい。その透過率は0.4μ