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JP-7855261-B2 - 生体物質の接続および培養用の生体適合性構造体

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Inventors

  • アッハベルガー,ケヴィン
  • リーバウ,ステファン

Assignees

  • エバーハルト カール ウニヴェルジテート テュービンゲン メディツィニーシェ ファクルテート

Dates

Publication Date
20260508
Application Date
20221207
Priority Date
20211207

Claims (20)

  1. 生体物質の接続および培養用の生体適合性構造体(「リンカースフェア」)の製造方法であって、 1)非極性かつ非水混和性の生体適合性液体を提供する工程; 2)前記生体適合性液体に、生体適合性マトリックス材料の溶液を導入して、エマルションを得る工程; 3)前記エマルションをインキュベートする工程;および 4)前記エマルションのインキュベーションにより、前記生体適合性マトリックス材料から三次元構造体を形成させて、リンカースフェアを得る工程 を含 み、 前記非極性かつ非水混和性の生体適合性液体が、鉱油であり、 前記生体適合性マトリックス材料が、基底膜様マトリックスであり、 工程(2)において、前記生体適合性マトリックス材料の溶液が、流動性の液滴として前記鉱油に導入される 、 方法。
  2. 工程(2)において、成長因子が低減された基底膜様マトリックスの溶液を導入する、 請求項1 に記載の方法。
  3. 工程(3)において、前記エマルションを処理して前記生体適合性マトリックス材料を凝固させる、 請求項1または2 に記載の方法。
  4. 前記処理が、 37℃の熱への暴露を含み、熱への暴露が15~30分間 行われる、 請求項3 に記載の方法。
  5. 前記生体適合性マトリックス材料の溶液が、細胞培養培地を含む、 請求項1または2 に記載の方法。
  6. 前記生体適合性マトリックス材料の溶液が、生体細胞を含む、 請求項1または2 に記載の方法。
  7. 前記生体適合性マトリックス材料の溶液が、色素を含む、 請求項1または2 に記載の方法。
  8. 前記鉱油への、流動性の液滴としての前記生体適合性マトリックス材料の溶液の導入が、ピペットチップを用いて行われる、 請求項1または2 に記載の方法。
  9. 工程(4)の後に、5)前記エマルションから前記リンカースフェアを単離する工程を行う、 請求項1または2 に記載の方法。
  10. 工程(5)の後に、6)前記単離したリンカースフェアを洗浄する工程を行い、該洗浄が、 水溶液を用いて行われる、請求項9 に記載の方法。
  11. 工程(4)の後かつ工程(5)の前に、4’)前記エマルションに 水溶液を導入して 水相を形成し、該水相に前記リンカースフェアを移動させる工程を行う、 請求項9 に記載の方法。
  12. 洗浄されていてもよい前記単離したリンカースフェアが、培養容器 に移される 、 請求項9 に記載の方法。
  13. 洗浄されていてもよく、移動されていてもよい前記単離したリンカースフェアが、 37℃で、20vol%O 2 下で、5vol%CO 2 下で、少なくとも12時間 培養される、 請求項9 に記載の方法。
  14. 生体物質の凝集体の培養方法であって、 1)適切な培地中において、生体物質の接続および培養用の生体適合性構造体(「リンカースフェア」)に生体物質の凝集体を接触させて、該生体物質の凝集体と該リンカースフェアの複合体を得る工程、ならびに 2)前記生体物質の凝集体と前記リンカースフェアの複合体を培養する工程 を含み、 前記リンカースフェアが、 請求項1または2 に記載の方法で得られるものである、方法。
  15. 前記生体物質の凝集体が、前記リンカースフェアに接触させる前に 切断される 、 請求項14 に記載の方法。
  16. 前記生体物質の凝集体を、その切断面で前記リンカースフェアと接触させる、 請求項15 に記載の方法。
  17. 前記培養が 37℃で行われ、20vol%O 2 下、5vol% CO 2 下で行われる、 請求項14 に記載の方法。
  18. 前記生体物質の凝集体が、オルガノイドおよび/またはスフェロイドおよび/またはアセンブロイドである、 請求項14 に記載の方法。
  19. 前記生体物質の凝集体が、網膜オルガノイド、血管オルガノイド、脳オルガノイドおよびニューロスフェロイドからなる群から選択される、 請求項18 に記載の方法。
  20. 前記生体物質の凝集体が、 人工多能性幹細胞(iPSC) に由来するアストロサイトを含む、 請求項14 に記載の方法。

Description

本発明は、生体物質の接続および培養用の生体適合性構造体の製造方法、生体物質の凝集体の培養方法、ならびに生体物質の接続および培養のための、生体適合性構造体の使用に関する。 従来、生体細胞は、インビトロすなわち培養ディッシュにおいて培養され、このような培養は、主に以下の3つの方法、すなわち、1.通常、ゲル、タンパク質、もしくは細胞外マトリックスペプチドでコーティングされたプラスチック表面もしくはガラス表面上、またはコーティングされていないプラスチック表面もしくはガラス表面上で行う培養法(コーティングされていないプラスチック表面上での培養は「接着細胞培養」と呼ばれる)、2.半透膜(「トランスウェル」)上で行う培養法、3.三次元培養法(例えば浮遊培養法)により行われている。 上記の最初の2つの方法では、(初代)組織または幹細胞に由来する細胞または細胞混合物を培養することができ、ある程度の細胞の成熟と機能性を得ることができる。しかし、このような細胞は、生理学的機能はあまりなく、複雑な細胞間相互作用や組織間相互作用を再現することはほぼ不可能である。 いわゆるスフェロイドやオルガノイドといった細胞凝集体の浮遊培養には、細胞(通常、自己組織化する細胞)から複雑な構造や相互作用を形成できるという利点がある。例えば、スフェロイドは、自己凝集により作製することができる。細胞凝集体の浮遊培養では、接着培養した単一細胞または混合細胞を容器中で集合させることによって、自律的に球状塊が形成されたり、臓器様の複雑なオルガノイドに分化させることができる。その一例として、網膜オルガノイドがあり、構造化された感光性の網膜が形成される。また、腸管オルガノイドは、腸管輸送機能を示し、インビボの腸絨毛を助けることができる。その他の例として、脳オルガノイドや腎臓オルガノイドなどがある。 しかし、このようなオルガノイドやスフェロイドの大部分は、個々の臓器/組織系のまま維持され、互いに連携して複雑な臓器系を形成することはできない。さらに、オルガノイドやスフェロイドは、一般に、通常の発生過程において、形成された臓器から別の体内領域へと伸長または侵入する血管構造や導管構造を形成することはできない。 上述のような複雑な臓器系の形成や、血管構造または導管構造の形成は、いわゆるアセンブロイドを利用することによってある程度実現することができる。アセンブロイドは、数個のオルガノイドを融合させて、形態学的な機能性ユニットとして形成させたものである。この一例として、脳領域(皮質)と脊髄スフェロイド(脊髄)と筋細胞からなる皮質-脊髄-筋肉アセンブロイドがある。Anderson et al., Generation of Functional Human 3D Cortico-Motor-Assembloids. Cell, Volume 183, 2020, pages 1913-1929, e1-10を参照されたい。 しかし、アセンブロイドは、オルガノイドと同様に、指向性を持たせることが難しく、その大半が互いにランダムに融合する。また、オルガノイドやアセンブロイドは、その大きさが不揃いになることが多く、空間的に正しく整列させることが難しい。1つのオルガノイドやアセンブロイドが別のオルガノイドやアセンブロイドを「吸収」して、他のものよりも大きくなることが多い。また、構造性を保持するオルガノイドやアセンブロイドを得られる可能性は極めて限られている。オルガノイドやアセンブロイドは、「直列に」接続することしかできず、これ以外の方向性では接続できない。さらに、融合したオルガノイドやアセンブロイドに、例えば免疫細胞といった個々の細胞もしくは物質または機能性構造を付与するための簡便な方法も存在しない。 このような状況下において、本発明は、先行技術において公知の培養方法の欠点を回避できるか、あるいは少なくとも低減できる方法を提供することを目的とする。 本発明によれば、「生体適合性」は、生体物質に対して無毒であるという特性を意味する。本発明によるリンカースフェアとマトリックス材料に関連して、「生体適合性」は、特にマトリックス材料が、生体物質の培養および増殖用の基質として好適であることを意味する。 本発明によれば、「生体物質」には、生体細胞、生体細胞の凝集体、臓器およびこれらの一部が含まれる。 本発明によれば、工程(1)において提供される非極性かつ非水混和性の生体適合性液体は、鉱油様に挙動する液体であり、水に100%不混和性であることから、本発明のエマルションを形成し、生体物質に対して毒性を持たない。 工程(1)において提供される液体は「鉱油」(CAS番号:8042-47-5;EC番号:232-455-8)であることが好ましく、すなわち、例えば、水溶液の上に重層して密度勾配遠心法などを行うために、分子生物学分野での使用が可能な品質と純度を有する高粘性のバイオ試薬であることが好ましい(品質水準:200)。本発明に好適な鉱油としては、シグマ アルドリッチ社製の鉱油(M5904)、Carl Roth社製の鉱油(#8904)、メルク社の鉱油(#107160;#113898)が挙げられる。本発明による鉱油は、「パラフィン油」または「ワセリン油」とも呼ばれる。鉱油は、容器に入れて提供されることが好ましく、適切な大きさの微量反応容器、例えば、2ml、1.5ml、0.5ml、0.2mlなどの容量の容器(例えば「エッペンドルフ」チューブ)に入れて提供されることがより好ましい。 本発明によれば、「マトリックス材料」は、工程2において液体の形態で存在する分子の混合物であり、物理現象または化学現象の作用により組織様の固体形態に変化することができる。固体形態のマトリックス材料は、生体物質の培養が可能な生体適合性構造体、好ましくはネットワーク様の構造体を提供する。本発明に好適なマトリックス材料の例としては、ヒドロゲル、基底膜様マトリックス(例えば、マトリゲル;マトリゲルはラミニンを好適に高含有している)、およびその他の生体適合性ゲル様物質が挙げられる。 工程(2)における生体適合性マトリックス材料の溶液の鉱油への導入は、適切な分注装置(例えばピペット)を使用して行われる。この水性マトリックス材料は流動性を有することから、液滴の形態で鉱油に導入して、エマルションを形成させることが好ましい。 本発明によるリンカースフェアの大きさは、マトリックス材料の体積を変更することによって容易に制御することができる。マトリックス材料の体積が大きいほど、リンカースフェアが大きくなり、マトリックス材料の体積が小さいほど、リンカースフェアが小さくなる。 本発明によれば、工程(3)において、リンカースフェアの形成が可能となる時間にわたってインキュベーションが行われ、好ましくは少なくとも10秒間から最長で60分間にわたってインキュベーションが行われる。 正確なインキュベーション時間は当業者によって決定され、ゲル化プロセスの種類に左右される。例えば、マトリゲルは高い温度でインキュベートされる。その他のヒドロゲルは、「架橋剤」または類似の結合性化学物質が必要とされる。したがって、インキュベーションは、数秒間から数分間(最長で1時間)とすることができる。 本発明の方法の工程(4)において、水性の生体適合性マトリックス材料と、その周囲の鉱油の間での界面効果により、エマルション中の水性の生体適合性マトリックス材料は球状になると推定され、このことから「リンカースフェア」と命名されている。 このようにして、本発明の根底にある目的を完全に達成することができる。 本発明者らは、本発明の方法を利用することによって、リンカースフェアの形態の生体適合性構造体を作製することができ、このリンカースフェアは、先行技術の欠点を少なくとも部分的に、または完全に克服することが可能な組織工学用の有益なツールとなることを見出した。 本発明によれば、本発明の方法によって得られるリンカースフェアは、その内部での生体物質の培養および/またはその表面上での生体物質の培養に好適であり、このような培養を実施できるように構成されている。さらに、リンカースフェアは、異なる種類の生体物質の間またはその凝集体の間で架橋または連絡路として機能することから、生体物質の接続に好適であり、このような接続を実施できるように構成されている(「リンカー」=接続、「スフェア」=球体)。また、リンカースフェアは生体物質を培養可能であることから、生体物質またはその一部が、リンカースフェアの内部を通って成長することが可能であり、あるいはリンカースフェアの表面上で成長することが可能である。したがって、第1の生体物質またはその凝集体と、第2の生体物質またはその凝集体との間、さらに別の生体物質またはその凝集体との間で、リンカースフェアを介して接続を構築することができる。 さらに、リンカースフェアは、生物の発生過程において、ある臓器から別の生体領域へと伸長または侵入する血管経路と導管経路の形成が可能な、生体物質用の生理的環境を提供する。本発明に従って得られるリンカースフェアは、複雑な細胞間相互作用、組織間相互作用および臓器間相互作用の再現が可能である。したがって、リンカースフェアは、複雑な生物学的構造(臓器や臓器系など)の研究に特に適している。 本発明の方法の一実施形態において、生体適合性マトリックス材料は、基底膜様マトリックスである。 本発明によれば、「基底膜様マトリックス」は、増殖基質として使用される生体分子の複合混合物であり、すなわち、三次元細胞培養および三次元組織工学においてマトリックスまたは細胞基質として使用される生体分子の複合混合物である。基底膜様マトリックスは、マウス肉腫細胞株であるEngelbreth-Holm-Swarm(EHS細胞)から精製された分泌物であり、その組成が、動物細胞の基底膜の細胞外マトリックスに似ている。基底膜様マトリックスは、ラミニン、エンタクチン、コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンなどを含んでいる。このアプローチでは、本発明による特に好適な生体適合性マトリックス材料を採用しているという利点がある。基底膜様マトリックスは、その組成に含まれるタンパク質が約37℃で重合することによって、ネットワークが形成されたゲル様構造体すなわちヒドロゲルを形成するが、例えば、4℃といった低い温度では液体になる。基底膜様マトリックスは、ポリリシンでコーティングされた細胞培養マトリックスと比べて、複合的かつ生理学的な三次元細胞ネットワーク構造を形成することができる。基底膜様マトリックスの概要については、例えば、Proteomics, Volume 10, Issue 9, 2010, ISSN 1615-9861, pp. 1886-1890のHughes et al: “A complex protein mixture required for optimal growth of cell culture”に記載がある。 本発明に好適な基底膜様マトリックスの商品名としては、マトリゲル(Corning Life Sciences社)、BME、EHSマトリックスなどが挙げられる。 本発明の一実施形態では、本発明の方法の工程(2)において、成長因子が低減された(GFR)基底膜様マトリックスの溶液を導入する。 このアプローチは、凝集体を構成する細胞に影響を与えうる成長因子(例えばEGF)が低減されたマトリックスが使用されるという利点がある。例えば、ニューロンは、このような影響を低減するために、そのようなマトリックス上で培養することが好ましい。本発明による成長因子低減基底膜様マトリックスとしては、Corning(登録商標)マトリゲル(登録商標)成長因子低減(GFR)基底膜マトリックス、LDEVフリー(製品番号:354230、